第59回作業療法士国家試験 午後1~50

【1】関節可動域測定法(日本整形外科学会,日本リハビリテーション医学会基準1995年)で正しいのはどれか.2つ選べ. 

1.母指掌側外転
2.前腕回外
3.肩甲帯屈曲
4.肩関節内転
5.股関節屈曲

解答

1.○ 正しい.
2.× 前腕回外の開始肢位は前腕回内外中間位,基本軸は上腕骨,移動軸は手指を伸展した手掌面である.
3.× 肩甲帯屈曲の基本軸は両側の肩峰を結ぶ線,移動軸は頭頂と肩峰を結ぶ線である.
4.× 肩関節内転の基本軸は肩峰を通る床への垂直線,移動軸は上腕骨である.
5.○ 正しい.


【2】65歳の女性.専業主婦.右利き.上肢の振戦のため心配した夫に伴われて来院した.Hoehn&Yahrの重症度分類ステージⅠ.入院後に内服投与が開始され,2週間後退院となった.退院時に安静時振戦は消失したが,右下肢の固縮および右すり足を認めた.片脚立位で右が10秒,左が20秒.ADLは自立しているが,箸の使用と書字に時間がかかる.退院後のプログラム内容で適切でないのはどれか. 
1.散歩
2.太極拳
3.フレンケル体操
4.手内筋の伸張運動
5.床に置かれた物品の整理

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.× フレンケル体操は運動失調症患者に適応となる.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


【3】62歳の女性.5か月前に左半身の脱力のため救急車で搬入され,右視床出血と診断された.現在,Brunnstrom法ステージは上肢Ⅳ,手指Ⅲ,下肢Ⅲであり,座位では右に重心が偏移し,頸部は右に回旋していた.図のような検査所見を呈している.作業療法プログラムで最も適切なのはどれか. 

1.右側から声掛けを行う.
2.座位で左から右に輪移動を行う.
3.頸部を左回旋させて塗り絵を行う.
4.ADL訓練は視覚認知の改善を図ってから行う.
5.机上課題では左側に壁がくるように座席を配置する.

解答

1.× 左側から声掛けを行う.
2.× 座位で右から左に輪移動を行う.
3.○ 正しい.
4.× ADL訓練は視覚認知の訓練と並行して行う.
5.× 机上課題では右側に壁がくるように座席を配置する.


【4】55歳の女性.趣味のガーデニングで手根管症候群となり正中神経低位麻痺を呈した.この患者のスプリント製作で最も適切なのはどれか. 
1.母指は指腹まで覆う.
2.手背部で中手骨頭部を圧迫する.
3.母指を示指と対立位に保持する.
4.近位端は前腕近位2/3の位置とする.
5.遠位端はⅡ~Ⅴ指のMP関節の掌側部を覆う.

解答

1.× 母指はIP関節屈曲を妨げない長さまで覆う.
2.× 手背部で中手骨頭部を圧迫していない.
3.○ 正しい.
4.× 近位端は前腕近位1/3の位置とする.
5.× 遠位端はⅡ~Ⅴ指のMP関節の背側部を覆う.


【5】70歳の男性.左中大脳動脈領域のアテローム血栓性脳梗塞後に重度の左片麻痺と感覚障害が残存し,4週後,回復期リハビリテーション病院に転院した.転院時のバイタルサインに異常なく自発痛の訴えは無かった.左上下肢は随意性が乏しく,浮腫を認めた.血液検査ではDダイマーが高値以外は正常範囲であった.最も考えらえる疾患はどれか. 
1.心不全
2.蜂窩織炎
3.肩手症候群
4.深部静脈血栓症
5.ネフローゼ症候群

解答

1.× バイタルサインに異常は無いので心不全は考えにくい.
2.× 自発痛の訴えが無く,血液検査でDダイマー以外は正常範囲なので蜂窩織炎は考えにくい.
3.× 自発痛の訴えは無いので肩手症候群は考えにくい.
4.○ 正しい.
5.× 血液検査でDダイマー以外は正常範囲なのでネフローゼ症候群は考えにくい.


