第7章 精神障害作業療法学 05)パーソナリティ障害 ②境界性

〈第48回 OT国試 午前48〉

境界性パーソナリティ障害の特徴で正しいのはどれか.2つ選べ. 
1.女性より男性に多い.
2.自己像が不安定である.
3.完全主義の傾向がみられる.
4.慢性の空虚感が支配している.
5.有病率は統合失調症より低い.

解答

1.× 境界性パーソナリティ障害は男性より女性に多い.
2.○ 正しい.
3.× 完璧主義の傾向が見られるのは強迫性パーソナリティ障害である.
4.○ 正しい.
5.× 境界性パーソナリティ障害の有病率は統合失調症より高い.


〈第55回 OT国試 午前41〉

境界性パーソナリティ障害の治療について最も適切なのはどれか. 
1.治療者への依存を促す.
2.薬物療法は行わないようにする.
3.長期入院により適応を良好にする.
4.他の患者と交流させないようにする.
5.治療的枠組みを崩さないようにする.

解答

1.× 治療者への依存を促すのは不適切である.
2.× 薬物療法も併用する.
3.× 短期入院により適応を良好にする.
4.× 他の患者と交流を実施していく.
5.○ 正しい.


〈第52回 OT国試 午後46〉

境界性パーソナリティ障害の患者に対する作業療法で正しいのはどれか.2つ選べ. 
1.退行を許容する.
2.集団作業への参加を促す.
3.柔軟な枠組みを提供する.
4.攻撃衝動の適応的発散を促す.
5.主観的な苦悩を共感的に理解する.

解答

1.× 退行を許容するのは不適切である.
2.× パラレルグループでの個人作業を促す.
3.× 短時間で完結する構成的な課題を提供する.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


〈第53回 OT国試 午前47〉

他罰的であり「病状がよくならないのは,親の接し方が悪いため」と攻撃的になる境界性パーソナリティ障害の患者への作業療法士の対応として適切でないのはどれか. 
1.単独で患者と関わる.
2.患者の親への心理的支援を行う.
3.治療契約の重要さを患者と確認する.
4.攻撃を向けられた後も同じ態度をとる.
5.患者自身の困難に共感的な態度で接する.

解答

1.× 患者とはチームで一貫した関わりをする.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


〈第58回 OT国試 午前47〉

自傷や社会的問題行動が絶えない境界性パーソナリティ障害の患者に対する作業療法士の対応として適切でないのはどれか. 
1.適宜治療目標を確認する.
2.患者の治療への主体的参加を促す.
3.疾患に伴う問題を率直に説明する.
4.治療関係で生じる転移を利用する.
5.薬物療法も含めた統合的治療を検討する.

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.× 治療関係で生じる転移は利用しない.
5.○ 正しい.


〈第54回 OT国試 午後45〉

境界性パーソナリティ障害の患者が自傷行為をほのめかしたとき,作業療法士の行うべき対応はどれか. 
1.緊急入院を勧める.
2.死にたい気持ちの有無を確認する.
3.作業療法を延長し関わる時間を増やす.
4.過去の自傷行為の回数について詳しく聴取する.
5.自傷行為をしたら作業療法は続けられないと伝える.

解答

1.× 行動化に対するポジティブフィードバックとして作用してしまうため不適切である.
2.○ 正しい.
3.× 行動化に対するポジティブフィードバックとして作用してしまうため不適切である.
4.× 行動化に対するポジティブフィードバックとして作用してしまうため不適切である.
5.× 見捨てられ不安を助長してしまうので不適切である.


〈第47回 OT国試 午後41〉

境界性パーソナリティ障害の作業療法の目的でないのはどれか. 
1.枠組みの提供
2.行動化の促進
3.依存欲求の充足
4.探索活動の促進
5.対象恒常性の改善

解答

1.○ 正しい.
2.× 境界性パーソナリティ障害では行動化は抑制する.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


〈第46回 OT国試 午前46〉

境界性パーソナリティ障害の作業療法の目的で正しいのはどれか. 
1.対人距離の確保
2.失敗体験の克服
3.生活技能の獲得
4.居住環境の調整
5.課題集団への参加

解答

1.○ 安定した対人関係の構築のため対人距離が確保できるようにする.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


