第1章 脳血管障害作業療法学 04)高次脳機能障害 ③評価

〈第46回 OT国試 午前24〉

高次脳機能障害と評価のための課題との組合せで正しいのはどれか.2つ選べ. 
1.知能 ――― 模写課題
2.注意 ――― 数唱課題
3.失行 ――― 抹消課題
4.遂行機能 ――― 迷路課題
5.短期記憶 ――― 鏡映描写課題

解答

1.× 注意 ――― 模写課題
2.○ 正しい.
3.× 注意 ――― 抹消課題
4.○ 正しい.
5.× 知覚運動学習 ――― 鏡映描写課題


〈第49回 OT国試 午後24〉

高次脳機能障害の評価の組合せで正しいのはどれか. 
1.MMSE ――― 失行症
2.RBMT ――― 注意障害
3.SPTA ――― 遂行機能障害
4.TMT-A ――― 記憶障害
5.VPTA ――― 視知覚障害

解答

1.× MMSE ――― 認知症検査
2.× RBMT ――― 行動記憶検査
3.× SPTA ――― 標準高次動作性検査
4.× TMT-A ――― 注意検査
5.○ 正しい.


〈第45回 OT国試 午前3〉

検査方法で正しいのはどれか. 

1.数字だけを小さい数から順に線で結ばせる.
2.すべての動物を見に行くための道順をたどらせる.
3.模様図の図形を作るのに必要な積み木を選ばせる.
4.図形を模写させ,その直後と30分後に同じ図形を描かせる.
5.円盤を3回動かして最大の円盤と最小の円盤を一本の棒に重ねさせる.

解答

1.× TMTのTrialBは数字と平仮名を交互に順に線で結ばせる.
2.× BADSの動物園地図検査は所定の場所に行くための順番たどらせる.
3.× コース立方体組み合わせテストは模様図の図形を作るのに必要な積み木を選ばせ構成させる.
4.○ レイ複雑図形検査は図形を模写させた後,遅延再生させる.
5.× ハノイの塔はルールに従って4枚の円盤を片方の端からもう一方の端まで,できるだけ少ない手数で移動させる.


〈第46回 OT国試 午後3〉

次の図版を使用する検査はどれか. 

1.レーブン色彩マトリクス検査
2.TMT(Trail Making Test)
3.ベントン視覚記銘検査
4.WAIS-Ⅲ
5.BADS

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.○ 正しい.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


〈第48回 OT国試 午後2〉

このような構成の図版を用いる評価法はどれか. 

1.BADS
2.BIT
3.RBMT
4.WAIS-Ⅲ
5.WMS-R

解答

1.× 誤り.
2.○ 正しい.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


〈第55回 OT国試 午後34〉

ある道具の写真を示す.この道具を用いて行う高次脳機能障害評価法はどれか. 

1.CBS
2.MFT
3.BADS
4.STEF
5.SLTA

解答

1.× CBSは半側空間無視の検査である.
2.× MFTは脳卒中上肢機能検査である.
3.○ BADSは遂行機能障害症候群の行動評価法である.
4.× STEFは簡易上肢機能検査である.
5.× SLTAは標準失語症検査である.


〈第59回 OT国試 午前27〉

高次脳機能検査の一部を図に示す.このような図版が含まれるのはどれか.

1.BADS
2.BIT
3.FAB
4.SLTA
5.WAIS-Ⅳ

解答

1.○ 正しい.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


〈第50回 OT国試 午後24〉

BADSの下位項目にないのはどれか. 
1.鍵探し検査
2.上中下検査
3.時間判断検査
4.行為計画検査
5.動物園地図検査

解答

1.○ 正しい.
2.× 上中下検査はCAT(標準注意検査)の項目である.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


〈第58回 OT国試 午後31〉

FABに含まれる課題はどれか. 
1.計算
2.色の呼称
3.書き取り
4.左右判別
5.語彙の流暢性

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.○ FABは類似性,語の流暢性,運動系列,葛藤指示,Go/No-Go,把握行動の6課題である.


