第58回理学療法士国家試験 午前1~50

【1】Danielsらの徒手筋力テストで股関節外転の段階3の測定をする際,図のような代償がみられた.代償動作を生じさせている筋はどれか.2つ選べ. 

1.大腰筋
2.中間広筋
3.腸骨筋
4.半腱様筋
5.半膜様筋

解答

1.○ 大腰筋:外旋位屈曲による代償動作である.
2.× 誤り.
3.○ 腸骨筋:外旋位屈曲による代償動作である.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


【2】立位姿勢から膝関節を屈曲し,体幹を前傾させて静止した姿勢を図に示す.床反力ベクトルの作用線の向きが正しいのはどれか.ただし,矢印は力の向き,点線はその延長線を示す. 

1.a
2.b
3.c
4.d
5.e

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.○ c:床反力ベクトルの作用線は足部の重心位置(外果の5~6cm前方)と身体重心を結ぶ線上となる.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


【3】82歳の女性.高血圧と糖尿病の治療を長期にわたり行っている.徐々に歩行障害がみられるようになり,転倒することが多くなった.頭部MRIのFLAIR像を示す.画像所見で考えられるのはどれか. 

1.視床出血
2.硬膜下血腫
3.くも膜下出血
4.正常圧水頭症
5.多発性脳梗塞

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.○ FLAIR 像で高信号であるため脳梗塞であり,高血圧と糖尿病を罹患し,徐々に歩行障害が進行していることから,多発性脳梗塞が考えられる.


【4】NICUに入院中の低出生体重児.在胎週数30週.腹臥位での姿勢を図に示す.この児に対するポジショニングとして適切な肢位はどれか.2つ選べ.

1.頭部伸展位
2.体幹伸展位
3.肩甲帯前方突出位
4.肩関節外転位
5.股関節内外転中間位

解答

1.× 頸部伸屈曲位
2.× 体幹屈曲位
3.○ 正しい.
4.× 肩関節内外転中間位
5.○ 正しい.


【5】66歳の男性.左下腿切断.30年前からの2型糖尿病で左下肢の閉塞性動脈硬化症のため切断し,下腿義足を製作した.この下腿義足ソケットの種類はどれか. 

1.KBM式
2.PTB式
3.TSB式
4.吸着式
5.在来式

解答

1.× KBM式は前壁が低く膝蓋骨を覆っておらず,両側壁は大腿骨顆部を包み込む形状である.
2.× PTB式はPTBカフベルトによる懸垂で,前壁は膝蓋骨を半分程度覆っており,ソケット内部は膝蓋腱部が大きく膨隆している.
3.○ TSB式は全面接触型荷重方法で,前壁は膝蓋腱の高さ,側壁は大腿骨顆部を少し覆う高さでソケット内に膝蓋腱部の膨隆はない.
4.× 吸着式はソケット内の空気を排出するバルブが特徴的である.
5.× 在来式は大腿コルセットと膝継手が特徴的である.


【6】Aから照射される極超短波の強度はBの何%か.ただし,cos30°=0.866とする.なお,小数点以下の数値が得られた場合には,小数点以下第2位を四捨五入すること. 

1.10.8%
2.21.7%
3.43.3%
4.86.6%
5.173.2%

解答

1.× 誤り.
2.○ ①逆二乗の法則:距離の2乗に反比例=1/4=0.25,②ランバートの法則:cos30°=0.866,よって0.25×0.866=0.2165≒0.217,0.217×100=21.7%
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


【7】両眼を強く閉眼するよう指示したところ,左側の兎眼が認められた.同じ脳神経の障害で生じる症状はどれか.

1.右方視したときの様子
2.普通に開眼したときの様子
3.歯をむき出しにしたときの様子
4.「アー」と発声したときの軟口蓋と咽頭後壁の様子
5.舌をまっすぐ出した時の様子

解答

1.× 左動眼神経の障害で生じる症状である.
2.× Horner徴候は交感神経遠心路の障害で生じる.
3.○ 正しい.
4.× 左迷走神経の障害で生じる.
5.× 左舌下神経の障害で生じる.


