〈第53回 OT国試 午前23〉
回復期リハビリテーション病棟入院中の脳血管障害患者の在宅復帰支援において適切なのはどれか.
1.入院早期から家屋評価を行う.
2.介護保険を利用し,福祉用具をレンタルして外泊訓練を行う.
3.在宅ケアスタッフへの情報提供は,簡潔にするためになるべく略語を用いる.
4.訪問リハビリテーションスタッフに,病院で行っているリハビリテーション内容を継続するよう申し送る.
5.生活行為向上マネジメント〈MTDLP:management tool for daily life performance〉を用いて入院生活環境のアセスメントを行う.
解答
1.○ 正しい.
2.× 介護保険は入院中に利用できない.
3.× 在宅ケアスタッフへの情報提供は,略語は使用せずわかりやすく記述する.
4.× 訪問リハビリテーションは在宅で可能な内容を組み立てる.
5.× MTDLPは今後の在宅環境のアセスメントに使用する.
〈第55回 OT国試 午後12〉
87歳の男性.脳血管障害の後遺症により週1回の訪問作業療法を行っている.訪問時,85歳の妻が「家で介護することがつらい.疲れた」と暗い顔でため息をついている.訪問作業療法士の対応で正しいのはどれか.
1.妻に精神科の受診を勧める.
2.近隣の入所施設の空き情報を伝える.
3.患者へ妻に甘えすぎないように話す.
4.訪問介護事業所に利用開始を依頼する.
5.ケアマネージャーに妻の状況を報告する.
解答
1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.○ ケアマネージャーに報告し,サービス内容について再度検討する.
〈第55回 OT国試 午後13〉
46歳の男性.脳梗塞による右片麻痺.Brunnstrom 法ステージは上肢Ⅴ,手指Ⅴ,下肢Ⅴ.発症後7か月が経過し,認知機能はMMSEが24点,軽度の注意障害を認めている.既に退院し,父母と同居している.発症前は内装業に従事していたが,同職で復帰が困難であることから,就労移行支援による雇用を目指している.作業療法士が患者に実施する内容で正しいのはどれか.
1.就労準備は課題がなくなるまで続ける.
2.雇用されたら支援が終了となる.
3.実際の場面での職業評価を行う.
4.雇用条件通りの就業を目指す.
5.通勤は付き添いを前提とする.
解答
1.× 就労準備は課題がなくなるまで続けるのではなく,実際に働きながら働く力を身につけていく過程に重点をおく.
2.× 雇用後も働き続けることを支援する.
3.○ place - then - train (現場実践訓練)が有効である.
4.× 雇用条件通りではなく現状に合わせたを就業から始める.
5.× 通勤は付き添いを前提としない.
〈第49回 OT国試 午後5〉
70歳の男性.2年前に脳卒中による左片麻痺を発症した.Brunnstrom法ステージは上肢と手指はⅡで,下肢はⅢである.左半側空間無視を認める.FIMでは,セルフケアの6項目と移乗の3項目は4点で,車椅子での移動項目は3点である.自宅でのリハビリテーションに際し優先されるべき目標はどれか.
1.移乗動作の向上
2.屋内杖歩行の自立
3.左手指機能の向上
4.車椅子駆動操作の自立
5.左半側空間無視の改善
解答
1.○ 介護負担軽減の視点からも優先的な目標である.
2.× ①2年前に発症,②車椅子での移動項目3点であることから,屋内杖歩行の自立は困難である.
3.× 2年前に発症しているため,左手指機能の向上でなく維持を目標とする.
4.× ①2年前に発症,②車椅子での移動項目3点であることから,車椅子駆動操作の自立は困難である.
5.× 2年前に発症していることから左半側空間無視の改善は困難である.
〈第42回 OT国試 午前9〉
40歳の女性.主婦.脳出血後3年経過,右片麻痺.上肢のブルンストローム法ステージ上肢Ⅳ・手指Ⅳ・下肢Ⅳ.「右の手足の突っ張りが強くなった」と訴えている.日常生活の指導として誤っているのはどれか.
1.調理のときはシンクに軽く寄りかかり,右足底にも体重をかける.
2.食事のときは麻痺側上肢をテーブル上に載せる.
3.椅子座位では左の殿部に体重をかけて座る.
4.日に何度かは両手を組んでテーブル上で両上肢を伸ばす.
5.掃除機を使用するときは,両手を添える.
解答
1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.× 左の殿部に体重をかけて座ると姿勢の崩れを誘発し,右手足の筋緊張を助長させるため適切でない.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.
