第1章 脳血管障害理学療法学 06)脳卒中片麻痺の臨床理学療法 ③連番問題

〈第54回 PT国試 午前14〉

次の文により14,15の問いに答えよ.60歳の男性.右利き.歩行困難のため搬送された.発症7日目の頭部MRIと頭部MRAを示す.閉塞している動脈はどれか. 

1.右前大脳動脈
2.右中大脳動脈
3.右内頸動脈
4.右椎骨動脈
5.脳底動脈

解答

1.× 誤り.
2.○ 正しい.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


〈第54回 PT国試 午前15〉

次の文により14,15の問いに答えよ.60歳の男性.右利き.歩行困難のため搬送された.発症7日目の頭部MRIと頭部MRAを示す.この患者に生じやすい症状はどれか. 

1.観念失行
2.左右失認
3.純粋失読
4.病態失認
5.観念運動失行

解答

1.× 観念失行は左角回の病変で出現しやすい.
2.× 左右失認は左角回の病変で出現しやすい.
3.× 純粋失読は左大脳半球の病変で出現しやすい.
4.○ 正しい.
5.× 観念運動失行は左縁上回の病変で出現しやすい.


〈第50回 PT国試 午前5〉

次の文により5,6の問いに答えよ.65歳の男性.右利き.脳梗塞による片麻痺.Brunnstrom法ステージは上肢,手指,下肢ともにⅢ.回復期リハビリテーション病棟では車椅子で移動している.発症後3か月の頭部MRIを示す.出現しやすい症状はどれか.

1.観念失行
2.左右障害
3.純粋失読
4.半側空間無視
5.非流腸性失語

解答

1.× 観念失行は左角回の病変で出現しやすい.
2.× 左右障害は左角回の病変で出現しやすい.
3.× 純粋失読は左大脳半球の病変で出現しやすい.
4.○ 正しい.
5.× 非流腸性失語は左下前頭回の病巣で出現しやすい.


〈第50回 PT国試 午前6〉

次の文により5,6の問いに答えよ.65歳の男性.右利き.脳梗塞による片麻痺.Brunnstrom法ステージは上肢,手指,下肢ともにⅢ.回復期リハビリテーション病棟では車椅子で移動している.発症後3か月の頭部MRIを示す.この患者が基本動作練習を開始した際に観察されるのはどれか. 

1.左側からの方が起き上がりやすい.
2.座位練習で右手を支持に使うことができない.
3.立位保持では両下肢に均等に荷重ができる.
4.車椅子駆動の際に廊下の左壁によくぶつかる.
5.練習を繰り返しても装具装着の手順を間違える.

解答

1.× 左片麻痺であるため,右側からの方が起き上がりやすい.
2.× 左片麻痺であるため,座位練習で左手を支持に使うことができない.
3.× 左片麻痺でBrunnstrom法ステージ下肢Ⅲであるため,立位保持では左下肢に荷重しにくい.
4.○ 正しい.
5.× 練習を繰り返しても装具装着の手順を間違えるのは観念失行で,左角回の病変で出現しやすい.


〈第49回 PT国試 午前3〉

次の文により3,4の問いに答えよ.70歳の女性.右利き.脳梗塞を発症し搬送された.発症後2か月の頭部MRIを示す.この画像で認められる脳梗塞の部位はどれか. 

1.視床
2.内包
3.被殻
4.尾状核
5.放線冠

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.○ 視床,内包,被殻,尾状核は視床・大脳基底核側脳室レベルで描出され,側脳室レベルで描出されるのは放線冠である.


〈第49回 PT国試 午前4〉

次の文により3,4の問いに答えよ.70歳の女性.右利き.脳梗塞を発症し搬送された.発症後2か月の頭部MRIを示す.現時点で最も出現しやすい症状はどれか. 

