第4章 運動器障害理学療法学 16)外傷・熱傷 ②熱傷

〈第57回 PT国試 午後34〉

熱傷について正しいのはどれか. 
1.Ⅰ度熱傷では水疱がみられる.
2.Ⅲ度熱傷では創底から上皮化が起こる.
3.深達性Ⅱ度熱傷では痛覚鈍麻がみられる.
4.浅達性Ⅱ度熱傷では水疱底は蒼白である.
5.熱傷面積はⅠ,Ⅱ,Ⅲ度すべての面積を合わせて計算する.

解答

1.× Ⅱ度熱傷では水疱がみられる.
2.× 深達性Ⅱ度熱傷では創底から上皮化が起こる.
3.○ 正しい.
4.× 深達性Ⅱ度熱傷では水疱底は蒼白である.
5.× 熱傷面積はⅡ,Ⅲ度の面積を合わせて計算する.


〈第59回 PT国試 午前36〉

熱傷部位の皮膚で正しいのはどれか. 
1.壊死組織は赤色を呈する.
2.Ⅲ度熱傷は汗腺まで達しない.
3.Ⅰ度熱傷部位は植皮術を要する.
4.感染を伴うと植皮の生着が阻害される.
5.植皮後は知覚が回復してから運動を開始する.

解答

1.× 壊死組織は蒼白~褐色の羊皮紙様を呈する.
2.× Ⅲ度熱傷は汗腺まで達する.
3.× Ⅲ度熱傷部位は植皮術を要する.
4.○ 正しい.
5.× 植皮後は移植した皮膚が生着してから運動を開始する.


〈第58回 PT国試 午後35〉

広範囲Ⅲ度熱傷の受傷後12時間以内に生じやすいのはどれか. 
1.集中治療室獲得性筋力低下(ICU-AW)
2.骨化性筋炎
3.肥厚性瘢痕
4.関節拘縮
5.浮腫

解答

1.× 集中治療室獲得性筋力低下(ICU-AW)はICU入室後数日以内に発症する急性,左右対称性の四肢筋力低下を呈する症候群である.
2.× 骨化性筋炎では,外傷後に2~3週間腫脹と疼痛が持続し,12~16週後には骨化が明らかになる.
3.× 約3~4週間で表皮形成が完成し,その後肥厚性瘢痕の形成が始まる.
4.× 瘢痕形成により関節拘縮が生じる.
5.○ 正しい.


〈第50回 PT国試 午後16〉

44歳の患者.Ⅱ度の熱傷がある部位を図に示す.受傷後3日目に保持すべき肢位で正しいのはどれか. 

1.頸部中間位
2.肩関節外転位
3.右前腕回内位
4.体幹軽度屈曲位
5.股関節軽度屈曲位

解答

1.× 頸部軽度伸展位に保持する.
2.○ 正しい.
3.× 右前腕回外位に保持する.
4.× 体幹中間位に保持する.
5.× 股関節中間位(軽度外転,伸展位,回旋中間位)に保持する.


〈第45回 PT国試 午後20〉

44歳の患者.両上肢と体幹とに図のようなⅡ度の熱傷がある.受傷後3日目に保持すべき肢位で正しいのはどれか. 

1.頸部:中間位
2.肩関節:外転位
3.右前腕:回内位
4.体幹:軽度屈曲位
5.膝関節:軽度屈曲位

解答

1.× 頸部:軽度伸展位
2.○ 正しい.
3.× 右前腕:回外位
4.× 体幹:中間位
5.× 膝関節:伸展位


〈第48回 PT国試 午前31〉

熱傷の部位と起こりやすい拘縮を予防する肢位の組合せで適切でないのはどれか. 
1.前頸部 ――― 頸椎伸展
2.前胸部 ――― 肩関節外転
3.肘窩部 ――― 前腕回内
4.膝窩部 ――― 膝関節伸展
5.下腿後面 ――― 足関節背屈

