第1章 脳血管障害作業療法学 05)脳卒中片麻痺の基本介入手段 ⑤種々の治療法

〈第52回 OT国試 午後34〉

感覚受容器の刺激の対象が主に皮膚である促通法はどれか. 
1.Brunnstrom法
2.Bobath法
3.Rood法
4.Fay法
5.PNF

解答

1.× Brunnstrom法は病的共同運動の分離で麻痺の回復を図る神経心理学的アプローチである.
2.× Bobath法は筋トーンの正常化を通じて麻痺の回復を図る神経発達的アプローチである.
3.○ Rood法は皮膚感覚受容器を刺激し筋活動の促通・活性化または抑制する発達学的治療法である.
4.× Fay法は系統発生学的発展と原始反射誘発を基盤に運動パターンを導く系統的発生的治療法(神経筋反射療法)である.
5.× PNFは集合的運動パターンを用いて麻痺の回復を図る固有受容性神経筋促通法である.


〈第50回 OT国試 午前9〉

57歳の男性.視床出血後に表在感覚と深部感覚との障害を認める.運動麻痺は認めない.この患者に行う知覚再教育で誤っているのはどれか. 
1.開眼で代償させる.
2.運動や動作は可能な限りゆっくり行う.
3.15分程度の知覚再教育を一日に数回行う.
4.識別素材を固定し,患側手を動かして識別させる.
5.書字の際に,筆記具と手との接触箇所で筆記具の特徴を感じさせる.

解答

1.× 知覚再教育をする際は閉眼で行い,視覚での代償をさせない.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


〈第49回 OT国試 午前28〉

CI療法(constraint-induced movement therapy)について適切なのはどれか. 
1.Brunnstrom法ステージ上肢Ⅱ,手指Ⅱに適応となる.
2.段階的に麻痺側上肢の使用を促す訓練方法を用いる.
3.重度の感覚障害の患者に高い効果が期待できる.
4.毎日1時間の練習を2週間実施する.
5.急性期の患者に用いる.

解答

1.× CI療法は手関節が随意的に20°以上伸展できること,Ⅰ指~Ⅲ指が随意的に10°以上伸展できることが適応基準であるため,手指Br.stageⅡは適応外となる.
2.○ 正しい.
3.× 重度の感覚障害の患者にはCI療法の高い効果は期待できない.
4.× CI療法は1日3時間半~7時間,平日5日間×2セット(10日間)実施する.
5.× 急性期はバイタルや病状が安定していないため,CI療法は適応外になることが多い.


〈第57回 OT国試 午後33〉

脳卒中による片麻痺Brunnstrom法ステージ上肢Ⅲ,手指Ⅲ,下肢Ⅳの患者における治療について正しいのはどれか. 
1.緊張性頸反射を利用する.
2.立位時は麻痺側下肢に荷重を促す.
3.長下肢装具使用による歩行訓練を行う.
4.麻痺側上肢では重錘を用いた反復運動を行う.
5.非麻痺側上肢を拘束し麻痺側を強制的に使用させる.

解答

1.× 緊張性頸反射は抑制する.
2.○ 正しい.
3.× 下肢Ⅳなので短下肢装具使用による歩行訓練を行う.
4.× 上肢・手指Ⅲなので重錘を用いた反復運動は共同運動を増悪させるため適切でない.
5.× 上肢・手指Ⅲなので分離促通運動から実施する.


〈第45回 OT国試 午前30〉

Brunnstrom法ステージ上肢Ⅴ,手指Ⅳの片麻痺患者に対する作業療法で適切なのはどれか. 
1.リーチ動作の改善にポータブルスプリングバランサーを用いる.
2.肩関節の疼痛予防に肩内転位でのポジショニングを指導する.
3.肩関節亜脱臼を予防するためにアームスリングを作製する.
4.手関節伸筋の筋再教育に電気刺激療法を用いる.
5.手指屈筋の痙縮にナックルベンダーを用いる.

解答

1.× ポータブルスプリングバランサーは頸髄損傷(第4・5頸髄節まで機能残存)に適応となる.
2.× 肩関節の疼痛予防に肩外転位でのポジショニングを指導する.
3.× 上肢Br.stageⅤは肩関節周囲筋群の支持性が高まる時期であるためアームスリングは必要ない.
4.○ 手指Br.stageⅣは随意的な伸展が可能になり始める段階であるため,筋再教育として電気的刺激法は有効である.
5.× ナックルベンダーはMP関節屈曲装具であり,手指屈筋痙性の改善に効果がない.


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