第1章 脳血管障害作業療法学 04)高次脳機能障害 ①病巣と症状

〈第54回 OT国試 午後5〉

80歳の女性.右利き.脳梗塞急性期の頭部MRI拡散強調像を示す.この患者の症状で考えられるのはどれか. 

1.失行
2.失語
3.体幹失調
4.右片麻痺
5.左半身の感覚障害

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.○ 左内包後脚部の梗塞であるため,右片麻痺が考えられる.
5.× 誤り.


〈第52回 OT国試 午前26〉

右利きの患者の頭部CTを示す.最も考えられる症状はどれか. 

1.左半側空間無視
2.視覚失認
3.着衣失行
4.左右失認
5.片麻痺

解答

1.× 左半側空間無視は右頭頂葉の病変で出現しやすい.
2.× 視覚失認は後頭側頭葉腹側部紡錘状回の病変で出現しやすい.
3.× 着衣失行は右頭頂葉の病変で出現しやすい.
4.○ 左頭頂葉の病変であるため,左右失認が考えられる.
5.× 片麻痺は放線冠から内包の病変で出現しやすい.


〈第50回 OT国試 午後4〉

70歳の女性.右利き.高血圧性脳出血.急性期の頭部CTを示す.この患者で最も出現しにくいのはどれか. 

1.片麻痺
2.失語症
3.感覚障害
4.運動維持困難
5.中枢性顔面神経麻痺

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.× 運動維持困難は右前頭葉の病変で出現しやすい.
5.○ 正しい.


〈第48回 OT国試 午前3〉

58歳の男性.脳腫瘍と診断された.頭部MRIを示す.最も考えられる症状はどれか. 

1.体幹失調
2.視野障害
3.注意障害
4.感覚性失語
5.左半側空間無視

解答

1.× 体幹失調は小脳の病変で出現しやすい.
2.× 視野障害は後頭葉の病変で出現しやすい.
3.○ 前頭葉の病変であるので注意障害が出現しやすい.
4.× 感覚性失語は左側頭葉の病変で出現しやすい.
5.× 左半側空間無視は右大脳半球の病変で出現しやすい.


〈第51回 OT国試 午後2〉

82歳の女性.右利き.脳梗塞を発症して1か月が経過した.頭部CTを示す.この患者にみられる症状で正しいのはどれか. 

1.Broca失語
2.他人の手徴候
3.半側空間無視
4.Gerstmann症候群
5.超皮質性感覚性失語

解答

1.× Broca失語は左前頭葉下前頭回の病変で出現しやすい.
2.× 他人の手徴候は前頭葉の病変で出現しやすい.
3.○ 右頭頂の病変であるので半側空間無視が考えられる.
4.× Gerstmann症候群は左頭頂葉角回の病変で出現しやすい.
5.× 超皮質性感覚性失語は左側頭葉後方病変と左前頭葉後部病変で出現しやすい.


〈第53回 OT国試 午前1〉

85歳女性.右利き.突然の意識消失のため救急搬入された.入院後,意識は回復した.発症後2時間のMRI拡散強調像を示す.今後この患者に生じる可能性の高い症状はどれか.

1.拮抗失行
2.左右失認
3.運動性失語
4.社会的行動障害
5.左半側空間無視

解答

1.× 拮抗失行は脳梁の病変で生じる可能性が高い.
2.× 左右失認は左頭頂葉角回の病変で生じる可能性が高い.
3.× 運動性失語は左前頭葉の病変で生じる可能性が高い.
4.× 社会的行動障害は前頭葉下前頭回の病変で生じる可能性が高い.
5.○ 右頭頂葉の障害であるので左半側空間無視が生じる可能性が高い.


〈第49回 OT国試 午前3〉

82歳の男性.右利き.突然の意識消失のため救急搬入された.入院後意識は回復した.発症後2時間のMRI拡散強調像を示す.今後この患者に生じる可能性の高い症状はどれか.

