第6章 内部障害理学療法学 04)代謝障害 ②糖尿病の運動療法

〈第50回 PT国試 午後40〉

2型糖尿病患者に対する教育入院後1か月の効果を示すのに適切なのはどれか. 
1.CRP
2.尿糖
3.HbA1c
4.空腹時血糖
5.血中アルブミン

解答

1.× CRPは炎症や組織細胞の破壊を反映する.
2.× 尿糖は高血糖のスクリーニング検査である.
3.○ 正しい.
4.× 空腹時血糖は食事から10時間以上あけた時の血糖値である.
5.× 血中アルブミンは栄養状態を反映する.


〈第56回 PT国試 午前46〉

糖尿病患者の運動療法を中止すべき状態はどれか. 
1.発汗
2.冷汗
3.体温37.0℃
4.Brorg指数13
5.脈拍110/分

解答

1.× 発汗は運動療法を中止すべき状態でない.
2.○ 冷汗は低血糖症状であるため運動療法を中止する.
3.× 体温38.0℃以上で運動療法を中止する.
4.× Brorg指数11~13になるよう運動強度を設定するが,17以上で運動療法を中止する.
5.× 心拍予備能の40~60%となるよう運動強度を設定するが,脈拍140/分以上で運動療法を中止する.


〈第54回 PT国試 午後47〉

糖尿病の運動療法で正しいのはどれか. 
1.食後すぐに開始する.
2.運動強度はBorg指数17前後で行う.
3.インスリン治療中の患者は禁忌である.
4.尿中ケトン体陽性の場合は有酸素運動を行う.
5.増殖性網膜症がある場合,強い等尺性収縮は推奨されない.

解答

1.× 糖尿病の運動療法は食後1時間経過してから運動を開始する.
2.× 糖尿病の運動療法はBorgボルグ指数11~13で行う.
3.× インスリン治療中でも運動療法は行う.
4.× 尿中ケトン体陽性の場合は運動療法を行わない.
5.○ 正しい.


〈第43回 PT国試 午前89〉

糖尿病の運動療法で正しいのはどれか.2つ選べ. 
1.尿ケトン体陽性時に効果が高い.
2.食後すぐに運動を開始する.
3.網膜症がある場合には運動強度を軽くする.
4.低血糖に備えて常に糖質を携帯する.
5.空腹時血糖値が高いほど運動量を増やす.

解答

1.× 糖尿病の運動療法では,尿ケトン体陽性時は運動後いっそう高血糖となったりケトーシスを誘発,増悪させることがあるため,運動は中止する.
2.× 糖尿病の運動療法は食後1時間経過してから運動を開始する.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.× 糖尿病の運動療法では,空腹時血糖250mg/dl以上で尿ケトン体陽性,陰性でも空腹時血糖300mg/dl以上の場合は運動療法を中止する.


〈第42回 PT国試 午前96〉

糖尿病患者の理学療法で誤っているのはどれか. 
1.HbA1cの数値を確認する.
2.冷や汗は低血糖発作の予兆である.
3.ベッド上の安静は血糖値を低下させる.
4.運動療法施行時には砂糖を用意しておく.
5.意識障害発作は低血糖と高血糖で起こる.

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.× 糖尿病患者のベッド上安静は血糖値を上昇させる.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


〈第50回 PT国試 午前40〉

運動後に低血糖症状を起こしやすい薬物治療中の糖尿病患者への運動療法として適切なのはどれか. 
1.段階的に運動量を増やす.
2.運動の頻度を週1回とする.
3.食後30分以内に運動を開始する.
4.インスリン注射直後に運動を開始する.
5.高強度の筋力トレーニングを主体とする.

解答

1.○ 正しい.
2.× 糖尿病患者の運動頻度は週3~5回以上とする.
3.× 運動後に低血糖症状を起こしやすい薬物治療中の糖尿病患者は,食後1時間経過してから運動を開始する.
4.× 運動後に低血糖症状を起こしやすい薬物治療中の糖尿病患者は,インスリン注射1時間後に運動を開始する.
5.× 運動後に低血糖症状を起こしやすい薬物治療中の糖尿病患者は低強度の筋力トレーニングを主体とする.