【6】8歳の脳性麻痺児が階段昇降時に手すりを必要とし,長距離の歩行や狭い場所を歩くときに介助が必要な場合,GMFCS-Expanded and Revised(E&R)のレベルはどれか. 
1.Ⅰ
2.Ⅱ
3.Ⅲ
4.Ⅳ
5.Ⅴ

解答

1.× GMFCS-E&RⅠは歩行に制限なく,手すりを使わずに階段昇降ができる.
2.○ 正しい.
3.× GMFCS-E&RⅢは屋内移動は手に持つ移動器具を使って歩き,立ち上がりに介助が必要.
4.× GMFCS-E&RⅣは介助または電動の移動手段が必要.
5.× GMFCS-E&RⅤは手動車椅子での移送が必要.


【7】68歳の女性.くも膜下出血後の四肢麻痺のため作業療法を行っている.現在,四肢の麻痺は,ほぼ認めない.高次脳機能障害が残存しMMSEを実施した.結果を示す.次に行う検査で最も優先されるのはどれか. 

1.AMPS
2.BADS
3.BIT
4.RBMT
5.VPTA

解答

1.× AMPSはADLとIADLに関する観察型評価である.
2.× BADSは遂行機能障害の評価法である.
3.○ 正しい.
4.× RBMTは行動記憶検査である.
5.× VPTAは標準高次視知覚検査である.


【8】80歳の男性.糖尿病で治療中.意識混濁と呂律緩慢のため救急車で搬入された.初診時の心電図と頭部MRI拡散強調像を示す.この疾患の再発予防に使用される最も適した薬剤はどれか. 

1.硝酸薬
2.β遮断薬
3.抗凝固薬
4.ステロイド薬
5.抗てんかん薬

解答

1.× 硝酸薬は狭心症の治療薬である.
2.× β遮断薬は高血圧の治療薬である.
3.○ 心房細動による脳塞栓症が疑われるので抗凝固薬が再発予防に使用される.
4.× ステロイド薬は抗炎症薬である.
5.× 抗てんかん薬はてんかんの治療薬である.


【9】70歳の女性.独居.身長155cm,体重52kg.自宅で転倒.右大腿骨頸部骨折と診断され,右人工骨頭置換術(後方アプローチ)を受けた.術後,回復期リハビリテーション病院を経て自宅退院の見込みである.右股関節の屈曲角度は100度,伸展0度である.左下肢機能には問題を認めない.屋内外は杖歩行自立.現状の家屋環境を図に示す.退院時に向けた環境調整で最も適切なのはどれか.ただし,手すりの高さはすべて適切である. 

1.浴槽内いすを設置する
2.屋内階段の壁側にも手すりを設置する
3.補高便座を設置する
4.玄関の上がりかまちに踏台を設置する
5.屋外階段の手すりの平坦部分を取り除く

解答

1.○ 股関節の屈曲角度が100度なので浴槽内いすを設置する.
2.× 片麻痺ではないので屋内階段の壁側の手すりはなくとも良い.
3.× 股関節の屈曲角度が100度なので補高便座を設置する.
4.× 玄関の上がりかまちの高さが20mmなので踏台はなくとも良い.
5.× 屋外階段の手すりの平坦部分は残しておく.


【10】72歳の男性.在宅酸素療法中.呼吸困難が増悪したため入院し,作業療法が開始された.開始時の胸部CTを示す.mMRCはGrade4であり,酸素流量は安静時3L/分,労作時5L/分であった.この患者の日常生活指導で最も優先されるのはどれか. 

1.口すぼめ呼吸を指導する.
2.更衣動作は素早く行わせる.
3.呼吸困難時には深呼吸を促す.
4.立ち上がってすぐに移動する.
5.短時間で動作を区切って休憩する.

解答

1.× 拘束性肺疾患が疑われるので口すぼめ呼吸は適応とならない.
2.× 更衣動作はゆっくり行わせる.
3.× 呼吸困難時にはゆっくりとした呼吸を促す.
4.× 立ち上がって呼吸を整えてから移動する.
5.○ 正しい.


