第1章 脳血管障害理学療法学 02)脳卒中片麻痺の評価 ①急性期・回復期

〈第58回 PT国試 午後28〉

GCSの評定で正しいのはどれか. 
1.E2は痛み刺激で眼を開ける.
2.E3は自発的に眼を開けている.
3.V4は日時や場所を言うことができる.
4.M4は痛み刺激に対して手を払いのける.
5.M5は指示に従って手を動かせる.

解答

1.○ 正しい.
2.× E4は自発的に眼を開けている.
3.× V5は日時や場所を言うことができる.
4.× M5は痛み刺激に対して手を払いのける.
5.× M6は指示に従って手を動かせる.


〈第45回 PT国試 午前24〉

GCS(Glasgow Coma Scale)の評定で正しいのはどれか.2つ選べ. 
1.E2:声かけすれば眼を開ける.
2.V3:発声があるが理解できない.
3.M5:刺激部位を払いのける.
4.V5:場所や日時の見当がつかない.
5.M6:指示に従って動作をまねる.

解答

1.× E2:疼痛刺激により開眼.
2.× V3:不適当な言語.
3.○ 正しい.
4.× V5:正確な応答.
5.○ 正しい.


〈第53回 PT国試 午後1〉

36歳の男性.交通事故による外傷性脳損傷のため3日前に入院した.病室訪問時,呼びかけても閉眼しており,大きな声で呼びかけたが開眼せず,体を揺さぶって初めて開眼したがすぐに閉眼してしまう.JCS〈Japan coma scale〉で評価した意識レベルはどれか. 
1.Ⅱ-10
2.Ⅱ-20
3.Ⅱ-30
4.Ⅲ-100
5.Ⅲ-200

解答

1.× Ⅱ-10:普通の呼びかけで容易に開眼する.
2.○ 正しい.
3.× Ⅱ-30:痛み刺激を加えつつ,呼びかけを繰り返すとかろうじて開眼する.
4.× Ⅲ-100:痛み刺激に対し,払いのけるような動作をする.
5.× Ⅲ-200:痛み刺激で少し手を動かしたり,顔をしかめたりする.


〈第54回 PT国試 午前10〉

65歳の男性.視床出血による左片麻痺.救急搬送され保存的治療が行われた.発症後3日より脳卒中ケアユニットでの理学療法を開始.このとき覚醒しておらず,大きな声で呼びかけたが開眼しなかったため胸骨部に痛み刺激を加えたところ,刺激を加えている手を払いのけようとする動きがみられた.この患者のJCS(Japan Coma Scale)での意識障害の評価で正しいのはどれか. 
1.Ⅱ-10
2.Ⅱ-20
3.Ⅱ-30
4.Ⅲ-100
5.Ⅲ-200

解答

1.× Ⅱ-10:普通の呼びかけで容易に開眼する.
2.× Ⅱ-20:大きな声または体をゆさぶると開眼する.
3.× Ⅱ-30:痛み刺激を加えつつ,呼びかけを繰り返すとかろうじて開眼する.
4.○ 正しい.
5.× Ⅲ-200:痛み刺激で少し手を動かしたり,顔をしかめたりする.


〈第45回 PT国試 午後24〉

modified Ashworth scaleの定義で正しいのはどれか.2つ選べ. 
1.1:筋緊張の増加がない.
2.1+:可動域の終わりでわずかな抵抗感がある.
3.2:可動域の1/2以下の範囲で引っかかるような抵抗感がある.
4.3:筋緊張の著しい増加で他動的に動かすことが困難である.
5.4:全く動きがない.

解答

1.× 0:筋緊張の増加がない.
2.× 1:可動域の終わりでわずかな抵抗感がある.
3.× 1+:可動域の1/2以下の範囲で引っかかるような抵抗感がある.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


〈第53回 PT国試 午後33〉

肘関節屈曲位から伸展方向へ他動的に動かしたときに,可動域の全範囲にわたり抵抗感が感じられたが,運動は容易であった.MAS〈modified Ashworth scale〉における筋緊張のレベルはどれか. 
1.0
2.1
3.1+
4.2
5.3

解答

1.× 0:筋緊張の亢進なし.
2.× 1:軽度の筋緊張亢進,最終域でわずかな抵抗がある.
3.× 1+:軽度の筋緊張亢進,可動域の1/2以下でわずかな抵抗がある.
4.○ 正しい.
5.× 3:著明な筋緊張亢進,他動運動が困難である.


〈第59回 PT国試 午後34〉

脳卒中片麻痺患者の足関節を底屈位から背屈位に他動的に動かし,最終域に若干の抵抗感を感じた.MAS(modified Ashworth scale)における筋緊張のレベルはどれか. 
1.0
2.1
3.1+
4.2
5.3

解答

1.× 0:筋緊張の亢進なし.
2.× 1:軽度の筋緊張亢進,最終域でわずかな抵抗がある.
3.× 1+:軽度の筋緊張亢進,可動域の1/2以下でわずかな抵抗がある.
4.× 2:中等度の筋緊張亢進,全可動域で抵抗があるが容易に動かすことができる.
5.× 3:著明な筋緊張亢進,他動運動が困難である.


