第59回理学療法士国家試験 午前1~50

【1】30歳の女性.バドミントンの選手である.膝前十字靭帯損傷を予防するための指導で最も適切なのはどれか. 
1.後方重心を意識した動作を指導する.
2.体幹浅層の筋力トレーニングを指導する.
3.下肢遠位筋の協調性トレーニングを指導する.
4.ジャンプ着地時に膝が内反位にならないように指導する.
5.静的な姿勢保持からバランストレーニングに進めるように指導する.

解答

1.× 前方重心を意識した動作を指導する.
2.× 体幹深層の筋力トレーニングを指導する.
3.× 下肢近位筋の協調性トレーニングを指導する.
4.× ジャンプ着地時に膝が外反位にならないように指導する.
5.○ 正しい.


【2】84歳の男性.心疾患の既往はない.転倒して右大腿骨近位部骨折を受傷し,緊急で骨接合術を受けた.翌日離床を目的に理学療法が処方されたが,右下腿の腫脹と圧痛を訴えている.最も優先的に確認すべき血液検査項目はどれか. 
1.BNP
2.Dダイマー
3.HbA1c
4.PT-INR
5.SP-D

解答

1.× BNPは心不全が疑われる場合に確認する.
2.○ 術後右下腿の腫脹と圧痛を訴えていることから深部静脈血栓症が疑われるのでDダイマーを確認する.
3.× HbA1cは糖尿病が疑われる場合に確認する.
4.× PT-INRは出血傾向が疑われる場合に確認する.
5.× SP-Dは間質性肺炎が疑われる場合に確認する.


【3】65歳の男性.入浴中,軽度の意識障害および左片麻痺が突然出現したため救急車で搬送された.救急外来到着時の頭部単純CTを示す.考えられるのはどれか.

1.慢性硬膜下血腫
2.くも膜下出血
3.脳梗塞
4.脳挫傷
5.脳出血

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.○ 右被殻出血である.


【4】50歳の女性.2日前に階段を下りた際に膝を捻った.その直後から左膝の痛みが続いているため受診した.左膝内側および膝窩部に痛みがあり,McMurrayテスト陽性であった.エックス線写真では明らかな異常所見を認めない.次に確認すべき検査はどれか. 
1.関節造影
2.CT
3.MRI
4.PET(positron emission tomography)
5.SPECT(single-photon emission computed tomography)

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.○ McMurrayテスト陽性から半月板損傷が疑われるのでMRI検査を実施する.
5.× 誤り.


【5】73歳の男性.身長170cm,体重55kg.糖尿病でインスリン治療導入中.運動強度の決定のため自転車エルゴメーターを用いて,1分間に20Watts増加させるランプ負荷法で心肺運動負荷試験を行った.二酸化炭素排出量および酸素摂取量の変化のグラフを示す.指導すべき適切な運動強度はどれか.ただし,1METの酸素摂取量は3.5mL/min/kgとする. 

1.約3METs
2.約4METs
3.約5METs
4.約6METs
5.約7METs

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.○ 1800ml/min÷55kg×(1200÷1800)÷3.5mLO₂/min/kg≒6.2=約6METs
5.× 誤り.


【6】図のように検者が脛骨内縁をこすりおろす検査を実施した.該当する病的反射はどれか. 

1.Babinski反射
2.Chaddock反射
3.Gonda反射
4.Gordon反射
5.Oppenheim反射

解答

1.× Babinski反射は足の裏の外縁を踵から上に向かってこする.
2.× Chaddock反射は足部の外果の下方を踵から足先に向けてこする.
3.× Gonda反射は足の第4指をつまみ下方へ引っ張る.
4.× Gordon反射はふくらはぎを強くつまむ.
5.○ 正しい.


【7】関節可動域測定法(日本整形外科学会,日本リハビリテーション医学会基準1995年)に従って図のように肩関節の可動域を測定する.正しいのはどれか.

1.背臥位で測定する.
2.運動方向は屈曲である.
3.基本軸は上腕骨である.
4.参考可動域は135度である.
5.体幹側屈の代償運動に注意する.

解答

1.× 肩関節外転は立位または座位で測定する.
2.× 運動方向は外転である.
3.× 肩関節外転の基本軸は肩峰を通る床への垂直線である.
4.× 肩関節外転の参考可動域は180度である.
5.○ 正しい.