【11】14歳の女子.強度の弱視(両眼の視力の和が0.04未満,両眼の矯正視力が0.2)で特別支援学校に通っている.日常生活や学校生活において使用しない支援機器はどれか. 
1.遮光眼鏡
2.罫プレート
3.プリズム眼鏡
4.内側黒色の茶碗
5.コンピューター(タッチパネル画面付き)

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.× プリズム眼鏡は半側空間無視の治療に用いる.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


【12】58歳の男性.脳梗塞後の左不全片麻痺.Brunnstrom法ステージ上肢Ⅲ,手指Ⅲ,下肢Ⅲ.短下肢装具装着で杖歩行が可能である.MMSEは25点,高次脳機能障害はない.利き手は右手である.山間部に在住であり自動車の運転が必要である.同居の妻は運転免許を取得していない.オートマチック車での運転再開に向けて作業療法を開始した.運転再開支援で最も適切なのはどれか. 
1.運転免許を更新するために教習所に通うように指導する.
2.運転再開には臨時適正検査を受けるように指導する.
3.スライディングボードを使用するように指導する.
4.運転時には妻を助手席に乗せるよう指導する.
5.運転再開の許可は作業療法士が行う.

解答

1.× 運転免許を更新するために安全運転相談窓口への相談を勧める.
2.○ 正しい.
3.× 杖歩行が可能なのでスライディングボードの使用は必要ない.
4.× 運転時には妻を助手席に乗せるよう指導する必要はない.
5.× 運転再開の許可は公安委員会が行う.


【13】56歳の女性.4年前に関節リウマチと診断された.Steinbrockerのステージ3,クラス3.趣味は料理,手芸および絵画で活動への意欲は高い.両肩関節と両股関節の可動域制限は著明であり,起き上がりが困難である.後頸部と両膝の痛みを訴えている.作業療法で適切なのはどれか. 
1.趣味活動の絵画は中止する.
2.柔らかいマットレスの導入を勧める.
3.高さのある枕を使用するように勧める.
4.等張性収縮を利用した上肢の筋力維持を図る.
5.料理の際は座面の高い椅子を使用するように勧める.

解答

1.× 趣味活動の意欲が高いので絵画は継続する.
2.× 後頸部痛を訴えているので硬めのマットレスの導入を勧める.
3.× 後頸部痛を訴えているので低めの枕を使用するように勧める.
4.× 両肩関節の可動域制限が著明なので等尺性収縮を利用した上肢の筋力維持を図る.
5.○ 正しい.


【14】58歳の男性.アルコール依存症.長年,製造業に従事し晩酌を欠かしたことはなかった.徐々に飲酒量が増え,連続飲酒で入退院を繰り返している.今回Wernicke脳症のため入院となり,その後Korsakoff症候群が残遺した.状態が安定したため作業療法が処方された.この患者に出現する可能性が高い症状はどれか. 
1.観念奔逸
2.体感幻覚
3.不安発作
4.記銘力障害
5.フラッシュバック

解答

1.× 観念奔逸は躁状態で出現の可能性が高い.
2.× 体感幻覚は統合失調症で出現の可能性が高い.
3.× 不安発作は不安神経症で出現の可能性が高い.
4.○ 正しい.
5.× フラッシュバックはPTSDで出現の可能性が高い.


【15】11歳の男児.知的障害.ゲームソフトを買ってもらえなかったことをきっかけに,母親への暴力が激しくなり精神科に入院した.入院1週後,興奮は徐々に落ち着いてきたため,作業療法が導入された.この患児に対して行う作業療法で適切でないのはどれか. 
1.暦年齢相応の作業を用いる.
2.障害の特性を家族に説明する.
3.患児が興味を示す作業から導入する.
4.指示をする際には称賛し動機付けを高める.
5.親子の自然な情緒的交流ができるように支援する.

解答

1.× 精神年齢相応の作業を用いる.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


【16】60歳の女性.専業主婦.Alzheimer型認知症.1年前から最近の出来事を徐々に思い出せなくなり,家に引きこもりがちになった.趣味をする気力がなくなり近所づきあいも減った.「物が盗まれた」などの被害的な言動が増加したため,心配した夫に伴われて精神科を受診した.服薬治療を開始し,重度認知症患者デイケアを利用することとなった.この患者の特徴で適切なのはどれか. 
1.認知機能が変動する.
2.いつも同じ席に座りたがる.
3.具体的な幻視について話す.
4.睡眠時に大きな声で寝言を言う.
5.外出時に帰ることができなくなる.