【8】53歳の女性.自転車走行中に転倒受傷し,鎖骨骨幹部骨折に対して観血的整復固定術が施行された.術後のエックス線写真を示す.術後翌日の患側の理学療法で正しいのはどれか. 

1.手指運動を行う.
2.患部に超音波療法を行う.
3.肩関節挙上の等張性運動を行う.
4.全身の安静のためベッド上で行う.
5.他動で肩関節の可動域練習を行う.

解答

1.○ 正しい.
2.× 患部への超音波療法は骨癒合が遷延した場合に行う.
3.× 鎖骨骨折術後における肩関節挙上の等張性運動は骨癒合の得られる4週以降に行う。
4.× 術後翌日に全身の安静は必要ない.
5.× 鎖骨骨折術後における他動による肩関節の可動域練習は癒合の得られる4週以降に行う。


【9】55歳の女性.趣味でジョギングを行っている.変形性膝関節症に対して手術療法が行われた.術後のエックス線写真を示す.術後の理学療法で正しいのはどれか. 

1.金属を抜いてからスポーツ復帰する.
2.骨癒合が得られるまで完全免荷とする.
3.術後から外側が高い楔状足底挿板を使用する.
4.術後早期から大腿四頭筋の筋力増強運動を行う.
5.術後2週の安静後に患側膝関節の可動域練習を開始する.

解答

1.× 高位脛骨骨切り術後は金属を抜く前にスポーツ復帰する.
2.× 高位脛骨骨切り術後は翌日より疼痛自制内で荷重を開始する.
3.× 高位脛骨骨切り術後は足底挿板を使用しない.
4.○ 正しい.
5.× 高位脛骨骨切り術後は翌日から患側膝関節の可動域練習を開始する.


【10】60歳の女性.図のような状態で右中指の使いづらさを訴え受診した.自動関節可動域角度は,DIP屈曲45°,伸展30°,PIP屈曲90°,伸展-45°,MP屈曲80°,伸展0°であった.この指の変形はどれか. 

1.Z変形
2.鉤爪変形
3.ボタン穴変形
4.Krukenberg変形
5.スワンネック変形

解答

1.× Z変形は母指のPIP関節が屈曲し,DIP関節が過伸展する変形である.
2.× 鉤爪変形はMP関節が過伸展し,PIP・DIP関節が屈曲する変形である.
3.○ 正しい.
4.× Krukenberg変形はMP関節と手関節が尺側偏位する変形である.
5.× スワンネック変形はPTP関節が屈曲し,DIP関節が過伸展する変形である.


【11】頸髄損傷患者の起き上がり動作を図に示す.Zancolliの四肢麻痺上肢機能分類における最も上位の機能残存レベルはどれか. 

1.C5A
2.C5B
3.C6A
4.C6BⅡ
5.C7A

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.○ 肘伸展不可の起き上がりが可能となるのはC6BⅡ機能残存レベルである.
5.× 誤り.


【12】5歳6か月の男児.脳性麻痺.歩行補助具を用いず屋外歩行が可能であるが,階段昇降時は手すりを必要とする.GMFCSのレベルはどれか. 
1.Ⅰ
2.Ⅱ
3.Ⅲ
4.Ⅳ
5.Ⅴ

解答

1.× 誤り.
2.○ GMFCSレベルⅡ:手に持つ移動器具を必要とすることなしに屋内を歩き,屋外も短距離なら歩くが,階段昇降時は手すりにつかまる.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


【13】80歳の男性.両膝痛のため,自宅内で自走用標準型車椅子を使用することとなったが,廊下幅が狭く,方向転換ができないと相談があった.現在使用している車椅子で180度方向転換が可能となる最小の廊下幅は何cmか.ただし,使用する車椅子は全幅70cm,全長120cmとする. 
1.90
2.120
3.140
4.180
5.200

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.○ 車椅子で180度方向転換が可能となる最小の廊下幅は140cmである.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


【14】42歳の女性.3か月前に手足がしびれるようになり,1か月前から手足の脱力を自覚した.神経内科を受診し慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチーと診断され,ステロイド療法が開始された.筋電図検査所見として正しいのはどれか. 
1.誘発筋電図で伝導速度が低下する.
2.誘発筋電図でF波の潜時が短縮する.
3.針筋電図で低振幅・短持続電位波形が出現する.
4.誘発筋電図の反復刺激試験でwaning(M波の振幅が漸減)を認める.
5.誘発筋電図の反復刺激試験でwaxing(M波の振幅が漸増)を認める.