〈第58回 OT国試 午前19〉

32歳の女性.境界性パーソナリティ障害.高校生のころから情緒不安定で,慢性的な空虚感を訴えるようになった.卒業後は事務の仕事に就いたが,異性との交際のトラブルから抑うつ気分が強くなり,自傷行為を繰り返した.今回,尊敬していた職場の男性上司との関係が悪化したことを契機に自殺企図があり入院した.この患者に対する作業療法士の対応で最も適切なのはどれか. 
1.異性との交際トラブルについて指導する.
2.対人交流は病院スタッフと家族に限定する.
3.活動時間や活動場所は決めずに作業療法を行う.
4.トラブルがあった場合は担当スタッフを変更する.
5.患者と作業療法士の双方が守るべき規則を明確化する.

解答

1.× 異性との交際トラブルについて指導のは不適切である.
2.× 対人交流は病院スタッフと家族に限定する必要はない.
3.× 活動時間や活動場所は決めて作業療法を行う.
4.× トラブルがあっても担当スタッフは変更しない.
5.○ 正しい.


〈第55回 OT国試 午後18〉

21歳の女性.衝動的に食器を割ったり,自身の手首を切ったりするなどの行為が続いたため精神科病院へ入院となった.夜になると両親に電話し,自分を見捨てるのではないかと脅迫的に責めたてた.また,主治医を罵倒し,椅子を投げつけるなどの暴力を振るった後すぐに「先生はすばらしいお医者さんですからどうか治してください」と泣きながら懇願することもあった.この患者の作業療法を行う上で適切でないのはどれか. 
1.患者の退行的な言動を受け入れる.
2.作業療法以外の治療状況を把握する.
3.作業療法士の中に生じてくる感情を自覚する.
4.行動化による自己破壊的な結果を患者に説明する.
5.患者,作業療法士の双方が守るべき規則を明確にする.

解答

1.× 境界性パーソナリティ障害が疑われるので,退行的な言動を受け入れるのは不適切である.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


〈第50回 OT国試 午前14〉

次の文により14,15の問いに答えよ.20歳の女性.幼少時に両親が離婚した後,友人関係が不安定となりトラブルが絶えなかった.中学入学後から些細なことでリストカットするようになり,精神科を受診し,その後,入退院を繰り返していた.男女関係のもつれをきっかけに過量服薬し救急車で搬送された.入院後は,医療者に対して依存的だが要求が通らないと激しく責める状態である.最も考えられるのはどれか. 
1.身体表現性障害
2.気分変調性障害
3.統合失調感情障害
4.演技性パーソナリティ障害
5.境界性パーソナリティ障害

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.○ 友人関係が不安定であり自傷行為や物質依存,医療者への両価性がみられることから境界性パーソナリティ障害である.


〈第50回 OT国試 午前15〉

次の文により14,15の問いに答えよ.20歳の女性.幼少時に両親が離婚した後,友人関係が不安定となりトラブルが絶えなかった.中学入学後から些細なことでリストカットするようになり,精神科を受診し,その後,入退院を繰り返していた.男女関係のもつれをきっかけに過量服薬し救急車で搬送された.入院後は,医療者に対して依存的だが要求が通らないと激しく責める状態である.この患者に作業療法を導入する際の対応で適切なのはどれか. 
1.作業療法に参加する上での枠組みを明示する.
2.初回の面接で対人関係を中心に取り上げる.
3.患者からの面接の要求は満たすようにする.
4.攻撃的になる場合は担当者を交代する.
5.課題集団での協調行動を促す.

解答

1.○ 正しい.
2.× 初回の面接では対人関係を中心に取り上げない.
3.× 患者からの面接の要求を満たしてしまうのは不適切である.
4.× 攻撃的になる場合に担当者を交代するのは不適切である.
5.× 課題集団での協調行動を促すのは衝動性を促すことになり不適切である.


