第4章 運動器障害作業療法学 07)末梢神経損傷 ①腕神経叢麻痺

〈第56回 OT国試 午前36〉

腕神経叢損傷について正しいのはどれか 
1.上腕骨骨頭の下方偏位が出現する.
2.分娩麻痺は腕神経叢損傷ではない.
3.上位型は前腕の回外が可能である.
4.下位型の麻痺では手指の運動障害はない.
5.近位引き抜き損傷では交感神経機能障害がある.

解答

1.○ 腕神経叢損傷では肩関節周囲の筋力低下が生じ,上腕骨骨頭の下方偏位が出現する可能性がある.
2.× 分娩麻痺は腕神経叢損傷である.
3.× 上位型はC5・6(7)の麻痺のため,前腕回外の障害が生じる.
4.× 下位型はC8・T1の麻痺のため,手指の運動障害が生じる.
5.× 遠位引き抜き損傷では交感神経機能障害がある.


〈第44回 OT国試 午前14〉

腕神経叢の損傷部位を図に示す.臨床所見はどれか.2つ選べ. 

1.三角筋筋力低下
2.上腕二頭筋筋力低下
3.腕橈骨筋筋力低下
4.前腕橈側感覚鈍麻
5.中指感覚鈍麻

解答

1.× 腋窩神経は後神経束からおこるため,三角筋筋力低下はみられない.
2.○ 筋皮神経は外側神経束から出るため上腕二頭筋筋力低下が生じる.
3.× 橈骨神経は後神経束からおこるため腕橈骨筋筋力低下はみられない.
4.○ 外側前腕皮神経は外側神経束から出る筋皮神経の皮枝であるため,前腕橈側感覚鈍麻が生じる.
5.× 中指の背側は橈骨神経,掌側は正中神経(C7)支配であるため,上神経幹(C5・6)からなる外側神経束の障害で感覚鈍麻はみられない.


〈第53回 OT国試 午前8〉

図のような腕神経叢損傷で障害される動きはどれか. 

1.肩甲帯の挙上
2.肘関節の屈曲
3.手関節の背屈
4.肩関節の外転
5.肩関節の水平伸展

解答

1.× 誤り.
2.○ 筋皮神経は外側神経束から出るため肘関節の屈曲が障害される.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


〈第42回 OT国試 午前59〉

腕神経叢麻痺全型損傷(完全麻痺)に対する肋間神経の筋皮神経移行術後における作業療法で誤っているのはどれか. 
1.術直後から肩関節をゼロポジションに保つ.
2.拘縮予防のための手スプリントを作製する.
3.呼吸に合わせて,肘関節の屈曲訓練を行う.
4.入浴時に肘関節の屈曲伸展運動を指導する.
5.腋窩(上腕と体幹)で物をはさむ訓練を行う.

解答

1.× 神経移行術後は肩関節外転位に保つ.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


Back | 【第4章 運動器障害作業療法学 目次】 | Next