〈第43回 PT国試 午前51〉

SIAS(Stroke Impairment Assessment Set)で正しいのはどれか. 
1.関節可動域は評価しない.
2.意識障害の評価を含む.
3.麻痺側のみ評価する.
4.1評価1課題を原則とする.
5.合計得点は最大で100点となる.

解答

1.× SIASでは上下肢の関節可動域を評価する.
2.× SIASに意識障害の評価は含まれない.
3.× SIASは非麻痺側機能を含んだ総合評価セットである.
4.○ 正しい.
5.× SIASの合計得点は最大で76点となる.


〈第59回 PT国試 午前33〉

SIASに含まれるのはどれか. 
1.意識障害
2.異常知覚
3.嚥下機能
4.測定障害
5.視空間認知

解答

1.× SIASに意識障害の評価は含まれない.
2.× SIASの感覚機能には触覚と位置覚の評価が含まれる.
3.× SIASに嚥下機能の評価は含まれない.
4.× SIASに測定障害の評価は含まれない.
5.○ 正しい.


〈第57回 PT国試 午後32〉

SIASに含まれるのはどれか. 
1.意識レベル
2.痛覚
3.非麻痺側筋力
4.病的反射
5.麻痺側筋力

解答

1.× SIASに意識レベルの含まれない.
2.× SIASの感覚機能には触覚と位置覚の評価が含まれる.
3.○ 正しい.
4.× SIASの筋緊張には深部腱反射と筋緊張の評価が含まれる.
5.× SIASの非麻痺機能には筋力の評価が含まれる.


〈第53回 PT国試 午後9〉

脳卒中機能評価法〈SIAS〉の麻痺側運動機能の評定で2点となるのはどれか. 

1.1
2.2
3.3
4.4
5.5

解答

1.○ 正しい.
2.× 集団屈曲可能は1点である.
3.× 足部が床から十分離れるまで可能は3点以上である.
4.× 重力に抗して十分伸展可能は3点以上である.
5.× 前足部が床から十分離れれば3点以上である.


〈第55回 PT国試 午前6〉

脳卒中機能評価法〈SIAS〉の麻痺側運動機能テストの様子を図に示す.関節拘縮がない場合,3つのテストの合計点はどれか.

1.5点
2.6点
3.7点
4.8点
5.9点

解答

1.○ 膝・口テスト:1点+股屈曲テスト:2点+膝伸展テスト2点=5点
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


〈第57回 PT国試 午前33〉

NIHSSで評価されるのはどれか.2つ選べ. 
1.バランス障害
2.深部腱反射
3.意識障害
4.顔面麻痺
5.歩行速度

解答

1.× NIHSSでは意識,注視と視野,顔面麻痺,上下肢の運動と失調,感覚,言語,注意と無視などが評価され,バランス障害は含まれない.
2.× NIHSSでは意識,注視と視野,顔面麻痺,上下肢の運動と失調,感覚,言語,注意と無視などが評価され,深部腱反射は含まれない.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.× NIHSSでは意識,注視と視野,顔面麻痺,上下肢の運動と失調,感覚,言語,注意と無視などが評価され,歩行速度は含まれない.


〈第54回 PT国試 午前34〉

脳卒中片麻痺患者に用いられる評価法で正しいのはどれか.2つ選べ. 
1.FMA(Fugl-Meyer assessment)はADLの評価を含む.
2.JSS(Japan Stroke Scale)は関節可動域の評価を含む.
3.mRSは歩行速度の評価を含む.
4.NIHSSは意識状態の評価を含む.
5.SIASは非麻痺側機能の評価を含む.

解答

1.× FMA(Fugl-Meyer assessment)はADLの評価を含まない.
2.× JSS(Japan Stroke Scale)は関節可動域の評価を含まない.
3.× mRSは歩行速度の評価を含まない.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


〈第52回 PT国試 午前33〉

脳血管障害の評価として用いられる評価法について正しいのはどれか. 
1.mRSの評価項目に筋緊張がある.
2.SIASの評価項目に意識障害がある.
3.GCSの評価項目に関節可動域がある.
4.NIHSSの評価項目にバランスがある.
5.Fugl-Meyer Assessmentの評価項目に感覚機能がある.

解答

1.× mRS(modified Rankin Scale)は活動や参加状況を0~6で簡便に評価する方法で,評価項目に筋緊張はない.
2.× SIASの評価項目は運動機能,筋緊張,感覚,関節可動域と疼痛,体幹機能,高次脳機能,非麻痺側機能の7分類22項目からなり,意識障害は含まれない.
3.× GCSの評価項目は開眼,発語,運動機能であり,関節可動域は含まれない.
4.× NIHSS(National Institute of Health Stroke Scale)は意識,注視と視野,顔面麻痺,上下肢の運動と失調,感覚,言語,注意と無視などについて3または4段階で表すものであり,評価項目にバランスは含まれない.
5.○ 正しい.