解答

1.× 認知機能が変動するのはLewy小体型認知症の特徴である.
2.× いつも同じ席に座りたがるのは前頭側頭型認知症の特徴である.
3.× 具体的な幻視について話すのはLewy小体型認知症の特徴である.
4.× 睡眠時に大きな声で寝言を言うのはLewy小体型認知症の特徴である.
5.○ 正しい.


【17】24歳の女性.双極性障害で休職中.半年前に会社で興奮状態となったため精神科を受診し,外来で薬物療法が開始となった.3か月前から気分は安定し,生活リズムが改善してきた.1か月前から職場復帰を目指して外来作業療法が行われている.作業療法中に「薬の副作用が心配なので内服をやめたい」と相談があった.作業療法士の声かけで適切なのはどれか.2つ選べ. 
1.「量を減らして飲んでください」
2.「薬には副作用があるものですよ」
3.「どのような副作用が心配ですか」
4.「内服を中止して様子をみましょう」
5.「次の外来で医師に相談してみましょう」

解答

1.× 「量を減らして飲んでください」:作業療法士による服薬に関する説明は不適切である.
2.× 「薬には副作用があるものですよ」:作業療法士による服薬に関する説明は不適切である.
3.○ 正しい.
4.× 「内服を中止して様子をみましょう」:作業療法士による服薬に関する説明は不適切である.
5.○ 正しい.


【18】23歳の男性.中学時代から引きこもりがあり,自宅では一人で工作やプラモデル作りをしていた.20歳時に通信制高校を卒業したが,就職せずに自閉的な生活を送っていた.睡眠障害で精神科を受診し,社交不安障害と診断された.薬物療法で外出可能な状態となり,外来作業療法が開始された.導入期の作業療法で最も適切なのはどれか. 
1.言語的交流が必要な作業を行う.
2.就職希望の職種の聴取を行う.
3.他者との共同製作作業を行う.
4.プラモデル製作を行う.
5.履歴書の書き方の学習会に参加する.

解答

1.× 社交不安障害の導入期の作業療法では言語的交流がなくとも可能な作業を行う.
2.× 社交不安障害の導入期の作業療法で就職希望の職種の聴取を行うのはまだ早い.
3.× 社交不安障害の導入期の作業療法で他者との共同製作作業を行うのはまだ早い.
4.○ 正しい.
5.× 社交不安障害の導入期の作業療法で履歴書の書き方の学習会に参加するのはまだ早い.


【19】65歳の男性.2年前から便秘や立ちくらみが目立ち,人物を誤認することもあった.最近,小刻み歩行と手の震えが目立ち,壁のシミを「虫がいる」と発言するようになった.家族への暴言が多くなり対応困難で入院となった.入院後,作業療法が処方され,集団作業療法が行われている.この患者に対する作業療法士の対応で最も適切なのはどれか. 
1.性的逸脱行為に注意する.
2.複数の課題を同時進行で行う.
3.認知機能の日内変動に注意する.
4.未経験の活動種目を中心に行う.
5.流動的に活動メンバーを入れ替える.

解答

1.× 性的逸脱行為に注意するのは前頭側頭型認知症患者に対する対応である.
2.× 単一の課題で行う.
3.○ Lewy小体型認知症が疑われるので認知機能の日内変動に注意する.
4.× 既経験の活動種目を中心に行う.
5.× 活動メンバーは固定する.


【20】34歳の女性.統合失調症.大学卒業後に就職したが,すぐに退職し,精神科デイケアに通所しながら就労移行支援事業所を利用することになった.IPSによる就労移行支援を2年間利用後にケーキ屋に就職した.しかし注意・集中力の低下により,商品名を覚えるのが困難で1年で退職し,精神科デイケアの作業療法士に「一般就労をしたい」と相談した.患者への提案で最も適切なのはどれか. 
1.就労定着支援の利用を勧める.
2.休息を目的とした入院を勧める.
3.一般就労をあきらめるように伝える.
4.就労継続支援A型事業所を紹介する.
5.認知機能の改善を目指したプログラムへの参加を勧める.