〈第50回 OT国試 午前25〉

失行の検査はどれか. 
1.BIT
2.VPTA
3.RBMT
4.SLTA
5.SPTA

解答

1.× BITは行動性無視障害(半側空間無視)の検査である.
2.× VPTAは標準高次視知覚検査である.
3.× RBMTはリバーミード行動記憶検査である.
4.× SLTAは標準失語症検査である.
5.○ SPTAは標準高次動作性検査で行為に関する総合的な評価法である.


〈第56回 OT国試 午後27〉

半側空間無視の評価法はどれか. 
1.BADS
2.BIT
3.CAT 〈Clinical Assessment for Attention〉
4.FAB
5.WCST

解答

1.× BADSは遂行機能障害の評価法である.
2.○ 正しい.
3.× CATは注意機能障害の評価法である.
4.× FABは遂行機能障害の評価法である.
5.× WCSTは遂行機能障害の評価法である.


〈第59回 OT国試 午後7〉

68歳の女性.くも膜下出血後の四肢麻痺のため作業療法を行っている.現在,四肢の麻痺は,ほぼ認めない.高次脳機能障害が残存しMMSEを実施した.結果を示す.次に行う検査で最も優先されるのはどれか. 

1.AMPS
2.BADS
3.BIT
4.RBMT
5.VPTA

解答

1.× AMPSはADLとIADLに関する観察型評価である.
2.× BADSは遂行機能障害の評価法である.
3.○ 正しい.
4.× RBMTは行動記憶検査である.
5.× VPTAは標準高次視知覚検査である.


〈第52回 OT国試 午前12〉

70歳の男性.右利き.右内頸動脈閉塞による左片麻痺のため回復期リハビリテーション病棟に入院中.意識清明.日用物品の使用に不便はないが,右側を向いていることが多く,左側の対象物への気付きが遅れることがある.物事には積極的に取り組む一方で,他者へ脈絡なくたびたび話しかけてしまう.この時期の患者の評価法として適切なのはどれか.2つ選べ. 
1.Apathy scale
2.BIT
3.FAB
4.GATB
5.WAB

解答

1.× 物事には積極的に取り組んでいることから,Apathy scale(意欲の評価)は優先度が低い.
2.○ 右側を向いていることが多く,左側の対象物への気付きが遅れることから,BIT(半側空間無視検査)の優先度が高い.
3.○ 他者へ脈絡なくたびたび話しかけることから,FAB(前頭葉機能検査)の優先度が高い.
4.× GATB(職業適性検査)は現段階では優先度が低い.
5.× 言語機能に問題がないため,WAB(失語症検査)は優先度が低い.


〈第58回 OT国試 午前3〉

30歳の男性.右利き.交通事故による右前頭葉背外側部の頭部外傷で大学病院に入院.全身状態が安定したため,回復期リハビリテーション病院に転院となった.転院後もリハビリテーション治療が継続され,現在5か月が経過した.運動障害や感覚障害を認めず,歩行は自立している.しかし,日中はボーッとして過ごし,促されないと行動に移せない.会話は成立するが,自発性に乏しい.この患者の高次機能評価として最も適切なのはどれか. 
1.CBS
2.BADS
3.SLTA
4.SPTA
5.VPTA

解答

1.× 半側空間無視は疑われないのでCBSは適切でない.
2.○ 促されないと行動に移ず自発性に乏しいことから遂行機能障害が疑われるのでBADSが最も適切である.
3.× 促されないと行動に移ず自発性に乏しいことから遂行機能障害が疑われるのでBADSが最も適切である.
4.× 失行は疑われないのでSPTAは適切でない.
5.× 視知覚失認は疑われないのでVPTAは適切でない.


〈第58回 OT国試 午前1〉

60歳の女性.右中大脳動脈閉塞による脳梗塞.左片麻痺や感覚障害は重度で,車椅子座位では頸部右回旋がみられる.また,食事時にはしばしば左側の見落としがみられる.机上での模写検査の結果を図に示す.結果の解釈として最も適切なのはどれか. 