解答

1.○ 正しい.
2.× 慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチーでは誘発筋電図でF波の潜時が延長する.
3.× 筋原性疾患では針筋電図で低振幅・短持続電位波形が出現する.
4.× 重症筋無力症では発筋電図の反復刺激試験でwaning(M波の振幅が漸減)を認める.
5.× Lambert-Eaton症候群では誘発筋電図の反復刺激試験でwaxing(M波の振幅が漸増)を認める.


【15】67歳の男性.Parkinson病.発症後5年経過.Hoehn&Yahrの重症度分類ステージⅢ.四肢に中等度の筋強剛を認めるが,筋力や関節可動域に明らかな問題はない.歩行場面では,開始後しばらくして小刻み歩行で小走りとなり,会話しながらだとそれが顕著となる.腰掛けるために椅子に近づくと,すくみ足がみられる.この患者の歩行障害への対応で適切なのはどれか. 
1.狭い場所を歩く.
2.直線上を継ぎ足で歩く.
3.長下肢装具を用いて歩く.
4.認知課題を追加しながら歩く.
5.リズミカルな繰り返しの聴覚刺激を用いて歩く.

解答

1.× 狭い場所を歩くと小刻み歩行を誘発するため適切でない.
2.× 直線上を継ぎ足で歩くのは難易度が高く,また,小刻み歩行やすくみ足の改善にも適さない.
3.× 長下肢装具を用いてもすくみ足は改善しない.
4.× 認知課題を追加しながら歩くと小刻み歩行を誘発するため適切でない.
5.○ 正しい.


【16】80歳の女性.左片麻痺.夫と自宅で2人暮らし.ベッドから車椅子への移乗は夫に手を添えてもらう程度で可能だが,車椅子からベッドへの移乗では立ち上がる際に腰を引き上げてもらう.FIMの移乗動作は何点か. 
1.6点
2.5点
3.4点
4.3点
5.2点

解答

1.× 移乗6点:手すりを使って一人で乗り移る.
2.× 移乗5点:助言されつつ一人で乗り移る.
3.× 移乗4点:もしものときに支えるよう,手を触れていてもらう.
4.○ 正しい.
5.× 移乗2点:立ち上がりと身体を回すのと,ともに介助してもらう.


【17】75歳の男性.2型糖尿病でインスリン療法中.腎症,高血圧症および増殖前網膜症を合併しており,週3回血液透析と理学療法のため外来通院している.運動療法で正しいのはどれか. 
1.透析日の運動は禁忌である.
2.HbA1cの値で運動強度を決定する.
3.運動前に口渇が改善するまで飲水を促す.
4.倦怠感を訴えるときは低血糖症状の可能性がある.
5.運動療法の主目的はインスリン分泌能の改善である.

解答

1.× 透析日は透析前か透析中に運動療法を行う.
2.× HbA1c値は過去1~2か月の平均血糖値を反映するため,運動強度の決定には用いない.
3.× 適度な飲水量を指導する.
4.○ 正しい.
5.× 運動療法の主目的はインスリン抵抗性の改善とADL維持である.


【18】78歳の男性.COPDによるⅡ型呼吸不全.安静時および運動時に1L/分の在宅酸素療法を導入している.理学療法士による患者指導として正しいのはどれか. 
1.上肢の挙上動作を反復して行うように指導する.
2.吸気時間を延長するために口すぼめ呼吸を指導する.
3.呼吸困難に応じて酸素流量を増量するように指導する.
4.体調や呼吸器症状の日誌への記録をもとに生活指導を行う.
5.主に心理的なリラックスを得るためにリラクセーションを指導する.

