第7章 精神障害作業療法学 08)認知症 ⑤Lewy小体型認知症

〈第48回 OT国試 午後41〉

Lewy小体型認知症患者に特徴的にみられるのはどれか. 
1.失認
2.易怒性
3.記憶障害
4.小刻み歩行
5.見当識障害

解答

1.× 失認はアルツハイマー型認知症の特徴である.
2.× 易怒性は脳血管性認知症の特徴である.
3.× 記憶障害は認知症の中核症状である.
4.○ 正しい.
5.× 見当識障害はアルツハイマー型認知症の特徴である.


〈第47回 OT国試 午前39〉

Alzheimer型認知症とLewy小体認知症とに共通する初期症状はどれか. 
1.見当識障害
2.小刻み歩行
3.嚥下障害
4.尿失禁
5.幻視

解答

1.○ 正しい.
2.× 小刻み歩行はLewy小体認知症の初期症状である.
3.× 嚥下障害は脳血管性認知症の特徴である.
4.× 尿失禁はアルツハイマー型認知症と脳血管性認知症の特徴である.
5.× 幻視はLewy小体認知症の初期症状である.


〈第58回 OT国試 午後47〉

他の認知症と比較して,Lewy小体型認知症患者にみられやすいのはどれか. 
1.失行
2.失語
3.失認
4.尿失禁
5.静止時振戦

解答

1.× 失行は脳血管性認知症や脳血管性認知症にみられやすい.
2.× 失語は脳血管性認知症や脳血管性認知症にみられやすい.
3.× 失認は脳血管性認知症や脳血管性認知症にみられやすい.
4.× 尿失禁は脳血管性認知症や脳血管性認知症にみられやすい.
5.○ 正しい.


〈第50回 OT国試 午後42〉

Lewy小体型認知症患者の作業療法にみられる特徴はどれか. 
1.活動にむらがある.
2.姿勢保持が良い.
3.多幸的である.
4.作話が多い.
5.歩き回る.

解答

1.○ Lewy小体型認知症は日内変動がみられるので活動にむらがある.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


〈第55回 OT国試 午前13〉

66歳の男性.要介護1となり介護老人保健施設に入所した.入所1週後,作業療法士によるリハビリテーションを行うために機能訓練室に来室した際,動作の緩慢さと手指の振戦が観察された.妻は本人が中空に向かって「体操服姿の小学生がそこにいる」と言うのを心配していた.本人に尋ねると,見えた内容について具体的に語っていた.疾患として考えられるのはどれか. 
1.Creutzfeldt-Jakob病
2.Alzheimer型認知症
3.Lewy小体型認知症
4.意味性認知症
5.正常圧水頭症

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.○ 動作の緩慢さと手指の振戦,幻視がみられるのでLewy小体型認知症が考えられる.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


〈第52回 OT国試 午前16〉

67歳の女性.作業療法中に傾眠傾向が続いた日があるかと思えば,声かけにはきはきと受け答えをする日もある.部屋の間違いや道に迷うことも多い.あるとき突然「カーテンの陰に人がいる」と話し怯えだした.この患者の原因疾患として最も可能性が高いのはどれか. 
1.Alzheimer型認知症
2.Lewy小体型認知症
3.前頭側頭型認知症
4.正常圧水頭症
5.血管性認知症

解答

1.× 誤り.
2.○ 日内変動と幻視がみられるのでLewy小体型認知症が考えられる.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


〈第57回 OT国試 午前17〉

68歳の男性.半年前から睡眠中に奇声をあげたり,気分が沈みがちになることがあった.次第に物忘れや立ちくらみ,手の震えが出現した.最近,「玄関に小人が立っている」ということが増えたため,家族に付き添われて精神科病院に入院し,作業療法が開始された.この患者にみられる特徴はどれか.2つ選べ. 
1.動きが緩慢になる.
2.症状が変動しやすい.
3.毎食のメニューにこだわる.
4.周囲に対し一方的な要求をする.
5.環境からの刺激を受けても集中できる.

