第1章 脳血管障害理学療法学 03)脳血管障害のリスク管理 ①訓練可否基準

〈第55回 PT国試 午後44〉

急性期脳血管障害に対して,積極的に離床を行ってもよいのはどの場合か. 
1.JCS3桁
2.重度な運動麻痺
3.神経症状の増悪
4.収縮期血圧220mmHg
5.重篤な全身性合併症

解答

1.× JCS10以下であれば積極的に離床を行う.
2.○ 正しい.
3.× 神経症状の増悪がなければ積極的に離床を行う.
4.× 離床時の収縮期血圧上限を脳梗塞では200~220mmHg,脳出血では160mmHgに設定する.
5.× 重篤な全身性合併症がなければ積極的に離床を行う.


〈第59回 PT国試 午後17〉

85歳の男性.急性発症2日目の脳梗塞に対して,積極的に離床を行ってもよいのはどの場合か.2つ選べ. 
1.呼吸数40/分
2.心拍数80/分
3.神経症状の増悪
4.平均血圧65mmHg以上
5.RASS(Richmond Agitation Sedation Scale)-3

解答

1.× 積極的に離床を行ってもよいのは呼吸数<35回/分である.
2.○ 心拍数50/分≦もしくは≦120/分なので積極的に離床を行ってもよい.
3.× 神経症状の増悪は離床を行うべきでない.
4.○ 平均血圧≧65mmHgなので積極的に離床を行ってもよい.
5.× 積極的に離床を行ってもよいのは-2≦RASS≦1である.


〈第56回 PT国試 午後2〉

72歳の女性.心原性脳梗塞.入院時,血圧145/78mmHg,心拍数102/分,GCS E4V5M6,Brunnstrom法ステージ左上肢Ⅱ,左下肢Ⅱ,左上下肢筋緊張低下.入院時のMRIを示す.翌日に理学療法を行う場合,離床練習を中止すべき所見はどれか. 

1.心拍数105/分
2.GCS E2V2M5
3.血圧160/72mmHg
4.左上下肢筋緊張軽度亢進
5.Brunnstrom法ステージ左上肢Ⅲ,左下肢Ⅲ

解答

1.× 心拍数120/分以上で離床練習を中止する.
2.○ GCS E2V2M5は意識状態が悪化しているため,離床練習を中止する.
3.× 収縮期血圧が200mmHg以上で離床練習を中止する.
4.× Brunnstrom法ステージⅡにおける上下肢筋緊張軽度亢進は問題がないため,離床練習を行う.
5.× Brunnstrom法ステージ左上肢Ⅲ,左下肢Ⅲの場合,麻痺の回復がみられており,問題がないため離床練習を行う.


〈第51回 PT国試 午前11〉

65歳の男性.脳梗塞.右片麻痺.発症5日目.意識レベルはJCS〈Japan coma scale〉Ⅰ-1.全身状態は安定し,麻痺の進行も24時間以上認めないため,リスク管理(リハビリテーション医療における安全管理・推進のためのガイドライン2006に基づく)を行いながら,ベッドアップを開始することとした.適切なのはどれか. 
1.ベッドアップ前,動悸を訴えているが実施する.
2.ベッドアップ前,安静時SpO₂が85%であったので実施する.
3.ベッドアップ後,脈拍が100回/分なので中止する.
4.ベッドアップ後,呼吸数が18回/分なので中止する.
5.ベッドアップ後,収縮期血圧が120mmHgから170mmHgに上昇したので中止する.

解答

1.× 動悸・息切れ・胸痛がある場合はベッドアップを開始できない.
2.× 安静時SpO₂が90%以下の場合はベッドアップを開始できない.
3.× ベッドアップ後,脈拍が140回/分を超えた場合に中止する.
4.× ベッドアップ後,頻呼吸(30回/分以上)や息切れが出現が出現した場合は中止する.
5.○ 正しい.


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