第1章 脳血管障害作業療法学 05)脳卒中片麻痺の基本介入手段 ③分離・促通訓練

〈第41回 OT国試 午前10〉

左片麻痺のブルンストローム法ステージと作業療法との組合せで適切でないのはどれか.ただし,ステージは上肢・手指の順とする. 

1.Ⅱ・Ⅱ
2.Ⅲ・Ⅱ
3.Ⅲ・Ⅴ
4.Ⅳ・Ⅲ
5.Ⅳ・Ⅴ

解答

1.○ 正しい.
2.× 肘伸展・肩関節外転位での着衣は上肢Br.stageⅢでは困難である.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


〈第56回 OT国試 午前8〉

65歳の男性.右利き.左中大脳動脈領域の脳梗塞による右片麻痺.Brunnstrom法ステージは上肢,手指および下肢ともにⅢ.この時の椅子座位での右上肢訓練プログラムとして正しいのはどれか. 

1.組んだ両手でテーブル上のボールを前方に転がす.
2.組んだ両手を挙上してペグを把持する.
3.上肢を下垂して手部で床上のボールを転がす.
4.前方にあるペグを把持して抜く.
5.机上にある輪をつまみ上げる.

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


〈第46回 OT国試 午前11〉

56歳の女性.脳梗塞による左片麻痺.Brunnstrom法ステージは左上肢Ⅲ,左手指Ⅲ,左下肢Ⅴ.この患者で実用的にできる動作はどれか. 

1.1
2.2
3.3
4.4
5.5

解答

1.× 上肢Br.stageⅢ・手指Br.stageⅢでは困難な動作である.
2.○ 正しい.
3.× 上肢Br.stageⅢでは背中側に動かすことは困難である.
4.× かなり高度な分離運動を必要とする動作のため困難である.
5.× 手指Br.stageⅢでは困難な動作である.


〈第44回 OT国試 午前46〉

Brunnstrom法ステージ上肢Ⅲの片麻痺患者.ステージⅣを目標とした上肢運動で正しいのはどれか. 
1.肘関節伸展位で上肢を頭上まで挙上
2.肘関節屈曲90°での前腕の回内と回外
3.肘関節伸展・前腕回内位で肩関節外転90°
4.肘関節屈曲と同時に肩関節の屈曲・内転
5.肘関節伸展と屈曲運動を20秒間に10回反復

解答

1.× 「肘関節伸展位で上肢を頭上まで挙上」はBr.stageⅤを目標とした運動である.
2.○ 正しい.
3.× 「肘関節伸展・前腕回内位で肩関節外転90°」はBr.stageⅤを目標とした運動である.
4.× 「肘関節屈曲と同時に肩関節の屈曲・内転」はBr.stageⅢを目標とした運動である.
5.× 「肘関節伸展と屈曲運動を20秒間に10回反復」はBr.stageⅥを目標とした運動である.


〈第53回 OT国試 午前34〉

Brunnstrom法ステージ上肢Ⅲ,手指Ⅳの片麻痺患者に座位で麻痺側上肢の促通練習を行う.上肢Ⅳを目指した課題として適切なのはどれか. 
1.机上の積み木を裏返す.
2.机上のお手玉を非麻痺側大腿に載せる.
3.大腿上に置いた手を口元に近づける.
4.頭上の高さの壁面を肘伸展位で雑巾で拭く.
5.机上のお手玉を肘伸展位で麻痺側側方の肩の高さに移動する.

解答

1.○ 正しい.
2.× 「机上のお手玉を非麻痺側大腿に載せる」のはBr.stageⅢを目指した課題である.
3.× 「大腿上に置いた手を口元に近づける」のはBr.stageⅢを目指した課題である.
4.× 「頭上の高さの壁面を肘伸展位で雑巾で拭く」のはBr.stageⅤを目指した課題である.
5.× 「机上のお手玉を肘伸展位で麻痺側側方の肩の高さに移動する」のはBr.stageⅤを目指した課題である.


〈第45回 OT国試 午後31〉

Brunnstrom法ステージ上肢Ⅲ,手指Ⅳの片麻痺患者に対する上肢Ⅳを目指した座位での訓練課題はどれか.2つ選べ. 
1.腹部の前から非麻痺側大腿を触る.
2.大腿上に置いた布をひっくり返す.
3.大腿上に置いたお手玉を口元に近づける.
4.机上のお手玉を肘伸展位で前方の肩の高さに移動する.
5.机上のお手玉を肘伸展位で麻痺側側方の肩の高さに移動する.