1.運動麻痺
2.嚥下障害
3.視覚障害
4.聴覚障害
5.失語症

解答

1.○ 放線冠の病巣で出現するのは運動麻痺と感覚障害である.
2.× 脳血管障害による嚥下障害は両側皮質核路の障害(多発性ラクナ梗塞など)でみられる.
3.× 視覚障害は後頭葉,背側視覚路(頭頂連合野),腹側視覚路(頭頂連合野)の病変などで出現しやすい.
4.× 聴覚障害は側頭葉の病変で出現しやすい.
5.× 失語症は左大脳半球の病変で出現しやすい.


〈第53回 PT国試 午前6〉

75歳の女性.右利き.脳梗塞を発症し救急車で搬入された.発症翌日に症状の悪化を認めた.発症3日目の頭部MRIの拡散強調像を示す.最も出現しやすい症状はどれか. 

1.片麻痺
2.失語症
3.運動失調
4.嚥下障害
5.視野障害

解答

1.○ 左尾状核の病巣で出現するのは片麻痺の可能性が高い.
2.× 失語症は左下前頭回,左上側頭回後方病変で出現する.
3.× 脳血管障害による運動失調は脳幹部,小脳病変で出現する.
4.× 脳血管障害による嚥下障害は両側皮質核路の障害(多発性ラクナ梗塞など)でみられる.
5.× 視野障害は後頭葉,背側視覚路(頭頂連合野),腹側視覚路(頭頂連合野)の病変などで出現しやすい.


〈第49回 PT国試 午後3〉

次の文により3,4の問いに答えよ.65歳の男性.右利き.左上下肢の脱力のため搬送された.頭部MRAを示す.閉塞している血管はどれか.

1.左前大脳動脈
2.左中大脳動脈
3.右後大脳動脈
4.右内頸動脈
5.脳底動脈

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.○ 右内頸動脈領域が描出されていない.
5.× 誤り.


〈第49回 PT国試 午後4〉

次の文により3,4の問いに答えよ.65歳の男性.右利き.左上下肢の脱力のため搬送された.頭部MRAを示す.この患者に絵の模写を行わせると,図のように描いた.この患者に伴いやすい高次機脳障害はどれか. 

1.失語症
2.観念失行
3.純粋失読
4.左右失認
5.着衣障害

解答

1.× 失語症は左大脳半球の病変で出現しやすいため,右内頸動脈領域の血管閉塞ではみられない.
2.× 観念失行は左角回の病変で出現しやすいため,右内頸動脈領域の血管閉塞ではみられない.
3.× 純粋失読は左大脳半球の病変で出現しやすいため,右内頸動脈領域の血管閉塞ではみられない.
4.× 左右失認は左角回の病変で出現しやすいため,右内頸動脈領域の血管閉塞ではみられない.
5.○ 正しい.


〈第49回 PT国試 午後5〉

次の文により5,6の問いに答えよ.58歳の男性.生来健康であったが,突然のめまいと歩行困難で救急搬送された.脳梗塞の診断で理学療法が開始された.理学療法の初期評価では,めまい,眼振とともに,右側には小脳性の運動失調,Horner症候群および顔面の温痛覚障害がみられた.左側には上下肢の温痛覚障害がみられたが深部感覚は保たれていた.病巣はどれか. 

1.1
2.2
3.3
4.4
5.5

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.○ ①歩行困難,②めまい・眼振,③右側小脳性運動失調,④Horner症候群・顔面温痛覚障害,⑤左側上下肢温痛覚障害・深部感覚は正常であることから,右の延髄背外側部の脳梗塞である.
5.× 誤り.