【8】イラストのようにDanielsらの徒手筋力テストを実施した.正しいのはどれか. 

1.骨盤を後傾させて行う.
2.検査対象は縫工筋である.
3.対象筋の段階2のテストは背臥位で行う.
4.検査者が抵抗を加える部位は大腿遠位部である.
5.股関節外転外旋を伴った際は大腿筋膜張筋の代償を疑う.

解答

1.× 股関節屈曲は骨盤と脊柱を中間位にさせて行う.
2.× 股関節屈曲の検査対象は大腰筋および腸骨筋である.
3.× 股関節屈曲の段階2のテストは側臥位で行う.
4.○ 正しい.
5.× 股関節外転内旋を伴った際は大腿筋膜張筋の代償を疑う.


【9】50歳の男性.高所から転落し脳挫傷と診断された.入院直後から他者への配慮を欠く言動が多くみられた.家族によると,受傷前は几帳面で温厚な人物であったが,受傷後は著しく自己中心的で粗暴な言動が増え,このままでは同居は難しいとの訴えがあった.この患者に用いる検査で最も優先度が高いのはどれか. 
1.ASIA
2.FAB
3.MMSE
4.Rey複雑図形検査
5.SLTA

解答

1.× ASIAは脊髄損傷神経機能評価である.
2.○ 性格変化より前頭葉障害が疑われるので前頭葉機能障害のスクリーニング検査であるFABの優先度が高い.
3.× MMSEは認知症のスクリーニング検査である.
4.× Rey複雑図形検査は視覚性記銘検査である.
5.× SLTAは標準失語症検査である.


【10】70歳の女性.両側変形性膝関節症.外来通院中である.自宅におけるADLは,FIMによる評価で,2項目(歩行・車椅子および階段)はT字杖を使用しての自立であったが,それ以外は補助具を使用せずに自立していた.コミュニケーション(理解,表出)や社会的認知(社会的交流,問題解決,記憶)は問題ない.FIMの点数はどれか. 
1.118
2.120
3.122
4.124
5.126

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.○ 2項目で修正自立(6点)であるため,126-2=124点
5.× 誤り.


【11】50歳の男性.左下腿切断.義足歩行練習中に左側の踵接地から立脚中期までに急激な膝屈曲が生じた.考えられる原因はどれか.2つ選べ. 
1.足部が底屈しすぎている.
2.足部後方バンパーが硬すぎる.
3.ソケット初期屈曲角が大きすぎる.
4.ソケットが足部に対して後方すぎる.
5.ソケット初期内転角が不足している.

解答

1.× 足部が背屈しすぎていると急激な膝屈曲が生じる.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.× ソケットが足部に対して前方すぎると急激な膝屈曲が生じる.
5.× ソケット初期内転角が不足していても膝の前後方向の不安定性は生じない.


【12】図に示す姿勢のうち,労働災害予防を目的とした動作指導で適切な作業姿勢はどれか. 

1.1
2.2
3.3
4.4
5.5

解答

1.× 椅子の背もたれと背中に隙間があると腰椎が後彎して椎間板内圧が高くなるため不適切な作業姿勢である.
2.× 前屈み姿勢のため不適切な作業姿勢である.
3.× 体幹の捻り姿勢のため不適切な作業姿勢である.
4.× 前屈み姿勢のため不適切な作業姿勢である.
5.○ 正しい.


【13】36歳の男性.1週前,バイク運転中に転倒し左前腕を打撲した.その後,徐々に左手指の伸展が困難になった.左上肢のMMTは肘関節屈曲が5,前腕回外が2,手関節屈曲が4,手関節伸展が4,手指伸展が1.左上肢の感覚障害は認めない.針筋電図検査では回外筋,総指伸筋および長母指伸筋で安静時に脱神経電位を認めた.障害されている神経はどれか. 
1.尺骨神経
2.正中神経
3.橈骨神経
4.後骨間神経
5.前骨間神経

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.○ 感覚障害がなく,回外筋,総指伸筋および長母指伸筋で脱神経電位を認めたので後骨間神経である.
5.× 誤り.


【14】6歳の男児.二分脊椎.歩行時の様子を図に示す.予測されるSharrardの分類の上限はどれか.