解答

1.× 「腹部の前から非麻痺側大腿を触る」のはBr.stageⅢを目指した課題である.
2.○ 正しい.
3.× 「大腿上に置いたお手玉を口元に近づける」のはBr.stageⅢを目指した課題である.
4.○ 正しい.
5.× 「机上のお手玉を肘伸展位で麻痺側側方の肩の高さに移動する」のはBr.stageⅤを目指した課題である.


〈第47回 OT国試 午後9〉

63歳の男性.脳出血による左片麻痺.Brunnstrom法ステージは左上肢Ⅲ,左手指Ⅲ及び左下肢Ⅳ.上肢の分離運動促通を目的とした自主訓練として適切なのはどれか.

1.1
2.2
3.3
4.4
5.5

解答

1.× 手指Br.stageⅢでは鉛筆を操作することは困難である.
2.○ 棒を掴み,肩屈曲,肘伸展位を保持することは分離運動促通目的に適している.
3.× 上肢Br.stageⅣ~Ⅴレベルの動作であるため適切でない.
4.× 上肢Br.stageⅣ~Ⅴレベルの動作であるため適切でない.
5.× 上肢Br.stageⅤ~Ⅵレベルの動作であるため適切でない.


〈第58回 OT国試 午後13〉

63歳の男性.脳出血による左片麻痺.Brunnstrom法ステージは上肢Ⅲ,手指Ⅲ,下肢Ⅳ.上肢の分離運動促通を目的とした自主訓練として最も適切なのはどれか. 

1.書字
2.窓ふき
3.紙を割く
4.ボールつき
5.棒を垂直に保持

解答

1.× は手指Br.stageⅤを目的とした自主訓練なので適切でない.
2.× 窓ふきは上肢Br.stageⅤを目的とした自主訓練なので適切でない.
3.× 紙を割くは上肢Br.stageⅤを目的とした自主訓練なので適切でない.
4.× 上ボールつきは上肢Br.stageⅥを目的とした自主訓練なので適切でない.
5.○ 棒を垂直に保持はは上肢Br.stageⅣを目的とした自主訓練なので適切である.


〈第42回 OT国試 午前48〉

ブルンストローム法ステージ(上肢・手指)と麻痺側上肢で実用的に可能な家事動作との組合せで正しいのはどれか. 
1.上肢Ⅱ・手指Ⅱ ――― フライパンをコンロにかけて保持する.
2.上肢Ⅲ・手指Ⅲ ――― シャツにアイロンをかける.
3.上肢Ⅳ・手指Ⅲ ――― テーブルの雑巾がけをする.
4.上肢Ⅳ・手指Ⅳ ――― シンクの水栓をひねる.
5.上肢V・手指V ――― 包丁でジャガイモの皮をむく.

解答

1.× 上肢Ⅱ・手指Ⅱ ――― 随意性がないためフライパン操作の実用性はない.
2.× 上肢Ⅲ・手指Ⅲ ――― 分離運動が困難であるためアイロンがけの実用性はない.
3.× 上肢Ⅳ・手指Ⅲ ――― 手指の分離が不十分であるため雑巾がけの実用性はない.
4.○ 上肢Ⅳ・手指Ⅳ ――― 蛇口の高さまで上肢挙上が可能であり,蛇口が堅く閉まっていなければ操作可能であるため実用的に水栓をひねることができる.
5.× 上肢V・手指V ――― 運動としては包丁操作は可能だが,安全性をみると実用性は低い.


〈第52回 OT国試 午前3〉

65歳の女性.右利き.右被殻出血による左片麻痺.発症後4か月が経過した.Brunnstrom法ステージは左上肢Ⅳ,左手指Ⅳ,左下肢Ⅵ.両手で可能な動作はどれか. 
1.網戸を取り外す.
2.掃除機をかける.
3.天井の蛍光灯を変える.
4.豆腐を手掌の上で切る.
5.エプロンの腰ひもを後ろで結ぶ.

解答

1.× 肘関節伸展位にて肩関節90度以上屈曲し,網戸を取り外すことは困難である.
2.○ 正しい.
3.× 肘関節伸展位にて肩関節90度以上屈曲し,天井の蛍光灯を変えるのは困難である.
4.× 左上肢に豆腐を乗せる事は可能だが,右手の包丁操作に合わせて固定することは困難である.
5.× 上肢の動きは可能だが,ひもを結ぶのは手指Br.stageⅣには難易度が高い.