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.× 肘窩部 ――― 前腕回外
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


〈第44回 PT国試 午前58〉

熱傷部位と拘縮予防肢位との組合せで正しいのはどれか.2つ選べ. 
1.前頸部 ――― 頸部屈曲位
2.腋窩部 ――― 肩関節外転位
3.手背部 ――― MP関節屈曲位
4.大腿後面 ――― 膝関節屈曲位
5.足関節部 ――― 足関節底屈位

解答

1.× 前頸部 ――― 頸部伸展位
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.× 大腿後面――膝関節伸展位
5.× 足関節部 ――― 足関節背屈位


〈第55回 PT国試 午前20〉

85歳の女性.自宅仏壇のろうそくの火が右袖に引火し,右前腕から前胸部および顔面にⅢ度5%とⅡ度15%の熱傷および気道熱傷を受傷した.受傷翌日に前胸部から右前腕前面にかけて植皮術を実施した.術後早期から開始する理学療法として正しいのはどれか. 
1.squeezingによる排痰を実施する.
2.前腕は最大回内位に保持する.
3.肩関節は外転位に保持する.
4.筋力増強運動は禁止する.
5.起立歩行は禁止する.

解答

1.× 前胸部に植皮術を実施しているため,squeezingは行えない.
2.× 前腕は最大回外位に保持する.
3.○ 正しい.
4.× 植皮術を実施していない部位の筋力増強運動は早期から開始する.
5.× 起立歩行は術後早期から開始する.


〈第51回 PT国試 午前19〉

24歳の女性.2日前に室内での火災に巻き込まれ救急搬送された.35%の範囲の熱傷と診断され入院中.意識は清明.顔面から前頸部も受傷し煤のような色の痰がでる.肩甲帯から上腕にかけては植皮が必要な状態.骨盤と下肢に傷害はみられない.この時期の理学療法として適切なのはどれか. 
1.患部局所の浮腫に対する弾性包帯による持続圧迫
2.下肢に対する80%MVCでの筋力増強
3.背臥位での持続的な頸部伸展位の保持
4.尖足予防のための夜間装具の装着
5.squeezingによる排痰

解答

1.× 熱傷による患部局所の浮腫に対してはガーゼ包帯による持続圧迫を行う.
2.× 受傷2日後は急性期(全身管理時期)であり,下肢の筋力増強訓練は禁忌である.
3.× 気道熱傷しているため体位交換をしながら持続的な頸部軽度伸展位を保持する.
4.× 下肢に傷害がないため,尖足予防のための夜間装具の装着は必要ない.
5.○ 正しい.


〈第47回 PT国試 午前49〉

熱傷患者の理学療法で誤っているのはどれか. 
1.温浴時に関節可動域訓練を併用する.
2.植皮術直後から関節可動域訓練を行う.
3.ゆっくりした持続的な皮膚の伸張を行う.
4.スプリントの圧迫によってケロイド形成を抑制する.
5.初期の安静肢位として肩関節外転・外旋位をとらせる.

解答

1.○ 正しい.
2.× 熱傷患者の理学療法では植皮術後2~3週間の固定・安静の後,移植皮膚の生着を確認してから愛護的に関節可動域訓練を行う.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


〈第58回 PT国試 午前40〉

手背に生じた慢性期の熱傷後瘢痕拘縮に対する理学療法として正しいのはどれか.2つ選べ. 
1.圧迫療法
2.寒冷療法
3.神経筋電気刺激療法
4.コックアップ・スプリント
5.手指屈曲の関節可動域練習

解答

1.○ 正しい.
2.× 慢性期の熱傷後瘢痕拘縮改善に寒冷療法は効果がない.
3.× 慢性期の熱傷後瘢痕拘縮改善に神経筋電気刺激療法は効果がない.
4.× 慢性期の熱傷後瘢痕拘縮改善にコックアップ・スプリントは効果がない.
5.○ 正しい.


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