第1章 脳血管障害理学療法学 01)脳血管障害の症状・合併症 ④高次脳機能障害

〈第50回 PT国試 午後26〉

前大脳動脈閉塞で最も生じやすい症状はどれか. 
1.観念運動失行
2.強制把握現象
3.地誌的失見当
4.着衣失行
5.物体失認

解答

1.× 観念運動失行は中大脳動脈閉塞で生じやすい.
2.○ 正しい.
3.× 地誌的失見当は後大脳動脈閉塞で生じやすい.
4.× 着衣失行は中大脳動脈閉塞で生じやすい.
5.× 物体失認は後大脳動脈閉塞で生じやすい.


〈第47回 PT国試 午後41〉

左中大脳動脈閉塞で生じやすい高次脳機能障害はどれか. 
1.自然にバイバイと手を振ることはできるが,指示されるとできない.
2.着る手順を説明できるが,誤った着方をする.
3.重度の運動麻痺があるのに,歩けると主張する.
4.視界の左半分にある物を見落とす.
5.色紙の色分けができない.

解答

1.○ 正しい.
2.× “着る手順を説明できるが,誤った着方をする”のは着衣失行で,右中大脳動脈閉塞で生じやすい.
3.× “重度の運動麻痺があるのに,歩けると主張する”のは病態失認で,右中大脳動脈閉塞で生じやすい.
4.× “視界の左半分にある物を見落とす”のは半側空間無視で,右中大脳動脈閉塞で生じやすい.
5.× “色紙の色分けができない”のは色彩失認で,両側の後大脳動脈閉塞で生じやすい.


〈第44回 PT国試 午前59〉

左大脳半球の病変で出現しやすいのはどれか.2つ選べ. 
1.左右失認
2.病態失認
3.半側無視
4.観念失行
5.着衣失行

解答

1.○ 正しい.
2.× 病態失認は右上・下頭頂小葉の病変で出現しやすい.
3.× 半側無視は右大脳半球の病変で出現しやすい.
4.○ 正しい.
5.× 着衣失行は右上・下頭頂小葉の病変で出現しやすい.


〈第56回 PT国試 午前42〉

車椅子からベッドへの移乗動作において,フットサポートに足を乗せたまま立ち上がろうとすることに関連する病巣はどれか. 
1.前頭葉
2.視床
3.被殻
4.中脳背側
5.小脳虫部

解答

1.○ 遂行障害に関連する病巣は前頭葉である.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


〈第53回 PT国試 午前30〉

右頭頂葉障害で特徴的な症状はどれか. 
1.警官の敬礼のまねができない.
2.顔を見ただけでは誰か分からない.
3.歯ブラシで歯を磨くことができない.
4.料理を段取り良く行うことができない.
5.服の左右の袖に腕を通すことができない.

解答

1.× 警官の敬礼のまねができないのは観念運動失行であり左頭頂葉縁上回の障害で特徴的な症状である.
2.× 顔を見ただけでは誰か分からないのは相貌失認であり右後頭側頭腹側部紡錘状回の障害で特徴的な症状である.
3.× 歯ブラシで歯を磨くことができないのは観念失行であり左頭頂葉角回の障害で特徴的な症状である.
4.× 料理を段取り良く行うことができないのは遂行機能障害であり左右前頭葉前頭連合野の障害で特徴的な症状である.
5.○ 正しい.


〈第56回 PT国試 午前36〉

失語症の型と症状の組合せで正しいのはどれか. 
1.Wernicke失語 ――― 聴覚理解が保たれる.
2.超皮質性失語 ――― 復唱が障害される.
3.Broca失語 ――― 自発言語が障害される.
4.伝導失語 ――― 復唱が保たれる.
5.健忘失語 ――― 聴覚理解が障害される.

解答

1.× Wernicke失語 ――― 聴覚理解が障害される.
2.× 超皮質性失語 ――― 復唱は保たれる.
3.○ 正しい.
4.× 伝導失語 ――― 復唱が障害される.
5.× 健忘失語 ――― 聴覚理解は保たれる.


〈第51回 PT国試 午前27〉

伝導失語の言語的特徴はどれか. 
1.ジャーゴン
2.音韻性錯誤
3.非流暢性発話
4.重度な理解障害
5.良好な復唱機能

解答

1.× 伝導失語は音韻探索や音韻性錯語がみられるが,ジャーゴンになることはない.
2.○ 正しい.
3.× 伝導失語は流暢な発話である.
4.× 伝導失語は日常会話レベルでは理解に問題がない.
5.× 伝導失語では強い復唱障害がみられる.


〈第54回 PT国試 午後48〉

喚語困難と迂言を呈し,発話は流暢で良好な理解と復唱を特徴とする失語症はどれか. 
1.健忘失語
2.伝導失語
3.Wernicke失語
4.超皮質性運動失語
5.超皮質性感覚失語

解答

1.○ 正しい.
2.× 伝導失語は発話流暢,理解良好,復唱困難である.
3.× Wernicke失語は発話流暢,理解不良,復唱困難である.
4.× 超皮質性運動失語は発話非流暢,理解良好,復唱可能である.
5.× 超皮質性感覚失語は発話流暢,理解不良,復唱可能である.