〈第50回 PT国試 午後24〉

脳卒中患者の状態を症状なしから死亡までに分類できるのはどれか. 
1.Fugl-Meyer assessment
2.GCS(Glasgow coma scale)
3.Modified Ashworth scale
4.Modified Rankin scale
5.SIAS

解答

1.× Fugl-Meyer assessmentは運動麻痺の回復,バランス,感覚,関節可動域運動,および疼痛を定量的に評価するもので,検査項目は0~2の3段階とし運動機能が100点満点,その他を含めて226点満点で構成されている.
2.× GCS(Glasgow coma scale) は意識障害を分類するためのスケールで,意識状態を開眼の状態(E),言語による応答(V),運動による応答(M)の3項目で評価し,各項目において数字が大きい,もしくは合計点数が大きいほど意識状態がよい状態と判断する.
3.× Modified Ashworth scaleは他動運動時の筋緊張の客観的評価方法で,痙縮の強度を6段階に分類している.
4.○ 正しい.
5.× SIASは脳卒中の多面的な機能障害を定量化するための総合評価セットで,9種の機能障害に分類される22項目からなり,各項目とも3あるいは5点満点で評価される.


〈第55回 PT国試 午後29〉

遂行機能障害の診断に用いる検査はどれか. 
1.WCST
2.WAIS-Ⅲ
3.図形模写
4.Reyの複雑図形検査
5.PASAT〈paced auditory serial addition test〉

解答

1.○ 正しい.
2.× WAIS-Ⅲは知能検査である.
3.× 図形模写は視知覚認知検査である.
4.× Reyの複雑図形検査は視覚性記銘検査である.
5.× PASAT〈paced auditory serial addition test〉は聴覚性の注意力と作業記憶の検査である.


〈第57回 PT国試 午前28〉

注意障害の検査はどれか. 
1.MAS
2.Raven色彩マトリックス検査
3.Rey-Osterrieth複雑図形検査
4.TMT
5.WCST

解答

1.× MASは筋緊張検査である.
2.× Raven色彩マトリックス検査は非言語性知的能力の検査である.
3.× Rey-Osterrieth複雑図形検査は視空間知覚・構成機能と非言語性視覚記憶の検査である.
4.○ 正しい.
5.× WCSTは前頭葉機能検査法である.


〈第52回 PT国試 午前29〉

注意機能の評価はどれか. 
1.SCT
2.MMPI
3.バウムテスト
4.TMT〈trail making test〉
5.Kohs立方体組合せテスト

解答

1.× SCTは人格検査である.
2.× MMPIは人格検査である.
3.× バウムテストは人格検査である.
4.○ 正しい.
5.× Kohs立方体組合せテストは知能検査である.


〈第55回 PT国試 午後8〉

検査用紙を図に示す.1から25までの数字を1から順にできるだけ速く線を引いてつなぐのに要する時間を測定する検査はどれか. 

1.BADS
2.BIT
3.CAT
4.Stroop test
5.TMT-A

解答

1.× BADSは前頭葉機能検査である.
2.× BITは半側空間無視の検査である.
3.× CATは標準的注意検査である.
4.× Stroop testは選択的注意機能検査である.
5.○ 正しい.


〈第59回 PT国試 午後19〉

理学療法の臨床実習に参加している学生.脳梗塞による左片麻痺患者の評価を臨床実習指導者と行った.患者は常に右側を向き,左側からの声かけへの反応が遅かった.担当作業療法士の診療記録から収集する検査結果で最も優先度が高いのはどれか. 
1.BIT
2.FAST
3.Stroop test
4.WAIS-Ⅳ
5.WCST(Wisconsin Card Sorting Test)

解答

1.○ 半側空間無視が疑われるのでBITの優先度が高い.
2.× FASTはAlzheimer型認知症の検査である.
3.× Stroop testは選択的注意機能検査である.
4.× WAIS-Ⅳはは知能検査である.
5.× WCST(Wisconsin Card Sorting Test)は前頭葉機能検査である.


〈第53回 PT国試 午前29〉

記憶障害の評価法はどれか. 
1.BADS〈behavioural assessment of the dysexecutive syndrom〉
2.BIT
3.CAT〈clinical assessment for attention〉
4.RBMT
5.WCST

解答

1.× BADSは前頭葉機能検査である.
2.× BITは半側空間無視の検査である.
3.× CATは標準的注意検査である.
4.○ 正しい.
5.× WCSTは前頭葉機能検査法である.


〈第54回 PT国試 午後41〉

高次脳機能障害と検査の組合せで正しいのはどれか. 
1.失語 ――― かな拾いテスト
2.注意障害 ――― TMT
3.記憶障害 ――― Kohs立方体組み合わせ検査
4.遂行機能障害 ――― BIT
5.半側空間無視 ――― BADS

解答

1.× 前頭葉機能障害 ――― かな拾いテスト
2.○ 正しい.
3.× 知能 ――― Kohs立方体組み合わせ検査
4.× 半側空間無視 ――― BIT
5.× 前頭葉機能障害 ――― BADS


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