第5章 発達障害作業療法学 02)脳性麻痺 ②痙直型両麻痺児

〈第52回 OT国試 午前9〉

図は痙直型両麻痺を示す脳性麻痺児(GMFCSレベルⅢ)の長座位姿勢である.後方に倒れるのを防ぐため上体を起こそうと全身の筋緊張を強め努力している.その際に上肢に起こる連合反応として適切なのはどれか. 

1.肩甲骨の挙上
2.肩関節の外転
3.肘関節の伸展
4.前腕の回外
5.手関節の背屈

解答

1.○ 正しい.
2.× 上肢に起こる連合反応として肩関節の内転がみられる.
3.× 上肢に起こる連合反応として肘関節の屈曲がみられる.
4.× 上肢に起こる連合反応として前腕の回内がみられる.
5.× 上肢に起こる連合反応として手関節の掌屈がみられる.


〈第53回 OT国試 午前9〉

7歳の男児.脳性麻痺の痙直型両麻痺.GMFCSレベルⅢ.床上を前方へ移動する様子を示す.考えられる状態はどれか. 

1.頭部保持能力の低下
2.両側上肢の支持能力の低下
3.下部体幹の支持能力の低下
4.両側肩甲帯周囲筋の筋緊張低下
5.左右股関節の交互分離運動能力の低下

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.○ 両下肢を同時に屈曲していることから,左右股関節の交互分離運動能力の低下が考えられる.


〈第50回 OT国試 午後1〉

はさみ状肢位(scissors position)を示す痙直型両麻痺児の股関節を他動的に外転した姿勢を図に示す.図1と図2のように股関節外転角度が異なるときに影響した筋はどれか. 

1.薄筋
2.大内転筋
3.短内転筋
4.長内転筋
5.大腿筋膜張筋

解答

1.○ 股関節外転を制限する二関節筋は薄筋である.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


〈第43回 OT国試 午前21〉

6歳の女児.痙直型両麻痺.座位保持は可能.食事動作の介助で適切でないのはどれか. 

1.1
2.2
3.3
4.4
5.5

解答

1.○ 正しい.
2.× 後頭部への刺激により頸部体幹伸展と肩甲帯・上肢の後退を誘発しているため適切な食事介助でない.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


〈第51回 OT国試 午後10〉

次の文により10,11の問いに答えよ.5歳の男児.脳性麻痺.麻痺のタイプは痙直型両麻痺であり,図のように両手支持なしで座ることができる.この児で予想される所見はどれか.

1.鉛管様現象陽性
2.膝蓋腱反射減弱
3.Galant反射陽性
4.足クローヌス陽性
5.非対称性緊張性頸反射陰性

解答

1.× 痙直型両麻痺で鉛管様現象はみられない.
2.× 痙直型両麻痺では膝蓋腱反射亢進する.
3.× Galant反射の影響はみられない.
4.○ 正しい.
5.× 非対称性緊張性頸反射は陽性である.


〈第51回 OT国試 午後11〉

次の文により10,11の問いに答えよ.5歳の男児.脳性麻痺.麻痺のタイプは痙直型両麻痺であり,図のように両手支持なしで座ることができる.この児で骨盤後傾を修正し,座位姿勢の改善を図るために最もストレッチが必要な筋はどれか. 

1.ハムストリングス
2.大腿筋膜張筋
3.大腿直筋
4.前脛骨筋
5.薄筋

解答

1.○ 骨盤後傾を修正し,座位姿勢の改善を図るためにはハムストリングスのストレッチが必要である.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


〈第49回 OT国試 午後11〉

次の文により11,12の問いに答えよ.2歳6か月の男児.痙直型両麻痺の脳性麻痺.頭部のコントロールは良好である.割り座をとらせると上肢で支えて数十秒座れるが長座位では後方に倒れてしまう.通常の幼児椅子では不安定で座位保持不能である.自力では寝返りで短い距離を移動することができる.この患児のGMFCS(growth motor function classification system)におけるレベルはどれか. 
1.Ⅰ
2.Ⅱ
3.Ⅲ
4.Ⅳ
5.Ⅴ

解答

1.× GMFCSⅠ(2~4歳):両手を支持に使うことなしに床上に座り,物を操作する.
2.× GMFCSⅡ(2~4歳):床上に座るがバランス保持は困難で,四つ這い(交互性)や伝い歩き,歩行補助具を使用した歩行で移動する.
3.× GMFCSⅢ(2~4歳):割り座で床上座位を保持,肘這いか四つ這い(非交互性),短い距離であれば伝い歩きす移動する.
4.× GMFCSⅣ(2~4歳):姿勢をとってやれば床上で座るが,手の支持が必要で,短距離は寝返り,肘這いまたは四つ這い(非交互性)で移動する.
5.× GMFCSⅤ(2~4歳):全ての領域にわたる運動能力が制限され,手動車椅子で移送される.


〈第49回 OT国試 午後12〉

次の文により11,12の問いに答えよ.2歳6か月の男児.痙直型両麻痺の脳性麻痺.頭部のコントロールは良好である.割り座をとらせると上肢で支えて数十秒座れるが長座位では後方に倒れてしまう.通常の幼児椅子では不安定で座位保持不能である.自力では寝返りで短い距離を移動することができる.この患児用の座位保持装置に必要なのはどれか. 
1.リクライニング機構
2.ティルティング機構
3.モールド型シート
4.ヘッドレスト
5.肩ベルト

解答

1.× 割り座をとらせると上肢で支えて数十秒座れるため,リクライニング機構は必要ない.
2.× 割り座をとらせると上肢で支えて数十秒座れるためティルティング機構は必要ない.
3.○ 正しい.
4.× 頭部のコントロールは良好であるためヘッドレストは必要ない.
5.× 頭部のコントロールは良好であるため肩ベルトは必要ない.


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