〈第44回 PT国試 午前65〉
多発性硬化症患者の理学療法で適切なのはどれか.
1.球後視神経炎では眼帯をして運動療法を行う.
2.有痛性強直性痙攣に対して超音波療法を行う.
3.Lhermitte徴候に対して神経筋促通手技を行う.
4.Uhthoff現象が出現しないような運動負荷を行う.
5.ステロイドパルス療法では直後から筋力増強運動を行う.
解答
1.× 球後視神経炎では視力低下や視野欠損があるため,眼帯はしない.
2.× 多発性硬化症の有痛性強直性痙攣に対して温熱療法である超音波療法は禁忌である.
3.× 多発性硬化症のLhermitte徴候に対する神経筋促通手技の効果は認められていない.
4.○ 正しい.
5.× ステロイドパルス療法の直後では,筋力増強運動は過負荷となるため行わない.
〈第43回 PT国試 午前74〉
多発性硬化症の理学療法で正しいのはどれか.2つ選べ.
1.歩行障害に対して早期から装具を作製する.
2.視野欠損に対して照明などの環境整備を行う.
3.痙縮に対して温熱療法を行う.
4.筋力低下に対して1RMを反復し強化する.
5.運動失調に対して重錘を負荷して訓練を行う.
解答
1.× 多発性硬化症の歩行障害に対し,増悪期は装具を作製しない.
2.○ 正しい.
3.× 多発性硬化症の痙縮に対する温熱療法は禁忌である.
4.× 多発性硬化症の筋力低下に対し,1RMを反復し強化するのは過負荷のため禁忌である.
5.○ 正しい.
〈第41回 PT国試 午前79〉
多発性硬化症の理学療法で適切でないのはどれか.2つ選べ.
1.痙縮に対する寒冷療法
2.10RMの筋力強化訓練
3.温水プールでの歩行訓練
4.トレッドミルによる平地歩行訓練
5.運動失調に対するPNF
解答
1.○ 正しい.
2.× 多発性硬化症の理学療法において,10RMの筋力強化訓練は過負荷のため禁忌である.
3.× 多発性硬化症の理学療法において,温水プールでの歩行訓練は体温上昇と疲労を伴うため禁忌である.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.
〈第42回 PT国試 午前85〉
多発性硬化症の理学療法で誤っているのはどれか.
1.痙縮に対して寒冷療法を行う.
2.麻痺に応じて装具療法を行う.
3.不随意運動には重錘を装着する.
4.筋力増強訓練は高負荷低頻度で行う.
5.視力障害には他の感覚による代償訓練を行う.
解答
1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.× 多発性硬化症の筋力増強訓練は低負荷で疲労しない程度に行う.
5.○ 正しい.
〈第59回 PT国試 午後39〉
寛解期にある多発性硬化症に対する理学療法の禁忌はどれか.
1.他動的な関節可動域練習
2.中等度強度の有酸素運動
3.低強度の筋力増強練習
4.電気刺激療法
5.温熱療法
解答
1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.× 寛解期にある多発性硬化症に対する温熱療法は禁忌である.
〈第49回 PT国試 午後27〉
再燃を繰り返している多発性硬化症患者において,ステロイドパルス療法後に介助での座位が可能となり,理学療法が開始された.適切なのはどれか.
1.スクワット運動を行う.
2.座位バランスの安定化を促す.
3.自主練習として伝い歩きを指導する.
4.疼痛を伴うときには温熱療法を行う.
5.重錘を用いた筋力トレーニングを行う.
解答
1.× 介助での座位が可能となった時期のスクワット運動は難易度が高く,過負荷でもあるため行わない.
2.○ 正しい.
3.× ステロイドパルス療法後に介助での座位が可能となった時期の自主練習としての伝い歩きは難易度が高く,過負荷でもあるため指導しない.
4.× 多発性硬化症の疼痛に対する温熱療法は禁忌である.
5.× 急性期に重錘を用いた筋力トレーニングは過負荷のため禁忌である.
〈第46回 PT国試 午前11〉
50歳の男性.多発性硬化症の再燃で入院加療中.四肢の痙性麻痺と運動失調とがみられる.立位保持は可能だが,Romberg徴候は陽性.神経症状が安定したため理学療法が開始された.この患者への理学療法で適切なのはどれか.
1.筋のストレッチングを行う.
2.早期に歩行補助具を作製する.
3.痙縮に対して温熱療法を行う.
