第2章 神経筋障害理学療法学 05)多発性硬化症(MS) ①症状・所見

〈第53回 PT国試 午前34〉

多発性硬化症において,頸部を前屈すると項部から下肢まで電撃痛が放散する徴候はどれか. 
1.Gowers徴候
2.Lhermitte徴候
3.Patrick徴候
4.Tinel徴候
5.Uhthoff徴候

解答

1.× Gowers徴候はデュシェンヌ型筋ジストロフィーにみられる.
2.○ 正しい.
3.× Patrick徴候は股関節・仙腸関節疾患でみられる.
4.× Tinel徴候は末梢神経障害でみられる.
5.× Uhthoff徴候は,多発性硬化症において体温が上昇したときに神経症状が悪化する現象である.


〈第55回 PT国試 午前17〉

55歳の女性.8年前に多発性硬化症と診断され,再発や寛解を繰り返し,2回の入院歴がある.現在は症状が落ち着いており,訪問理学療法で屋外歩行練習が実施されている.その際,理学療法士は運動強度を軽度から中等度とし,かつ,外気温の高い時間帯を避けて実施するなどに留意している.この理由として関係するのはどれか. 
1.Barré徴候
2.Horner徴候
3.Lhermitte徴候
4.Tinel徴候
5.Uhthoff徴候

解答

1.× Barré徴候は軽い脳卒中片麻痺を評価するものである.
2.× Horner徴候は交感神経遠心路の障害でみられる.
3.× Lhermitte徴候は頸部前屈で背中から下方に電撃的な痛みが放散する現象で,多発性硬化症にみられる.
4.× Tinel徴候は末梢神経障害でみられる.
5.○ 多発性硬化症では体温が上昇すると神経症状が悪化する(Uhthoff徴候)ため,配慮が必要である.


〈第50回 PT国試 午前24〉

脊髄小脳変性症に比べて多発性硬化症に特徴的なのはどれか. 
1.痙縮
2.運動失調
3.嚥下障害
4.構音障害
5.有痛性けいれん

解答

1.× 痙縮は脊髄小脳変性症,多発性硬化症ともにみられる可能性がある.
2.× 運動失調は脊髄小脳変性症,多発性硬化症ともにみられる可能性がある.
3.× 嚥下障害は脊髄小脳変性症,多発性硬化症ともにみられる可能性がある.
4.× 構音障害は脊髄小脳変性症,多発性硬化症ともにみられる可能性がある.
5.○ 正しい.


〈第57回 PT国試 午後8〉

47歳の女性.多発性硬化症.30歳で発症し,寛解と増悪を繰り返した後,完全寛解していた.1週前に視力低下と小脳症状が出現し,入院となった.視神経と右小脳半球に脱髄を認める.過回内テストで図のような動きが観察された.この患者に見られる所見はどれか. 

1.振戦
2.運動分解
3.測定異常
4.協働収縮異常
5.反復拮抗運動不能

解答

1.× 企図振戦は鼻指鼻試験や膝打ち試験でみられる.
2.× 運動分解は鼻指鼻試験や膝打ち試験でみられる.
3.○ 正しい.
4.× 協働収縮異常は腕を組んだまま仰臥位から起き上がる際にみられる.
5.× 反復拮抗運動不能は手回内・回外検査やFoot Patでみられる.


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