第1章 脳血管障害作業療法学 06)脳卒中片麻痺の作業療法プログラム ②ADL・IADL指導

〈第53回 OT国試 午後32〉

中等度の片麻痺患者に対する前開きカッターシャツの着衣動作指導の導入として正しいのはどれか. 
1.立位保持が可能となってから開始する.
2.ぴったりしたサイズのものを選択する.
3.非麻痺側の袖から通す.
4.麻痺側の袖は肩まで引き上げる.
5.ボタンは真ん中から留める.

解答

1.× カッターシャツの着衣動作指導は座位保持が可能となってから開始する.
2.× シャツの着衣動作指導はゆったりとしたサイズのものから開始する.
3.× シャツの着衣動作時は麻痺側の袖から通す.
4.○ 正しい.
5.× シャツの着衣動作時はボタンは下から順に留める.


〈第44回 OT国試 午前47〉

脳血管障害片麻痺患者の更衣指導で正しいのはどれか.2つ選べ. 
1.靴下は座位ではく.
2.靴下の着脱の導入はソックスエイドを用いる.
3.下衣は非麻痺側下肢から先に通す.
4.前開き式上衣は先に麻痺側の上肢を通す.
5.かぶり式上衣は先に非麻痺側の上肢を通す.

解答

1.○ 正しい.
2.× ソックスエイドは股関節の屈曲制限や関節リウマチなどで足指まで手が届かない場合に使用する.
3.× 下衣は麻痺側下肢から先に通す.
4.○ 正しい.
5.× かぶり式上衣は先に麻痺側の上肢を通す.


〈第46回 OT国試 午前31〉

重度片麻痺患者に指導すべき動作方法はどれか.2つ選べ. 
1.起き上がりは,非麻痺側に寝返ってから行う.
2.階段を上るときは,麻痺側下肢,非麻痺側下肢の順とする.
3.ズボンを脱ぐときは,麻痺側下肢,非麻痺側下肢の順とする.
4.立位から床に座るときは,非麻痺側上肢,同側膝の順に床につく.
5.エスカレーターから降りるときは,麻痺側下肢,非麻痺側下肢の順とする.

解答

1.○ 正しい.
2.× 階段を上るときは,非麻痺側下肢,麻痺側下肢の順とする.
3.× ズボンを脱ぐときは,非麻痺側下肢,麻痺側下肢の順とする.
4.○ 正しい.
5.× エスカレーターから降りるときは,非麻痺側下肢,麻痺側下肢の順とする.


〈第46回 OT国試 午後31〉

脳卒中片麻痺患者のADL訓練で正しいのはどれか.2つ選べ. 
1.更衣動作の前開きシャツは,非麻痺側上肢から着る.
2.移動動作では,車椅子を麻痺側上下肢で操作する.
3.更衣動作訓練の導入時には,丸首シャツを用いる.
4.洗体動作では,長めのループ付きタオルで背中を洗う.
5.トイレ動作では,壁のL字型手すりを使って移乗する.

解答

1.× 更衣動作の前開きシャツは,麻痺側上肢から着る.
2.× 移動動作では,車椅子を非麻痺側上下肢で操作する.
3.× 更衣動作訓練の導入時には,前開きシャツを用いる.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


〈第58回 OT国試 午後23〉

顔面と上下肢に感覚脱失を呈する脳卒中片麻痺の患者に対する生活指導で最も適切なのはどれか. 
1.両手での車椅子駆動を勧める.
2.屋内ではスリッパ使用を勧める.
3.髭剃りは電動カミソリを勧める.
4.麻痺手使用を控えるよう勧める.
5.湯呑を麻痺側で把持するよう勧める.

解答

1.× 非麻痺側上下肢での車椅子駆動を勧める.
2.× 屋内では裸足を勧める.
3.○ 正しい.
4.× 可能な範囲で麻痺手使用を勧める.
5.× 湯呑を非麻痺側で把持するよう勧める.