〈第44回 OT国試 午前7〉

65歳の女性.右利き.脳出血による左片麻痺.発症後6か月経過.Brunnstrom法ステージは上肢Ⅳ,手指Ⅳ,下肢Ⅴ.感覚障害と高次脳機能障害とはない.屋内は独歩可能である.日常生活で実用可能な両手動作はどれか.2つ選べ. 
1.財布から硬貨を出す.
2.ズボンを引き上げる.
3.りんごの皮をナイフでむく.
4.荷物を頭上の棚の上に載せる.
5.首の後ろでネックレスを留める.

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.× Br.stageⅣの手指機能では,りんごの保持もしくはナイフ操作は困難である.
4.× Br.stageⅣの上肢機能では,頭上まで上肢挙上するのは困難である.
5.× Br.stageⅣの上肢・手指機能では,首の後ろでネックレスを留めるのは困難である.


〈第49回 OT国試 午後4〉

50代の女性.脳出血による右片麻痺.発症後8か月が経過した,右利きであったが利き手交換を実施した.Brunnstrom法ステージは上肢Ⅳ,手指Ⅳ,下肢Ⅴ,感覚機能は表在・深部とも軽度鈍麻で,握力は右2kg,左28kg,立位バランスは良好である.この患者が実施可能な動作はどれか. 

1.タオルを干す
2.リンゴの皮をむく
3.左手の爪を切る
4.茶碗を持つ
5.手掌で風船を打つ

解答

1.× タオルを干すのは上肢Br.stageⅤで可能である.
2.× リンゴの皮をむくのは手指Br.stageⅤで可能となる.
3.○ 正しい.
4.× 茶碗を持つのは手指Br.stageⅤで可能となる.
5.× 手掌で風船を打つのは上肢Br.stageⅤで可能となる.


〈第54回 OT国試 午前10〉

68歳の女性.発症後2か月の脳卒中右片麻痺患者.Brunnstrom法ステージは上肢Ⅳ.上肢の伸筋群に随意的な関節運動が認められるようになった.肘伸展を誘発するための作業療法で適切でないのはどれか. 

1.1
2.2
3.3
4.4
5.5

解答

1.○ 正しい.
2.× 肘関節の屈曲動作が誘発されるため適切でない.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


〈第42回 OT国試 午前4〉

60歳の男性.脳梗塞後,5か月.右片麻痺のブルンストローム法ステージ上肢Ⅳ・手指Ⅳ.座位は安定している.麻痺側上肢の作業療法で適切なのはどれか. 

1.1
2.2
3.3
4.4
5.5

解答

1.× スピードを要求される作業活動は適切でない.
2.× スピードを要求される作業活動は適切でない.
3.× スピードを要求される作業活動は適切でない.
4.○ 正しい.
5.× 患側で押さえることは可能だが,編む動作は困難である.


〈第41回 OT国試 午前9〉

53歳の男性.脳出血による右片麻痺.ブルンストローム法ステージは上肢Ⅳ・手指Ⅲでやや痙縮が強い.麻痺側でコップの水を飲んでもらったところ図1のような反応がみられた.このような反応を軽減するための訓練として図2のような動作を行う際に注意すべき点で適切でないのはどれか. 

1.麻痺側上肢の運動に抵抗をかける.
2.麻痺側肩関節は外旋位に保持する.
3.非麻痺側上肢をリラックスさせる.
4.麻痺側肩甲帯の前方突出を保持する.
5.頸部と体幹は軽度屈曲を保持する.

解答

1.× 麻痺側上肢の運動に抵抗をかけると,共同運動を助長するため適切でない.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


〈第43回 OT国試 午前8〉

脳卒中による右片麻痺患者に対する上肢の随意性向上を目的としたアプローチで,易しい順に並んでいるのはどれか. 

1.① ― ② ― ③
2.① ― ③ ― ②
3.② ― ① ― ③
4.② ― ③ ― ①
5.③ ― ② ― ①

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.○ ②Br.stageⅣ ― ①Br.stageⅣからⅤへの移行期 ― ③Br.stageⅤ
4.× 誤り.
5.× 誤り.


Back | 【第1章 脳血管障害作業療法学 目次】 | Next