第2章 神経筋障害作業療法学 03)筋萎縮性側索硬化症(ALS) ②作業療法

〈第45回 OT国試 午後35〉

筋萎縮性側索硬化症で正しいのはどれか.2つ選べ. 
1.うつ症状はまれである.
2.眼球運動が障害されやすい.
3.食事動作にBFOが用いられる.
4.漸増抵抗訓練によって筋力を維持する.
5.食塊の咽頭への送り込みが障害されやすい.

解答

1.× うつ症状はまれでない.
2.× 眼球運動は障害されにくい.
3.○ 正しい.
4.× 漸増抵抗訓練は過負荷のため禁忌である.
5.○ 正しい.


〈第44回 OT国試 午前52〉

筋萎縮性側索硬化症患者に必要でないのはどれか. 
1.自己導尿セット
2.手関節固定装具
3.頭部懸垂型保持装具
4.ベルクロファスナー付き衣服
5.ポータブルスプリングバランサー(PSB)

解答

1.× 膀胱直腸障害はみられないため自己導尿セットは必要無ない.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


〈第41回 OT国試 午前52〉

筋萎縮性側索硬化症患者の食事で適切でないのはどれか. 
1.汁物にはとろみをつける.
2.煮魚の骨はあらかじめ外しておく.
3.皿にフードガードを付けてすくいやすくする.
4.歓談は避けて食事に集中させる.
5.頭頸部伸展位にして嚥下しやすくする.

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.× 頭頸部屈曲位にして嚥下しやすくする.


〈第51回 OT国試 午後9〉

在宅療養中のALS患者.筋力は頸部体幹四肢MMT1である.関節拘縮はない.ベッド,車椅子移乗にリフトを導入することとなった.この患者に適した吊り具はどれか. 

1.1
2.2
3.3
4.4
5.5

解答

1.× 誤り.
2.○ 頸部体幹全体を支えられる吊り具が適している.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


〈第49回 OT国試 午後34〉

終末期の筋萎縮性側索硬化症の患者が環境制御装置を使用する際に最も適しているのはどれか. 
1.眼瞼
2.口唇
3.呼気
4.舌
5.顎

解答

1.○ 正しい.
2.× 終末期のため口唇は動かない.
3.× 終末期のため呼吸筋麻痺がある.
4.× 終末期のため舌は動かない.
5.× 終末期のため顎は動かない.


〈第53回 OT国試 午前13〉

55歳の男性.2年前に筋萎縮性側索硬化症と診断された.2か月前に誤嚥性肺炎を起こして入院した.肺炎改善後,胃瘻が造設された.構音障害が重度で,発音は母音のみ可能,発声持続時間は8秒.湿性嗄声はない.唾液の空嚥下は可能である.上肢の筋力はMMTで4レベルであるが,体幹および下肢の筋力は3.歩行のFIMは1,移乗のFIMは6及びトイレ動作のFIMは6であった.自宅退院を計画している.この患者に対する対応で正しいのはどれか. 
1.食事を常食で再開する.
2.エアマットの使用を勧める.
3.透明文字盤の使用を勧める.
4.ポータブルトイレの使用を勧める.
5.チンコントロール電動車椅子を導入する.

解答

1.× 誤嚥性肺炎で入院したため食事の再開は見送る.
2.× 筋力が3以上なので体動が可能でありエアマットの使用はまだ必要ない.
3.× 発音は母音のみであるが可能なので音声でのコミュニケーションを勧める.
4.○ 正しい.
5.× 上肢筋力は4レベルあるため自走式またはジョイスティック型電動車椅子を導入する.


〈第47回 OT国試 午前12〉

55歳の女性.筋萎縮性側索硬化症.発症後5年経過し,在宅療養中.現在,座位時間は1日4~5時間.錐体路徴候を認め,室内では車椅子での移動はかろうじて可能だが,患者の話す声はようやく聞き取れる程度である.夫と息子は,自宅で自営業を営んでいるため,仕事の忙しい時間帯の家事はヘルパーを頼んでいる.この患者の日常生活の支援で適切でないのはどれか. 
1.コミュニケーション障害に備えて透明文字盤の導入を検討する.
2.下肢の痙縮を利用して,ツイスターで移動動作の介助を楽にする.
3.ベッド柵に鏡を取り付けて,入ってくる人が見えるようにする.
4.環境制御装置の導入を検討する.
5.介護者に連絡するための緊急連絡手段を検討する.