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.○ 注意・集中力の低下が原因で1年で退職しているので認知機能の改善を目指したプログラムへの参加を勧める.


【21】聴理解と読解は良好であるが復唱が障害される.漢字よりも平仮名が書きづらい.考えられる失語症はどれか. 
1.伝導失語
2.感覚性失語
3.失名詞失語
4.超皮質性運動失語
5.超皮質性感覚失語

解答

1.○ 正しい.
2.× 感覚性失語は聴理解と読解は不良,復唱も障害され,漢字も平仮名も書きづらい.
3.× 失名詞失語は喚語が著しく障害される.
4.× 超皮質性運動失語は聴理解と復唱は比較的良好である.
5.× 超皮質性感覚失語は聴理解は不良であるが復唱は良好である.


【22】COPMの実施過程で作業が6つ特定された.次の手順でスコア化するのはどれか. 
1.緊急度
2.自立度
3.重要度
4.遂行度
5.満足度

解答

1.× COPMでは問題点の特定の次に重要度をスコア化する.
2.× COPMでは問題点の特定の次に重要度をスコア化する.
3.○ 正しい.
4.× COPMでは重要度の次に遂行度と満足度のスコア化する.
5.× COPMでは重要度の次に遂行度と満足度のスコア化する.


【23】Parkinson病患者で早期に困難となる動作はどれか.ただし,いずれの動作も上肢での代償はないものとする. 
1.寝返り
2.平地歩行
3.階段の昇り
4.端座位の保持
5.椅子からの立ち上がり

解答

1.○ Parkinson病患者では早期に寝返りが困難となる.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


【24】重症筋無力症で正しいのはどれか. 
1.肺小細胞癌を合併する.
2.Parkinson病より患者数が多い.
3.テンシロン試験で症状が改善する.
4.血清クレアチンキナーゼ値が上昇する.
5.誘発筋電図の反復刺激試験で振幅の漸増を認める.

解答

1.× 肺小細胞癌を合併するのはLambert-Eaton症候群である.
2.× 重症筋無力症はParkinson病より患者数が少ない.
3.○ 正しい.
4.× 重症筋無力症は血清抗アセチルコリン受容体抗体値が上昇する.
5.× 重症筋無力症は誘発筋電図の反復刺激試験で振幅の漸減を認める.


【25】成人期の二次障害で頸椎症性脊髄症を発症しやすい疾患はどれか. 
1.先天性多発性関節拘縮症
2.アテトーゼ型脳性麻痺
3.痙直型脳性麻痺
4.骨形成不全症
5.分娩麻痺

解答

1.× 先天性多発性関節拘縮症は頸椎症性脊髄症を発症しにくい.
2.○ 正しい.
3.× 痙直型脳性麻痺は頸椎症性脊髄症を発症しにくい.
4.× 骨形成不全症は頸椎症性脊髄症を発症しにくい.
5.× 分娩麻痺は頸椎症性脊髄症を発症しにくい.


【26】鼻腔からの喀痰吸引で正しいのはどれか. 
1.吸気圧は16~20kPaとする.
2.カテーテルは30cm以上挿入する.
3.一回の吸引は30秒以上持続して行う.
4.口腔からの吸引に比べて嘔吐反射が出現しやすい.
5.経鼻胃管が留置されている患者には実施できない.

解答

1.○ 正しい.
2.× カテーテルは15~20cm程度挿入する.
3.× 1回の吸引は10~15秒以内とする.
4.× 口腔からの吸引に比べて嘔吐反射が出現しにくい.
5.× 経鼻胃管が留置されている患者にも実施できる.


【27】呼吸機能で正しいのはどれか. 
1.横隔膜の支配髄節は第3頸髄節である.
2.安静時の吸気は斜角筋の収縮が作用する.
3.安静時の呼気は腹直筋の弛緩が作用する.
4.副交感神経が優位になると分泌物が増加する.
5.呼吸補助筋の麻痺により閉塞性換気障害が生じる.

解答

1.× 横隔膜の支配髄節は主として第4頸髄節である.
2.× 努力時の吸気は斜角筋の収縮が作用する.
3.× 努力時の呼気は腹直筋の収縮が作用する.
4.○ 正しい.
5.× 呼吸補助筋の麻痺により拘束性換気障害が生じる.