〈第57回 OT国試 午前13〉

22歳の女性.幼少期に両親と死別したが,祖父母の支援などで問題なく学校生活を過ごした.学業成績は良かったが,感情が不安定で自傷行為を繰り返し,精神科クリニックに通院しながら高校を卒業した.卒業後は事務職として就職したが,感情が不安定でしばしばトラブルを起こした.最近,些細なことで友人と喧嘩になり,激怒して大量服薬して入院となった.入院後,早期に作業療法が開始された.この患者にみられる特徴はどれか. 
1.完璧主義
2.作為体験
3.衝動行為
4.脱力発作
5.振戦せん妄

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.○ 些細なことで友人と喧嘩になり激怒して大量服薬していることから,境界性パーソナリティ障害の特徴としての感情の不安定や著しい衝動性を示している.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


〈第46回 OT国試 午後15〉

次の文により15,16の問いに答えよ.25歳の女性.対人関係が不安定で,母親に甘えたかと思うと急に怒り出すなど,感情が変わりやすく,時に激しく落ち込むことが多かった.漠然とした不安感を訴え,自傷行為を繰り返すため精神科外来を受診し,入院することとなった.この患者にみられやすいのはどれか. 
1.空虚感
2.躁状態
3.思考制止
4.離脱症状
5.広場恐怖

解答

1.○ 境界性パーソナリティ障害が疑われるので空虚感がみられやすい.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


〈第46回 OT国試 午後16〉

次の文により15,16の問いに答えよ.25歳の女性.対人関係が不安定で,母親に甘えたかと思うと急に怒り出すなど,感情が変わりやすく,時に激しく落ち込むことが多かった.漠然とした不安感を訴え,自傷行為を繰り返すため精神科外来を受診し,入院することとなった.入院後2週経過し作業療法が開始された.この患者の作業療法導入時の対応で適切でないのはどれか. 
1.特定の相談相手を決める.
2.作業療法の目標を話し合う.
3.チームで一貫した対応を行う.
4.集団プログラムへの参加を促す.
5.実施頻度と時間を明確に決める.

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.× 導入時はパラレルグループでの個人作業を促す.
5.○ 正しい.


〈第56回 OT国試 午前18〉

45歳の女性.20歳前後から,心理的負荷がかかるとリストカットを行うようになり縫合を必要とすることが多かった.また,自分の思い通りにいかないと易怒的となり,周囲に暴言を吐くこともあった.25歳時に精神科を初めて受診し,以後,過量服薬時に数回の入院歴があるが,現在は調理の仕事に就いて3年目となる.最近,職場の人間関係で正論を吐きすぎて孤立し,結果として焦燥感が強まり,主治医の勧めで仕事のシフトのない平日の日中に外来作業療法を開始することになった.この時点で作業療法士の関りとして最も適切なのはどれか. 
1.転職を勧める.
2.主治医に入院処遇を依頼する.
3.チームでの統一した対応をこころがける.
4.行動化に対しては心的距離を縮めて対応する.
5.本人の希望に応じて日々臨機応変に対応する.

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.○ 現実的な枠組みで一貫した対応が必要である.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


〈第49回 OT国試 午後19〉

次の文により19,20の問いに答えよ.26歳の女性.異性問題でリストカットを繰り返し入院となった.その後も病棟看護師に甘えたかと思えば暴言を吐く状態が続いている.入院後2週が経過して作業療法が処方された.この患者にみられやすいのはどれか. 
1.心気症
2.注意障害
3.強迫症状
4.させられ体験
5.見捨てられ恐怖

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.○ 境界性パーソナリティ障害が疑われるので見捨てられ恐怖がみられやすい.


〈第49回 OT国試 午後20〉

次の文により19,20の問いに答えよ.26歳の女性.異性問題でリストカットを繰り返し入院となった.その後も病棟看護師に甘えたかと思えば暴言を吐く状態が続いている.入院後2週が経過して作業療法が処方された.この患者への対応として適切なのはどれか. 
1.集団プログラムへの参加を優先する.
2.自分で考えて行動するよう働きかける.
3.逸脱行動にはすぐに介入せず様子を見る.
4.患者の希望に応じてプログラムを柔軟に変更する.
5.作業療法士を攻撃する言動が生じたら担当を変更する.

解答

1.× パラレルグループでの個人作業を優先する.
2.○ 正しい.
3.× 逸脱行動にはすぐに介入する.
4.× 患者の希望に応じてプログラムを柔軟に変更するのは不適切である.
5.× 作業療法士を攻撃する言動が生じたら担当を変更するのは不適切である.