〈第53回 OT国試 午前31〉

顔面と上下肢に感覚脱失を呈する脳卒中片麻痺の患者に対する生活指導で適切なのはどれか. 
1.麻痺手使用を控える.
2.湯呑を非麻痺側で把持する.
3.両手での車椅子駆動を勧める.
4.屋内ではスリッパ使用を勧める.
5.髭剃りはT字カミソリを勧める.

解答

1.× 感覚脱失に留意して可能な範囲で麻痺手を使用するよう指導する.
2.○ 火傷の可能性があるので湯呑は非麻痺側で把持するよう指導する.
3.× 麻痺手を巻き込む可能性があるので非麻痺側上下肢での車椅子駆動を勧める.
4.× 転倒の危険性があるのでスリッパの使用は勧めない.
5.× 髭剃りは電動カミソリを勧める.


〈第55回 OT国試 午後3〉

54歳の男性.勤務中に突然の気分不快を訴え病院を受診し,脳梗塞による左片麻痺にて入院となった.妻と子供との3人暮らしで家事は妻が担っていた.職業は会社員で事務仕事を行い,会社までは電車で通勤していた.3か月が経過して,ADLは自立し,患者は復職を希望するようになった.Brunnstrom法ステージは上肢Ⅲ,手指Ⅱ,下肢Ⅴで病院内外の杖歩行は自立している.認知機能に明らかな問題はない.この時点でのIADL評価で優先すべきなのはどれか. 
1.買い物
2.公共交通機関の利用
3.食事の用意
4.火の始末
5.ベッドメイキング

解答

1.× 誤り.
2.○ 公共交通機関利用の評価は復職へのアプローチとして優先度が高い.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


〈第59回 OT国試 午後12〉

58歳の男性.脳梗塞後の左不全片麻痺.Brunnstrom法ステージ上肢Ⅲ,手指Ⅲ,下肢Ⅲ.短下肢装具装着で杖歩行が可能である.MMSEは25点,高次脳機能障害はない.利き手は右手である.山間部に在住であり自動車の運転が必要である.同居の妻は運転免許を取得していない.オートマチック車での運転再開に向けて作業療法を開始した.運転再開支援で最も適切なのはどれか. 
1.運転免許を更新するために教習所に通うように指導する.
2.運転再開には臨時適正検査を受けるように指導する.
3.スライディングボードを使用するように指導する.
4.運転時には妻を助手席に乗せるよう指導する.
5.運転再開の許可は作業療法士が行う.

解答

1.× 運転免許を更新するために安全運転相談窓口への相談を勧める.
2.○ 正しい.
3.× 杖歩行が可能なのでスライディングボードの使用は必要ない.
4.× 運転時には妻を助手席に乗せるよう指導する必要はない.
5.× 運転再開の許可は公安委員会が行う.


〈第58回 OT国試 午後8〉

49歳の男性.右利き.脳梗塞による右片麻痺,Brunnstrom法ステージ上肢Ⅲ,手指Ⅲ,下肢Ⅳ,感覚障害を認める.MMSEは30点,高次脳機能障害は認めない.杖と短下肢装具を使用して歩行は自立.ドライブが趣味である.運転再開に向けた自動車の改造として適切なのはどれか.2つ選べ. 
1.移乗ボードの設置
2.体幹ベルトの使用
3.手動運転装置の設置
4.ハンドルにノブを設置
5.左アクセルペダルへの変更

解答

1.× 歩行は自立しているので移乗ボードの設置は必要ない.
2.× 歩行自立レベルなので体幹ベルトは使用しない.
3.× 左下肢が使用できるので手動運転装置の設置は必要ない.
4.○ 右上肢・手指Br.stageⅢのため左上肢のみの使用となることからハンドルにノブを設置する.
5.○ 右下肢Br.stageⅣのため左下肢での操作となることから左アクセルペダルへ変更する.


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