第6章 内部障害理学療法学 01)呼吸障害 ③慢性閉塞性肺疾患の呼吸リハビリテーション

〈第49回 PT国試 午後42〉

慢性閉塞性肺疾患における包括的呼吸リハビリテーションで正しいのはどれか. 
1.運動耐容能の改善を図ることができる.
2.吸気時に動作を行うように指導する.
3.上肢筋力トレーニングは行わない.
4.健康関連QOLに影響を与えない.
5.栄養指導は含まない.

解答

1.○ 正しい.
2.× 呼気時に動作を行うように指導する.
3.× 上肢筋力トレーニングも行う.
4.× 健康関連QOLに影響を与える.
5.× 栄養指導が含まれる.


〈第46回 PT国試 午前39〉

慢性閉塞性肺疾患の呼吸理学療法で正しいのはどれか. 
1.運動中の息こらえを避ける.
2.上肢のトレーニングは避ける.
3.酸素吸入が必要な運動は避ける.
4.嫌気的代謝能を優先して向上させる.
5.運動中のSpO₂は80%を保持できればよい.

解答

1.○ 正しい.
2.× 上肢のトレーニングも行う.
3.× 必要に応じて酸素吸入を行いながら運動を行う.
4.× 好気的代謝能を優先して向上させる.
5.× 運動中のSpO₂は90%以上を保持する.


〈第42回 PT国試 午前93〉

慢性閉塞性肺疾患の理学療法で適切でないのはどれか. 
1.呼吸筋訓練
2.胸郭可動域訓練
3.深吸気
4.下肢エルゴメーター
5.体位排痰法

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.× 慢性閉塞性肺疾患の理学療法では深吸気は行わない.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


〈第46回 PT国試 午後4〉

呼吸機能テストの結果,図Aのようなフローボリューム曲線を得た.この患者の呼吸理学療法で誤っているのはどれか.ただし,図Bは健常者の結果を示す. 

1.胸郭の可動性を増大する.
2.口すぼめ呼吸を指導する.
3.呼気時間を短縮する.
4.吸気筋を強化する.
5.腹筋を強化する.

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.× 閉塞性換気障害であるため,呼気時間を長くする.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


〈第43回 PT国試 午前33〉

呼吸機能テストの結果,図Aのようなフローボリューム曲線を得た.この患者の呼吸理学療法で誤っているのはどれか.ただし,図Bは健常者の結果を示す. 

1.胸郭の可動性維持
2.口すぼめ呼吸の指導
3.横隔膜呼吸法の指導
4.強制吸気の指導
5.腹筋の筋力増強

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.× 閉塞性換気障害であるため,強制吸気の指導は行わない.
5.○ 正しい.


〈第44回 PT国試 午前77〉

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の腹式呼吸の目的で正しいのはどれか.2つ選べ. 
1.補助筋の筋力増強
2.1回換気量の増加
3.機能的残気量の増加
4.横隔膜の上方移動拡大
5.呼気時の気道内圧低下

解答

1.× COPDの腹式呼吸の目的は呼吸補助筋の抑制である.
2.○ 正しい.
3.× 機能的残気量の減少は口すぼめ呼吸の効果である.
4.○ 正しい.
5.× 呼気時の気道内圧上昇は口すぼめ呼吸の効果である.


〈第47回 PT国試 午前18〉

55歳の女性.COPDに対して在宅酸素療法(HOT)を行っている.MRCグレード3(Hugh-Jones分類Ⅳ相当)である.この患者に指導する運動として適切なのはどれか. 
1.ジョギング
2.四肢体幹のストレッチ
3.速歩
4.ゴルフ
5.階段昇降

解答

1.× ジョギングはMRCグレード3の患者に対し運動負荷量が高すぎるため適切でない.
2.○ 正しい.
3.× 速歩はMRCグレード3の患者に対し運動負荷量が高すぎるため適切でない.
4.× ゴルフはMRCグレード3の患者に対し運動負荷量が高すぎるため適切でない.
5.× 階段昇降はMRCグレード3の患者に対し運動負荷量が高すぎるため適切でない.