1.観念失行
2.左右失認
3.運動性失語
4.観念運動失行
5.左半側空間無視

解答

1.× 観念失行は左頭頂葉角回の障害で生じる可能性が高い.
2.× 左右失認は左頭頂葉角回の障害で生じる可能性が高い.
3.× 運動性失語は左前頭葉下前頭回の障害で生じる可能性が高い.
4.× 観念運動失行は左頭頂葉縁上回の障害で生じる可能性が高い.
5.○ 右頭頂葉に高吸収域が認められるので左半側空間無視が生じる可能性が高い.


〈第58回 OT国試 午後10〉

42歳の男性.右利き.自営業.3年前に脳出血発症後,回復期リハビリテーション病院を経て自宅退院し復職したが,仕事中に再発した.初発時の頭部CT(A)と再発時の頭部CT(B)を示す.再発時の新たな症状として最も考えられるのはどれか. 

1.昏睡
2.構音障害
3.右同名半盲
4.回転性めまい
5.Gerstmann症候群

解答

1.× 昏睡は脳幹出血が考えられる.
2.○ 右被殻出血病変のため錐体路障害による構音障害が考えられる.
3.× 右同名半盲は右後頭葉病変が考えられる.
4.× 回転性めまいは小脳病変が考えられる.
5.× Gerstmann症候群は左頭頂葉角回病変が考えられる.


〈第42回 OT国試 午前51〉

前頭葉の障害で出現頻度が低いのはどれか. 
1.固執性
2.注意散漫
3.病識欠如
4.左右失認
5.発動性低下

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.× 左右失認は左頭頂葉角回の病変で出現頻度が高い.
5.○ 正しい.


〈第51回 OT国試 午後32〉

前交通動脈の動脈瘤塞栓術後に両側前脳基底部の梗塞で生じやすい症状はどれか. 
1.構成障害
2.視覚失認
3.相貌失認
4.感覚性失語
5.健忘症候群

解答

1.× 構成障害は頭頂葉の梗塞で生じやすい.
2.× 視覚失認は後頭側頭葉腹側部紡錘状回の梗塞で生じやすい.
3.× 相貌失認は右後頭側頭葉腹側部紡錘状回の梗塞で生じやすい.
4.× 感覚性失語は左側頭葉の梗塞で生じやすい.
5.○ 健忘症候群は両側前脳基底部の梗塞で生じやすい.


〈第42回 OT国試 午前49〉

前交通動脈動脈瘤術後に両側前頭葉基底部の梗塞を認めた患者に対する作業療法で考慮すべき症状はどれか. 
1.感覚性失語
2.健忘症候群
3.構成障害
4.視覚失認
5.相貌失認

解答

1.× 感覚性失語は左側頭葉の梗塞で生じやすい.
2.○ 健忘症候群は両側前脳基底部の梗塞で生じやすいため考慮が必要である.
3.× 構成障害は頭頂葉の梗塞で生じやすい.
4.× 視覚失認は後頭側頭葉腹側部紡錘状回の梗塞で生じやすい.
5.× 相貌失認は右後頭側頭葉腹側部紡錘状回の梗塞で生じやすい.


〈第50回 OT国試 午前3〉

45歳の男性.右利き.脳梗塞を発症し1か月経過した.病変部位はMRIで左角回と左側頭葉後下部であった.運動麻痺は認められない.生じやすい高次脳機能障害はどれか. 
1.運動保続
2.失読失書
3.地誌的失見当
4.半側空間無視
5.道具の強迫的使用

解答

1.× 運動保続は前頭葉の病変で出現しやすい.
2.○ 失読失書は左角回の病変で出現しやすい.
3.× 地誌的失見当は右大脳半球の病変で出現しやすい.
4.× 半側空間無視は右頭頂葉の病変で出現しやすい.
5.× 道具の強迫的使用は前頭葉の病変で出現しやすい.


〈第41回 OT国試 午前48〉

重度の左半側空間無視が認められる患者に合併しにくいのはどれか. 
1.注意障害
2.病態失認
3.着衣失行
4.構成障害
5.観念失行

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.× 観念失行は左頭頂葉角回の病変で生じやすい.


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