第5章 発達障害理学療法学 04)デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD) ⑤ステージ別の理学療法

〈第41回 PT国試 午前35〉

8歳の男児.デュシェンヌ型筋ジストロフィー.動揺性歩行を呈し,手すり使用で階段昇降可能.床からの立ち上がりでは登はん性起立がみられる.この時期の理学療法で正しいのはどれか.2つ選べ. 
1.車椅子駆動練習
2.大腿四頭筋の筋力維持訓練
3.傾斜台での下腿三頭筋の持続伸張
4.シューホーンブレース装着での歩行
5.ナイト型装具装着での立位バランス訓練

解答

1.× 歩行および立ち上がりが可能な時期であるため,車椅子駆動練習はまだ早い.
2.○ Ducheunne型筋ジストロフィーのステージ2では大腿四頭筋の筋力維持訓練を行う.
3.○ 下腿三頭筋の短縮は早期より起こるため,傾斜台での下腿三頭筋の持続伸張を行う.
4.× シューホーンブレース装着での歩行はデュシェンヌ型筋ジストロフィーに適応とならない.
5.× ナイト型装具装着での立位バランス訓練はデュシェンヌ型筋ジストロフィーに適応とならない.


〈第49回 PT国試 午前10〉

9歳の男児.Duchenne型筋ジストロフィー.独歩は可能だが,腹部を突き出し両肩を左右に振る動揺歩行と内反尖足とが顕著である.床からの立ち上がり動作では登はん性起立を示し,柱などにつかまればかろうじて立ち上がることができる.上肢に拘縮はなく,ゆっくりであるが両上肢を挙上することができる.この時期に行う理学療法士の対応で優先度が高いのはどれか. 
1.電動車椅子の購入を家族に提案する.
2.下肢の漸増抵抗運動を行う.
3.四つ這い移動の練習を行う.
4.松葉杖の練習を行う.
5.体幹装具を装着させる.

解答

1.× 歩行可能な時期であるため,電動車椅子の購入提案は優先度が低い.
2.× この時期の下肢の漸増抵抗運動は過負荷のため禁忌である.
3.○ ステージ3であるため,四つ這い移動の練習を始める.
4.× 松葉杖歩行はDucheunne型筋ジストロフィーに適応とならない.
5.× ステージ3に体幹装具は適応とならない.


〈第47回 PT国試 午後15〉

9歳の男児.Duchenne型筋ジストロフィー.独歩は可能だが,腹部を突き出し両肩を左右に振る動揺歩行と内反尖足とが顕著である.床からの立ち上がり動作では登はん性起立を示し,柱などにつかまればかろうじて立ち上がることができる.上肢に拘縮はなく,ゆっくりであるが両上肢を挙上することができる.この時期に行う理学療法士の対応で優先順位が高いのはどれか. 
1.AFOを装着させ歩行時の内反尖足を矯正する.
2.体幹装具を装着させ歩行時の姿勢を矯正する.
3.松葉杖歩行の練習を行う.
4.四つ這い移動の練習を行う.
5.電動車椅子の購入を家族に提案する.

解答

1.× AFOを装着した歩行はDucheunne型筋ジストロフィーに適応とならない.
2.× 体幹装具を装着した歩行はDucheunne型筋ジストロフィーに適応とならない.
3.× 松葉杖歩行はDucheunne型筋ジストロフィーに適応とならない.
4.○ ステージ3であるため,四つ這い移動の練習を始める.
5.× 歩行可能な時期であるため,電動車椅子の購入提案は優先度が低い.


〈第43回 PT国試 午前78〉

Ducheunne(デュシェンヌ)型筋ジストロフィーのステージ5(厚生省筋萎縮症研究班機能障害度分類による)に対する理学療法として適切でないのはどれか.2つ選べ. 
1.バネ付長下肢装具による歩行
2.椅子からの立ち上がり動作
3.両手手すりで階段昇降
4.四つ這い移動
5.移乗動作

解答

1.○ 正しい.
2.× Ducheunne型筋ジストロフィーのステージ5は椅子からの立ち上がり動作が困難である.
3.× Ducheunne型筋ジストロフィーのステージ5は両手手すりで階段昇降が困難である.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


〈第42回 PT国試 午前71〉

10歳のデュシェンヌ型筋ジストロフィー児に行う理学療法で誤っているのはどれか. 
1.在宅呼吸訓練の指導
2.腸脛靱帯の持続的伸張運動
3.長下肢装具による歩行訓練
4.下肢筋への機能的電気刺激
5.自動運動による筋力低下の予防

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.× デュシェンヌ型筋ジストロフィーでは下肢筋への機能的電気刺激は適応とならない.
5.○ 正しい.


〈第52回 PT国試 午後10〉

10歳の男児.Duchenne型筋ジストロフィー.独歩不可能で,屋外は車椅子で,室内では四つ這い移動が可能.上肢に拘縮はなく,座位で上肢の使用が可能である.この時期に優先して行うべき評価はどれか. 
1.知能検査
2.深部腱反射
3.神経伝導速度
4.呼吸機能検査
5.前腕回内外試験

解答

1.× Duchenne型筋ジストロフィーでは知能障害があるが,この時期の知能検査は優先度が低い.
2.× Duchenne型筋ジストロフィーは筋疾患であるため深部腱反射は優先度が低い.
3.× Duchenne型筋ジストロフィーは筋疾患であるため神経伝導速度は優先度が低い.
4.○ 正しい.
5.× Duchenne型筋ジストロフィーは協調性障害を生じないため前腕回内外試験は優先度が低い.


〈第50回 PT国試 午後27〉

Duchenne型筋ジストロフィーのステージ6(厚生省筋萎縮症研究班の機能障害度分類による)に対する理学療法として適切なのはどれか.2つ選べ. 
1.四つ這い移動練習
2.脊柱の可動域運動
3.電動車椅子操作の練習
4.短下肢装具装着での立位バランス練習
5.台やテーブルを利用した立ち上がり練習

解答

1.× Duchenne型筋ジストロフィーのステージ6は四つ這い移動が困難である.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.× Duchenne型筋ジストロフィーのステージ6は立位保持が困難である.
5.× Duchenne型筋ジストロフィーのステージ6は立ち上がり動作が困難である.


〈第57回 PT国試 午前45〉

Duchenne型筋ジストロフィーの呼吸管理について正しいのはどれか. 
1.非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)の適応ではない.
2.舌咽呼吸は強制的に吸気する最大量を得るのに有効である.
3.咳最大流量(cough peak flow)は咳介助を行う目安にならない.
4.呼吸管理の適応になる時期は機能障害ステージⅣからである.
5.排痰補助装置による咳介助は徒手による咳介助に優先して行われる.

解答

1.× 非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)の適応となる.
2.○ 正しい.
3.× 咳最大流量(cough peak flow)は咳介助を行う目安となる.
4.× 呼吸管理の適応になる時期は機能障害ステージⅧからである.
5.× 排痰補助装置による咳介助よりも徒手による咳介助が優先して行われる.


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