1.Ⅰ群
2.Ⅱ群
3.Ⅲ群
4.Ⅳ群
5.Ⅴ群

解答

1.× 誤り.
2.○ 股関節屈曲が見られているので予測されるSharrardの分類の上限はⅡ群である.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


【15】60歳の男性.内側型の変形性膝関節症に対して手術療法が行われた.術後のエックス線写真を示す.骨癒合を促進させるために最も優先度が高い治療法はどれか. 

1.温熱療法
2.牽引療法
3.超音波療法
4.電気刺激療法
5.電磁波療法

解答

1.× 温熱療法は循環の改善を目的としており,骨癒合促進効果はない.
2.× 牽引療法は遷延癒合の原因となるので禁忌である.
3.○ 正しい.
4.× 機能的電気刺激は骨癒合促進効果はない.
5.× 電磁波療法による金属挿入部位への照射は熱傷の原因となる可能性があるため禁忌である.


【16】2歳3か月の女児.出生時に頭蓋内出血を合併し脳性麻痺と診断された.現在,四肢の筋緊張は低下し,姿勢や動きの中で両下肢の筋緊張が亢進する.両上肢にアテトーゼ様の動きがありADLは全介助である.両上肢で支持して座位が1分程度は可能である.発達歴は,頸定:10か月,寝返り:1歳2か月,ずり這い:1歳5か月.現時点で最も必要な補装具はどれか. 
1.歩行器
2.靴型装具
3.電動車椅子
4.座位保持装置
5.普通型車椅子

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.○ ①発達歴より支えなし座位を獲得しておらず,②姿勢や動きの中で筋緊張が亢進することから,座位保持装置が現時点で最も必要な補装具である.
5.× 誤り.


【17】76歳の男性.左足関節の痛みに対して手術療法が行われた.術後エックス線写真を示す.術後の理学療法で正しいのはどれか.

1.術直後から荷重を開始する.
2.疼痛軽減のため電磁波療法を行う.
3.膝関節可動域練習を積極的に行う.
4.外固定が外れたら足指可動域練習を開始する.
5.内固定破損の可能性があるため骨癒合が得られるまで短下肢装具を使用する.

解答

1.× 術後2週から疼痛の状態に応じて1/3程度から荷重を開始する.
2.× 金属が挿入されているため電磁波療法は禁忌である.
3.○ 正しい.
4.× 術後翌日から足指可動域練習を開始する.
5.× 完全免荷が困難な場合はPTB式免荷装具を使用する.


【18】74歳の女性.脳梗塞による左片麻痺.発症後3か月.平行棒内立位保持練習では重心が左側に偏り,平行棒に骨盤が寄りかかるような姿勢を呈する.この症状を改善するための理学療法で正しいのはどれか. 
1.骨盤を左から右方向へ押す.
2.右上肢で前方向へのリーチ運動を行わせる.
3.前方に鏡を置き立位姿勢の傾きを認識させる.
4.左下肢に膝装具を装着し立位保持練習を行う.
5.レイミステ現象を利用して左股関節内転筋を強化する.

解答

1.× 骨盤を左から右方向へ押すとpusher現象を助長させるため適切でない.
2.× 右上肢で右方向へのリーチ運動を行わせる.
3.○ 正しい.
4.× 左下肢に短下肢装具を装着し立位保持練習を行う.
5.× レイミステ現象を利用して患側の股関節内転筋を強化すると下肢伸展パターンを誘発するため適切でない.


【19】73歳の女性.胸部単純エックス線写真を示す.考えられる疾患または状態はどれか. 

1.気胸
2.間質性肺疾患
3.気管切開術後
4.肺葉切除術後
5.慢性閉塞性肺疾患

解答

1.× 誤り.
2.○ 下肺野に網状影が見られるので間質性肺疾患が考えられる.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


【20】30歳の女性.検診で早期の乳癌と診断され,乳房温存手術を予定している.周術期理学療法を開始するにあたり,活動能力の評価方法で正しいのはどれか. 
1.CFS(cancer fatigue scale)
2.FACT
3.KPS
4.PPI(palliative prognostic index)
5.TNM分類

解答

1.× CFS(cancer fatigue scale)は倦怠感(身体的・精神的・認知的)の評価方法である.
2.× FACT(Functional Assessment of Cancer Therapy)はQOLの評価方法である.
3.○ 正しい.
4.× PPI(palliative prognostic index)は短期的(週単位)な予後予測の指標である.
5.× TNM分類はがんのステージ分類である.


