第1章 脳血管障害理学療法学 06)脳卒中片麻痺の臨床理学療法 ②在宅リハビリテーション

〈第50回 PT国試 午後6〉

87歳の女性.脳卒中による重度の右片麻痺.回復期リハビリテーション病棟に入院中.座位での基本動作は自立.認知機能は保たれている.短下肢装具と4点杖で5mまでは自力での歩行が可能.介助があればT字杖で20m程度の歩行は可能.ここ2か月は状態に大きな変化はみられない.最近,介護老人保健施設への退院が決まった.退院後の生活上の移動手段で実用的なのはどれか. 
1.T字杖を使用した介助歩行
2.4点杖を使用した自力歩行
3.4点杖を使用した介助歩行
4.手すりを利用した自力歩行
5.車椅子

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.○ ①87歳,②自力歩行5m,③介助歩行20m程度,④ここ2か月大きな変化はないことから,介護老人保健施設における生活上の実用的な移動手段は車椅子である.


〈第51回 PT国試 午後20〉

78歳の女性.左片麻痺.Brunnstrom法ステージは上肢Ⅲ,手指Ⅲ及び下肢Ⅳ.高次脳機能障害あり.要介護2.娘と2人暮らしであるが,日中,自宅で1人で過ごす時間があるため,回復期リハビリテーション病棟退院後,通所リハビリテーションを受けることとなった.通所リハビリテーションの目標として優先順位が低いのはどれか. 
1.家事動作の自立
2.着衣動作の自立
3.歩行能力の改善
4.排泄動作の自立
5.立位保持能力の改善

解答

1.× ①78歳,②Brunnstrom法ステージ上肢Ⅲ,手指Ⅲ,③高次脳機能障害あり,④日中は通所リハビリテーションに通うため,家事動作の自立は目標としての優先順位が低い.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


〈第49回 PT国試 午前26〉

回復期リハビリテーション病棟退院後の片麻痺患者に対して訪問リハビリテーションが導入された.リハビリテーションの目標で優先度が低いのはどれか. 
1.麻痺肢の関節可動域制限の予防
2.麻痺肢の運動麻痺の改善
3.非麻痺肢の筋力の維持
4.閉じこもりの予防
5.移動能力の維持

解答

1.○ 正しい.
2.× 回復期リハビリテーション終了後は,麻痺肢の運動麻痺の改善よりも現在の能力,ADL維持の方が優先度が高い.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


〈第47回 PT国試 午前19〉

80歳の女性.5年前に発症した脳梗塞による右片麻痺がある.Brunnstrom法ステージは上肢,手指および下肢でⅢである.全失語を認める.FIMでは,ベッドへの移乗項目は3点で,車椅子での移動項目は3点である.訪問リハビリテーションを導入する際,目標として適切なのはどれか. 
1.屋外杖歩行の自立
2.屋内杖なし歩行の獲得
3.移乗動作の安定性の改善
4.右手指機能の改善
5.失語症の改善

解答

1.× ①5年前に発症,②車椅子での移動項目3点であることから,屋外杖歩行の自立は困難である.
2.× ①5年前に発症,②車椅子での移動項目3点であることから,屋内杖なし歩行の獲得は困難である.
3.○ ①5年前に発症,②車椅子での移動項目3点,③ベッドへの移乗項目3点,④訪問リハビリテーションであることから目標は移乗動作の安定性の改善とする.
4.× 5年前に発症しているため,右手指機能の改善でなく維持を目標とする.
5.× 5年前に発症しているため,失語症の改善でなく維持を目標とする.


〈第47回 PT国試 午後50〉

短下肢装具を装着して1本杖歩行が自立した患者が,回復期リハビリテーション病棟から自宅に退院した.訪問リハビリテーションを開始する際,その訓練内容で優先度が低いのはどれか. 
1.ベッドからの立ち上がり訓練
2.筋力増強訓練
3.装具なしでの歩行訓練
4.屋外での歩行訓練
5.自動可動域訓練の指導

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.× 現在,短下肢装具を装着して1本杖歩行が自立しており,装具なしでの歩行訓練は転倒の可能性が高い.装具をつけて伝い歩き練習の方が安全性と実用性が高い.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


〈第46回 PT国試 午前9〉

78歳の女性.脳梗塞発症後に中等度の左片麻痺を呈した.回復期リハビリテーション病棟を経て自宅での生活に戻っている.現在,家族の促しがあれば1kmの歩行が可能であるが,日常生活ではあまり外出しない.この患者への理学療法で適切なのはどれか. 
1.トレッドミル歩行
2.電動車椅子の導入
3.屋外での歩行練習
4.左片麻痺の回復促進
5.不整地でのバランス練習

解答

1.× トレッドミル歩行は在宅での理学療法として適切でない.
2.× 家族の促しがあれば1kmの歩行可能であるため,電動車椅子の導入は適切でない.
3.○ ①家族の促しがあれば1kmの歩行可能,②日常生活ではあまり外出しないため,屋外での歩行練習が適切である.
4.× 在宅期では左片麻痺の回復促進でなく維持が目標となる.
5.× 不整地でのバランス練習は難易度が高いため適切でない.


〈第45回 PT国試 午前19〉

70歳の男性.左被殻出血発症後3か月経過.Brunnstrom法ステージは上肢Ⅱ,下肢Ⅲ.歩行は四点杖を使用し,屋内歩行は自立している.立ち上がりは手すりか杖を使用すればかろうじて可能である.左上肢の支持がないとバランスを崩すが,体幹か下肢が壁などに接していれば立位の保持は可能である.この患者が自動的な諸機能のない洋式トイレを使用した場合に転倒の危険性が高いのはどれか. 
1.便器の蓋を開ける.
2.便座に座る.
3.清拭をする.
4.便座から立ち上がる.
5.ズボンを上げる.

解答

1.○ 左上肢の支持がないとバランスを崩すため,便器の蓋を開けるのは転倒の危険性が高い.
2.× 立ち上がりは手すりか杖を使用すればかろうじて可能であるため,便座に座る際の転倒の危険性は低い.
3.× 座位での動作であるため清拭をする際の転倒の危険性は低い.
4.× 立ち上がりは手すりか杖を使用すればかろうじて可能であるため,便座から立ち上がる際の転倒の危険性は低い.
5.× 体幹か下肢が壁などに接していれば立位の保持は可能であるため,ズボンを上げる際の転倒の危険性は低い.


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