【28】厚生省筋萎縮症研究班の機能障害度分類ステージ7の生活指導で正しいのはどれか. 
1.片手で洗髪動作を行う.
2.自走式車椅子で移動する.
3.ソックスエイドを用いる.
4.上着はかぶりシャツを用いる.
5.スイッチを使ってパソコン操作をする.

解答

1.× ステージ7では片手での洗髪動作は困難である.
2.× ステージ7は電動車椅子で移動する.
3.× ステージ7でソックスエイドの使用は困難である.
4.× ステージ7でかぶりシャツの着脱は困難である.
5.○ 正しい.


【29】高次脳機能障害の作業療法で正しいのはどれか.2つ選べ. 
1.記憶障害に対しては間隔伸張法を用いる.
2.遂行機能障害に対してはPQRST法を用いる.
3.注意障害に対しては刺激の多い環境を設定する.
4.社会的行動異常に対しては周囲の人々に症状の理解を促す.
5.半側空間無視に対してはAPT(Attention Process Training)を用いる.

解答

1.○ 正しい.
2.× 記憶障害に対してはPQRST法を用いる.
3.× 注意障害に対しては刺激の少ない環境を設定する.
4.○ 正しい.
5.× 注意障害に対してはAPT(Attention Process Training)を用いる.


【30】FIMの食事で6点はどれか.2つ選べ. 
1.介助皿を使用する.
2.食事動作は自立しているが減塩食である.
3.醤油をかけてもらう.
4.スプーンで動作自立している.
5.配膳前の調理の段階で刻んでもらう.

解答

1.○ 正しい.
2.× 食事動作は自立しているが減塩食であるのは7点である.
3.× 醤油をかけてもらうのは5点である.
4.× スプーンで動作自立しているのは7点である.
5.○ 正しい.


【31】上腕能動義手の適合判定で,肘離断患者の場合に実施しない検査はどれか. 
1.回旋力に対する安定性
2.ソケットの適合チェック
3.引っ張り荷重に対する安定性
4.ケーブルシステムの効率チェック
5.肘の最大屈曲に要する肩関節の屈曲角度

解答

1.× 肘離断は上腕部回旋運動がよくできるので回旋力に対する安定性は実施しない.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


【32】二分脊椎で正しいのはどれか. 
1.上肢障害の合併が多い.
2.胸椎部に多く出現する.
3.脊髄髄膜瘤は神経症状が出ない.
4.移動能力評価はHofferの分類を使う.
5.脊髄係留症候群の好発年齢は2~3歳である.

解答

1.× 下肢障害の合併が多い.
2.× 腰仙椎部に多く出現する.
3.× 脊髄髄膜瘤は神経症状が出現する.
4.○ 正しい.
5.× 脊髄係留症候群は学童期頃に好発する.


【33】癌治療と合併症との組合せで正しいのはどれか. 
1.化学療法 ――― 末梢神経障害
2.頸部郭清術 ――― 顔面神経麻痺
3.前立腺腹腔鏡下全摘除術 ――― リンパ浮腫
4.乳房切除術 ――― 自律神経障害
5.放射線治療 ――― 唾液分泌過多

解答

1.○ 正しい.
2.× 頸部郭清術 ――― 副神経麻痺
3.× 前立腺腹腔鏡下全摘除術 ――― 尿失禁
4.× 乳房切除術 ――― リンパ浮腫
5.× 放射線治療 ――― 唾液分泌減少


【34】介護保険制度で正しいのはどれか.2つ選べ. 
1.体位変換器は特定福祉用具販売で購入する.
2.第2号被保険者の対象に慢性心不全がある.
3.介護保険料の支払いは40歳以上が対象である.
4.要介護認定結果は申請から60日以内に通知される.
5.訪問リハビリテーションの対象は要介護1以上である.

解答

1.× 体位変換器は福祉用具貸与の種目である.
2.× 介護保険の特定疾病に慢性心不全は含まれない.
3.○ 正しい.
4.× 要介護認定結果は申請から原則30日以内に通知される.
5.○ 正しい.