〈第49回 PT国試 午後6〉

次の文により5,6の問いに答えよ.58歳の男性.元来健康であったが,突然のめまいと歩行困難で救急搬送された.脳梗塞の診断で理学療法が開始された.理学療法の初期評価では,めまい,眼振とともに,右側には小脳性の運動失調,Horner症候群および顔面の温痛覚障害がみられた.左側には上下肢の温痛覚障害がみられたが深部感覚は保たれていた.この患者が立位をとったところ,不安定で突進するような現象(pulsion)がみられるために介助が必要であった.この現象がみられる方向はどれか. 
1.後方
2.前方
3.右側方
4.左側方
5.全方向

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.○ 右側小脳性運動失調であることから,立位時の不安定で突進するような現象(pulsion)は右側方にみられる.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


〈第52回 PT国試 午前50〉

側方突進が出現する可能性が最も高い病変部位はどれか. 
1.小脳虫部
2.黒質緻密部
3.視床内側部
4.延髄外側部
5.内包後脚部

解答

1.× 小脳虫部の障害では障害側の四肢の運動失調,筋緊張の低下,反跳現象,構音障害,眼振などが出現する.
2.× 黒質緻密部の障害により大脳基底核の機能異常,錐体外路症状などがみられる.
3.× 視床内側部の障害では片麻痺,感覚障害,眼球の内下方偏位などがみられる.
4.○ 正しい.
5.× 内包後脚部の障害では片麻痺,顔面麻痺,舌下神経麻痺,感覚鈍麻などがみられる.


〈第48回 PT国試 午前9〉

次の文により9,10の問いに答えよ.65歳の男性.右利き.突然の意識消失のため救急搬入された.診察時のJCSⅢ-200,血圧210/120mmHg,脈拍90/分であった.搬送時の頭部CTを示す.意識を回復した際に認められるのはどれか.2つ選べ. 

1.左半側空間無視
2.右上肢麻痺
3.左下肢失調
4.相貌失認
5.失語症

解答

1.× 左半側空間無視は右大脳半球の病変で出現しやすい.
2.○ 正しい.
3.× 皮質下出血で失調を呈することはまれである.
4.× 相貌失認は両側性または右後頭側頭葉腹側部の病変で出現しやすい.
5.○ 正しい.


〈第48回 PT国試 午前10〉

次の文により9,10の問いに答えよ.65歳の男性.右利き.突然の意識消失のため救急搬入された.診察時のJCSⅢ-200,血圧210/120mmHg,脈拍90/分であった.搬送時の頭部CTを示す.入院翌日に理学療法が依頼された.JCSⅡ-10,血圧150/100mmHg,脈拍90/分で,バイタルチェックを行いながら,理学療法を開始することになった.この日に行う訓練で適切なのはどれか. 

1.ギャッジアップ訓練
2.車椅子座位訓練
3.健側下肢の筋力訓練
4.寝返り練習
5.下肢装具を装着しての立位訓練

解答

1.○ (1)意識障害が軽度(JCS10以下),(2)全身状態の安定,(3)麻痺などの症候の進行がない状態であれば,ギャッジアップによる座位姿勢から座位訓練を開始する(脳血管障害急性期リハビリテーションの離床基準).
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


〈第48回 PT国試 午後12〉

次の文により12,13の問いに答えよ.66歳の女性.右利き.階段から転落.転落直後は意識消失していたが,数分後に意識回復.しばらくの間,意識は清明であったが,1時間後に手足の麻痺が出現し,再び意識が低下して昏睡になった.救急搬送時の頭部CTを示す.最も考えられるのはどれか. 

1.髄膜腫
2.皮質下出血
3.くも膜下出血
4.脳動静脈奇形
5.急性硬膜下血腫

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.○ ①階段から転落,②転落直後意識消失するも数分後意識回復,③1時間後に手足の麻痺が出現・昏睡,④救急搬送時頭部CT(三日月状の高吸収領域)より急性硬膜下血腫である.


〈第48回 PT国試 午後13〉

次の文により12,13の問いに答えよ.66歳の女性.右利き.階段から転落.転落直後は意識消失していたが,数分後に意識回復.しばらくの間,意識は清明であったが,1時間後に手足の麻痺が出現し,再び意識が低下して昏睡になった.救急搬送時の頭部CTを示す.外科的手術が行われたが,片麻痺を伴う左大脳半球障害を残した.出現しやすい症状はどれか. 

1.右の方ばかりを見る.
2.家族の顔が認識できない.
3.服の裏表を間違えて着る.
4.自分の右手足は動くと言う.
5.スプーンを逆さまに持って使う.