〈第41回 PT国試 午前40〉

56歳の男性.右利き.脳卒中による右片麻痺.発語は流暢だが内容は意味不明だった.また,「今日の天気は晴れです」の繰り返しを指示すると反復することができなかった.考えられる失語症はどれか. 
1.伝導失語
2.ブローカ失語
3.ウェルニッケ失語
4.超皮質性運動失語
5.超皮質性感覚失語

解答

1.× 伝導失語は発話流暢,理解良好,復唱困難である.
2.× ブローカ失語は発話非流暢,理解良好,復唱困難である.
3.○ ウェルニッケ失語は発話流暢,理解不良,復唱困難である.
4.× 超皮質性運動失語は発話非流暢,理解良好,復唱可能である.
5.× 超皮質性感覚失語は発話流暢,理解不良,復唱可能である.


〈第55回 PT国試 午前27〉

「歯を磨くまねをしてください」という口頭命令ではうまくできないが,自発的には歯磨きができる状態はどれか. 
1.観念失行
2.拮抗失行
3.構成失行
4.観念運動失行
5.肢節運動失行

解答

1.× 観念失行は物品を用いる一連の動作が上手くできない状態である.
2.× 拮抗失行は一側の手が他側の手と反対目的の動作を行う状態である.
3.× 構成失行は三次元の構成的課題が上手く達成できない状態である.
4.○ 正しい.
5.× 肢節運動失行は手と指による動作があらゆる場面で不器用,拙劣となる状態である.


〈第51回 PT国試 午後27〉

観念失行に関連する行為はどれか. 
1.検査者のキツネの指を模倣することができない.
2.杖を持つときに上下を逆さまにして使おうとする.
3.麻痺が重度でもそれを意識せずに立ち上がろうとする.
4.歩行時,右に曲がるべきところで曲がらずに通りすぎる.
5.「右足を先に出して」と教示してもできないが,自然な歩行は可能.

解答

1.× “検査者のキツネの指を模倣することができない”のは観念運動性失行で左縁上回の病変で出現しやすい.
2.○ 正しい.
3.× “麻痺が重度でもそれを意識せずに立ち上がろうとする”のは病態失認で,右上・下頭頂小葉の病変で出現しやすい.
4.× “歩行時,右に曲がるべきところで曲がらずに通りすぎる”のは地誌的失認や注意障害でみられる.
5.× “「右足を先に出して」と教示してもできないが,自然な歩行は可能”であるのは観念運動性失行で,左縁上回の病変で出現しやすい.


〈第56回 PT国試 午後19〉

74歳の女性.6か月前に左被殻出血を発症して,軽度の右片麻痺を呈している.くしを歯ブラシのように使おうとしたり,スプーンの柄に食物を乗せようとする行動がみられた.この患者の症状はどれか. 
1.観念失行
2.構成失行
3.着衣失行
4.観念運動失行
5.肢節運動失行

解答

1.○ 正しい.
2.× 構成失行は三次元の構成的課題が上手く達成できない状態である.
3.× 着衣失行は衣服を正しく着たり脱いだりできない状態である.
4.× 観念運動失行は指示されたジェスチャーができない状態である.
5.× 肢節運動失行は手と指による動作があらゆる場面で不器用,拙劣となる状態である.


〈第58回 PT国試 午後36〉

高次脳機能障害と症候との組合せで正しいのはどれか. 
1.観念失行 ――― 敬礼など単純な口頭指示に従った動作ができない.
2.純粋失読 ――― 文字を指でなぞっても読めない.
3.伝導失語 ――― 物品呼称ができない.
4.観念運動失行 ――― 適切に道具を使用できない.
5.肢節運動失行 ――― 習熟した行為の遂行が拙劣になる.

解答

1.× 観念失行 ――― 適切に道具を使用できない.
2.× 純粋失読 ――― 読むことが強く障害されるが,文字を指でなぞると読むことができる.
3.× 伝導失語 ――― 復唱ができない.
4.× 観念運動失行 ――― 敬礼など単純な口頭指示に従った動作ができない.
5.○ 正しい.


〈第46回 PT国試 午後26〉

脳卒中患者の症状と障害との組合せで誤っているのはどれか. 
1.知っている人なのに声を聞かないとわからない. ――― 相貌失認
2.閉眼と挺舌の動作を同時にできない. ――― 運動維持困難
3.移動時,左側の物によくぶつかる. ――― 左半側空間無視
4.指示による敬礼のまねができない. ――― 観念失行
5.上着の左右を間違えて袖を通す. ――― 着衣失行

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.× 指示による敬礼のまねができない. ――― 観念運動失行
5.○ 正しい.


〈第51回 PT国試 午前28〉

注意障害で,料理中にかかってきた電話に気付くことができないという現象が認められるのはどれか. 
1.注意の選択性障害
2.注意の持続性障害
3.注意の転換性障害
4.注意の配分性障害
5.方向性の注意障害

解答

1.× 注意の選択性障害では特定の対象に注意を向けることができないため注意散漫な状態になる.
2.× 注意の持続性障害では注意を一定の強さで保つことができず,注意の変動や動揺が大きくなり集中力も低下する.
3.○ 正しい.
4.× 注意の配分性障害では1つの刺激や課題への集中や取り組みはよくても,複数の刺激の処理や課題の解決を同時に実行する場合に効率が極端に低下したり,混乱したり,まったくできなかったりする.
5.× 方向性の注意障害は特定の方向に対して不注意が生じるもので,半側空間無視が代表的な現象である.


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