【21】対応があり正規分布を示さない連続変数の2群間の差を検討するのはどれか. 
1.Paired-t検定
2.一元配置分散分析
3.Kruskal-Wallis検定
4.Mann-WhitneyのU検定
5.Wilcoxon符号付順位検定

解答

1.× Paired-t検定:対応があり正規分布を示す連続変数の2群間の差を検定する.
2.× 一元配置分散分析:正規分布を示す連続変数の3群以上の差を検定する.
3.× Kruskal-Wallis検定:対応のない正規分布を示さない連続変数の3群以上の差を検定する.
4.× Mann-WhitneyのU検定:対応のない正規分布を示さない連続変数の2群間の差を検定する.
5.○ 正しい.


【22】二次予防の組合せで正しいのはどれか. 
1.健常成人 ――― 禁煙指導
2.脂質異常症患者 ――― 栄養指導
3.回復期の脳血管疾患患者 ――― 服薬指導
4.急性期の脳血管疾患患者 ――― 血圧管理
5.生活期の脳血管疾患患者 ――― 運動指導

解答

1.× 一次予防:健常成人 ――― 禁煙指導
2.○ 正しい.
3.× 三次予防:回復期の脳血管疾患患者 ――― 服薬指導
4.× 三次予防:急性期の脳血管疾患患者 ――― 血圧管理
5.× 三次予防:生活期の脳血管疾患患者 ――― 運動指導


【23】筋収縮で正しいのはどれか. 
1.神経筋接合部の伝達物質はノルアドレナリンである.
2.カルシウムイオンが筋小胞体内に取り込まれる.
3.神経支配比はそれぞれの筋で異なる.
4.エネルギー源はADPである.
5.A帯が短縮する.

解答

1.× 神経筋接合部の伝達物質はアセチルコリンである.
2.× カルシウムイオンが筋小胞体内から放出され筋収縮が開始する.
3.○ 正しい.
4.× 筋収縮のエネルギー源はATPである.
5.× 筋収縮時にI帯が短縮する.


【24】課題と記憶の組合せで正しいのはどれか. 
1.自転車に乗る ――― エピソード記憶
2.海外旅行の思い出を語る ――― 展望記憶
3.紙や鉛筆を使わずに暗算する ――― ワーキングメモリー
4.教師になったきっかけを説明する ――― 意味記憶
5.建物の建築方法について説明する ――― 手続き記憶

解答

1.× 自転車に乗る ――― 手続き記憶
2.× 海外旅行の思い出を語る ――― エピソード記憶
3.○ 正しい.
4.× 教師になったきっかけを説明する ――― エピソード記憶
5.× 建物の建築方法について説明する ――― 意味記憶


【25】インフォームドコンセントの説明で正しいのはどれか. 
1.終末期の患者は対象外である.
2.医療法により罰則が課せられる.
3.専門用語を用いて詳細に伝える.
4.患者が自己決定する機会を保障する.
5.患者は一度同意したら撤回できない.

解答

1.× 終末期の患者も対象である.
2.× 努力義務として医療法に定められているが罰則は規定されていない.
3.× 治療者はわかりやすい用語で説明する.
4.○ 正しい.
5.× 患者は正当な理由がなくとも同意を撤回できる.


【26】標準予防策で正しいのはどれか. 
1.患者間の感染防止が主目的である.
2.防護具として滅菌手袋が必須である.
3.患者の汗は感染性があるものとして扱う.
4.使用後の防護具はマスクを最初に除去する.
5.患者周囲の物品に触れた後に手指衛生を行う.

解答

1.× 患者・医療スタッフの感染防止が主目的である.
3.× 患者の汗は感染性がないものとして扱う.
4.× 使用後の防護具はマスクを最後に除去する.
5.○ 正しい.


