第1章 脳血管障害作業療法学 04)高次脳機能障害 ②病態と所見

〈第41回 OT国試 午前47〉

右大脳半球の広範な脳梗塞の患者にみられるのはどれか.2つ選べ. 
1.頭部が左方向を向いている.
2.視線が左方向に向いている.
3.皿の食物を左側だけ食べる.
4.車椅子を左側の壁にぶつけやすい.
5.座位時左側に倒れやすい.

解答

1.× 右大脳半球の広範な脳梗塞の患者は頭部が右方向を向いている.
2.× 右大脳半球の広範な脳梗塞の患者は視線が右方向に向いている.
3.× 右大脳半球の広範な脳梗塞の患者は皿の食物を右側だけ食べる.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


〈第57回 OT国試 午前33〉

視覚失認について正しいのはどれか. 
1.相貌失認は表情の認知は可能である.
2.純粋失読は指でなぞると読むことができる.
3.同時失認は個々の物体や人間の認識ができない.
4.色彩失認は同じ色のものを選ぶことが困難である.
5.視覚性物体失認は優位半球前頭葉の障害により生じる.

解答

1.× 相貌失認は表情の認知は不可能である.
2.○ 正しい.
3.× 同時失認は個々の物体や人間の認識ができる.
4.× 色彩失認は同じ色のものを選ぶことはできる.
5.× 視覚性物体失認は優位半球後頭葉から側頭葉の障害(側頭葉紡錘状回)により生じる.


〈第59回 OT国試 午後21〉

聴理解と読解は良好であるが復唱が障害される.漢字よりも平仮名が書きづらい.考えられる失語症はどれか. 
1.伝導失語
2.感覚性失語
3.失名詞失語
4.超皮質性運動失語
5.超皮質性感覚失語

解答

1.○ 正しい.
2.× 感覚性失語は聴理解と読解は不良,復唱も障害され,漢字も平仮名も書きづらい.
3.× 失名詞失語は喚語が著しく障害される.
4.× 超皮質性運動失語は聴理解と復唱は比較的良好である.
5.× 超皮質性感覚失語は聴理解は不良であるが復唱は良好である.


〈第58回 OT国試 午後36〉

主な障害部位と高次脳機能障害の組合せで正しいのはどれか. 
1.前頭葉 ――― 失読失書
2.前頭葉 ――― 聴覚失認
3.頭頂葉 ――― 運動性失語
4.後頭葉 ――― 着衣失行
5.後頭葉 ――― 視覚失認

解答

1.× 頭頂葉 ――― 失読失書
2.× 側頭葉 ――― 聴覚失認
3.× 前頭葉 ――― 運動性失語
4.× 頭頂葉 ――― 着衣失行
5.○ 正しい.


〈第56回 OT国試 午後39〉

高次脳機能障害と脳の障害部位との組合せで正しいのはどれか. 
1.顔の左側の髭を剃り残す. ――― 後頭葉
2.新しい道順を覚えられない. ――― 前頭葉
3.何度も同じことを繰り返し聞く. ――― 側頭葉
4.物事を順序立てて実行することが難しい. ――― 後頭葉
5.見えていないのに見えているように振る舞う. ――― 頭頂葉

解答

1.× 顔の左側の髭を剃り残す. ――― 頭頂葉
2.× 新しい道順を覚えられない. ――― 頭頂葉
3.○ 正しい.
4.× 物事を順序立てて実行することが難しい. ――― 前頭葉
5.× 見えていないのに見えているように振る舞う. ――― 後頭葉


〈第42回 OT国試 午前52〉

麻痺のない大脳半球損傷患者の病態と検査所見との組合せで適切なのはどれか. 
1.観念運動失行 ――― お茶を入れるまねができない.
2.観念失行 ――― 他者の指の形を模倣できない.
3.運動維持困難 ――― 閉眼で舌を出させると目が開いてしまう.
4.運動消去現象 ――― 感覚刺激に反応して片手を挙上できない.
5.着衣失行 ――― 衣類のボタンやポケットの意味が分からない.

解答

1.× 観念失行 ――― お茶を入れるまねができない.
2.× 観念運動失行 ――― 他者の指の形を模倣できない.
3.○ 正しい.
4.× 運動消去現象 ――― 両手を同時に動かすと病巣と対側の動きが減少する.
5.× 着衣失行 ――― 衣類を正しく着たり脱いだりできない.


〈第48回 OT国試 午前2〉

脳血管障害患者にネット手芸を作業活動として選択した.下から6段目までを作業療法士が手本として見せた後,色を変えて患者が実施した作品の途中経過を示す.最も考えられる障害はどれか. 

1.観念失行
2.拮抗失行
3.構成障害
4.視覚失認
5.手指失認

解答

1.× 道具の操作ができているので観念失行は考えにくい.
2.× 両手が協働しているので拮抗失行は考えにくい.
3.○ 細部に簡略化・粗雑さがみられているので構成障害が考えられる.
4.× 見ている物体を認知・操作できているので視覚失認は考えにくい.
5.× 手指失認は指示した指がわからなかったり呼称できない症状である.


〈第59回 OT国試 午前8〉

68歳の女性.脳梗塞で回復期リハビリテーション病院に入院中.作業療法中に図のような状態を示した.考えられる障害はどれか. 

1.観念失行
2.拮抗失行
3.相貌失認
4.脳梁失行
5.連合型視覚失認

解答

1.× 鉛筆の操作ができているので観念失行は考えにくい.
2.× 左手の異常行動がみられていないので拮抗失行は考えにくい.
3.× 物品模写からは相貌失認の有無は判断できない.
4.× 物品模写からは脳梁失行の有無は判断できない.
5.○ 模写が可能であるが物品呼称ができていないので連合型視覚失認である.


〈第48回 OT国試 午前32〉

失行症がみられる患者にある動作を指示したところ,指示したとおりに可能であった.その後,別の動作を指示したところ前回に指示した動作を繰り返した.この誤反応はどれか. 
1.保続
2.錯行為
3.修正行為
4.無定型反応
5.Body Parts as Object(BPO)

解答

1.○ 前の課題の動作が繰り返されているので保続である.
2.× 指示された動作が誤反応なくできているので錯行為は考えにくい.
3.× 指示された動作を試行せずにできているので修正行為は考えにくい.
4.× 指示された動作を認知し反応しているので無定形反応は考えにくい.
5.× BPOは自分の身体の一部を道具に見立てて動作を行う反応である.


〈第58回 OT国試 午前40〉

高次脳機能障害で正しいのはどれか. 
1.性格の変化はみられない.
2.外見上から障害を容易に判断できる.
3.脳の損傷部位によらず症状は一定である.
4.記憶障害と比べて注意障害は回復しにくい.
5.60歳以上では脳血管障害によるものが多い.

解答

1.× 高次脳機能障害では性格の変化がみられる.
2.× 高次脳機能障害は外見上から障害を容易に判断できない.
3.× 高次脳機能障害は脳の損傷部位によって症状が異なる.
4.× 高次脳機能障害では注意障害と比べて記憶障害は回復しにくい.
5.○ 正しい.


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