第2章 神経筋障害理学療法学 02)脊髄小脳変性症(SCD) ②症状・所見

〈第57回 PT国試 午前34〉

脊髄小脳変性症で正しいのはどれか.2つ選べ. 
1.Frenkel体操は無効である.
2.視覚障害を伴うことが多い.
3.包括的な評価指標にSARAがある.
4.患者数は非遺伝性に比べて遺伝性が多い.
5.自律神経障害は非遺伝性に比べて遺伝性が少ない.

解答

1.× Frenkel体操は脊髄性の脊髄小脳変性症に有効である.
2.× 脊髄小脳変性症において視覚障害を伴うことは少ない.
3.○ 正しい.
4.× 脊髄小脳変性症の患者数は遺伝性に比べて非遺伝性が多い.
5.○ 正しい.


〈第59回 PT国試 午前48〉

脊髄小脳変性症で正しいのはどれか.2つ選べ. 
1.Frenkel体操が有効である.
2.視野障害を伴うことが多い.
3.包括的な評価指標にSARAがある.
4.有病率は人口10万人あたり100人である.
5.自律神経障害は非遺伝性に比べて遺伝性が多い.

解答

1.○ 正しい.
2.× 脊髄小脳変性症において視覚障害を伴うことは少ない.
3.○ 正しい.
4.× 脊髄小脳変性症の有病率は人口10万人あたり18人である.
5.× 脊髄小脳変性症の自律神経障害は非遺伝性に比べて遺伝性が少ない.


〈第55回 PT国試 午後34〉

多系統萎縮症に含まれるのはどれか.2つ選べ. 
1.Shy-Drager症候群
2.進行性核上性麻痺
3.Friedreich失調症
4.大脳皮質基底核変性症
5.オリーブ橋小脳萎縮症

解答

1.○ 多系統萎縮症に含まれるのはオリーブ橋小脳萎縮症,線条体黒質変性症,Shy-Drager症候群である.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.○ 多系統萎縮症に含まれるのはオリーブ橋小脳萎縮症,線条体黒質変性症,Shy-Drager症候群である.


〈第51回 PT国試 午後8〉

つまずきやすさを主訴に来院した70歳の患者の頭部MRIのT1強調矢状断像を示す.この患者で主訴に関連のある症状はどれか. 

1.運動失調
2.感覚障害
3.視野障害
4.前庭障害
5.歩行失行

解答

1.○ 頭部MRIのT1強調矢状断像(小脳萎縮)より,つまずきやすさ(主訴)に関連する症状は運動失調である.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


〈第45回 PT国試 午前11〉

70歳の女性.ADLは一部介助でサークル型歩行器を用いて50mの移動ができる.頭部MRIを示す.歩容としてみられるのはどれか. 

1.はさみ足歩行
2.分回し歩行
3.中殿筋歩行
4.失調性歩行
5.鶏歩

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.○ 頭部MRI(脊髄小脳変性症)より失調性歩行がみられる.
5.× 誤り.


〈第43回 PT国試 午前20〉

次の文により問題20,問題21に答えよ.38歳の男性.30歳ころから歩行時にふらふらする感じを自覚していた.最近,階段昇降で手すりが必要となり,構音障害と上肢の協調性低下も出現した.症状が徐々に進行し,屋内つたい歩きとなったため入院した.意識は清明.知能は正常である.感覚障害はなく,病的反射も認めない.兄も同様の症状を呈している.臨床所見として認められるのはどれか.2つ選べ. 
1.企図振戦
2.膝踵試験異常
3.Romberg徴候
4.Lhermitte徴候
5.ミオトニア現象

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.× 感覚障害がないため,Romberg徴候は陰性である.
4.× Lhermitte徴候は多発性硬化症でみられる.
5.× ミオトニア現象は筋強直性ジストロフィーでみられる.


〈第43回 PT国試 午前21〉

次の文により問題20,問題21に答えよ.38歳の男性.30歳ころから歩行時にふらふらする感じを自覚していた.最近,階段昇降で手すりが必要となり,構音障害と上肢の協調性低下も出現した.症状が徐々に進行し,屋内つたい歩きとなったため入院した.意識は清明.知能は正常である.感覚障害はなく,病的反射も認めない.兄も同様の症状を呈している.MRIを示す.この症例はどれか.

1.①
2.②
3.③
4.④
5.⑤

解答

1.○ ①:脊髄小脳変性症
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


〈第57回 PT国試 午後14〉

60歳の男性.7年前から歩行時にふらつきを自覚し,6年前から話し方が単調で途切れ途切れとなり膀胱直腸障害と起立性低血圧を認めた.四肢の固縮や振戦が徐々に進行し,2年前から車椅子で移動するようになった.最近,声が小さくなり呼吸困難感を訴えるようになった.頭部MRIのFLAIR画像で水平断及び矢状断を示す.この疾患で合併する可能性が高いのはどれか. 