1.記憶障害が疑われる.
2.左方探索がみられる.
3.理解力の低下がみられる.
4.選択的注意は保たれている.
5.重度の左半側空間無視である.

解答

1.× 記憶障害は疑われない.
2.○ 正しい.
3.× 模写検査が実施できているので理解力の低下はみられない.
4.× 半側空間無視が疑われるので選択的注意は保たれていない.
5.× 左側の草を描いているので比較的軽度の左半側空間無視である.


〈第44回 OT国試 午前49〉

1~40までの数字が縦10,横20の升目の中にランダムに並んでいる紙を使って,注意障害に対するアプローチを行うときに,課題と治療目的との組合せで適切なのはどれか.2つ選べ. 
1.「偶数で20以下」に○ ――― 選択性
2.「1の位が7」に○,「1の位が9」に△ ――― 持続性
3.一定時間内にできるだけ多く「4の倍数」に○ ――― 多方向性
4.隣り合う数字を足して「30を越えたとき」に○ ――― 感度
5.「3の倍数」に○,「5の倍数」に△を一定時間ごとに反復 ――― 転導性

解答

1.○ 正しい.
2.× 「1の位が7」に○,「1の位が9」に△ ――― 選択性
3.× 一定時間内にできるだけ多く「4の倍数」に○ ――― 選択性
4.× 隣り合う数字を足して「30を越えたとき」に○ ――― 持続性
5.○ 正しい.


〈第53回 OT国試 午後27〉

日常生活における半側空間無視の評価法であるCatherine Bergego scaleに含まれる内容はどれか. 
1.左に身体が傾く.
2.左右を間違える.
3.模写をすると左側を書き忘れる.
4.髭剃りのときに左に顔が向いてしまう.
5.移動時に左側にいる人や物にぶつかる.

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.○ CBSには「左側の整容を忘れる」「左側の着衣困難」「左側にある料理を食べ忘れる」「左側の歯を磨き忘れる」「左側への注視が困難」「左上下肢への認識が困難」「左側への聴性注意が困難」「移動時の左側への衝突」「左側空間見当識が困難」「左側の身の周りのものを探せない」の10項目が含まれる.


〈第57回 OT国試 午後2〉

62歳の女性.くも膜下出血.回復期リハビリテーション病棟に入院している.CAT(Clinical Assessment for Attention)の結果を示す.結果の解釈として適切なのはどれか.2つ選べ. 

1.短期記憶障害
2.半側空間無視
3.持続性注意の障害
4.選択性注意の障害
5.ワーキングメモリーの障害

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


〈第49回 OT国試 午後23〉

全般性注意の構成要素でないのはどれか. 
1.持続性注意
2.選択性注意
3.転換性注意
4.配分性注意
5.方向性注意

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.× 方向性注意は半側空間無視を指し,全般性注意の構成要素でない.


〈第54回 OT国試 午後17〉

53歳の女性.前交通動脈瘤破裂によるくも膜下出血にて救急搬送された後,クリッピング術が施行された.術後1週で作業療法が処方された.言語機能と身体機能には大きな問題はみられず,食事,更衣,整容などは自立していたが,担当の作業療法士の名前や新しい出来事が覚えられない,などがみられた.この患者に行う評価で適切なのはどれか.2つ選べ. 
1.BIT
2.MMSE
3.SLTA
4.VPTA
5.WMS-Ⅲ

解答

1.× BITは行動性無視障害(半側空間無視)の検査である.
2.○ MMSEは認知症を含めた高次脳機能障害を有する対象者に行う包括的検査である.
3.× SLTAは標準失語症検査である.
4.× VPTAは標準高次視知覚検査である.
5.○ WMS-Ⅲは成人知能検査である.


〈第47回 OT国試 午前4〉

WAIS-Ⅲで用いられる図版を示す.この検査項目として正しいのはどれか.

1.行列推理
2.絵画完成
3.絵画配列
4.組合せ
5.符号

解答

1.○ 正しい.
2.× 絵画完成は絵カードの中で欠けている部分を答えさせる.
3.× 絵画配列は絵カードを物語の意味が通る順に並べる.
4.× 組合せはピースを具体的な形に作り上げる.
5.× 符号は対になっている記号を書き写す.


