第6章 内部障害作業療法学 01)呼吸障害 ④慢性閉塞性肺疾患

〈第59回 OT国試 午後10〉

72歳の男性.在宅酸素療法中.呼吸困難が増悪したため入院し,作業療法が開始された.開始時の胸部CTを示す.mMRCはGrade4であり,酸素流量は安静時3L/分,労作時5L/分であった.この患者の日常生活指導で最も優先されるのはどれか. 

1.口すぼめ呼吸を指導する.
2.更衣動作は素早く行わせる.
3.呼吸困難時には深呼吸を促す.
4.立ち上がってすぐに移動する.
5.短時間で動作を区切って休憩する.

解答

1.× 拘束性肺疾患が疑われるので口すぼめ呼吸は適応とならない.
2.× 更衣動作はゆっくり行わせる.
3.× 呼吸困難時にはゆっくりとした呼吸を促す.
4.× 立ち上がって呼吸を整えてから移動する.
5.○ 正しい.


〈第58回 OT国試 午前9〉

70歳の男性.診断名はCOPD.mMRC息切れスケールはグレード4,画像所見では肺の過膨張が指摘されている.在宅酸素療法が導入されていたが,感冒を契機に入院し,入院1週後に作業療法が開始となった.酸素安静時1L/分,労作時2L/分で,開始時(安静時)のバイタルサインは心拍数86/分,呼吸数22/分,SpO₂94%,修正Borg Scale2であった.作業療法で最も適切なのはどれか. 
1.食事は一度に多めに摂取するように指導する.
2.IADL指導はパンフレットのみで行う.
3.心拍数が110/分になったら中止する.
4.ADL訓練はSpO₂85%以上で行う.
5.洗体動作は呼気に合わせて行う.

解答

1.× 食事は複数回に分けて摂取するように指導する.
2.× IADL指導は実際に実施する.
3.× 心拍数が120/分になったら中止する.
4.× ADL訓練はSpO₂90%以上で行う.
5.○ 正しい.


〈第53回 OT国試 午前37〉

慢性閉塞性肺疾患の患者に対する指導として正しいのはどれか. 
1.低脂肪食が良い.
2.下肢の運動を行う.
3.洗髪動作は両手で行う.
4.発症後は禁煙の必要はない.
5.インフルエンザワクチンは勧めない.

解答

1.× 高脂肪食が良い.
2.○ 正しい.
3.× 洗髪動作を両手で行うと呼吸困難感を誘発しやすいため片手で行うよう指導する.
4.× 慢性閉塞性肺疾患発症後は禁煙を推奨する.
5.× 重症化を予防するためインフルエンザワクチン接種を推奨する.


〈第45回 OT国試 午前36〉

慢性閉塞性肺疾患に対する指導で正しいのはどれか. 
1.呼気よりも吸気に時間をかける.
2.両上肢を挙上して呼吸を促通させる.
3.動作中に息こらえをして換気量を増大する.
4.ろうそく吹きによって肺胞内の空気を効率的に吐く.
5.作業中は胸式呼吸パターンが維持できるようにする.

解答

1.× 吸気よりも呼気に時間をかけるよう指導する.
2.× 両上肢挙上すると呼吸困難感を誘発しやすいため避けるよう指導する.
3.× 動作中は息を吐きながら行うよう指導する.
4.○ 正しい.
5.× 作業中は腹式呼吸パターンが維持できるよう指導する.


〈第54回 OT国試 午後36〉

慢性閉塞性肺疾患患者のADLで息切れを軽減させるための指導として適切なのはどれか. 
1.洗髪は両手で行う.
2.靴下の着脱は床に座り行う.
3.ズボンの着脱は立位で行う.
4.和式トイレを洋式トイレに変更する.
5.前開きシャツをかぶり型シャツに変更する.

解答

1.× 洗髪動作を両手で行うと呼吸困難感を誘発しやすいため片手で行うよう指導する.
2.× 靴下の着脱は椅子座位で開排位に足を組んで行う.
3.× ズボンの着脱は椅子座位で行う.
4.○ 正しい.
5.× 上肢挙上を避けるため,かぶり型シャツを前開きシャツに変更する.


〈第49回 OT国試 午後31〉

慢性閉塞性肺疾患の患者に対するADL・IADLの指導で適切でないのはどれか. 
1.歩行:歩行開始前に呼気をし,吸気と同時に歩行を開始する.
2.更衣:椅子座位で開排位に足を組み靴下を着脱する.
3.洗濯:胸の高さに洗濯物を干す.
4.洗体:長めのタオルを使用する.
5.食事:軽い食器を使用する.

解答

1.× 歩行:歩行開始前に吸気をし,呼気と同時に歩行を開始する.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


〈第48回 OT国試 午後35〉

呼吸器疾患患者へのADL指導で正しいのはどれか. 
1.食事動作:食事台を高くする.
2.歯磨き動作:肩関節外転位の姿勢を保つ.
3.上衣の更衣動作:前開きよりもかぶり型の衣服を選択する.
4.下肢の洗体動作:長柄のブラシを使用する.
5.洗髪動作:前かがみで洗う.