解答

1.× 上肢の挙上動作を反復して行うと呼吸補助筋群が呼吸運動に関与できず,呼吸困難感を誘発するため避ける.
2.× 呼気時間を延長するために口すぼめ呼吸を指導する.
3.× 医師に指示された酸素流量を守り,呼吸困難感が強い場合は医師に相談するよう指導する.
4.○ 正しい.
5.× 呼吸補助筋の筋緊張軽減を目的にリラクセーションを指導する.


【19】68歳の女性.NYHA心機能分類classⅢの僧帽弁閉鎖不全症に対して経皮的僧帽弁形成術を受け,術後経過良好で退院することになった.退院時の運動機能評価として適切なのはどれか. 
1.クリニカルシナリオ分類
2.マスターシングルテスト
3.Nohria-Stevenson分類
4.ハンドグリップテスト
5.6分間歩行テスト

解答

1.× クリニカルシナリオ分類は急性心不全の初期対応を迅速に行うための,血圧を参考とした病態による臨床的分類である.
2.× マスターシングルテストは決められた高さの段差昇降を1分30秒行う運動負荷試験で,終了後に直ちに臥位となり,虚血性心疾患の労作時における心電図変化を記録する.
3.× Nohria-Stevenson分類は急性期心不全の重症度評価法の一つで,うっ血所見と末梢不全所見の有無により重症度を4つに分類する.
4.× ハンドグリップテストは最大握力の半分程度の強度で5分間持続して握り続ける負荷試験で,負荷前,負荷中,負荷後の心エコー所見を比較し異常を検出する.
5.○ 正しい.


【20】74歳の女性.変形性膝関節症に対して人工膝関節全置換術が行われた.術後に使用するCPM装置で正しいのはどれか. 
1.筋力増強を目的としている.
2.徐々に屈曲角度を大きくする.
3.できるだけ速い速度で関節運動を行う.
4.CPM装置の動きに抵抗するように力をかける.
5.CPM装置は決められたアーム長のものを使用する.

解答

1.× CPM装置は筋力増強に効果がない.
2.○ 正しい.
3.× 低速で関節運動を行う.
4.× CPM装置の動きに抵抗せずに力を抜く.
5.× CPM装置は患者の脚長に合わせてアーム長を調節する.


【21】ICFの評価点で正しいのはどれか. 
1.心身機能の第一評価点は障害の性質を示す.
2.身体構造の第二評価点は障害の部位を示す.
3.活動と参加の第一評価点は実行状況での困難度を示す.
4.活動と参加の第二評価点は支援ありでの能力の困難度を示す.
5.環境因子の第一評価点の+記号は阻害因子を示す.

解答

1.× 心身機能の第一評価点は機能障害の程度を示す.
2.× 身体構造の第二評価点は構造障害の性質を示す.
3.○ 正しい.
4.× 活動と参加の第二評価点は支援なしでの能力の困難度を示す.
5.× 環境因子の第一評価点の+記号は促進因子を示す.


【22】理学療法実施時のインフォームドコンセントで適切なのはどれか. 
1.専門用語で説明する.
2.患者の同意内容は文書で保存する.
3.患者の要求があってから説明する.
4.判断能力に関わらず患者の決定が優先される.
5.患者は正当な理由がなければ同意を撤回できない.

解答

1.× 治療者はわかりやすい用語で説明する.
2.○ 正しい.
3.× 治療者は患者の要求がなくとも説明する.
4.× 判断能力に関わらず患者の決定は必ずしも優先されるわけでない.
5.× 患者は正当な理由がなくとも同意を撤回できる.


【23】観察的研究を研究デザインとするのはどれか.2つ選べ. 
1.コホート研究
2.メタアナリシス
3.無作為化比較対照試験
4.ケースコントロール研究
5.システマティックレビュー

解答

1.○ 正しい.
2.× メタアナリシスはデータ統合型研究である.
3.× 無作為化比較対照試験は介入研究である.
4.○ 正しい.
5.× システマティックレビューはデータ統合型研究である.


