第1章 脳血管障害理学療法学 04)脳卒中片麻痺の基本介入手段 ⑤合併症と理学療法

〈第50回 PT国試 午前25〉

視床出血の発症後2か月で患側上肢にアロディニアを認める.発症要因はどれか. 
1.中枢神経系の可塑的変化
2.上肢屈筋群の筋緊張の亢進
3.肩関節周囲筋への運動の過負荷
4.腱板部分断裂による炎症
5.肘関節の拘縮変形

解答

1.○ 通常は痛みを起こさない刺激で生じる痛みをアロディニアといい,主に中枢神経系の可塑的変化によって惹起される.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


〈第49回 PT国試 午後25〉

脳卒中後の肩手症候群について正しいのはどれか. 
1.患側の手に冷感がみられる.
2.麻痺が重度の場合に発症しやすい.
3.星状神経節ブロックは無効である.
4.脳卒中発症後3週以内に生じやすい.
5.自動的な関節可動域運動は症状を悪化させる.

解答

1.× 脳卒中後の肩手症候群の初期には患側の手に熱感がみられる.
2.○ 正しい.
3.× 脳卒中後の肩手症候群において,星状神経節ブロックは交感神経の遠心性インパルスをブロックして痛みの悪循環を断ち切ることができるため有効である.
4.× 脳卒中後の肩手症候群は脳卒中発症後2~6週に生じやすい.
5.× 脳卒中後の肩手症候群において,疼痛を増強しない程度の自動的な関節可動域運動は症状を改善させる.


〈第46回 PT国試 午後27〉

脳卒中後の肩手症候群について正しいのはどれか. 
1.体温上昇を伴う.
2.脳卒中発症直後から生じる.
3.重度の片麻痺で多くみられる.
4.患側手背に限局した疼痛を認める.
5.早期には上肢全体に高度な浮腫を認める.

解答

1.× 脳卒中後の肩手症候群は体温上昇を伴わない.
2.× 脳卒中後の肩手症候群は脳卒中発症後2~6週に生じる.
3.○ 正しい.
4.× 脳卒中後の肩手症候群は患側肩の疼痛・運動制限に伴って同側の手(手関節・手指を含め)の疼痛,腫脹,血管運動性変化を認める.
5.× 脳卒中後の肩手症候群の早期は手に高度な浮腫を認める.


〈第42回 PT国試 午前59〉

肩手症候群で正しいのはどれか. 
1.肩関節の他動運動痛を伴うことが多い.
2.肩から上腕部にかけて腫脹と発赤とが現れる.
3.発症率と上肢麻痺の重症度には関連がない.
4.手指ではMP関節の屈曲拘縮が特徴的である.
5.脳卒中発症後6か月以降に発症することが多い.

解答

1.○ 正しい.
2.× 肩手症候群では手(手関節・手指を含め)の腫脹と発赤とが現れる.
3.× 肩手症候群は重度の片麻痺で発症率が高い.
4.× 肩手症候群では手指はMP関節の伸展拘縮が特徴的である.
5.× 肩手症候群は脳卒中発症後2~6週に発症することが多い.


〈第41回 PT国試 午前59〉

脳卒中片麻痺の肩手症候群で誤っているのはどれか. 
1.手指の腫脹から始まる.
2.ブルンストローム法ステージ上肢Ⅳ以上で起こりやすい.
3.肩甲骨は内転・下方回旋をとりやすい.
4.肩の他動的外転・外旋が制限されやすい.
5.鎮痛にはTENSが用いられる.

解答

1.○ 正しい.
2.× 脳卒中片麻痺の肩手症候群は重度の片麻痺で起こりやすい.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


〈第51回 PT国試 午後25〉

SteinbrockerによるステージⅠの肩手症候群に対する理学療法として適切でないのはどれか. 
1.交代浴の実施
2.ホットパックの実施
3.他動的伸張運動の実施
4.自己による介助運動の指導
5.臥床時の上肢ポジショニングの指導

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.× SteinbrockerによるステージⅠの肩手症候群に対する理学療法では,愛護的な他動的関節運動を行い,伸張運動は実施しない.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


