第1章 脳血管障害作業療法学  03)脳血管障害のリスク管理 ①訓練可否基準

〈第43回 OT国試 午前6〉

脳梗塞発症2日目で,意識レベルがJCS1桁となり,座位訓練を含めた作業療法を開始した.訓練中止の目安として正しいのはどれか. 
1.訓練開始前の収縮期血圧が180mmHgであった.
2.訓練開始前の安静時脈拍が100/分以上であった.
3.訓練中に不整脈が1分間に10回以上出現した.
4.訓練中に収縮期血圧が20mmHg以上上昇した.
5.訓練中の脈拍が120/分以上となった.

解答

1.× 訓練開始前の収縮期血圧が200mmHg以上の場合は訓練中止する(日本リハビリテーション医学会).
2.× 訓練開始前の安静時脈拍が120/分以上の場合は訓練中止する(日本リハビリテーション医学会).
3.× 訓練中に運動により不整脈が増加した場合は訓練中止する(日本リハビリテーション医学会).
4.× 訓練中に収縮期血圧が40mmHg以上上昇した場合は訓練中止する(日本リハビリテーション医学会).
5.× 訓練中の脈拍が140/分を超えた場合は訓練中止する(日本リハビリテーション医学会).


〈第46回 OT国試 午前9〉

次の文により9,10の問いに答えよ.62歳の女性.脳梗塞発症後3日目.早期の離床とADL獲得を目標に作業療法が開始された.初回の訪室時,目を閉じていたが呼びかけると開眼した.発語は聞き取れるが内容に一貫性がみられない.運動の指示に応じた動きは見られず,四肢は屈曲する傾向がある.このときのGCS(Glasgow Coma Scale)はどれか. 
1.E4・V3・M4
2.E4・V4・M5
3.E3・V3・M4
4.E3・V4・M3
5.E3・V5・M5

解答

1.× E4:自発的に開眼,V3:不適当な言語,M4:逃避反応
2.× E4:自発的に開眼,V4:混乱した会話,M5:疼痛刺激を払いのける
3.○ E3:呼びかけにより開眼,V3:不適当な言語,M4:逃避反応
4.× E3:呼びかけにより開眼,V4:混乱した会話,M3:四肢異常屈曲
5.× E3:呼びかけにより開眼,V5:正確な応答,M5:疼痛刺激を払いのける


〈第46回 OT国試 午前10〉

次の文により9,10の問いに答えよ.62歳の女性.脳梗塞発症後3日目.早期の離床とADL獲得を目標に作業療法が開始された.初回の訪室時,目を閉じていたが呼びかけると開眼した.発語は聞き取れるが内容に一貫性がみられない.運動の指示に応じた動きは見られず,四肢は屈曲する傾向がある.バイタルサインは,体温37.1℃,脈拍98/分,不整脈は認めず,血圧140/98mmHg,経皮的動脈血酸素飽和度(SpO₂)は98%であった.問いかけへの返答があいまいで自覚症状を十分に聴取できなかったため,主治医に確認した上で,リハビリテーションの中止基準(日本リハビリテーション医学会による)を遵守することを前提に離床させることとなった.作業療法開始後,中止する必要があるのはどれか.2つ選べ. 
1.脈拍が140/分を超えたとき
2.不整脈が出現したとき
3.拡張期血圧が110mmHgとなったとき
4.収縮期血圧が170mmHgとなったとき
5.SpO₂が95%になったとき

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.× 運動時拡張期血圧が118mmHg以上(20mmHg以上上昇)で中止する.
4.× 運動時収縮期血圧が180mmHg以上(40mmHg以上上昇)で中止する.
5.× 日本リハビリテーション医学会の途中でリハを中止する場合の基準にSpO₂は含まれない.


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