第3章 脊髄損傷作業療法学 04)第6頸髄損傷 ①残存機能

〈第57回 OT国試 午前12〉

26歳の男性.C6レベルの頸髄損傷完全麻痺.仕事中の事故により受傷し入院.翌日からリハビリテーションが開始され継続している.受傷後1か月での徒手筋力テストの結果を表に示す.受傷後2か月で到達可能と予測される動作はどれか. 

1.更衣
2.自己導尿
3.プッシュアップ
4.万能カフを用いた食事
5.ベッドから車椅子への移乗

解答

1.× 更衣はC6機能残存レベルで獲得可能動作であるが受傷後2か月では困難である.
2.× 自己導尿はC6機能残存レベルで獲得可能動作であるが受傷後2か月では困難である.
3.× プッシュアップはC6機能残存レベルで獲得可能動作であるが受傷後2か月では困難である.
4.○ 正しい.
5.× ベッドから車椅子への移乗はC6機能残存レベルで獲得可能動作であるが受傷後2か月では困難である.


〈第54回 OT国試 午前7〉

20歳の男性.頸髄完全損傷.受傷3週後のDanielsらの徒手筋力テストにおける上肢の評価結果を示す.この患者が獲得する可能性の最も高いADLはどれか. 

1.床から車椅子へ移乗する.
2.10cmの段差をキャスター上げをして昇る.
3.ベッド上背臥位からベッド柵を使用せずに寝返る.
4.ベッド端坐位のプッシュアップで20cm殿部を持ち上げる.
5.車椅子上,体幹前屈位からアームサポートに手をついて上半身を起こす.

解答

1.× C8機能残存より下位で床から車椅子へ移乗する.
2.× C6機能残存では3cmの段差をキャスター上げして昇る.
3.○ 正しい.
4.× C6機能残存ではベッド端坐位のプッシュアップで数cm殿部を持ち上げる.
5.× C7機能残存より下位で車椅子上,体幹前屈位からアームサポートに手をついて上半身を起せる.


〈第42回 OT国試 午前53〉

脊髄損傷(第6頸髄節まで機能残存)の女性患者で,自立が最も難しいと考えられるのはどれか. 
1.手すりを使用して起き上がる.
2.ベッド上でズボンをはく.
3.車椅子上でループ付き靴下をはく.
4.車椅子上で自己導尿を行う.
5.トランスファーボードを使用して車に移乗する.

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.× 車椅子上で自己導尿が可能なのは男性のC6機能残存である.
5.○ 正しい.


〈第41回 OT国試 午前16〉

頸髄損傷患者に紙を押さえるよう指示したところの写真を示す.この代償動作の原因となった麻痺筋はどれか. 

1.三角筋前部
2.広背筋
3.大胸筋
4.上腕三頭筋
5.橈側手根伸筋

解答

1.× C6機能残存レベルでは三角筋前部は作用している.
2.× C6機能残存レベルでは広背筋は一部作用している.
3.× C6機能残存レベルでは大胸筋は一部作用している.
4.○ 正しい.
5.× C6機能残存レベルでは橈側手根伸筋は作用している.


〈第55回 OT国試 午前6〉

30歳の男性.頸髄損傷完全麻痺(第6頸髄まで機能残存).上腕三頭筋の筋力検査を行う場面を図に示す.代償運動が出現しないように作業療法士が最も抑制すべき運動はどれか. 

1.体幹屈曲
2.肩関節屈曲
3.肩関節外転
4.肩関節外旋
5.前腕回内

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.○ 上腕三頭筋の代償運動は,肩関節外旋と肩甲帯水平内転である.
5.× 誤り.


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