【24】IADLに含まれるのはどれか. 
1.顔を洗う.
2.靴下をはく.
3.寝返りをする.
4.シャワーを浴びる.
5.食事の準備を行う.

解答

1.× 顔を洗うのは基本的ADLに含まれる.
2.× 靴下をはくのは基本的ADLに含まれる.
3.× 寝返りをするのは基本的ADLに含まれる.
4.× シャワーを浴びるのは基本的ADLに含まれる.
5.○ 正しい.


【25】厚生労働省「健康づくりのための身体活動基準2013」で,強度が4METs以上となる運動の例はどれか. 
1.皿洗い
2.ピアノの演奏
3.ラジオ体操第1
4.植物への水やり
5.子供を抱えながら立つ

解答

1.× 皿洗い ――― 1.8METs
2.× ピアノの演奏 ――― 2.3METs
3.○ ラジオ体操第1 ――― 4.0METs
4.× 植物への水やり ――― 2.5METs
5.× 子供を抱えながら立つ ――― 2.0METs


【26】筋収縮で正しいのはどれか. 
1.骨格筋の最大収縮時には筋細胞の長さが約10%短くなる.
2.アクチンフィラメントはミオシンフィラメントより太い.
3.筋小胞体からのK⁺放出により筋収縮が開始される.
4.ATPを分解する酵素はアクチンに存在する.
5.筋収縮時にH帯は短くなる.

解答

1.× 格筋の最大収縮時には筋細胞の長さが約40%短くなる.
2.× アクチンフィラメントはミオシンフィラメントより細い.
3.× 筋小胞体からのCa2⁺放出により筋収縮が開始される.
4.× ATPを分解する酵素はミオシンに存在する.
5.○ 正しい.


【27】感覚神経のみの脳神経はどれか.2つ選べ. 
1.第Ⅱ脳神経
2.第Ⅳ脳神経
3.第Ⅵ脳神経
4.第Ⅷ脳神経
5.第Ⅹ脳神経

解答

1.○ 正しい.
2.× 第Ⅳ脳神経は運動神経のみの脳神経である.
3.× 第Ⅵ脳神経は運動神経のみの脳神経である.
4.○ 正しい.
5.× 第Ⅹ脳神経は運動・感覚・副交感神経成分をもつ脳神経である.


【28】関節可動域測定法(日本整形外科学会,日本リハビリテーション医学会基準による)で測定する運動方向と移動軸の組合せで正しいのはどれか. 
1.股屈曲・伸展 ――― 大腿骨
2.股外転・内転 ――― 下腿中央線
3.膝屈曲・伸展 ――― 脛骨
4.足背屈・底屈 ――― 第1中足骨
5.足部外転・内転 ――― 第2・3中足骨の間の中央線

解答

1.○ 正しい.
2.× 股外転・内転 ――― 大腿中央線
3.× 膝屈曲・伸展 ――― 腓骨
4.× 足背屈・底屈 ――― 足底面(第5中足骨)
5.× 足部外転・内転 ――― 第1・2中足骨の間の中央線


【29】錐体路徴候はどれか. 
1.膝蓋腱反射低下
2.深部感覚鈍麻
3.腹壁反射消失
4.筋緊張低下
5.ジストニア

解答

1.× 膝蓋腱反射亢進が錐体路徴候である.
2.× 深部感覚鈍麻は錐体路徴候でない.
3.○ 正しい.
4.× 筋緊張亢進が錐体路徴候である.
5.× ジストニアは大脳基底核の障害で生じる.


【30】足関節内反捻挫後に筋力増強運動を行う下肢の筋で,再発予防に最も有効なのはどれか. 
1.下腿三頭筋
2.後脛骨筋
3.前脛骨筋
4.長指屈筋
5.長腓骨筋

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.○ 長腓骨筋の筋力増強運動が足関節内反捻挫の再発予防に有効である.


