第2章 理学療法の基本 03)コミュニケーション ①対人コミュニケーション能力

〈第53回 PT国試 午後20〉

71歳の男性.うっ血性心不全.2週間前から顔面と下肢とに浮腫がみられるようになり,安静にしていても呼吸困難があるため入院となった.入院2日後,離床練習開始となった.医療面接における質問で重要性が低いのはどれか. 
1.「咳や痰はないですか」
2.「仰向けで寝られますか」
3.「喉が渇きやすいですか」
4.「息切れは少なくなりましたか」
5.「手足のむくみは少なくなりましたか」

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.× うっ血性心不全は喉の渇きなど脱水症状はみられない.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


〈第56回 PT国試 午後18〉

80歳の女性.夫と2人暮らし.認知症があり,MMSEは13点.自宅にて転倒し,救急搬送され大腿骨頸部骨折と診断されて人工骨頭置換術が行われた.その後,回復期リハビリテーション病棟へ転棟し,理学療法を開始したが消極的である.理学療法中の患者の訴えへの返答で適切なのはどれか.※患者の訴え ――― 理学療法士の返答 

1.「あなたのお名前は?」と繰り返し聞かれた ――― 「さっきも答えましたよ」
2.「今すぐ帰りたい」と繰り返し訴えた ――― 「帰りたいのですね」
3.関節可動域運動中に術部に痛みを訴えた ――― 「我慢してください」
4.「今日はやりたくない」と強く訴えた ――― 「やらないと歩けなくなりますよ」
5.「財布を盗られた」と訴えた ――― 「財布は持ってきてはいけませんよ」

解答

1.× 誤り.
2.○ 「帰りたいのですね」:共感的態度
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


〈第50回 PT国試 午後20〉

75歳の女性.左変形性膝関節症.翌日に左側の人工関節置換術を施行予定のため,術前の理学療法評価を実施した.術前評価を終了した際に患者は「明日の手術が心配です」と訴えた.理学療法士の対応として適切なのはどれか. 
1.「手術をやめたいということですか」
2.「つらいのは1週間くらいなので,大丈夫ですよ」
3.「手術を頑張れば,膝関節の伸びがよくなりますよ」
4.「手術をすれば,今より楽に歩けるようになりますよ」
5.「手術を明日に控えて,いろいろと心配になりますよね」

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.○ 「手術を明日に控えて,いろいろと心配になりますよね」:傾聴,共感


〈第46回 PT国試 午前20〉

70歳の女性.上腕骨近位端骨折の治療後に肩関節拘縮を生じたために理学療法を開始した.理学療法を開始した翌日に「昨夜は肩が痛くて眠れませんでした」と訴えた.理学療法士の対応で共感的態度はどれか. 
1.「私の治療法が悪かったとお考えなのですか」
2.「肩の炎症が痛みの原因であると考えられますね」
3.「昨日が理学療法初日だったから痛かったのでしょう」
4.「痛みで眠れないということは大変つらかったでしょうね」
5.「痛み止めの薬を出してもらえるよう医師に相談しますね」

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.○ 「痛みで眠れないということは大変つらかったでしょうね」:共感的態度
5.× 誤り.


〈第45回 PT国試 午前20〉

80歳の男性.右大腿骨骨折の手術後4週で回復期リハビリテーション病棟に転棟した.初回訓練時の理学療法士(PT)と患者との会話を以下に示す.
PT①「こんにちは.○○太郎さんですか.担当する理学療法士の△△花子と申します」
患者「はい.○○太郎です.よろしくお願いいたします」
PT②「交通事故で右の太ももの骨を骨折されて本当に大変でしたね」
患者「はい」
PT③「骨を固定する手術を受けてから4週間が過ぎましたが,右膝関節拘縮と筋力低下を起こし,歩行障害となっているのですね」患者「まだ足をついてはいけないと言われています」
PT④「今日はこれから右膝の関節を柔らかくする運動と足のカを強くする運動.右足に体重を乗せないで歩く練習を行います.関節を曲げるときに少し痛いかもしれませんが.我慢ができないときには遠慮なさらずにおっしゃってください」
<運動実施>
患者「少し痛いのですが」
PT⑤「すみませんでした.もう少し優しく行うように配慮いたします.運動の前に関節を温めておきますと痛みが少なくて済むことがありますので,担当医とよく相談して許可を得るようにいたします」
理学療法士の発言で適切でないのはどれか. 
1.①
2.②
3.③
4.④
5.⑤

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.× 拘縮・筋力低下・歩行障害は専門用語であるため適切でない.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


〈第58回 PT国試 午後20〉

85歳の女性.右大腿骨頸部骨折のため入院し,人工骨頭置換術を行った.医師の診療録には,術後の経過は順調であるが,重度の右耳難聴と中等度の認知症があるとの記載があった.臨床実習での情報収集の方法として誤っているのはどれか. 
1.情報収集は一方的に行う.
2.患者の左側から声をかける.
3.患者への質問事項は紙に書く.
4.家屋状況は同居家族からも聴取する.
5.生年月日は患者本人と診療録の両方で確認する.

解答

1.× 情報収集は一方的に行わず,傾聴と共感的理解を態度として示す.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


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