【27】関節可動域測定法(日本整形外科学会,日本リハビリテーション医学会基準1995年)に基づく下肢の関節可動域の測定法の原則で正しいのはどれか. 
1.足指では底側に角時計を当てる.
2.足部の外がえしは膝関節伸展位で行う.
3.足関節では足底への動きが伸展である.
4.足部の回内・外転・背屈の複合した動きは内がえしである.
5.外反・内反という用語は足部の変形を意味するので使用しない.

解答

1.× 足指では背側に角時計を当てる.
2.× 足部の外がえしは膝関節屈曲位で行う.
3.× 足関節では足底への動きが屈曲である.
4.× 足部の回内・外転・背屈の複合した動きは外がえしである.
5.○ 正しい.


【28】認知症の周辺症状はどれか. 
1.今日の日付が分からない.
2.携帯電話を使えなくなる.
3.夜になると家の中を歩き回る.
4.朝食で食べたものを思い出せない.
5.目の前にある物品の名称を言えない.

解答

1.× 「今日の日付が分からない.」は認知症の中核症状である.
2.× 「携帯電話を使えなくなる.」は認知症の中核症状である.
3.○ 正しい.
4.× 「朝食で食べたものを思い出せない.」は認知症の中核症状である.
5.× 「目の前にある物品の名称を言えない.」は認知症の中核症状である.


【29】ICFで正しいのはどれか. 
1.障害のある人を対象とした分類である.
2.ICIDHとは相互補完的な分類である.
3.健康状態は構成要素のひとつである.
4.社会モデルに依拠している.
5.倫理的ガイドラインがある.

解答

1.× ICFはすべての人を対象とした分類である.
2.× ICD-10と相互補完的な分類である.
3.× ICFの構成要素は心身機能・身体構造,活動・参加,環境因子と個人因子である.
4.× ICFは医学モデルと社会モデル」の統合に依拠している.
5.○ 正しい.


【30】関節リウマチの槌指による中足骨頭部の疼痛に対する装具で最も適切なのはどれか. 
1.踵補高
2.外側フレアヒール
3.内側フレアヒール
4.逆Thomasヒール
5.メタタルザルパッド

解答

1.× 踵補高は脚長差に適応となる.
2.× 外側フレアヒールは内反足に適応となる.
3.× 内側フレアヒールは外反足に適応となる.
4.× 逆Thomasヒールは内反尖足に適応となる.
5.○ 正しい.


【31】変形性股関節症でみられるのはどれか. 
1.Tinel徴候
2.Froment徴候
3.Romberg徴候
4.Lhermitte徴候
5.Trendelenburg徴候

解答

1.× Tinel徴候は末梢神経障害でみられる.
2.× Froment徴候は尺骨神経麻痺でみられる.
3.× Romberg徴候は脊髄性運動失調症でみられる.
4.× Lhermitte徴候は多発性硬化症でみられる.
5.○ 正しい.


【32】股関節の屈曲拘縮を調べるテストはどれか. 
1.Adsonテスト
2.Jacksonテスト
3.Lachmanテスト
4.Neerテスト
5.Thomasテスト

解答

1.× Adsonテスト ――― 胸郭出口症候群
2.× Jacksonテスト ――― 椎間孔圧迫テスト
3.× Lachmanテスト ――― 前十字靱帯損傷
4.× Neerテスト ――― インピンジメント症候群
5.○ 正しい.


【33】SIASに含まれるのはどれか. 
1.意識障害
2.異常知覚
3.嚥下機能
4.測定障害
5.視空間認知

解答

1.× SIASに意識障害の評価は含まれない.
2.× SIASの感覚機能には触覚と位置覚の評価が含まれる.
3.× SIASに嚥下機能の評価は含まれない.
4.× SIASに測定障害の評価は含まれない.
5.○ 正しい.


【34】Parkinson病で正しいのはどれか. 
1.感覚障害が出現する.
2.安静時振戦が出現する.
3.深部腱反射が亢進する.
4.症状の日内変動は少ない.
5.発症初期には症状が左右対称に出現する.

解答

1.× Parkinson病では感覚障害は出現しない.
2.○ 正しい.
3.× Parkinson病では深部腱反射が減弱する.
4.× Parkinson病では症状の日内変動は多い.
5.× Parkinson病の発症初期には症状が一側から出現する.