〈第56回 OT国試 午前27〉

高次脳機能障害の評価として用いられる神経心理的検査において,動作性検査(絵画完成,符号,積木模様,行列推理,絵画配列,記号探し,組合せ)と言語性検査(単語,類似,算数,数唱,知識,理解,語音整列)の14項目で構成される検査はどれか. 
1.BADS
2.MMSE
3.SLTA
4.WMS-Ⅲ
5.WAIS-Ⅲ

解答

1.× BADSは遂行機能障害の行動評価である.
2.× MMSEは認知症を含めた高次脳機能障害を有する対象者に行う包括的検査である.
3.× SLTAは標準失語症検査である.
4.× WMS-Ⅲはウェクスラー記憶検査である.
5.○ 正しい.


〈第49回 OT国試 午前25〉

記憶に関連する説明で正しいのはどれか. 
1.再生は再認より容易である.
2.展望記憶は陳述記憶に含まれる.
3.手続き記憶は潜在記憶の一つに位置付けられる.
4.作動記憶(ワーキングメモリー)は出来事に関する記憶である.
5.逆向健忘は発症以後にあった出来事を覚えていられないことをいう.

解答

1.× 再認は再生より容易である.
2.× 展望記憶は未来に関する記憶である.
3.○ 正しい.
4.× 作動記憶は情報処理中に一時的に貯蔵しておく短期記憶である.
5.× 逆行健忘は発症前の記憶が想起できない状態をいう.


〈第53回 OT国試 午後40〉

「昨夜の夕飯のおかずは何でしたか」という質問で評価できる記憶で最も適切なのはどれか. 
1.遠隔記憶
2.近時記憶
3.作動記憶〈ワーキングメモリー〉
4.即時記憶
5.手続き記憶

解答

1.× 遠隔記憶は数日から数十年にわたる長い記憶である.
2.○ 近時記憶は数分から数日の間隔を想起する記憶である.
3.× 作動記憶は情報処理中に一時的に貯蔵しておく短期記憶である.
4.× 即時記憶は数秒から数分の間隔を想起する記憶である.
5.× 手続き記憶は技能に関する記憶である.


〈第58回 OT国試 午前42〉

「839」のような数字の組を口頭で提示し,提示した数を小さい順に答えさせようとしたところ,順番を間違ったり回答できないことがみられた.この患者の症状として考えられるのはどれか. 
1.見当識障害
2.意味記憶障害
3.言語流暢性障害
4.巧緻運動機能障害
5.ワーキングメモリの障害

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.× 数秒間の保持および再生ができていないのでワーキングメモリの障害が疑われる.


〈第57回 OT国試 午後39〉

言語性記憶機能を測る検査はどれか. 
1.RBMT
2.WCST
3.RAVLT
4.Digit Span
5.Letter Cancellation Test

解答

1.× RBMTは非言語性記憶機能を含む検査である.
2.× WCSTは遂行機能障害の評価法である.
3.○ 正しい.
4.× Digit Spanは注意検査である.
5.× Letter Cancellation Testは遂行機能障害の評価法である.


〈第54回 OT国試 午前24〉

非言語性評価で用いられる検査はどれか.2つ選べ. 
1.MMSE
2.RBMT
3.WAIS-Ⅲ
4.Kohs立方体組合せテスト
5.Raven's Colored Progressive Matrices(RCPM)

解答

1.× MMSEは言語性評価を含む.
2.× RBMTは言語性評価を含む.
3.× WAIS-Ⅲは言語性評価を含む.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


〈第59回 OT国試 午前28〉

近時記憶検査で適切なのはどれか.2つ選べ. 
1.CAT
2.TMT
3.RAVLT
4.ハノイの塔
5.三宅式記銘力検査

解答

1.× CATは注意機能検査である.
2.× TMTは注意機能検査である.
3.○ 正しい.
4.× ハノイの塔は手続き記憶の検査である.
5.○ 正しい.


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