解答

1.× “右の方ばかりを見る”のは半側空間無視で,右大脳半球の病変で出現しやすい.
2.× “家族の顔が認識できない”のは相貌失認で,両側性または右後頭側頭葉腹側部の病変で出現しやすい.
3.× “服の裏表を間違えて着る”のは着衣失行で,右上・下頭頂小葉の病変で出現しやすい.
4.× “自分の右手足は動くと言う”のは病態失認で,右上・下頭頂小葉の病変で出現しやすい.
5.○ 正しい.


〈第46回 PT国試 午前7〉

次の文により7,8の問いに答えよ.75歳の男性.高血圧と糖尿病の治療を長期にわたり行っている.徐々に歩行障害がみられるようになり,転倒することが多くなった.頭部MRIを示す.画像所見で考えられるのはどれか. 

1.視床出血
2.硬膜下出血
3.くも膜下出血
4.正常圧水頭症
5.多発性脳梗塞

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.○ ①75歳,②高血圧と糖尿病,③徐々に歩行障害がみられるようになったことから多発性脳梗塞である.


〈第46回 PT国試 午前8〉

次の文により7,8の問いに答えよ.75歳の男性.高血圧と糖尿病の治療を長期にわたり行っている.徐々に歩行障害がみられるようになり,転倒することが多くなった.頭部MRIを示す.この患者で認められないと考えられるのはどれか. 

1.嚥下障害
2.感情失禁
3.小刻み歩行
4.認知機能低下
5.左側弛緩性麻痺

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.× 弛緩性麻痺は下位運動ニューロンの障害でみられる.


〈第44回 PT国試 午前16〉

次の文により16,17の問いに答えよ.58歳の男性.右利き.職場で倒れているところを発見され搬入された.意識は傾眠状態であったが,発症後4日で改善した.この時点での発話には異常がない.左手足に重度の運動障害と感覚障害とを認める.筋緊張は低下している.視力・視野は正常であるが,顔面は常に右方に向け,指摘しても左側を見ようとしない.頭部CTを示す.この患者に該当すると考えられるのはどれか. 

1.①
2.②
3.③
4.④
5.⑤

解答

1.× 誤り.
2.○ (1)発話には異常がない,(2)左手足に重度の運動障害と感覚障害,(3)顔面は常に右方に向け,指摘しても左側を見ようとしないことから右側の病巣で被殻・内包を含む広範囲な出血である.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


〈第44回 PT国試 午前17〉

次の文により16,17の問いに答えよ.58歳の男性.右利き.職場で倒れているところを発見され搬入された.意識は傾眠状態であったが,発症後4日で改善した.この時点での発話には異常がない.左手足に重度の運動障害と感覚障害とを認める.筋緊張は低下している.視力・視野は正常であるが,顔面は常に右方に向け,指摘しても左側を見ようとしない.発症10日目に数分の端座位保持が可能となったが,立位保持は介助でかろうじて可能であった.この時点で適切な治療計画はどれか.2つ選べ. 
1.頸部右回旋位を徒手的に矯正する.
2.左上肢を意識させる.
3.左下肢をナイトブレースで固定する.
4.左下肢への荷重を促す.
5.電動車椅子操作の訓練を行う.

解答

1.× 頸部右回旋位を徒手的に矯正しても効果がない.
2.○ ①左手足に重度の運動障害と感覚障害,②顔面は常に右方に向け,指摘しても左側を見ようとしないことから左上肢を意識させる.
3.× 筋緊張が低下しているため,左下肢をナイトブレースで固定する必要はない.
4.○ ①左手足に重度の運動障害と感覚障害,②顔面は常に右方に向け,指摘しても左側を見ようとしない,③立位保持は介助でかろうじて可能であるため,左下肢への荷重を促す.
5.× 急性期であり運動機能の改善がみこめるため,電動車椅子操作の訓練は時期尚早である.