〈第45回 PT国試 午前16〉

70歳の男性.慢性閉塞性肺疾患で%VC70%,FEV1.0%75%.この患者に対する理学療法で誤っているのはどれか. 
1.息切れ時のポジショニングの指導
2.息こらえをしながら立ち上がる訓練
3.自転車エルゴメーターによる持久力訓練
4.下肢の筋力強化のためのハーフスクワット訓練
5.上肢の筋力強化のための四つ這いでの腕立て伏せ訓練

解答

1.○ 正しい.
2.× 息を吐きながら立ち上がる訓練を行う.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


〈第54回 PT国試 午後17〉

82歳の男性.15年前から動作時の息切れ及び咳や痰の増加がみられ,自宅近くの医療機関にて加療していた.徐々に動作時の呼吸困難感が強くなり,入浴動作で息切れを感じるようになっている.2年前から在宅酸素療法が開始されている.動脈血ガス分析はPaO₂65Torr,PaCO₂47Torr,HCO₃⁻29.5mEq/L,肺機能検査は,%VC62%,FEV1%42%であった.吸入薬として長時間作用性β2刺激薬,長時間作用性抗コリン薬が処方されている.本症例に有酸素運動を行う場合の運動強度として最も適切なのはどれか. 
1.7METs
2.修正Borg指数7
3.最大仕事量の75%
4.目標心拍数130/分
5.最大酸素摂取量の40%

解答

1.× 入浴動作(4~5METs)より低い活動にする.
2.× 修正Borg指数2~3の強度から始める.
3.× 最大仕事量の40%程度から始める.
4.× 目標心拍数は(220-82)×60%=83/分とする.
5.○ 正しい.


〈第54回 PT国試 午前19〉

78歳の男性.慢性閉塞性肺疾患の急性増悪により人工呼吸器管理中である.意識レベルJCS(Japan Coma Scale)Ⅱ-20,体温37.5℃,呼吸数は26回/分,努力性呼吸を認める.二次的合併症の予防目的で行う理学療法で適切でないのはどれか. 
1.呼吸介助
2.体位排痰法
3.ベッドアップ
4.関節可動域運動
5.徒手的抵抗運動

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.× 人工呼吸器管理中で,JCSⅡ-20,体温37.5℃,呼吸数は26回/分,努力性呼吸のため徒手的抵抗運動は適切でない.


〈第45回 PT国試 午前40〉

慢性閉塞性肺疾患患者へのADLの指導で誤っているのはどれか. 
1.作業は座位で行う.
2.動作時は腹式呼吸を心がける.
3.呼気よりも吸気に時間をかける.
4.両上肢挙上位を避けて作業する.
5.物を持ち上げる際は呼気で行う.

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.× 慢性閉塞性肺疾患患者へのADLでは吸気よりも呼気に時間をかけるよう指導する.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


〈第44回 PT国試 午前90〉

慢性呼吸不全で息切れのある患者のADLの指導で誤っているのはどれか. 
1.リーチャーの利用
2.かぶりシャツの着用
3.手すりの設置
4.洋式トイレの使用
5.半身浴の励行

解答

1.○ 正しい.
2.× 慢性呼吸不全で息切れのある患者では,かぶりシャツは更衣時に前屈みになる必要があるため,前開きシャツの着用を指導する.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


〈第41回 PT国試 午前92〉

慢性呼吸不全患者の生活指導で適切でないのはどれか. 
1.腹式呼吸を励行する.
2.時間当たり呼吸数を増やす.
3.1回換気量を増やす.
4.動作を分割する.
5.酸素吸入下で体操する.

解答

1.○ 正しい.
2.× 慢性呼吸不全患者の生活指導では時間当たりの呼吸数を減らし,呼吸仕事量を軽減させるよう指導する.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


〈第58回 PT国試 午前18〉

78歳の男性.COPDによるⅡ型呼吸不全.安静時および運動時に1L/分の在宅酸素療法を導入している.理学療法士による患者指導として正しいのはどれか. 
1.上肢の挙上動作を反復して行うように指導する.
2.吸気時間を延長するために口すぼめ呼吸を指導する.
3.呼吸困難に応じて酸素流量を増量するように指導する.
4.体調や呼吸器症状の日誌への記録をもとに生活指導を行う.
5.主に心理的なリラックスを得るためにリラクセーションを指導する.

解答

1.× 上肢の挙上動作を反復して行うと呼吸補助筋群が呼吸運動に関与できず,呼吸困難感を誘発するため避ける.
2.× 呼気時間を延長するために口すぼめ呼吸を指導する.
3.× 医師に指示された酸素流量を守り,呼吸困難感が強い場合は医師に相談するよう指導する.
4.○ 正しい.
5.× 呼吸補助筋の筋緊張軽減を目的にリラクセーションを指導する.


〈第55回 PT国試 午前7〉

次の文を読み7,8の問いに答えよ.75歳の男性.身長170cm,体重48kg,BMI16.6.約10年前から呼吸困難が出現し自宅近くの医院で加療していた.徐々に呼吸困難感が増悪してきており,50m程度の連続歩行で呼吸困難感のため休息が必要である.動脈血ガス分析PaO₂65Torr,PaCO₂48Torr,肺機能検査%VC81%,FEV1%31%であった.患者の胸部エックス線写真を示す.予測されるフローボリューム曲線として最も適切なのはどれか. 