〈第56回 OT国試 午前45〉

境界性パーソナリティ障害患者の作業療法について正しいのはどれか. 
1.退行を許容する.
2.逸脱行動は静観する.
3.自力で達成できるような作業を行わせる.
4.作業より面談などの言語的関りを中心とする.
5.取り決め事項の変更について患者の要求のまま応じる.

解答

1.× 退行は許容しない.
2.× 現実的な枠組みで一貫した対応が必要である.
3.○ 正しい.
4.× 枠組みのある作業が有効である.
5.× 治療構造や約束を遵守させる.


〈第53回 OT国試 午前19〉

26歳の女性.衝動的な浪費や奔放な異性交遊の後に抑うつ状態となり,リストカットを繰り返していた.常に感情が不安定で,空虚感や見捨てられることへの不安を訴える.職場での対人関係の悪化をきっかけに自殺企図が認められたため入院となった.この患者に対する作業療法で適切なのはどれか. 
1.患者の申し出に応じて面接を行う.
2.初回面接で自殺企図について話し合う.
3.攻撃性がみられた場合には治療者を替える.
4.患者の希望に合わせてプログラムを変更する.
5.治療目標や治療上の契約を繰り返し確認する.

解答

1.× 患者の申し出に応じて面接を行うのは不適切である.
2.× 初回面接で自殺企図について話し合うのは不適切である.
3.× 攻撃性がみられた場合には治療者を替えるのは不適切である.
4.× 患者の希望に合わせてプログラムを変更するのは不適切である.
5.○ 正しい.


〈第51回 OT国試 午前16〉

37歳の女性.境界性パーソナリティ障害.高校卒業後,アルバイトをしていたが,気に入らないことがあると急に家出することを繰り返すため仕事は長続きしなかった.薬物療法と同時に外来作業療法が開始となった.作業療法の目的で適切なものはどれか.2つ選べ. 
1.居場所をつくる.
2.情緒の安定を図る.
3.治療者への依存を促す.
4.衝動性の行動化を促す.
5.治療者への理想化を促す.

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.× 治療者への依存を促すのは不適切である.
4.× 衝動性の行動化を促すのは不適切である.
5.× 治療者への理想化を促すのは不適切である.


〈第59回 OT国試 午前18〉

51歳の男性.境界性パーソナリティ障害.見捨てられ不安が強く,職場や家庭での対人関係が不安定であった.ストレスが強くなると自傷行為や暴力行為を繰り返し,ストレスが軽減すると精神科デイケアに安定して通所した.母親がデイケア担当の作業療法士に患者対応のアドバイスを求めた.母親への助言・指導で適切でないのはどれか. 
1.家族会に関する情報提供を行う.
2.家族自身の時間を確保する意義を伝える.
3.患者の言動には一喜一憂しないように伝える.
4.自傷行為の予防のために常時監視するように促す.
5.家族への暴力行為があるときはその場を離れるように助言する.

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.× 自傷行為には注目しないように伝える.
5.○ 正しい.


〈第47回 OT国試 午前16〉

次の文により16,17の問いに答えよ.26歳の女性.感情が不安定でリストカットを繰り返している.これまでいくつも職歴があるが,いずれも対人的なトラブルが原因で辞めている.大量服薬をしたため精神科病院に入院となった.この患者に対する作業療法で適切なのはどれか. 
1.実施時間を明確に決める.
2.特定の担当者を決めない.
3.集団で協力する活動を導入する.
4.目標は複数回参加した後で決める.
5.実施頻度は本人の要求に応じて変更する.

解答

1.○ 正しい.
2.× 特定の担当者を決めて一定の枠組みで実施する.
3.× パラレルグループでの個人活動を導入する.
4.× 目標は初回時に具体的に決める.
5.× 実施頻度を本人の要求に応じて変更するのは不適切である.


〈第47回 OT国試 午前17〉

次の文により16,17の問いに答えよ.26歳の女性.感情が不安定でリストカットを繰り返している.これまでいくつも職歴があるが,いずれも対人的なトラブルが原因で辞めている.大量服薬をしたため精神科病院に入院となった.作業療法士の対応で適切でないのはどれか. 
1.有能感を満たす.
2.判断を引き受ける.
3.心理的距離を保つ.
4.現実検討の機会を作る.
5.衝動の統制を手助けする.

解答

1.○ 正しい.
2.× 判断を引き受けるのは不適切である.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


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