【35】地域包括ケアシステムの構成要素でないのはどれか. 
1.医療
2.介護
3.社会貢献
4.生活支援
5.予防

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.× 地域包括ケアシステムの構成要素住まい,医療,介護,予防,生活支援の5つである.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


【36】大規模災害時の避難所における作業療法士の災害支援で誤っているのはどれか. 
1.生活ニーズの聞き取り
2.避難所責任者との情報共有
3.障害者の避難所アセスメント
4.廃用症候群の予防のための体操指導
5.傷病重症度に応じた治療優先度の判断

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.× 傷病重症度に応じた治療優先度の判断をするのは医師である.


【37】日本ACLS(Advanced Cardiovascular Life Support)協会の定める一次救命処置のアルゴリズムの①から④の順で正しいものはどれか.①呼吸確認 ②心肺蘇生開始 ③周囲の安全確認 ④緊急通報とAEDの準備 
1.①-②-③-④
2.②-③-①-④
3.③-①-④-②
4.③-④-①-②
5.④-③-①-②

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.○ ③倒れている人を発見したら周囲の安全確認→④応援を呼んで緊急通報とAEDの準備→①呼吸確認→②心肺蘇生開始・AEDの実行
5.× 誤り.


【38】臨床実習にて訪問リハビリテーションに同行する学生の行動で最も適切なのはどれか. 
1.対象者との会話は常に録音する.
2.メモは実習終了後にゴミ箱に捨てる.
3.屋内の写真は許可を得ずに撮影できる.
4.訓練実施後のバイタルサイン測定は必要ない.
5.指導者との対象者情報の共有は訪問先では行わない.

解答

1.× 対象者との会話は録音しない.
2.× メモは実習終了後にシュレッダーで処分する.
3.× 屋内の写真は許可を得て撮影できる.
4.× 訓練実施後のバイタルサイン測定は必要である.
5.○ 正しい.


【39】最もエビデンスレベルが高いのはどれか. 
1.記述研究
2.コホート研究
3.症例対照研究
4.メタアナリシス
5.ランダム化比較試験

解答

1.× 記述研究のエビデンスレベルは5である.
2.× コホート研究のエビデンスレベルは2である.
3.× 症例対照研究のエビデンスレベルは3である.
4.○ メタアナリシスのエビデンスレベルは1aである.
5.× ランダム化比較試験のエビデンスレベルは1bである.


【40】亜急性期(離脱後初期)の薬物依存症の評価項目で最も優先すべきなのはどれか. 
1.作業能力
2.身体症状
3.生活リズム
4.対処能力
5.対人関係

解答

1.× 誤り.
2.○ 不安定な状態や活動性が低下した状態にあるので身体症状の評価を優先する.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


【41】PTSDで誤っているのはどれか. 
1.アンヘドニアがみられる.
2.アルコール乱用の要因となる.
3.小さな物音に敏感に反応する.
4.外傷体験の直後は詳しく体験を語らせる.
5.フラッシュバックによる心的外傷の再体験がみられる.

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.× 外傷体験の直後に詳しく体験を語らせるのは避ける.
5.○ 正しい.


【42】小学校高学年の注意欠如・多動性障害で高頻度にみられる症状はどれか. 
1.ケアレスミスが多い.
2.自分の氏名が書けない.
3.自ら同級生との接触を避ける.
4.家庭では普通に話すが学校では発語が乏しい.
5.忘れ物がないか気になり何度も確認してしまう.

解答

1.○ 正しい.
2.× 自分の氏名が書けないのは知的障害である.
3.× 自ら同級生との接触を避けるのは社交恐怖である.
4.× 家庭では普通に話すが学校では発語が乏しいのは選択性緘黙である.
5.× 忘れ物がないか気になり何度も確認してしまうのは強迫性障害である.


【43】せん妄の対応で正しいのはどれか. 
1.感覚を遮断する.
2.抗精神病薬は無効である.
3.積極的に身体拘束を行う.
4.興奮時は強い口調で注意する.
5.身体疾患の治療を並行して行う.

解答

1.× 感覚を遮断するとせん妄は増悪する.
2.× せん妄に抗精神病薬は有効である.
3.× 積極的に身体拘束を行うとせん妄は増悪する.
4.× 興奮時に強い口調で注意するとせん妄は増悪する.
5.○ 正しい.


