〈第45回 OT国試 午前31〉
外傷性脳損傷後の障害と援助との組合せで正しいのはどれか.2つ選べ.
1.記憶障害 ――― 抽象的な情報の提供を多くする.
2.感情爆発 ――― 訓練環境では興奮させる刺激を除去する.
3.遂行機能障害 ――― 複雑な工程で新規の課題を繰り返す.
4.意欲・発動性の低下 ――― 意欲が回復するまで観察する.
5.欲求のコントロール低下 ――― 必要な具体的行動を本人・家族と共有する.
解答
1.× 記憶障害 ――― 工程を細かく区切り一つ一つ具体的に指示する.
2.○ 正しい.
3.× 遂行機能障害 ――― 単純な工程を何度も繰り返し行う.
4.× 意欲・発動性の低下 ――― 本人が興味をもつ課題を提供するなど意欲を引き出す.
5.○ 正しい.
〈第44回 OT国試 午前48〉
外傷性脳損傷後の障害と訓練・対応との組合せで適切なのはどれか.
1.記憶障害 ――― 作業工程が多い種目とする.
2.半側空間無視 ――― 無視側からの刺激を多くする.
3.注意障害 ――― 作業工程の展開を速くする.
4.遂行機能障害 ――― 毎回新しい作業活動を準備する.
5.社会的行動障害 ――― 新しい集団への参加を促す.
解答
1.× 記憶障害 ――― 作業工程が少ない種目とする.
2.○ 正しい.
3.× 注意障害 ――― 作業工程はゆっくり行い注意する箇所を何回もチェックする.
4.× 遂行機能障害 ――― 毎回繰り返しの多い作業活動を準備する.
5.× 社会的行動障害 ――― 小さな集団で繰り返し接する.
〈第55回 OT国試 午前11〉
51歳の男性.仕事中に3mの高さから転落し,外傷性脳損傷を生じ入院した.受傷2週後から作業療法を開始した.3か月が経過し運動麻痺はみられなかったが,日付がわからない,1日のスケジュールを理解できない,感情のコントロールが難しい,複雑な作業は混乱してしまうなどの状態が続いた.作業療法で適切なのはどれか.
1.静かな環境で行う.
2.新規課題を毎日与える.
3.複数の作業療法士で担当する.
4.不適切な言動には繰り返し注意する.
5.集団でのレクリエーション活動を導入する.
解答
1.○ 低刺激な環境下で注意・集中しやすい状況で実施する.
2.× 毎日同じ課題を繰り返す.
3.× 一人の作業療法士が担当する.
4.× 不適切な言動に対して繰り返しの注意は避ける.
5.× 集団でのレクリエーション活動を導入には時期尚早である.
〈第53回 OT国試 午後6〉
21歳の男性.交通事故によるびまん性軸索損傷を診断された.意識は清明で運動麻痺はない.新しい物事を覚えるのが困難で記憶の障害が顕著である.この患者に対する適切なアプローチはどれか.
1.毎日異なる課題を与える.
2.記憶の外的補助手段を使う.
3.試行錯誤が必要な課題を行う.
4.複数の学習課題を同時に行う.
5.日課は本人のペースで柔軟に変更する.
解答
1.× 毎日同じ課題を繰り返す.
2.○ 記憶の外的補助手段の利用は有効である.
3.× 単純な課題を行う.
4.× 学習課題は一つずつ行う.
5.× 日課はあらかじめ設定して行う.
〈第41回 OT国試 午前12〉
25歳の男性.事務職.外傷性脳損傷後5か月経過.明らかな麻痺はなく,いつも落ち着きなく動き回る.些細なことですぐに怒り出し,軽度の記銘力障害がある.作業療法の指導で正しいのはどれか.2つ選べ.
1.メモを利用する.
2.怒ったときは本人に詳しく理由を聞く.
3.慣れたことより目新しい課題を設定する.
4.定期的に受傷前の職場に通う.
5.作業工程を短く区切って指示する.
解答
1.○ 短期記憶・記銘力障害にはメモの利用やスケジュール表管理などの外部記憶補助具の利用が有効である.
2.× 怒ったときに詳しく理由を聞くと怒りを助長させるため避ける.