解答

1.○ Lewy小体型認知症は幻視,Parkinson症状,レム睡眠行動障害や症状の日内変動などが特徴的である.
2.○ Lewy小体型認知症は幻視,Parkinson症状,レム睡眠行動障害や症状の日内変動などが特徴的である.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


〈第54回 OT国試 午前13〉

76歳の男性.誰もいないのに「自分の布団に知らない子どもが寝ている」と訴え,妻に連れられて受診した.妻の話では,数年前から些細な物忘れが増え,日中ぼう然としていることも多いという.歩行中に転倒することも増えてきているという.作業療法室でみられるこの患者の特徴はどれか. 
1.些細なことで泣き出す.
2.他人の物を勝手に持っていこうとする.
3.時間どおりに来室し必ず同じ席に座る.
4.わからない質問に対し言い繕って答える.
5.日によって意識レベルの低下度合いが異なる.

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.○ 幻視と歩行中に転倒することも増えてきていることからレビー小体型認知症が疑われるので,意識レベルの変動などがみられる.


〈第59回 OT国試 午後19〉

65歳の男性.2年前から便秘や立ちくらみが目立ち,人物を誤認することもあった.最近,小刻み歩行と手の震えが目立ち,壁のシミを「虫がいる」と発言するようになった.家族への暴言が多くなり対応困難で入院となった.入院後,作業療法が処方され,集団作業療法が行われている.この患者に対する作業療法士の対応で最も適切なのはどれか. 
1.性的逸脱行為に注意する.
2.複数の課題を同時進行で行う.
3.認知機能の日内変動に注意する.
4.未経験の活動種目を中心に行う.
5.流動的に活動メンバーを入れ替える.

解答

1.× 性的逸脱行為に注意するのは前頭側頭型認知症患者に対する対応である.
2.× 単一の課題で行う.
3.○ Lewy小体型認知症が疑われるので認知機能の日内変動に注意する.
4.× 既経験の活動種目を中心に行う.
5.× 活動メンバーは固定する.


〈第52回 OT国試 午後4〉

67歳の男性.Lewy小体型認知症.退職しているにもかかわらず時々会社に行こうとするが,説明をすると納得する.「子供が部屋の中にいる」と訴えることが増えた.日常の動作は緩慢となり,歩行も困難になったため入院した.この患者に対する作業療法の際に適切なのはどれか. 
1.幻視の訴えを正す.
2.身体の活動量を減らす.
3.リズムのある反復動作は避ける.
4.転倒しやすいことを本人に伝える.
5.過覚醒を防ぐために照明を暗くする.

解答

1.× 幻視の訴えを正すのは難しい.
2.× 身体の活動量は維持する.
3.× リズムのある反復動作を行う.
4.○ 説明をすると納得するので転倒のしやすさを伝えるのは適切である.
5.× 昼夜を明確にするため照明を暗くするのは不適切である.


〈第56回 OT国試 午前6〉

80歳の女性.77歳頃から物忘れが目立ち始め,今では歩行時のつまずきやすさ,書字の震えがある.日によって程度は異なるものの,自宅のテレビや窓,棚のガラス戸など,光沢のあるところに知らない人が映って見えるようになった.「テレビに知らない人の顔が見える」「変なおじいさんが裸でいる」などと家族に訴え,ガラス戸に向かって怒鳴る様子もみられた.家族と物忘れ外来を受診した.PETでは頭頂葉から後頭葉の一部に糖代謝の低下が認められた.作業療法士から家族へのアドバイスとして適切なのはどれか. 
1.部屋を薄暗くする
2.テレビの音を大きくする
3.移動の際には車椅子を使用させる
4.興奮したときはきっぱりと幻覚であることを伝える
5.見えている内容を否定しないで気持ちを受け止める

解答

1.× Lewy小体型認知症では,パーキンソニズムを合併し転倒しやすくなるため,薄暗くするのは好ましくない.
2.× テレビの音など環境音を大きくするのは好ましくない.
3.× つまずきやすさがみられているが,まだ歩行可能なので車椅子の使用は適切でない.
4.× 訴えを否定するのではなく,心配はいらないことなどを伝え,不安や混乱を引き起こさないようにすることが好ましい.
5.○ 訴えを否定するのではなく,心配はいらないことなどを伝え,不安や混乱を引き起こさないようにすることが好ましい.


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