〈第44回 PT国試 午前18〉

次の文により18,19の問いに答えよ.75歳の女性.突然の意識障害で搬入された.発症当日の頭部CTを示す.考えられるのはどれか. 

1.脳塞栓
2.髄膜腫
3.脳内出血
4.硬膜下血腫
5.くも膜下出血

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.○ ①突然の意識障害,②発症当日の頭部CT(くも膜下槽へ血液が流入し高吸収域)よりくも膜下出血である.


〈第44回 PT国試 午前19〉

次の文により18,19の問いに答えよ.75歳の女性.突然の意識障害で搬入された.発症当日の頭部CTを示す.発症3日目のJCS(Japan coma scale)は10点であった.この時点の理学療法で適切なのはどれか.2つ選べ. 

1.体位変換
2.座位訓練
3.移乗訓練
4.腹筋強化
5.関節可動域訓練

解答

1.○ 正しい.
2.× くも膜下出血は発症早期に再出血や脳血管攣縮による脳梗塞がおこる可能性があるため,発症3日目で座位訓練は行わない.
3.× くも膜下出血は発症早期に再出血や脳血管攣縮による脳梗塞がおこる可能性があるため,発症3日目で移乗訓練は行わない.
4.× くも膜下出血は発症早期に再出血や脳血管攣縮による脳梗塞がおこる可能性があるため,発症3日目で腹筋強化は行わない.
5.○ 正しい.


〈第59回 PT国試 午後4〉

次の文により,4,5の問いに答えよ.51歳の女性.突然の意識障害で急性期病院に搬入された.意識レベルはJCSⅢ-200.血圧182/102mmHg.心拍数72/分.項部硬直は陽性.発症時の頭部CTを示す.この患者で疑う疾患はどれか. 

1.髄膜炎
2.脳腫瘍
3.脳膿瘍
4.くも膜下出血
5.急性硬膜下血腫

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.○ ①突然の意識障害,②項部硬直は陽性,③発症当日の頭部CT(くも膜下槽へ血液が流入し高吸収域)よりくも膜下出血である.
5.× 誤り.


〈第59回 PT国試 午後5〉

次の文により,4,5の問いに答えよ.51歳の女性.突然の意識障害で急性期病院に搬入された.意識レベルはJCSⅢ-200.血圧182/102mmHg.心拍数72/分.項部硬直は陽性.発症時の頭部CTを示す.その後,急性期病院で2週間の保存的療法を受け,回復期リハビリテーション病院に転院した.転院後,徐々に自発性低下,行動異常および頻回な転倒を認めた.転院してから約2週後の頭部CTを示す.考えられる他の特徴的な症状はどれか. 

1.下痢
2.発熱
3.血圧上昇
4.視野障害
5.排尿障害

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.○ ①自発性低下,②行動異常および頻回な転倒,③約2週後の頭部CTより側脳室の拡大から正常圧水頭症が疑われるので排尿障害が考えられる.


〈第43回 PT国試 午前16〉

次の文により問題16,問題17に答えよ.63歳の男性.健康診断で不整脈を指摘されたが放置していた.職場で突然倒れ病院に搬送された.重度構音障害と重度左片麻痺とが認められた.発症2日目のMRIを示す.意識状態は徐々に改善し,左上下肢の動きも出現した.2週後にワルファリンカリウムの投与が開始された.この患者の心電図として可能性の高いのはどれか. 

1.①
2.②
3.③
4.④
5.⑤

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.○ (1)健康診断で不整脈を指摘,(2)職場で突然倒れ病院に搬送,(3)重度構音障害と重度左片麻痺,(4)ワルファリンカリウムの投与開始されたことから心原性脳塞栓症が考えられ,その原因となる不整脈は心房細動である.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


〈第43回 PT国試 午前17〉

次の文により問題16,問題17に答えよ.63歳の男性.健康診断で不整脈を指摘されたが放置していた.職場で突然倒れ病院に搬送された.重度構音障害と重度左片麻痺とが認められた.発症2日目のMRIを示す.意識状態は徐々に改善し,左上下肢の動きも出現した.2週後にワルファリンカリウムの投与が開始された.左長下肢装具を装着し,歩行訓練を開始した.配慮しなくてもよいものはどれか.2つ選べ. 