〈第44回 PT国試 午前76〉

薬物治療中の2型糖尿病患者の運動療法で適切なのはどれか. 
1.食前に行う.
2.運動前に経口用オリゴ糖を準備する.
3.最大酸素摂取量の40~60%の強度で行う.
4.運動療法による消費カロリーを1日300~400kcalとする.
5.冷汗が出たら両下肢を挙上する.

解答

1.× 薬物治療中の2型糖尿病患者は,低血糖防止のため食後1時間後に運動療法を開始する.
2.× 薬物治療中の2型糖尿病患者では運動前に経口用ブドウ糖を準備する.
3.○ 正しい.
4.× 運動療法による消費カロリーを1日160~300kcalとする.
5.× 薬物治療中の2型糖尿病患者は,冷や汗が出たら運動を中止して血糖値を測定し,低血糖であれば直ちにブドウ糖を摂取する.


〈第41回 PT国試 午前97〉

インスリン依存型糖尿病の運動療法で誤っているのはどれか.2つ選べ. 
1.運動強度はボルグ指数で13以下に設定する.
2.自転車エルゴメーターは1日20~30分程度とする.
3.尿ケトン体陽性時には運動量を増やす.
4.食後2時間以内の運動は避ける.
5.インスリン注射部位の運動は避ける.

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.× インスリン依存型糖尿病において尿ケトン体陽性時は運動を中止する.
4.× 運動は食後1時間経過してから開始する.
5.○ 正しい.


〈第57回 PT国試 午前19〉

50歳の男性.会社の健康診断で尿糖陽性を指摘され,受診した.入院時,身長175cm,体重85kg.脈拍75/分,血圧165/86mmHg.両側足関節の振動覚は鈍麻.血液生化学所見では,空腹時血糖385mg/dL(基準値65~109mg/dL),HbA1c8.6%(基準値4.6~6.2%),トリグリセリド362mg/dL(基準値30~150mg/dL),LDLコレステロール128mg/dL(基準値70~139mg/dL)であった.尿検査でケトン体陰性であった.入院後,食事療法と薬物療法が開始されている.運動療法開始時に必要な条件はどれか. 
1.感覚障害が改善する.
2.脂質異常症が改善する.
3.尿中ケトン体が陽性となる.
4.HbA1cが基準値内まで低下する.
5.空腹時血糖が250mg/dL未満となる.

解答

1.× 感覚障害の改善は運動療法開始時に必要な条件でない.
2.× 運動療法により脂質異常症が改善する.
3.× 空腹時血糖250mg/dL以上または尿中ケトン体が陽性の場合,運動療法は禁忌である.
4.× 運動療法によりHbA1cが低下する.
5.○ 正しい.


〈第53回 PT国試 午後11〉

52歳の男性.2型糖尿病.足のしびれと血糖値の上昇のため入院となった.検査結果では空腹時血糖305mg/dL,尿検査でケトン体陽性であった.虚血性心疾患と腎機能障害は認めない.この患者への対応で正しいのはどれか. 
1.安静臥床とする.
2.1日200kcalを消費させる運動を行う.
3.1RMの80%で下肢の筋力増強運動を行う.
4.病棟内歩行などの軽度な負荷にとどめる.
5.目標心拍数115/分で有酸素運動を20分間行う.

解答

1.× 空腹時血糖305mg/dL,尿検査でケトン体陽性であるので運動療法は禁忌となるが,安静臥床は必要ない.
2.× 1日200kcalを消費させる運動を行うのは,増殖網膜症や尿中ケトン体陽性など明らかな合併症がなく,空腹時血糖250mg/dL以上の高血糖を認めない場合適応となる.
3.× 1RMの50%程度で下肢の筋力増強運動を行うのが,増殖網膜症や尿中ケトン体陽性など明らかな合併症がなく,空腹時血糖250mg/dL以上の高血糖を認めない場合適応となる.
4.○ 正しい.
5.× 目標心拍数115/分で有酸素運動を20分間行うのは,増殖網膜症や尿中ケトン体陽性など明らかな合併症がなく,空腹時血糖250mg/dL以上の高血糖を認めない場合適応となる.