解答

1.× 食事動作:食事台を高くすると上肢の挙上が大きくなり,呼吸運動に負担をかけるため適切でない.
2.× 歯磨き動作:肩関節外転位の姿勢を保つと肩甲帯の筋活動が高まるため適切でない.
3.× 上衣の更衣動作:かぶり型よりも前開きの衣服を選択する.
4.○ 正しい.
5.× 洗髪動作:前かがみで洗うと横隔膜運動を制限するため適切でない.


〈第47回 OT国試 午後36〉

慢性呼吸不全患者の在宅ADL・IADL指導で適切なのはどれか.2つ選べ. 
1.整髪は,両手で結う.
2.洗髪では,吸気のときに洗う.
3.上衣は,前開き服を選択する.
4.排便では,息を止めて腹圧をかける.
5.物干しは,さおを肩の高さに下ろして洗濯物をかける.

解答

1.× 整髪は両手で行うと呼吸困難感を誘発しやすいため片手で結うよう指導する.
2.× 洗髪は呼気のときに洗うよう指導する.
3.○ 正しい.
4.× 排便では,呼気にあわせてゆっくりと腹圧をかけるよう指導する.
5.○ 正しい.


〈第42回 OT国試 午前67〉

在宅酸素療法が導入された慢性呼吸不全患者の生活指導で正しいのはどれか.2つ選べ. 
1.洗髪は,座位で両上肢によって行う.
2.更衣は,立位でかぶり型上衣で行う.
3.洗顔は,座位で息を吐きながら行う.
4.用便は,息を吐きながら腹圧をかけて行う.
5.歩行は,背筋を反らせて大きく息を吸いながら行う.

解答

1.× 洗髪は,座位で両上肢によって行うと呼吸困難感を誘発しやすいため片手で行うよう指導する.
2.× 更衣は,座位で前開き型上衣で行うよう指導する.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.× 歩行は,息を吐きながら行うよう指導する.


〈第56回 OT国試 午後2〉

60歳の男性.COPDが進行し在宅酸素療法が導入された.酸素流量は労作時2L/分である.入浴動作の指導で正しいのはどれか. 
1.洗髪を片手で行う.
2.動作を素早く行う.
3.浴槽に肩まで浸かる.
4.洗い場の椅子の座面を低くする.
5.入浴中は経鼻カニューレを外す.

解答

1.○ 正しい.
2.× 呼吸運動を促進しないよう素早い動作は控える.
3.× 半身浴を勧める.
4.× 体幹前屈による呼吸運動を妨げないよう椅子の座面を高くする.
5.× 在宅酸素療養では入浴中も経鼻カニューレを装着する.


〈第46回 OT国試 午前33〉

慢性閉塞性肺疾患患者の入浴指導で適切なのはどれか. 
1.両手で髪を洗う.
2.上肢は素早く洗う.
3.長い洗体タオルを使う.
4.座面の低い椅子に腰掛ける.
5.洗面器は床に置いて使用する.

解答

1.× 両手で髪を洗うと呼吸困難感を誘発しやすいため片手で行うよう指導する.
2.× 上肢はゆったりとした速さで洗うよう指導する.
3.○ 正しい.
4.× 体幹前屈による呼吸運動を妨げないよう高めの椅子を勧める.
5.× 洗面器を床に置いて使用すると体幹前屈となり呼吸運動を妨げるため避けるよう指導する.


〈第52回 OT国試 午後10〉

68歳の男性.慢性呼吸器疾患.「最近,入浴すると息切れがする」との訴えがある.入浴指導として正しいのはどれか. 
1.片手で髪を洗う.
2.首まで湯につかる.
3.短いタオルで背中を洗う.
4.吸気に合わせて動作を行う.
5.長座位で膝を立てて足を洗う.

解答

1.○ 正しい.
2.× 半身浴を勧める.
3.× 長いタオルで背中を洗うよう指導する.
4.× 呼気に合わせて動作を行うよう指導する.
5.× 座位で開排位に足を組み足を洗うよう指導する.


〈第44回 OT国試 午前62〉

慢性呼吸不全患者が呼吸困難感を誘発しやすいのはどれか. 
1.両手での洗髪
2.パソコンの操作
3.胸部までの半身浴
4.前開きシャツの着衣
5.椅子からの立ち上がり

解答

1.○ 両手で洗髪すると呼吸困難感を誘発しやすいため片手で行うよう指導する.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


〈第43回 OT国試 午前70〉

在宅酸素療法中の患者にとって自宅内の活動で血中の酸素飽和度が下がりにくいのはどれか. 
1.和式便器での排便
2.かぶりシャツの着脱
3.自力での洗体
4.自力での洗髪
5.臍までの半身浴

解答

1.× 和式便器での排便は,前かがみとなり呼吸運動を妨げるため酸素飽和度が下がりやすい.
2.× かぶりシャツの着脱は,首を通すときに前かがみとなり呼吸運動を妨げるため酸素飽和度が下がりやすい.
3.× 上肢の使用により呼吸補助筋群の作用を妨げるため酸素飽和度が下がりやすい.
4.× 上肢の使用により呼吸補助筋群の作用を妨げるため酸素飽和度が下がりやすい.
5.○ 正しい.


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