4.運動失調に対して重錘を負荷する.
5.筋力低下に対して1RMで筋力増強を行う.
解答
1.○ 正しい.
2.× 多発性硬化症では理学療法開始早期に歩行補助具を作製しない.
3.× 多発性硬化症の痙縮に対する温熱療法は禁忌である.
4.× 多発性硬化症の急性期では,運動失調に対する重錘負荷は過負荷のため禁忌である.
5.× 多発性硬化症の筋力低下に対し,1RMでの筋力増強は過負荷のため禁忌である.
〈第45回 PT国試 午後11〉
30歳の女性.多発性硬化症によるL1レベル以下の対麻痺の増悪を認め,Danielsらの徒手筋力テストで下肢筋力は2となったが,ステロイドパルス療法でようやく症状の進行が止まった.この時期における理学療法で適切なのはどれか.
1.上肢筋力増強訓練
2.下肢筋力増強訓練
3.関節可動域訓練
4.座位持久性訓練
5.立位訓練
解答
1.× 多発性硬化症の急性期における上肢筋力増強訓練は過負荷であるため適切でない.
2.× 多発性硬化症の急性期における下肢筋力増強訓練は過負荷であるため適切でない.
3.○ 正しい.
4.× 多発性硬化症の急性期における座位持久性訓練は過負荷であるため適切でない.
5.× 多発性硬化症の急性期における立位訓練は過負荷であるため適切でない.
〈第42回 PT国試 午前19〉
35歳の女性.四肢のしびれで発症し,視力障害,不全四肢麻痺,体性感覚障害および息苦しさの増悪と寛解を繰り返した.小脳症状はない.MRIでは脳脊髄白質に多発性・散在性の脱髄斑が認められた.理学療法で適切なのはどれか.
1.胸郭の可動性拡大運動
2.ボルグ指数で「きつい」運動
3.しびれに対するホットパック
4.水温38~39℃の水中歩行訓練
5.下肢に重錘を装着しての歩行訓練
解答
1.○ 正しい.
2.× 多発性硬化症においてボルグ指数で「きつい」運動は過負荷である.
3.× 多発性硬化症のしびれに対するホットパックは禁忌である.
4.× 多発性硬化症の理学療法で,水温38~39℃の水中歩行訓練は禁忌である.
5.× 小脳症状がないため下肢に重錘を装着しての歩行訓練は適切でない.
〈第51回 PT国試 午後17〉
37歳の女性.5年前に多発性硬化症と診断.発症当初は再発寛解型であったが,2年前に二次進行型に移行し右痙性片麻痺がある.2週前から右内反尖足位の痙縮が増悪し,MAS〈modified Ashworth Scale〉で段階2である.右足の痙縮に対する治療で適切なのはどれか.
1.赤外線療法
2.ホットパック
3.電気刺激療法
4.アキレス腱延長術
5.経頭蓋磁気刺激法
解答
1.× 多発性硬化症の痙縮に対し,温熱療法である赤外線療法は禁忌である.
2.× 多発性硬化症の痙縮に対し,温熱療法であるホットパックは禁忌である.
3.○ 正しい.
4.× MAS段階2であるため,アキレス腱延長術の適応とならない.
5.× 痙縮は経頭蓋磁気刺激法の適応でない.
〈第45回 PT国試 午後12〉
56歳の女性.10年前に多発性硬化症と診断され,3回の入院歴がある.1年前からベッド上で生活している.1週前から,飲み込みの悪さ,左下肢の脱力感およびしびれの増強を感じるようになった.夕方になると軽度の発熱がある.2週に1度の在宅理学療法で訪問した際に優先すべき対応はどれか.
1.全身の保温を促す.
2.腹式呼吸の指導を行う.
3.下肢の筋力増強訓練を行う.
4.直接嚥下訓練を家族に指導する.
5.現状を把握し主治医に連絡する.
解答
1.× 多発性硬化症は体温上昇により症状悪化する可能性があるため,全身の保温を促すのは適切でない.
2.× 1週間前より症状が悪化しているため,腹式呼吸の指導を行うのは適切でない.
3.× 1週間前より症状が悪化しているため,下肢の筋力増強訓練を行うのは適切でない.
4.× 誤嚥性肺炎を発症している可能性もあるため,直接嚥下訓練を家族に指導するのは適切でない.
5.○ ①1週前から症状増強,②夕方になると軽度の発熱がみられるため,現状を把握し主治医に連絡する.
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