【31】関節可動域測定法(日本整形外科学会,日本リハビリテーション医学会基準による)で,足・足部の参考可動域角度が30°である運動方向はどれか. 
1.外転
2.内転
3.内がえし
4.外がえし
5.背屈(伸展)

解答

1.× 足部外転の参考可動域角度は10°である.
2.× 足部内転の参考可動域角度は20°である.
3.○ 正しい.
4.× 足部外がえしの参考可動域角度は20°である.
5.× 足関節背屈(伸展)の参考可動域角度は20°である.


【32】脊髄小脳変性症の運動失調を評価するのはどれか. 
1.BADS
2.EDSS(Expanded Disability Status Scale)
3.QMG score(Quantitative Myasthenia Gravis score)
4.SARA
5.UPDRS

解答

1.× BADSは前頭葉機能検査である.
2.× EDSS(Expanded Disability Status Scale)は多発性硬化症の拡張総合障害度スケールである.
3.× QMG score(Quantitative Myasthenia Gravis score)は重症筋無力症の重症度を評価するスコアである.
4.○ 正しい.
5.× UPDRSはParkinson病に対する包括的な評価指標である.


【33】腱板損傷後の検査で正しいのはどれか. 
1.Chairテスト
2.Jacksonテスト
3.Spurlingテスト
4.Thomsenテスト
5.Drop armテスト

解答

1.× Chairテスト上腕骨外側上顆炎で陽性となる.
2.× Jacksonテスト(椎間孔圧迫テスト)は神経根症で陽性を示す.
3.× Spurlingテストは頸椎症性神経根症で陽性となる.
4.× Thomsenテストは上腕骨外側上顆炎で陽性となる.
5.○ 正しい.


【34】静的立位で下腿義足の足部外側が床から浮き上がった.原因はどれか. 
1.後方バンパーが硬すぎる.
2.初期屈曲角が大きすぎる.
3.初期内転角が大きすぎる.
4.足部のトゥブレークの位置が近位すぎる.
5.足部に対してソケットが後方に位置しすぎている.

解答

1.× 後方バンパーが硬すぎても内側への不安定は生じない.
2.× 初期屈曲角が大きすぎても内側への不安定は生じない.
3.○ 正しい.
4.× 足部のトゥブレークの位置が近位すぎても内側への不安定は生じない.
5.× 足部に対してソケットが後方に位置しすぎていても内側への不安定は生じない.


【35】脊髄損傷で異所性化骨の好発部位はどれか. 
1.肩関節
2.肘関節
3.手関節
4.股関節
5.足関節

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.○ 脊髄損傷患者に生じる異所性骨化の好発部位は股関節である.
5.× 誤り.


【36】2010年に定められたアメリカリウマチ学会とヨーロッパリウマチ学会との合同による関節リウマチ分類基準に含まれないのはどれか. 
1.炎症反応
2.自己抗体
3.罹患期間
4.朝のこわばり
5.腫脹または圧痛のある関節数

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.× 新RA分類基準(ACR/EULAR,2010年)に朝のこわばりは含まれない.
5.○ 正しい.


【37】胸郭出口症候群で陽性となる検査はどれか. 
1.Jerkテスト
2.Kempテスト
3.McMurrayテスト
4.Roosテスト
5.Thomsenテスト

解答

1.× Jerkテストは前十字靱帯損傷で陽性となる.
2.× Kempテストは腰椎神経根圧迫症状で陽性所見を呈する.
3.× McMurrayテストは半月板損傷で陽性となる.
4.○ 正しい.
5.× Thomsenテストは上腕骨外側上顆炎で陽性となる.


【38】筋力増強運動で正しいのはどれか. 
1.等運動性運動は徒手的に行う.
2.等尺性運動は関節運動を伴う.
3.等張性運動では関節運動の速度を調整する.
4.閉鎖性連鎖運動は複数筋の筋力増強に適している.
5.開放性連鎖運動は四肢末端が地面に接した状態で行う.