〈第54回 OT国試 午後13〉
85歳の男性.脳血管障害による右片麻痺で,発症から5か月が経過.回復期リハビリテーション病棟に入院中.主な介護者は77歳の妻.左手でT字杖を使用して屋内平地歩行は可能であるが,屋外は車椅子介助である.排泄はトイレにて自力で行うが,夜間頻尿と切迫性尿失禁がある.自宅の見取り図を示す.在宅復帰に向けて住環境の調整を行う際,作業療法士のアドバイスで正しいのはどれか.
1.寝室をB(客室)に変更する.
2.ベッドの頭の向きを逆にする.
3.トイレの扉を内開きに変更する.
4.屋外スロープは1cmの立ち上がりをつける.
5.浴室に入出用の天井走行リフトを設置する.
解答
1.○ 寝室をB(客室)に変更するとトイレへの動線(移動距離)が短縮されるため適切である.
2.× ベッドの壁側は麻痺側の方が良いため,ベッドの頭の向きは変更しない.
3.× トイレの扉を内開きに変更するとトイレ内の空間が狭くなるため適切でない.
4.× 段差はない方が良いため屋外スロープは1cmの立ち上がりをつけるのは適切でない.
5.× 歩行での移動が可能なため浴室に入出用の天井走行リフトを設置する必要はない.
〈第53回 OT国試 午後12〉
48歳の男性.脳梗塞後の右片麻痺.発症から5か月経過.Brunnstrom法ステージは上肢,下肢ともにⅢ.T字杖で屋内歩行は自立しているが,疲労しやすく,すぐに椅子に腰掛ける.遠近感が分かりづらく,平地でつまずくことがある.自宅退院に向けた浴室の環境整備案を図に示す.設置する手すりとして必要でないのはどれか.
1.①入口縦手すり
2.②バスボード手すり
3.③縦手すり
4.④浴槽横手すり
5.⑤洗い場横手すり
解答
1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.× ⑤の洗い場横手すりは右側に位置しており,使えないため必要でない.
〈第42回 OT国試 午前23〉
65歳の女性.左片麻痺.短下肢装具と杖で歩行が可能.発症後6か月経過し自宅に帰ることになった.家屋改造で適切でないのはどれか.
1.①:玄関の上がりかまちに踏み台を置く.
2.②:便器に向かって左側に手すりを設置する.
3.③:浴室出入り口の右側に手すりを設置する.
4.④:浴槽の向かって左側にトランスファーボードを置く.
5.⑤:自室の出入り口を引き戸にする.
解答
1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.× ④:浴槽の向かって右側にトランスファーボードを置く.
5.○ 正しい.
〈第46回 OT国試 午後10〉
78歳の女性.脳梗塞による右片麻痺.発症後5か月経過.20cmの段差であれば,手すりを使用し2足1段で昇段し,後ろ向きに2足1段で降段することが可能となり,自宅に退院することとなった.自宅の玄関の様子を図に示す.この患者に適している家屋改造案はどれか.ただし,上りかまちは36cmとする.
1.1
2.2
3.3
4.4
5.5
解答
1.× 誤り.
2.○ 36cmの上がりかまちの高さを解消する足台は必要であり,手すりは移動の補助として使用するため横型やL字型が望ましい.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.× 誤り.
〈第47回 OT国試 午後37〉
立位をとることは可能だが,移動は車椅子を要する片麻痺患者のための家屋改造について正しいのはどれか.
1.ドアは開き戸にする.
2.浴槽は洋式タイプにする.
3.廊下幅は70cmを確保する.
4.スロープの勾配は1/7にする.
5.トイレにL字型の手すりを設置する.
解答
1.× ドアは引き戸にする.
2.× 洋式タイプは浴槽が長く身体が浮いてしまう危険性があるため適切でない.
3.× 車椅子移動の場合,廊下の幅は90cm以上が望ましい.
4.× スロープの勾配は屋外1/20以下,屋内1/12以下が望ましい.
5.○ 正しい.
〈第52回 OT国試 午前13〉
78歳の女性.脳梗塞による左片麻痺.身長160cm.発症後7か月経過.便座上座位保持時,立ち上がり時および立位保持時には手すりが必要で,下衣着脱は手すりに右肩を当てて行う.トイレに図のようなL型手すりを設置する.設置位置の寸法で適切なのはどれか.
1.a:40cm,b:50cm,c:120cm
2.a:65cm,b:75cm,c:150cm
3.a:65cm,b:25cm,c:150cm
4.a:80cm,b:75cm,c:150cm
5.a:80cm,b:25cm,c:120cm
解答
1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.○ 縦手すりの高さは下は床から60cm程度の高さ,上は床から160cm程度,便器先端からの距離は20~30cm程度が良い.
4.× 誤り.
5.× 誤り.
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