1.①
2.②
3.③
4.④
5.⑤

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.○ 1秒率低下と画像所見より,慢性閉塞性肺疾患である.


〈第55回 PT国試 午前8〉

次の文を読み7,8の問いに答えよ.75歳の男性.身長170cm,体重48kg,BMI16.6.約10年前から呼吸困難が出現し自宅近くの医院で加療していた.徐々に呼吸困難感が増悪してきており,50m程度の連続歩行で呼吸困難感のため休息が必要である.動脈血ガス分析PaO₂65Torr,PaCO₂48Torr,肺機能検査%VC81%,FEV1%31%であった.患者の胸部エックス線写真を示す.この患者の運動療法を中止すべき状態として最も適切なのはどれか.

1.SpO₂82%
2.呼吸数22/分
3.心拍数105/分
4.修正Borg指数5
5.収縮期血圧が安静時より20mmHg上昇

解答

1.○ SpO₂90%未満で運動療法を中止する.
2.× 呼吸数30/分以上で運動療法を中止する.
3.× 年齢予測最大心拍数の85%に達したときに運動療法を中止する.
4.× 修正Borg指数7~9で運動療法を中止する.
5.× 高度に収縮期血圧が下降または拡張期血圧が上昇した時は運動療法を中止する.


〈第44回 PT国試 午前32〉

次の文により32,33の問いに答えよ.45歳の男性.息切れで階段を昇れなくなったため受診した.スパイログラムで図のような計測値と努力呼出曲線とを得た.この患者の1秒率で最も近いのはどれか.

1.88%
2.83%
3.70%
4.66%
5.58%

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.○ 2,300ml/3,500ml×100=65.7≒66%
5.× 誤り.


〈第44回 PT国試 午前33〉

次の文により32,33の問いに答えよ.45歳の男性.息切れで階段を昇れなくなったため受診した.スパイログラムで図のような計測値と努力呼出曲線とを得た.この患者の呼吸理学療法の目的はどれか. 

1.胸式呼吸による肺活量の改善
2.有酸素運動による残気量の減少
3.部分呼吸法による努力性肺活量の増加
4.口すぼめ呼吸による機能的残気量の減少
5.胸郭柔軟性運動による拘束性換気障害の改善

解答

1.× 閉塞性換気障害であるため,胸式呼吸でなく腹式呼吸による換気効率の改善を目的とする.
2.× 有酸素運動により残気量の減少は望めない.
3.× 閉塞性換気障害では部分呼吸法は適応とならない.
4.○ 正しい.
5.× COPDは拘束性換気障害でない.


〈第42回 PT国試 午前32〉

次の文により問題32,問題33に答えよ.50歳の男性.慢性呼吸不全.スパイロメトリーでは,%VC:85%,FEV1.0%:65%であった.健常者と同様に平地を歩くのは難しいが,自分のペースで2.0kmの距離を歩くことができる.正しいのはどれか. 
1.閉塞性換気障害,Hugh-Jones分類Ⅱ度
2.拘束性換気障害,Hugh-Jones分類Ⅱ度
3.混合性換気障害,Hugh-Jones分類Ⅱ度
4.閉塞性換気障害,Hugh-Jones分類Ⅲ度
5.拘束性換気障害,Hugh-Jones分類Ⅲ度

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.○ ①%VC:85%,FEV1.0%:65%,②健常者と同様に平地を歩くのは難しいが,自分のペースで2.0kmの距離を歩くことができるため,閉塞性換気障害・Hugh-Jones分類Ⅲ度である.
5.× 誤り.


〈第42回 PT国試 午前33〉

次の文により問題32,問題33に答えよ.50歳の男性.慢性呼吸不全.スパイロメトリーでは,%VC:85%,FEV1.0%:65%であった.健常者と同様に平地を歩くのは難しいが,自分のペースで2.0kmの距離を歩くことができる.2年後,呼吸不全が進行し,日常生活でも息切れがでるようになった.ADL指導で誤っているのはどれか. 
1.動作は細かく分けて行う.
2.和式トイレよりも洋式トイレが良い.
3.息を吸いながら物を持ち上げる.
4.台所仕事は椅子に座って行う.
5.息苦しさを感じたら口をすぼめて息を吐く.

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.× 息を吐きながら物を持ち上げる.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


Back | 【第6章 内部障害理学療法学 目次】 | Next