【35】筋萎縮性側索硬化症で正しいのはどれか. 
1.深部感覚が障害されやすい.
2.認知機能が障害されやすい.
3.筋萎縮は四肢の遠位に著しい.
4.眼球運動が早期に障害されやすい.
5.動脈血二酸化炭素分圧が低下しやすい.

解答

1.× 筋萎縮性側索硬化症では深部感覚が障害されない.
2.× 仮性球麻痺は上位運動ニューロン障害の徴候である.
3.○ 正しい.
4.× 筋萎縮性側索硬化症では眼球運動が障害されない.
5.× 筋萎縮性側索硬化症では認知機能が障害されない.


【36】熱傷部位の皮膚で正しいのはどれか. 
1.壊死組織は赤色を呈する.
2.Ⅲ度熱傷は汗腺まで達しない.
3.Ⅰ度熱傷部位は植皮術を要する.
4.感染を伴うと植皮の生着が阻害される.
5.植皮後は知覚が回復してから運動を開始する.

解答

1.× 壊死組織は蒼白~褐色の羊皮紙様を呈する.
2.× Ⅲ度熱傷は汗腺まで達する.
3.× Ⅲ度熱傷部位は植皮術を要する.
4.○ 正しい.
5.× 植皮後は移植した皮膚が生着してから運動を開始する.


【37】気管切開患者に対する痰の吸引で正しいのはどれか.2つ選べ. 
1.ファインクラックル(fine crackles・捻髪音)を聴取したので吸引する.
2.無菌的な操作を行う.
3.成人の吸引圧は80mmHg程度が推奨される.
4.吸引カテーテルの先端が気管分岐部に当たらない深さにとどめる.
5.吸引カテーテルを気道内でピストン運動させる.

解答

1.× コースクラックル(coarse crackles・水泡音)を聴取したので吸引する.
2.○ 正しい.
3.× 成人の吸引圧は20kPa(150mmHg)程度が推奨される.
4.○ 正しい.
5.× 吸引カテーテルは気道内でピストン運動させない.


【38】大腿切断術後の切断肢で股関節の屈曲拘縮予防が図れる肢位はどれか. 
1.腹臥位
2.長時間の車椅子座位
3.大腿下に枕をいれた背臥位
4.股関節・膝関節屈曲位の側臥位
5.両大腿内側に枕を入れた背臥位

解答

1.○ 正しい.
2.× 長時間の車椅子座位は股関節の屈曲拘縮を増長する.
3.× 大腿下に枕をいれた背臥位は股関節の屈曲拘縮を増長する.
4.× 股関節・膝関節屈曲位の側臥位は股関節の屈曲拘縮を増長する.
5.× 両大腿内側に枕を入れた背臥位は股関節の内転拘縮予防が図れる肢位である.


【39】下肢の異常と金属支柱付き短下肢装具の足継手設定との組合せで正しいのはどれか. 
1.尖足 ――― 前方制動
2.反張膝 ――― 前方制動
3.立脚期の膝折れ ――― 前方制動
4.下腿三頭筋の痙縮 ――― 遊動
5.前脛骨筋の弛緩性麻痺 ――― 遊動

解答

1.× 尖足 ――― 後方制動
2.× 反張膝 ――― 後方制動
3.○ 正しい.
4.× 下腿三頭筋の痙縮 ――― 後方制動
5.× 前脛骨筋の弛緩性麻痺 ――― 前方制動


【40】成人の心肺停止に対する1分間あたりの胸骨圧迫の回数で適切なのはどれか. 
1.20回
2.50回
3.70回
4.100回
5.130回

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.○ 成人の心肺停止に対する1分間あたりの胸骨圧迫の回数は,胸骨が4~5cm沈む深さで1分間に約100回である.
5.× 誤り.


【41】介護保険制度の特定福祉用具販売に係る給付対象品目はどれか. 
1.スライディングボード
2.移動用リフトの吊具
3.ロフストランド杖
4.ベッド用手すり
5.歩行器

解答

1.× スライディングボードは介護保険における貸与対象品目である.
2.○ 正しい.
3.× ロフストランド杖は介護保険における貸与対象品目である.
4.× ベッド用手すりは介護保険における貸与対象品目である.
5.× 歩行器は介護保険における貸与対象品目である.