解答

1.○ 正しい.
2.× 移乗リフトなどの機器を導入して移動動作の介助を楽にする.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


〈第49回 OT国試 午前11〉

40歳の女性.筋萎縮性側索硬化症.上肢筋力はMMTで近位筋4,遠位筋3である.下肢は内反尖足位であるが歩行可能.最近,手指の疲労があり食事がしにくくなったと訴えている.この患者の食事での対応で適切なのはどれか. 
1.吸口付コップを用いる.
2.食事支援ロボットを用いる.
3.ユニバーサルカフを用いる.
4.食器をターンテーブルに置く.
5.ポータブルスプリングバランサーを用いる.

解答

1.× 吸口付コップは誤嚥を招くため適切でない.
2.× 上肢筋力は近位筋4,遠位筋3あるため上肢装具や自助具を工夫する.
3.○ 正しい.
4.× 食器は滑らないようにゴムマットなどを用いる.
5.× 上肢の近位筋力は4あるためポータブルスプリングバランサーはまだ必要ない.


〈第48回 OT国試 午前10〉

45歳の女性.2~3年前から上肢の筋力低下の進行と嚥下障害が認められ,筋萎縮性側索硬化症と診断された.現在,上肢の筋力はMMTで肩関節周囲2-,手指筋2,頸部・体幹筋と下肢は3.移動は車椅子介助,車椅子への移乗も軽介助を必要とする.食事はポータブルスプリングバランサーを使用して自立しており,その他のADLは全介助となっている.発声によるコミュニケーションは可能だが,呼吸機能は徐々に低下している.この患者に今後導入が予想されるコミュニケーション機器はどれか.2つ選べ. 

1.1
2.2
3.3
4.4
5.5

解答

1.× 電気式人工喉頭は喉頭全摘出患者に用いる.
2.× メガフォンは軽度難聴者に用いる.
3.○ 透明文字盤は今後導入が予想されるコミュニケーション機器である.
4.× 障害者用電話は今後上肢が使えなくなるため適応とならない.
5.○ 眼瞼を用いた意思伝達装置は今後導入が予想されるコミュニケーション機器である.


〈第57回 OT国試 午前11〉

57歳の男性.筋萎縮性側索硬化症.発症後5年が経過.四肢と体幹に重度の運動麻痺を生じてベッド上の生活となり,ADLは全介助.球麻痺症状を認め,安静時も呼吸困難を自覚している.この患者がコミュニケーション機器を使用する際の入力手段として適切なのはどれか. 
1.舌
2.口唇
3.呼気
4.手指
5.外眼筋

解答

1.× 舌は動かせなくなるため入力手段として適さない.
2.× 口唇は動かせなくなるため入力手段として適さない.
3.× 呼気は呼吸筋麻痺になるため入力手段として適さない.
4.× 手指は動かせなくなるため入力手段として適さない.
5.○ 正しい.


〈第52回 OT国試 午後11〉

57歳の男性.筋萎縮性側索硬化症と診断されて3年が経過.四肢や体幹に運動麻痺を生じてベッド上の生活となりADLは全介助.さらに球麻痺症状を認め,安静時も呼吸困難を自覚する.この患者がコミュニケーション機器を使用する際の入力手段として適切なのはどれか. 
1.舌
2.手指
3.口唇
4.呼気
5.外眼筋

解答

1.× 舌は動かせなくなるため入力手段として適さない.
2.× 手指は動かせなくなるため入力手段として適さない.
3.× 口唇は動かせなくなるため入力手段として適さない.
4.× 呼気は呼吸筋麻痺になるため入力手段として適さない.
5.○ 正しい.


Back | 【第2章 神経筋障害作業療法学 目次】 | Next