【44】アルコール依存症の治療で正しいのはどれか.2つ選べ. 
1.抗酒薬が治療の中心である.
2.診断には脳波検査が必須である.
3.家族の共依存に対して働きかける.
4.自助グループへの参加が有効である.
5.重症の身体合併症の治療は依存症の改善後に行う.

解答

1.× 精神療法が治療の中心である.
2.× 診断には脳波検査が必須ではない.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.× 重症の身体合併症の治療は依存症の治療と並行して行う.


【45】統合失調症の認知機能障害の改善に焦点を当てたプログラムで,パソコン上の教育用ソフトウェア課題を用いるのはどれか. 
1.LASMI
2.NEAR
3.SCIT
4.SFS
5.WRAP

解答

1.× LASMIは統合失調症の慢性期の社会生活能力評価である.
2.○ 正しい.
3.× SCITは社会認知と対人関係のトレーニングである.
4.× SFSは社会機能評価尺度である.
5.× WRAPは元気回復行動プランである.


【46】SSTの説明で適切なのはどれか. 
1.精神分析理論を基盤にしている.
2.具体的な対人場面を設定して行う.
3.ストレスのかからない技法である.
4.基本的生活リズムが整ってから開始する.
5.ロールプレイの相手役はスタッフが優先して行う.

解答

1.× SSTは行動療法理論を基盤にしている.
2.○ 正しい.
3.× SSTはストレスへの対処法を考えさせたり,消化させたりする.
4.× 基本的生活リズムを整えるのもSSTに含まれる.
5.× SSTはスタッフと対象者が役割を決め,1つの場面を通して練習する.


【47】ACTの説明で正しいのはどれか. 
1.軽度の精神障害を持つ人が対象である.
2.ケアマネジメントの手法を用いる.
3.主たる目標は症状軽減である.
4.訪問作業療法の一形態である.
5.夜間の対応は行わない.

解答

1.× ACTは重度の精神障害を持つ人が対象である.
2.○ 正しい.
3.× ACTの主たる目標は重度の精神障害者が地域で生活できるようにすることである.
4.× ACTは多職種の専門家から構成されるチームが援助するプログラムである.
5.× ACTは365日24時間対応する.


【48】精神障害者にも対応した地域包括ケアシステムの相談窓口で明記されているのはどれか. 
1.自治会
2.精神科病院
3.グループホーム
4.介護老人保健施設
5.精神保健福祉センター

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.○ 正しい.


【49】精神障害者の一般就労に向けた支援で正しいのはどれか. 
1.地域障害者職業センターで事業主に対する支援を行っている.
2.トライアル雇用は障害種別を問わず雇用期間は3か月である.
3.精神障害者雇用トータルサポーターはジョブコーチへの指導を行う.
4.就労中の精神障害者の定着支援を目的としたジョブガイダンスが実施される.
5.障害者就業・生活支援センターで生活支援に基づいた職業紹介を行っている.

解答

1.○ 正しい.
2.× 精神障害者は最大12か月トライアル雇用期間を設けることができる.
3.× 精神障害者雇用トータルサポーターは,精神保健福祉士や臨床心理士の資格を持つハローワークの専門スタッフである.
4.× 求職中の精神障害者の求職支援を目的としたジョブガイダンスが実施される.
5.× 障害者就業・生活支援センターは雇用,保健,福祉,教育等の関係機関との連携の下,就業面及び生活面における一体的な支援を行っている.


【50】作業療法における診療参加型実習で最も適切なのはどれか. 
1.集団作業療法による実習は含まない.
2.一対一の師弟関係の構築を最優先する.
3.見学,模倣,実施の順に実習を進める.
4.担当患者の症例レポートの作成が必須である.
5.最終的には指導者の監督なしに作業療法を実施する.

解答

1.× 集団作業療法による実習は含まれる.
2.× 臨床実習指導者チームによる臨床実習指導体制の構築を最優先する.
3.○ 正しい.
4.× 担当患者の症例レポートの作成は必須ではない.
5.× 最終的には指導者の監督の下に作業療法を実施する.


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