〈第52回 PT国試 午後13〉
65歳の男性.被殻出血による右片麻痺.発症後2か月.意識レベル,認知機能および左下肢の機能に問題はない.右足関節の位置覚障害がみられる.起居動作は自立し,座位は安定している.現在,平行棒内での歩行練習中である.歩行中,右下肢の振り出しは可能であるが,踵接地がみられず,右下肢立脚中期に膝折れを認める.Brunnstrom法ステージ右下肢Ⅲ,右下腿三頭筋のMAS〈modified Ashworth scale〉は2である.歩行に用いる最も適切な装具はどれか.
1.1
2.2
3.3
4.4
5.5
解答
1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.○ Brunnstrom法ステージⅢから短下肢装具,踵接地がみられず右下腿三頭筋のMAS2から金属支柱付となる.
4.× 誤り.
5.× 誤り.
〈第49回 PT国試 午前5〉
45歳の男性.脳出血による左片麻痺.Brunnstrom法ステージは上肢Ⅱ,下肢Ⅲ.感覚障害は中等度.非麻痺側機能はおおむね良好.裸足での歩行は可能であるが,安定性が低下し速度も遅い.麻痺側の遊脚相で分回し歩行と強い内反尖足が出現する.立脚中期の膝ロッキングがみられる.この患者に適した装具はどれか.
1.長下肢装具
2.金属支柱付膝装具
3.クレンザック足継手付短下肢装具
4.プラスチック短下肢装具(足継手なし)
5.靴型装具(長靴)
解答
1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.○ Brunnstrom法ステージ下肢Ⅲから短下肢装具,強い内反尖足から金属支柱付(クレンザック足継手付)となる.
4.× 誤り.
5.× 誤り.
〈第50回 PT国試 午後14〉
70歳の男性.身長180cm,体重90kg.脳梗塞のため麻痺肢に内反尖足がみられる.10mであれば独歩可能であるが,軽度の分回し歩行となる.意識してゆっくりと歩けば分回しを軽減することは可能であるが,遊脚相の股関節屈曲は増加し立脚中期に膝過伸展がみられる.2動作前型で屋外歩行の自立を目標に理学療法を進めている.この患者に適切なのはどれか.
1.装具は不要
2.軟性足装具
3.プラスチック短下肢装具(ショートタイプ,継手なし)
4.プラスチック短下肢装具(つま先までの標準型,継手なし)
5.金属支柱付短下肢装具
解答
1.× 装具は必要である.
2.× 内反尖足があるため軟性足装具は適切でない.
3.× 体重90kgのためプラスチック短下肢装具は適切でない.
4.× 体重90kgのためプラスチック短下肢装具は適切でない.
5.○ 正しい.
〈第52回 PT国試 午前18〉
85歳の女性.脳梗塞による左片麻痺.歩行練習中に下肢装具の条件を変えて歩行を比較したところ,底屈制動を軽減して中足足根関節部以遠の可撓性を高めることで歩幅が増加した.改善に影響を与えた麻痺側の主な歩行周期はどれか.
1.荷重応答期
2.立脚中期
3.立脚後期
4.遊脚中期
5.遊脚後期
解答
1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.○ 底屈制動を軽減して中足足根関節部以遠の可撓性を高めてtoe-breakを作ることにより,立脚後期における蹴りだしが行いやすくなるため歩幅が増加する.
4.× 誤り.
5.× 誤り.
〈第51回 PT国試 午後7〉
79歳の女性.脳卒中後の左片麻痺.プラスチックAFOを装着してT字杖歩行が可能である.装具は足尖までの長さで足継手はない.Brunnstrom法ステージでは上肢Ⅳ,下肢Ⅴ.左立脚後期が歩行周期の中で極端に短く安定性も低下している.歩容を改善するために有用な方法はどれか.
1.外側フレアを付ける.
2.足部のベルクロの固定を緩める.
3.装具の高さを下腿中央付近まで短くする.
4.装具の中足指節関節部から遠位部を切除する.
5.足関節部の固定性を強化(コリュゲーション)する.
解答
1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.○ 中足指節関節部から遠位を切除することでtoe-breakを作り立脚後期を確保することができ歩容が改善する.
5.× 誤り.
〈第48回 PT国試 午前7〉
82歳の女性.脳卒中後の右片麻痺.プラスチック製短下肢装具を装着してT字杖歩行が可能である.装具は足尖までの長さで足継手はない.Brunnstrom法ステージでは上肢Ⅳ,下肢Ⅴ.右立脚後期が歩行周期の中で極端に短く安定性も低下している.装具に修正を加えたところ歩容は改善した.装具に加えた修正はどれか.
1.装具の高さをヒラメ筋の起始部付近まで低くした.
2.足関節部の固定性を強化(コリュゲーション)した.
3.中足指節関節部から遠位を切除した.
4.アーチサポートを挿入した.
5.足部のベルクロの固定を緩めた.
解答
1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.○ ①Brunnstrom法ステージでは下肢Ⅴ,②右立脚後期が歩行周期の中で極端に短く安定性も低下していることから,中足指節関節部から遠位を切除しトウブレークを作った.
4.× 誤り.
5.× 誤り.
〈第53回 PT国試 午後8〉
70歳の男性.脳梗塞による左片麻痺.Brunnstrom法ステージは下肢Ⅲ.関節可動域制限はない.ダブルクレンザック足継手付き両側金属支柱型短下肢装具を用いて歩行練習を実施している.足継手を背屈0~20度で可動するように設定すると左立脚中期に膝折れが出現した.装具の調整で正しいのはどれか.
1.足継手の可動範囲を背屈0~5度に設定する.
2.スウェーデン式膝装具を併用する.
3.Tストラップを追加する.
4.外側ウェッジを入れる.
5.装具の踵を高くする.
解答
1.○ 立脚中期に膝折れが出現しているので,足継手の可動範囲を背屈0~5度に設定することで膝折れを防止できる.
2.× 反張膝がみられていないのでスウェーデン式膝装具は用いない.
3.× 内反が増強していないのでTストラップは追加しない.
4.× 内反が増強していないので外側ウェッジは用いない.
5.× 装具の踵を高くすると立脚中期に膝折れが増悪する.
〈第49回 PT国試 午前7〉
72歳の女性.左中大脳動脈領域の脳梗塞による左片麻痺.立位時に左下肢の外旋と足部内反が著明であり,歩行時に装具を装着している.最も適応となりにくいのはどれか.
1.ツイスター
2.非麻痺側補高
3.逆Thomasヒール
4.外側フレアヒール
5.内側Yストラップ
解答
1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.× 足部内反には外側Tストラップが適応となる.
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