〈第57回 PT国試 午前42〉

急性期の肩手症候群への理学療法として正しいのはどれか. 
1.CI療法
2.Codman体操
3.肩関節周囲筋の再教育
4.BFOによる良肢位の保持
5.肩関節周囲筋の積極的な他動伸張運動

解答

1.× CI療法は非麻痺側上肢を拘束条件下で長時間,麻痺肢の使用を促す方法で,急性期の肩手症候群に適応とならない.
2.× Codman体操は急性期の肩手症候群に適応とならない.
3.○ 正しい.
4.× 急性期の肩手症候群ではアームスリングを使用して良肢位を保持する.
5.× 急性期の肩手症候群では肩関節周囲筋の積極的な他動伸張運動は禁忌である.


〈第44回 PT国試 午前60〉

脳卒中片麻痺患者の麻痺側の肩の理学療法で正しいのはどれか. 
1.肩関節伸展運動は避ける.
2.亜脱臼があるときは整復位で行う.
3.関節可動域訓練では肩甲骨を固定して行う.
4.麻痺側への寝返りでは麻痺側肩甲骨を内転位にする.
5.自己介助による上肢挙上運動では反動を用いた方法を指導する.

解答

1.× 脳卒中片麻痺患者の麻痺側の肩関節伸展運動は慎重に愛護的に行う.
2.○ 正しい.
3.× 脳卒中片麻痺患者の麻痺側肩の関節可動域訓練では肩甲骨を固定せずに肩甲上腕リズムを意識して骨頭と関節窩が適合した状態で関節可動域訓練を行う.
4.× 脳卒中片麻痺患者の麻痺側への寝返りでは,肩甲骨内転(後退)すると麻痺側上肢を巻き込み疼痛を誘発するため,できるだけ肩甲骨を外転位で行う.
5.× 脳卒中片麻痺患者の自己介助による上肢挙上運動では,患手の手掌が必ず顔に面する肢位(肩外旋位)をとるように健手で患手を持ち,ゆっくりとした動作で疼痛が起こらない範囲で行う方法を指導する.


〈第53回 PT国試 午後30〉

脳卒中片麻痺の亜脱臼に対する肘屈曲型アームスリングのチェックアウトで正しいのはどれか. 
1.頸部で上肢を支持する.
2.肩関節は内旋位とする.
3.前腕は回外位とする.
4.手関節は掌屈位とする.
5.手部は肘関節より低くする.

解答

1.× 肘屈曲型アームスリングは肩からのストラップで上肢を支持する.
2.○ 正しい.
3.× 肘屈曲型アームスリングの前腕は中間位とする.
4.× 肘屈曲型アームスリングの手関節は軽度背屈位とする.
5.× 肘屈曲型アームスリングの手部は肘関節と同じ高さにする.


〈第57回 PT国試 午後37〉

嚥下反射が惹起された瞬間の食物の流れを観察できる検査法はどれか. 
1.食物テスト
2.嚥下造影検査
3.嚥下内視鏡検査
4.改訂水飲みテスト
5.反復唾液嚥下テスト

解答

1.× 食物テストは誤嚥の有無や嚥下運動を観察する方法である.
2.○ 正しい.
3.× 嚥下内視鏡検査では咽頭・喉頭の器質的・機能的異常の有無を観察する.
4.× 改訂水飲みテストは誤嚥の有無や嚥下運動を観察する方法である.
5.× 反復唾液嚥下テストは随意的な嚥下反射惹起性を定量的に測定する方法である.


〈第43回 PT国試 午前67〉

脳卒中患者の嚥下障害について正しいのはどれか.2つ選べ. 
1.片側性大脳病変では発生しない.
2.延髄病変で生じやすい.
3.改訂水飲みテストで評価する.
4.むせなければ安全な嚥下と判断する.
5.飲み物にとろみをつけるとむせやすい.

解答

1.× 片側性大脳病変でも軽度の嚥下障害が発生する.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.× 脳卒中患者の嚥下障害では,誤嚥したときにむせのある顕性誤嚥と反応がない不顕性誤嚥(むせのない誤嚥)があるため,むせなければ安全な嚥下とは判断できない.
5.× 脳卒中患者の嚥下障害では飲み物にとろみをつけた方がむせにくい.