1.失語
2.拮抗失行
3.声帯麻痺
4.下方注視麻痺
5.他人の手徴候

解答

1.× 多系統萎縮症で失語はみられない.
2.× 拮抗失行は分離脳でみられる.
3.○ 多系統萎縮症では声帯外転麻痺による睡眠呼吸障害がみられることがある.
4.× 下方注視麻痺は進行性核上性麻痺でみられる.
5.× 他人の手徴候は脳梁前部・右前頭葉内側部の障害でみられる.


〈第46回 PT国試 午前10〉

65歳の男性.多系統萎縮症.日常生活活動では一部に介助を要するが,明らかな廃用症候群はみられない.最近,起床して布団から立ち上がるときに,ふらつきを強く感じるようになった.ふらつきの原因として考えられるのはどれか.2つ選べ. 
1.運動麻痺
2.視覚障害
3.アテトーゼ
4.協調運動障害
5.起立性低血圧

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.○ 多系統萎縮症のふらつきの原因には協調運動障害が考えられる.
5.○ ①多系統萎縮症,②起床して布団から立ち上がるときにふらつくことより起立性低血圧が考えられる.


〈第53回 PT国試 午前36〉

平衡機能障害において,後索性や小脳性に比べ前庭性に最も関連する異常はどれか. 
1.眼振
2.構音障害
3.深部感覚障害
4.耳鳴り
5.Romberg試験陽性

解答

1.× 眼振は小脳性,前庭性の平衡機能障害でみられる.
2.× 構音障害は小脳性の平衡機能障害でみられる.
3.× 深部感覚障害は後索性の平衡機能障害でみられる.
4.○ 正しい.
5.× Romberg試験陽性は後索性の平衡機能障害でみられる.


〈第42回 PT国試 午前83〉

小脳症状として適切なのはどれか.2つ選べ. 
1.ジスメトリー
2.折りたたみナイフ現象
3.深部感覚障害
4.病的反射陽性
5.筋緊張低下

解答

1.○ 正しい.
2.× 折りたたみナイフ現象は錐体路症状である.
3.× 深部感覚障害は小脳症状でない.
4.× 病的反射陽性は錐体路症状である.
5.○ 正しい.


〈第56回 PT国試 午後34〉

脊髄性運動失調症でみられるのはどれか. 
1.折りたたみナイフ現象
2.断綴性発語
3.羽ばたき振戦
4.酩酊歩行
5.Romberg徴候陽性

解答

1.× 折りたたみナイフ現象は錐体路障害でみられる.
2.× 断綴性発語は小脳性運動失調症でみられる.
3.× 羽ばたき振戦は肝性脳症でみられる.
4.× 酩酊歩行は小脳性運動失調症でみられる.
5.○ 正しい.


〈第48回 PT国試 午前36〉

伝い歩きが可能なレベルの脊髄小脳変性症患者で姿勢バランスを崩す危険性が高いのはどれか. 
1.閉脚立位
2.片膝立ち位
3.四つ這い位
4.タンデム肢位
5.踵接地でのしゃがみ位

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.○ 一番難易度の高いタンデム肢位で姿勢を崩す危険性が高い.
5.× 誤り.


〈第43回 PT国試 午前73〉

失調症の歩行時に出現しやすいのはどれか.2つ選べ. 
1.歩隔の拡大
2.歩行速度の漸増
3.二重支持期の短縮
4.前傾前屈姿勢
5.不規則な歩調

解答

1.○ 正しい.
2.× 歩行速度の漸増はパーキンソン病の歩行時に出現する.
3.× 失調症の歩行では二重支持期の増加がみられる.
4.× 前傾前屈姿勢はパーキンソン病の歩行時に出現する.
5.○ 正しい.


〈第45回 PT国試 午後31〉

自律神経障害を伴う脊髄小脳変性症において発症4年目で考えられる病態はどれか. 
1.タンデム歩行は可能である.
2.独歩は可能である.
3.支持なしでの立ち上がりは可能である.
4.介助歩行は可能である.
5.寝たきりの状態である.

解答

1.× 脊髄小脳変性症の発症4年目でタンデム歩行は不可能である.
2.× 脊髄小脳変性症の発症4年目で独歩は不可能である.
3.× 脊髄小脳変性症の発症4年目で支持なしでの立ち上がりは不可能である.
4.○ 正しい.
5.× 脊髄小脳変性症は発症5~10年で寝たきりの状態となる.


Back | 【第2章 神経筋障害理学療法学 目次】 | Next