解答

1.× 等運動性運動は等速度運動機器を使用して行う.
2.× 等尺性運動は関節運動を伴わない.
3.× 等張性運動では張力を調整する.
4.○ 正しい.
5.× 開放性連鎖運動は四肢末端が地面から離れた状態で行う.


【39】健常者に自転車エルゴメータを用いて中等度の運動負荷を20分間行った.運動開始前と比べて低下するのはどれか. 
1.経皮的動脈血酸素飽和度
2.末梢血管抵抗
3.収縮期血圧
4.心拍数
5.体温

解答

1.× 中等度の運動負荷で経皮的動脈血酸素飽和度は変化しない.
2.○ 正しい.
3.× 中等度の運動負荷で収縮期血圧は開始前より上昇する.
4.× 中等度の運動負荷で心拍数は開始前より上昇する.
5.× 中等度の運動負荷で体温は開始前より上昇する.


【40】手背に生じた慢性期の熱傷後瘢痕拘縮に対する理学療法として正しいのはどれか.2つ選べ. 
1.圧迫療法
2.寒冷療法
3.神経筋電気刺激療法
4.コックアップ・スプリント
5.手指屈曲の関節可動域練習

解答

1.○ 正しい.
2.× 慢性期の熱傷後瘢痕拘縮改善に寒冷療法は効果がない.
3.× 慢性期の熱傷後瘢痕拘縮改善に神経筋電気刺激療法は効果がない.
4.× 慢性期の熱傷後瘢痕拘縮改善にコックアップ・スプリントは効果がない.
5.○ 正しい.


【41】腹圧性尿失禁で正しいのはどれか. 
1.痩身に多い.
2.男性に多い.
3.膀胱の収縮を伴う.
4.持続的に失禁が生じる.
5.骨盤底筋体操は有効である.

解答

1.× 腹圧性尿失禁は肥満に多い.
2.× 腹圧性尿失禁は女性に多い.
3.× 腹圧性尿失禁は骨盤底筋群の脆弱化と尿道自体の閉鎖機能の低下により生じ,膀胱の収縮は伴わない.
4.× 腹圧性尿失禁は咳,くしゃみ,重い物の挙上時に失禁が生じる.
5.○ 正しい.


【42】摂食嚥下障害の病態と手技の組合せで正しいのはどれか. 
1.鼻咽腔の閉鎖不全 ――― Shaker(シャキア)法
2.梨状窩の食物残留 ――― うなずき嚥下
3.喉頭蓋谷の食物残留 ――― 横向き嚥下
4.食道入口部の開大不全 ――― Mendelsohn手技
5.舌骨上筋群の筋力低下 ――― 輪状咽頭筋バルーン拡張法

解答

1.× 鼻咽腔の閉鎖不全 ――― ブローイング
2.× 2.梨状窩の食物残留 ――― 横向き嚥下
3.× 喉頭蓋谷の食物残留 ――― うなずき嚥下
4.○ 正しい.
5.× 舌骨上筋群の筋力低下 ――― Shaker(シャキア)法


【43】アキレス腱周囲炎で正しいのはどれか. 
1.男性に多い.
2.手術療法が第一選択となる.
3.成人よりも小児で多くみられる.
4.Thompsonテストが陽性となる.
5.つま先部を高くした足底板が有効である.

解答

1.○ 正しい.
2.× アキレス腱周囲炎は保存療法が第一選択である.
3.× アキレス腱周囲炎は小児よりも成人で多くみられる.
4.× アキレス腱周囲炎ではThompsonテストが陰性となる.
5.× アキレス腱周囲炎は踵部を高くした足底板が有効である.


【44】呼吸性アシドーシスはどれか. 