〈第56回 PT国試 午前20〉

68歳の男性.2型糖尿病,脂質異常症.身長160cm,体重85.0kg,体脂肪率38%.血液検査は,HbA1c8.2%,空腹時血糖145mg/dL.仕事は管理職,デスクワーク中心で一日の歩数は3,550歩(同年代歩数7,157歩).筋力低下,感覚障害,関節可動域制限は認めない.運動療法で誤っているのはどれか. 
1.食事の1時間後に実施する.
2.筋力増強運動は週2~3回行う.
3.身体活動量増加のための生活指導を行う.
4.有酸素運動は1回10分,週に合計40分程度行う.
5.有酸素運動の運動強度は最大酸素摂取量の50%程度とする.

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.× 有酸素運動は1回20分以上,週に合計150分程度行う.
5.○ 正しい.


〈第58回 PT国試 午前17〉

75歳の男性.2型糖尿病でインスリン療法中.腎症,高血圧症および増殖前網膜症を合併しており,週3回血液透析と理学療法のため外来通院している.運動療法で正しいのはどれか. 
1.透析日の運動は禁忌である.
2.HbA1cの値で運動強度を決定する.
3.運動前に口渇が改善するまで飲水を促す.
4.倦怠感を訴えるときは低血糖症状の可能性がある.
5.運動療法の主目的はインスリン分泌能の改善である.

解答

1.× 透析日は透析前か透析中に運動療法を行う.
2.× HbA1c値は過去1~2か月の平均血糖値を反映するため,運動強度の決定には用いない.
3.× 適度な飲水量を指導する.
4.○ 正しい.
5.× 運動療法の主目的はインスリン抵抗性の改善とADL維持である.


〈第48回 PT国試 午前19〉

58歳の男性.身長164cm,体重88kg.高血圧と2型糖尿病で通院していた.空腹時血糖値の異常と急激な視力低下で緊急入院した.入院時の空腹時血糖値は268mg/dl,HbA1cは12.8%であった.入院後のインスリン投与により空腹時血糖値は156mg/dlに低下した.理学療法で正しいのはどれか. 
1.HbA1c値を日々の理学療法の指標にした.
2.運動はインスリン投与後30分以内に開始した.
3.運動強度はBorg指数で17とした.
4.短時間1回最大等尺性訓練による筋力増強を行った.
5.1日200kcalを消費させる有酸素運動を指導した.

解答

1.× HbA1c値は過去1~2か月の平均血糖値を反映するため,日々の理学療法の指標にはできない.
2.× 運動はインスリン投与1時間後に開始する.
3.× 運動強度はBorg指数で11~13とする.
4.× 短時間1回最大等尺性訓練による筋力増強は高血圧と網膜症(急激な視力低下)を悪化させるため禁忌である.
5.○ 正しい.


〈第45回 PT国試 午後16〉

70歳の男性.2型糖尿病.心房細動があるが,β遮断薬によって安静時の脈拍70/分前後にコントロールされている.食事療法と運動療法とを通して生活習慣の改善に取り組みはじめた.運動処方の内容で適切な組合せはどれか.2つ選べ. 
1.種類 ――― ウォーキングによる有酸素運動を行う.
2.強度 ――― 運動時の脈拍110/分を目標とする.
3.持続時聞 ――― 1回の運動で10分を目標とする.
4.実施時間帯――食事の1時間後を目安に開始する.
5.頻度 ――― 週に2回を目標とする.

解答

1.○ 正しい.
2.× 強度 ――― β遮断薬を使用しているため,脈拍を運動強度の目安とすることはできない.
3.× 持続時聞 ――― 1回の運動で20分を目標とする.
4.○ 正しい.
5.× 頻度 ――― 週に3~5回を目標とする.


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