〈第48回 PT国試 午前33〉

脳卒中患者の摂食・嚥下障害で正しいのはどれか. 
1.水分よりゼリーで誤嚥しやすい.
2.急性期より慢性期で高頻度に生じる.
3.座位よりリクライニング位で誤嚥が少ない.
4.片側の障害では非麻痺側に頸部を回旋する.
5.食事中むせなければ誤嚥はないと判断できる.

解答

1.× 脳卒中患者の摂食・嚥下障害では水分よりゼリーで誤嚥しにくい.
2.× 脳卒中患者の摂食・嚥下障害は慢性期より急性期で高頻度に生じる.
3.○ 正しい.
4.× 脳卒中患者の摂食・嚥下障害において,片側の障害では麻痺側に頸部を回旋し,麻痺側の咽頭を狭めて,健側の咽頭を広げることですることで食べ物が健側を通過しやすくなる.
5.× 脳卒中患者の摂食・嚥下障害において,誤嚥したときにむせのある顕性誤嚥と反応がない不顕性誤嚥(むせのない誤嚥)があるため,むせなければ安全な嚥下とは判断できない.


〈第53回 PT国試 午後48〉

摂食嚥下障害に対するShaker法について正しいのはどれか. 
1.喉頭挙上筋群の筋力増強を行う.
2.食道入口部を閉鎖する.
3.呼吸を数秒間止める.
4.頭部を伸展する.
5.端座位で行う.

解答

1.○ 正しい.
2.× Shaker法は食道入口部を開大する.
3.× Shaker法は呼吸を止めずに行う.
4.× Shaker法は頭部を屈曲する.
5.× Shaker法は背臥位で行う.


〈第48回 PT国試 午後33〉

脳卒中片麻痺の間接的嚥下訓練で食道入口部を広げる効果があるのはどれか. 
1.舌の運動
2.発音の練習
3.Shaker(シャキア)法
4.喉のアイスマッサージ
5.顔面頸部のマッサージ

解答

1.× 舌の運動は脳卒中片麻痺の間接的嚥下訓練で,送り込み改善効果がある.
2.× 発音の練習は脳卒中片麻痺の間接的嚥下訓練で,気道防護と口腔周囲器官の運動機能改善効果がある.
3.○ 正しい.
4.× 喉のアイスマッサージは脳卒中片麻痺の間接的嚥下訓練で,咽頭の感覚入力を改善し嚥下反射を誘発する効果がある.
5.× 顔面頸部のマッサージは脳卒中片麻痺の間接的嚥下訓練で,リラクゼーション効果がある.


〈第58回 PT国試 午前42〉

摂食嚥下障害の病態と手技の組合せで正しいのはどれか. 
1.鼻咽腔の閉鎖不全 ――― Shaker(シャキア)法
2.梨状窩の食物残留 ――― うなずき嚥下
3.喉頭蓋谷の食物残留 ――― 横向き嚥下
4.食道入口部の開大不全 ――― Mendelsohn手技
5.舌骨上筋群の筋力低下 ――― 輪状咽頭筋バルーン拡張法

解答

1.× 鼻咽腔の閉鎖不全 ――― ブローイング
2.× 梨状窩の食物残留 ――― 横向き嚥下
3.× 喉頭蓋谷の食物残留 ――― うなずき嚥下
4.○ 正しい.
5.× 舌骨上筋群の筋力低下 ――― Shaker(シャキア)法


〈第56回 PT国試 午後47〉

摂食嚥下障害に対するリハビリテーション手技と目的の組合せで正しいのはどれか. 
1.Shaker法 ――― 舌骨上筋群の強化
2.ハフィング〈huffing〉 ――― 食道入口部の開大
3.バルーン拡張法 ――― 誤嚥物の喀出
4.ブローイング ――― 喉頭挙上の強化
5.Mendelsohn手技 ――― 鼻咽腔閉鎖の強化

解答

1.○ 正しい.
2.× ハフィング〈huffing〉 ――― 誤嚥物の喀出
3.× バルーン拡張法 ――― 食道入口部の開大
4.× ブローイング ――― 鼻咽腔閉鎖の強化
5.× Mendelsohn手技 ――― 喉頭挙上の強化


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