1.pH:7.30  PCO₂:25mmHg  HCO₃⁻:15mEq/L
2.pH:7.40  PCO₂:25mmHg  HCO₃⁻:15mEq/L
3.pH:7.25  PCO₂:55mmHg  HCO₃⁻:30mEq/L
4.pH:7.35  PCO₂:40mmHg  HCO₃⁻:30mEq/L
5.pH:7.45  PCO₂:45mmHg  HCO₃⁻:35mEq/L

解答

1.× 代謝性アシドーシスではpH<7.35でHCO₃⁻低下とPaCO₂の代償性低下がみられる.
2.× 誤り.
3.○ 呼吸性アシドーシスではpH<7.35でPaCO₂上昇とHCO₃⁻の代償性上昇がみられる.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


【45】Guillain-Barré症候群の治療で正しいのはどれか. 
1.ステロイド投与が第一選択である.
2.筋力低下の進行期には関節可動域練習より筋力増強運動を優先する.
3.人工呼吸管理の場合,早期から胸郭ストレッチを行う.
4.筋力低下の進行が停止すれば,早期から漸増抵抗運動を開始する.
5.約半数が発症6か月後の歩行障害に長下肢装具を必要とする.

解答

1.× Guillain-Barré症候群はステロイドが無効であり,免疫グロブリン静注療法を行う.
2.× Guillain-Barré症候群における筋力低下の進行期は筋力増強運動より関節可動域練習を優先する.
3.○ 正しい.
4.× Guillain-Barré症候群では,筋力低下の進行停止後,早期から漸増抵抗運動は過負荷のため適切でない.
5.× Guillain-Barré症候群では発症6か月後の歩行障害に長下肢装具を必要とすることはまれである.


【46】CBRマトリクスの5つの主要領域に含まれないのはどれか. 
1.教育
2.社会
3.保健
4.ユニバーサルデザイン
5.エンパワメント(empowerment)

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.× CBRマトリクスの5つの主要領域は保健,教育,生計,社会,エンパワメントである.
5.○ 正しい.


【47】普通型電動車椅子の装置で正しいのはどれか. 
1.操縦装置は上肢に限定される.
2.前輪駆動のものが標準的である.
3.手動操作に切り替える機構はない.
4.操縦装置で進む方向のみ操作できる.
5.操縦装置から手を離すとブレーキがかかる.

解答

1.× 普通型電動車椅子の操縦装置は上肢に限定せず,前後左右に動かせる身体部分の能力に応じたアタッチメントを用いることで操作可能である.
2.× 普通型電動車椅子は後輪駆動のものが標準的である.
3.× 普通型電動車椅子には手動操作に切り替える機構がある.
4.× 普通型電動車椅子では操縦装置で進む方向と速度を操作できる.
5.○ 正しい.


【48】介護保険制度の福祉用具貸与品目はどれか. 
1.腰掛便座
2.特殊寝台
3.短下肢装具
4.シャワーチェア
5.携帯用会話補助装置

解答

1.× 腰掛便座は介護保険制度の購入費支給品目である.
2.○ 正しい.
3.× 短下肢装具は障害者総合支援法による補装具費の給付対象である.
4.× シャワーチェアは介護保険制度の購入費支給品目である.
5.× 携帯用会話補助装置は障害者総合支援法による日常生活用具の給付対象である.


【49】安全対策に関する理論であるHeinrichの法則で正しいのはどれか. 
1.医療安全に特化した法則である.
2.ばらつきの法則と呼ばれている.
3.有害事象を5段階で示している.
4.1つの重大な事故に対して多数の軽微な事故が発生している.
5.重要な20%が全体の方向性を決定しているという法則である.

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.○ Heinrichの法則とは1つの大事故に対して29件の軽微な事故・災害が既に発生しており,300件のヒヤリ・ハットが既に発生しているというものである.
5.× 誤り.


【50】SOAPで正しいのはどれか. 
1.Sには患者の評価結果を記載する.
2.Oには患者の訴えを記載する.
3.Aには治療プログラムを記載する.
4.Pには評価結果の解釈を記載する.
5.問題指向型の診療記録である.

解答

1.× Sには患者の訴えを記載する.
2.× Oには検査データを記載する.
3.× Aには検査結果の解釈を記載する.
4.× Pには治療や指導の方針・計画を記載する.
5.○ 正しい.


 | 【PT国試過去問】 | 午前51~100