【42】アキレス腱炎でみられるアライメント異常の組合せで適切なのはどれか. 
1.骨盤 ――― 後傾位
2.下腿 ――― 内旋位
3.踵骨 ――― 底屈位
4.立方骨 ――― 上方偏位
5.ショパール関節 ――― 外転位

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


【43】Parkinson病の治療で適切でないのはどれか. 
1.リズム刺激
2.ドパミン作動薬
3.脳深部刺激療法
4.経頭蓋磁気刺激法
5.ボツリヌス毒素療法

解答

1.○ 適切である.
2.○ 適切である.
3.○ 適切である.
4.○ 適切である.
5.× ボツリヌス毒素療法は痙性麻痺に対する治療である.


【44】重症筋無力症患者のQMG score(Quantitative Myasthenia Gravis score)に含まれる評価はどれか.2つ選べ. 
1.意識状態
2.嚥下機能
3.感覚障害
4.眼球運動
5.排尿機能

解答

1.× 含まれない.
2.○ QMG scoreには飲水による嚥下機能評価が含まれる.
3.× 含まれない.
4.○ QMG scoreでは眼球運動による複視出現までの時間を評価する.
5.× 含まれない.


【45】フレイルの判定要件でないのはどれか. 
1.疲労感
2.筋力低下
3.体重減少
4.身体活動低下
5.歩行距離減少

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.× 歩行速度減少がフレイルの判定要件である.


【46】IL(Independent Living)運動で正しいのはどれか. 
1.1990年代後半に起こった.
2.スウェーデンが発祥である.
3.社会的排除への戦略として提唱された.
4.障害者の自己決定促進の取り組みである.
5.障害の医学的モデルに基づくものである.

解答

1.× IL運動は1960年代後半に起こった.
2.× IL運動はアメリカが発祥である.
3.× IL運動は自立生活のための戦略として提唱された.
4.○ 正しい.
5.× IL運動は障害の社会的モデルに基づくものである.


【47】QOL評価尺度はどれか. 
1.TMT
2.SF-36
3.Katz Index
4.ESCROW Profile
5.老研式活動能力指標

解答

1.× TMTは注意機能の評価である.
2.○ 正しい.
3.× Katz Indexは6大項目からなるADL評価である.
4.× ESCROW Profileは6項目で構成されるADLの評価である.
5.× 老研式活動能力指標は13項目の生活機能アセスメント表である.


【48】脊髄小脳変性症で正しいのはどれか.2つ選べ. 
1.Frenkel体操が有効である.
2.視野障害を伴うことが多い.
3.包括的な評価指標にSARAがある.
4.有病率は人口10万人あたり100人である.
5.自律神経障害は非遺伝性に比べて遺伝性が多い.

解答

1.○ 正しい.
2.× 脊髄小脳変性症において視覚障害を伴うことは少ない.
3.○ 正しい.
4.× 脊髄小脳変性症の有病率は人口10万人あたり18人である.
5.× 脊髄小脳変性症の自律神経障害は非遺伝性に比べて遺伝性が少ない.


【49】間質性肺疾患患者に対する理学療法で最も適切なのはどれか. 
1.体位排痰法を指導する.
2.吸気筋トレーニングを指導する.
3.上肢の筋力増強運動は行わない.
4.神経筋電気刺激療法は行わない.
5.有酸素運動はSpO₂60%を目標に実施する.

解答

1.× 慢性閉塞性肺疾患患者に体位排痰法を指導する.
2.○ 正しい.
3.× 間質性肺疾患患者の上肢の筋力増強運動は行う.
4.× 間質性肺疾患患者に神経筋電気刺激療法は行う.
5.× 間質性肺疾患患者の有酸素運動はSpO₂90%を下回らないように実施する.


【50】非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の副作用で正しいのはどれか. 
1.胃潰瘍
2.骨粗鬆症
3.多幸感
4.中心性肥満
5.低血糖

解答

1.○ 正しい.
2.× 骨粗鬆症はステロイド性抗炎症薬の副作用である.
3.× 多幸感はステロイド性抗炎症薬の副作用である.
4.× 中心性肥満はステロイド性抗炎症薬の副作用である.
5.× 高血糖はステロイド性抗炎症薬の副作用である.


 | 【PT国試過去問】 | 午前51~100