3.× 目新しいことより慣れた課題を設定する.
4.× 定期的に受傷前の職場に通うのは時期尚早である.
5.○ 軽度の記憶障害に対して作業工程を短く区切って指導することは有効である.
〈第54回 OT国試 午後11〉
30歳の男性.調理師.頭部外傷受傷後4か月が経過し,回復期リハビリテーション病棟に入院している.麻痺はないが,明らかな企図振戦がある.意識障害や著しい記銘力低下はないが,些細なことで怒り出す.作業をする場合にはすぐに注意がそれてしまい継続できず.口頭での促しが必要である.ADLは自立し,現職復帰を希望している.この時期の作業療法の指導で正しいのはどれか.
1.受傷前の職場を訪問させる.
2.包丁を用いた調理訓練をする.
3.作業の工程リストを作らせる.
4.訓練はラジオを聴かせながら行う.
5.怒り出したときには厳格に注意する.
解答
1.× 受傷前の職場を訪問することは時期尚早である.
2.× 企図振戦,注意障害があるため包丁を用いた調理訓練は適切でない.
3.○ 作業の工程リストを作ることは,遂行機能・注意障害へのアプローチ方法として適切である.
4.× ラジオを聴かせながら訓練を行うと,聴覚刺激により注意がそれるので適切でない.
5.× 怒り出したときには厳格に注意すると,怒りを助長してしまうので適切でない.
〈第54回 OT国試 午前17〉
35歳の男性.交通事故による外傷性能損傷で入院となった.受傷10日後から作業療法が開始された.運動麻痺や感覚障害はみられなかった.些細なことで怒りをあらわにし,作業療法中も大きな声をあげ,急に立ち上がってその場を去る,というような行動がしばしばみられた.患者はこの易怒性についてほとんど自覚しておらず病識はない.この患者の怒りへの対応で最も適切なのはどれか.
1.原因について自己洞察を促す.
2.感情をコントロールするよう指導する.
3.周囲に与える影響を書き出してもらう.
4.よく観察し誘発されるパターンを把握する.
5.脳損傷との関係について理解が得られるまで説明する.
解答
1.× 原因について自己洞察を促すことは困難である.
2.× 自覚がないため感情のコントロールは困難である.
3.× 自覚がないため周囲に与える影響を書き出すことは困難である.
4.○ 問題行動が誘発される原因を周囲が把握することは重要である.
5.× 病識がないため,脳損傷との関係について理解を得ることは難しい.
〈第57回 OT国試 午前8〉
25歳の女性.交通事故による外傷性脳損傷(右前頭葉).職場復帰を希望している.WAIS-Ⅲでは言語性IQが76,動作性IQが106,全検査IQが89.RBMTが19点,TMT-Aが81秒,TMT-Bが90秒,BADSが104点,FIMが120点.対人交流は良好である.2か月後の事務職への職場復帰を目的とした練習として適切なのはどれか,
1.電話の受付
2.企画書の作成
3.書類の片付け
4.会議の要約報告
5.金銭の会計処理
解答
1.× 言語性IQ低値から電話の受付は難しい.
2.× 言語性IQ低値から企画書の作成は難しい.
3.○ 動作性IQは問題ないので書類の片付けが適切である.
4.× 言語性IQ低値から会議の要約報告は難しい.
5.× 言語性IQ低値から金銭の会計処理は難しい.
〈第47回 OT国試 午後33〉
遂行機能障害のある頭部外傷患者がうまく日常生活を送るための補助手段でないのはどれか.
1.カレンダー
2.プリズム眼鏡
3.メモリーノート
4.アラーム付き時計
5.パーソナルコンピューター
解答
1.○ 正しい.
2.× プリズム眼鏡は半側空間無視の治療に用いる.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.
〈第41回 OT国試 午前50〉
外傷性脳損傷のADLの予後と関連しないのはどれか.
1.昏睡の期間
2.除皮質肢位の有無
3.外傷性健忘の期間
4.共同性注視障害の有無
5.半盲の有無
解答
1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.× 半盲は頸部の回旋などで代償可能であるため,ADLの予後と関連しない.
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