〈第45回 PT国試 午後10〉
86歳の女性.軽度の左変形性膝関節症のため杖歩行であったが,ADLは自立していた.突然の右上下肢筋力低下と構音障害とが出現し,歩行不能となったため発症後1時間で緊急入院した.意識は清明で軽度の筋力低下を認めた.入院後2時間で筋力は徐々に元の状態まで改善し,発語も正常となった.頭部MRIとMRAとに明らかな異常を認めなかった.抗凝固薬の調整のため入院を継続した.この患者への介入方針で適切なのはどれか.
1.入院後3日間はベッド上安静とする.
2.嚥下障害が疑われるので禁食とする.
3.両下肢筋力増強訓練が必要である.
4.歩行訓練は7日目から開始する.
5.持久性トレーニングは14日目から開始する.
解答
1.× TIAより入院当日から離床開始する.
2.× TIAより嚥下障害の所見はみられない.
3.○ 意識清明で軽度の筋力低下を認めたため両下肢筋力増強訓練が必要である.
4.× TIAよりできるだけ早期に歩行訓練を開始する.
5.× 歩行練習開始後,早期より持久性トレーニングを開始する.
〈第44回 PT国試 午前20〉
79歳の女性.左視床出血1週後,理学療法を開始した.JCS(Japan coma scale)は2点,喚語困難がみられる.Brunnstrom法ステージは上肢Ⅴ,手指Ⅳ,下肢Ⅴ.上下肢の関節覚は重度の低下.座位保持は1分程度可能であるが易疲労性.立位保持は軽度の介助で短時間であれば可能である.この患者に対する理学療法で適切なのはどれか.
1.立位での二重課題
2.交互型歩行器での歩行運動
3.麻痺側下肢に対する筋力増強
4.座位での麻痺側手指の巧緻運動
5.視覚代償による麻痺側下肢の感覚再教育
解答
1.× 立位保持は軽度の介助で短時間であれば可能であるレベルであるため,立位での二重課題は困難である.
2.× Brunnstrom法ステージは上肢Ⅴ,手指Ⅳ,立位保持は軽度の介助で短時間であれば可能であるレベルであるため,交互型歩行器での歩行運動は困難である.
3.○ 正しい.
4.× 座位保持は1分程度可能であるが易疲労性であるため,座位での麻痺側手指の巧緻運動は困難である.
5.× 左視床出血1週後であるため,視覚代償による麻痺側下肢の感覚再教育は時期尚早である.
〈第47回 PT国試 午後9〉
65歳の男性.右利き.左中大脳動脈領域の脳梗塞による右片麻痺.発症後3週経過した時点でBrunnstrom法ステージは上肢,手指および下肢ともにⅠ.介助で膝立ち位をさせると体幹が前方へ崩れてしまう.バイタルサインは安定している.この患者に対する理学療法として適切なのはどれか.
1.長下肢装具を装着した状態での立位訓練
2.足継手付きプラスチック製短下肢装具を装着した状態での歩行訓練
3.床からの立ち上がり訓練
4.自転車エルゴメーターによる有酸素運動
5.浴槽への移乗訓練
解答
1.○ Brunnstrom法ステージ下肢Ⅰより長下肢装具を装着した状態での立位訓練を行う.
2.× Brunnstrom法ステージ下肢Ⅰでは足継手付きプラスチック製短下肢装具は適応とならない.
3.× 現段階での床からの立ち上がり訓練は困難である.
4.× 現段階での自転車エルゴメーターによる有酸素運動は困難である.
5.× 現段階での浴槽への移乗訓練は困難である.
〈第42回 PT国試 午前14〉
72歳の男性.脳梗塞による左片麻痺.発症後3週.平行棒内立位訓練で図のような姿勢を呈する.この症状を改善するための理学療法で適切なのはどれか.2つ選べ.
1.歩隔を広くして支持基底面を大きくさせる.
2.右手で平行棒を引っ張るよう指示する.
3.理学療法士が骨盤を左側から健側方向に押す.
4.前方に鏡を置いて不良姿勢を認識させる.
5.レイミステ現象を利用して臥位で患側の股関節内転筋を強化する.
解答
1.○ 正しい.
2.× 右手で平行棒を引っ張ると麻痺側の異常筋緊張を誘発する可能性があるため適切でない.
3.× 理学療法士が骨盤を左側から健側方向に押すとpusher現象を助長させるため適切でない.
4.○ 正しい.
5.× レイミステ現象を利用して臥位で患側の股関節内転筋を強化すると下肢伸展パターンを誘発するため適切でない.
〈第41回 PT国試 午前26〉
75歳の男性.右視床出血による左片麻痺.発症後3週でブルンストローム法ステージ上肢Ⅱ・下肢Ⅲ.平行棒内立位で図のような症状がみられた.運動療法で適切でないのはどれか.
1.立位で治療者が左側から繰り返し押し返す.2.座位でのバランス訓練を行う.
3.鏡を見せて立位保持訓練を行う.
4.健側下肢への体重負荷訓練を行う.
5.高い座面の椅子から立ち上がり訓練を行う.
解答
1.× 立位で治療者が左側から繰り返し押し返すとpusher現象を助長させるため適切でない.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.
〈第59回 PT国試 午前18〉
74歳の女性.脳梗塞による左片麻痺.発症後3か月.平行棒内立位保持練習では重心が左側に偏り,平行棒に骨盤が寄りかかるような姿勢を呈する.この症状を改善するための理学療法で正しいのはどれか.
1.骨盤を左から右方向へ押す.
2.右上肢で前方向へのリーチ運動を行わせる.
3.前方に鏡を置き立位姿勢の傾きを認識させる.
4.左下肢に膝装具を装着し立位保持練習を行う.
5.レイミステ現象を利用して左股関節内転筋を強化する.
解答
1.× 骨盤を左から右方向へ押すとpusher現象を助長させるため適切でない.
2.× 右上肢で右方向へのリーチ運動を行わせる.
3.○ 正しい.
4.× 左下肢に短下肢装具を装着し立位保持練習を行う.
5.× レイミステ現象を利用して患側の股関節内転筋を強化すると下肢伸展パターンを誘発するため適切でない.
〈第43回 PT国試 午前18〉
65歳の男性.脳卒中左片麻痺.発症後3か月経過.Brunnstrom法ステージは上肢,手指,下肢ともにⅡ.左肩関節には1横指の亜脱臼があり,肩手症候群を合併している.座位は不安定で,体幹は患側前方へ傾く.理学療法で適切でないのはどれか.
1.患側下肢の随意運動の促通
2.患側片肘立ちからの起き上がり練習
3.座位での健側上肢体重支持の練習
4.座位で両側への重心移動練習
5.長下肢装具を用いた平行棒内立位練習
解答
1.○ 正しい.
2.× 非麻痺側片肘立ちからの起き上がり練習
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.
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