1.頻脈
2.易出血性
3.くも膜下出血
4.異所性骨化症
5.深部静脈血栓症

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.× くも膜下出血は脳動脈瘤,脳動静脈奇形によるものが多く,心原性脳塞栓症の合併症としてがおこる可能性は低い.
4.× 異所性骨化症は心原性脳塞栓症の合併症でない.
5.○ 正しい.


〈第42回 PT国試 午前12〉

次の文により問題12,問題13に答えよ.65歳の男性.意識が消失し緊急入院となった.発症後2日目においても意識障害は重度である.MRI拡散強調画像(A,B)を示す.この時点で行う管理で誤っているのはどれか. 

1.座位耐久性訓練
2.肩関節の可動域訓練
3.2時間毎の体位変換
4.下腿三頭筋のストレッチ
5.下腿に弾性ストッキング装着

解答

1.× (1)意識障害が軽度(JCS10以下),(2)全身状態の安定,(3)麻痺などの症候の進行がない状態であれば,ギャッジアップによる座位姿勢から座位訓練を開始できる(脳血管障害急性期リハビリテーションの離床基準)が,本症例は意識障害が重度であるため座位耐久性訓練は時期尚早である.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


〈第42回 PT国試 午前13〉

次の文により問題12,問題13に答えよ.65歳の男性.意識が消失し緊急入院となった.発症後2日目においても意識障害は重度である.MRI拡散強調画像(A,B)を示す.その後,意識状態が改善した.歩行が困難であるにもかかわらず,ひとりでベッドから立ち上がろうとする.この患者に認められる可能性が高い症状はどれか. 

1.右手は自由に動かせるが,ジャンケンのチョキが模倣できない.
2.5つの物品の中から指示した物を選択できない.
3.「左手足は動きますか」と聞くと「はい」と答える.
4.指示に対して右手足をほとんど動かせない.
5.眼鏡を見て「めがね」と呼称できない.

解答

1.× “右手は自由に動かせるが,ジャンケンのチョキが模倣できない”のは観念運動失行で,左縁上回の障害でおこりやすい.
2.× “5つの物品の中から指示した物を選択できない”のは,失語症が考えられ,左大脳半球損傷でおこる.
3.○ 正しい.
4.× “指示に対して右手足をほとんど動かせない”のは観念運動失行で,左縁上回の障害でおこりやすい.
5.× “眼鏡を見て「めがね」と呼称できない”のは,失語症が考えられ,左大脳半球損傷でおこる.


〈第42回 PT国試 午前15〉

次の文により問題15,問題16に答えよ.65歳の男性.脳梗塞による左片麻痺.発症後3か月.1か月前から平行棒内で歩行練習を行っている.現在の歩行パターンを図に示した.この症例の一歩行周期における二重支持期の時間で正しいのはどれか.ただし,図の数値は経過時間を示す. 

1.0.6秒
2.1.0秒
3.1.6秒
4.2.0秒
5.2.7秒

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.○ 0.9秒(0.0~0.9)+1.1秒(1.6~2.7)=2.0秒
5.× 誤り.


〈第42回 PT国試 午前16〉

次の文により問題15,問題16に答えよ.65歳の男性.脳梗塞による左片麻痺.発症後3か月.1か月前から平行棒内で歩行練習を行っている.現在の歩行パターンを図に示した.この症例における歩行の特徴として誤っているのはどれか.

1.患側の立脚初期に過度の股関節外旋が生じている.
2.患側肢では足趾接地が踵接地の前に生じている.
3.患側の遊脚期に過度の膝関節屈曲が生じている.
4.患側の遊脚期に股関節外転分回しが生じている.
5.患側肢に内側ホイップが生じている.

解答

1.○ 正しい.
2.× 0.0秒で患側肢の踵接地が観察され,続いて0.9秒で足底接地がみられている.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


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