【1】60歳の女性.右中大脳動脈閉塞による脳梗塞.左片麻痺や感覚障害は重度で,車椅子座位では頸部右回旋がみられる.また,食事時にはしばしば左側の見落としがみられる.机上での模写検査の結果を図に示す.結果の解釈として最も適切なのはどれか.
1.記憶障害が疑われる.
2.左方探索がみられる.
3.理解力の低下がみられる.
4.選択的注意は保たれている.
5.重度の左半側空間無視である.
解答
1.× 記憶障害は疑われない.
2.○ 正しい.
3.× 模写検査が実施できているので理解力の低下はみられない.
4.× 半側空間無視が疑われるので選択的注意は保たれていない.
5.× 左側の草を描いているので比較的軽度の左半側空間無視である.
【2】80歳の女性.右変形性股関節症に対し人工股関節置換術(後方アプローチ)が施行された.現在,術後2週が経過し,患肢全荷重が許可されている.この患者に対するADL指導として最も適切なのはどれか.
1.割り座で靴下をはく.
2.椅子座位で床の物を拾う.
3.床の上で体育座りをする.
4.椅子座位で右下肢を上にして足を組む.
5.階段を降りるときは右足を先に下ろす.
解答
1.× 割り座は股関節屈曲・内転・内旋位となるため禁忌肢位である.
2.× 床の物を拾うときは立位で健側を前に出して拾う.
3.× 床の上で体育座りをすると股関節過屈曲となるため禁忌肢位である.
4.× 股関節屈曲・内転となるため,足を組むのは禁忌肢位である.
5.○ 正しい.
【3】30歳の男性.右利き.交通事故による右前頭葉背外側部の頭部外傷で大学病院に入院.全身状態が安定したため,回復期リハビリテーション病院に転院となった.転院後もリハビリテーション治療が継続され,現在5か月が経過した.運動障害や感覚障害を認めず,歩行は自立している.しかし,日中はボーッとして過ごし,促されないと行動に移せない.会話は成立するが,自発性に乏しい.この患者の高次機能評価として最も適切なのはどれか.
1.CBS
2.BADS
3.SLTA
4.SPTA
5.VPTA
解答
1.× 半側空間無視は疑われないのでCBSは適切でない.
2.○ 促されないと行動に移ず自発性に乏しいことから遂行機能障害が疑われるのでBADSが最も適切である.
3.× 促されないと行動に移ず自発性に乏しいことから遂行機能障害が疑われるのでBADSが最も適切である.
4.× 失行は疑われないのでSPTAは適切でない.
5.× 視知覚失認は疑われないのでVPTAは適切でない.
【4】胸郭出口症候群の検査法における手技とテスト名の組合せで正しいのはどれか.
1.① ――― Morleyテスト
2.② ――― Attentionテスト
3.③ ――― Allenテスト
4.④ ――― Adsonテスト
5.⑤ ――― Wrightテスト
解答
1.× 鎖骨上窩を圧迫 ――― Morleyテスト
2.× ② ――― Spurlingテスト
3.○ 正しい.
4.× ④ ――― Jacksonテスト
5.× 両肩関節外転・外旋90度,肘関節屈曲90度 ――― Wrightテスト
【5】42歳の女性.最近,手の震え,歩行時のふらつきがひどくなり,神経内科を受診した.検査の結果,脊髄小脳変性症と診断された.頭部MRIを示す.頭部MRIの画像で正しいのはどれか.
1.①
2.②
3.③
4.④
5.⑤
解答
1.× 病変はみられない.
2.× 右小脳梗塞がみられる.
3.× 小脳出血がみられる.
4.○ 脳幹・小脳の萎縮がみられる.
5.× 右小脳腫瘍がみられる.
【6】簡易上肢機能検査(STEF)の検査法を示す.移動方向および設定で正しいのはどれか.ただし,検査は右手で行うこととする.
1.①
2.②
3.③
4.④
5.⑤
解答
1.× 中球は近位枠内から右枠内へ移動する.
2.× 大直方は左枠内から右枠内へ移動する.
3.○ 正しい.
4.× 小球は遠位枠内から近位枠内へ移動する.
5.× ピンを右傾きに設定する.
【7】関節可動域測定法(日本整形外科学会,日本リハビリテーション医学会基準による)で正しいのはどれか.2つ選べ.
1.肩内旋
2.手尺屈
3.小指屈曲
4.股内旋
5.胸腰部右側屈
解答
1.○ 正しい.
2.× 手尺屈は前腕回内位で測定する.
3.○ 正しい.
4.× 股外旋の運動方向である.
5.× 胸腰部右側屈の移動軸は第1胸椎棘突起と第5腰椎棘突起を結ぶ線である.
【8】33歳の男性.交通事故で完全頸髄損傷(C7頸髄節まで機能残存)を受傷した.受傷後2か月が経過し,全身状態は良好でADLの拡大が図られている.排泄については核上型神経因性膀胱と診断され,自排尿が困難である.この患者の排尿管理として適切なのはどれか.
1.圧迫排尿
2.骨盤底筋訓練
3.自己導尿
4.尿道カテーテル留置
5.膀胱瘻の造設
解答
1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.○ C7機能残存レベルより自己導尿が実用可能となる.
4.× 誤り.
5.× 誤り.
【9】70歳の男性.診断名はCOPD.mMRC息切れスケールはグレード4,画像所見では肺の過膨張が指摘されている.在宅酸素療法が導入されていたが,感冒を契機に入院し,入院1週後に作業療法が開始となった.酸素安静時1L/分,労作時2L/分で,開始時(安静時)のバイタルサインは心拍数86/分,呼吸数22/分,SpO₂94%,修正Borg Scale2であった.作業療法で最も適切なのはどれか.
1.食事は一度に多めに摂取するように指導する.
2.IADL指導はパンフレットのみで行う.
3.心拍数が110/分になったら中止する.
4.ADL訓練はSpO₂85%以上で行う.
5.洗体動作は呼気に合わせて行う.
解答
1.× 食事は複数回に分けて摂取するように指導する.
2.× IADL指導は実際に実施する.
3.× 心拍数が120/分になったら中止する.
4.× ADL訓練はSpO₂90%以上で行う.
5.○ 正しい.
【10】30歳の男性.脊髄損傷(第5胸髄節まで機能残存).受傷から5か月が経過,セルフケアは自立し,退院に向けて在宅改修を検討している.排尿は自己導尿,排便は座薬を使用し便器上で排泄.自宅のトイレの改修前の見取り図を示す.必要な住宅改修で適切でないのはどれか.ただし,車椅子は全幅58cm,全長80cmとする.
1.①引き戸に変更する.
2.②開口幅を85cmに変更する.
3.③洗面台に下部空間をつくる.
4.④床をフローリングに変更する.
5.⑤縦手すりを設置する.
解答
1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.× ⑤移乗および座位保持用に横手すりを設置する.
【11】48歳の男性.脳梗塞後の右片麻痺.左利き.発症から5か月経過.Brunnstrom法ステージは上肢,下肢ともにⅢ.関節可動域制限は認めず,座位バランスは良好である.短下肢装具とT字杖で歩行は自立している.この患者に対する自助具で最も適切なのはどれか.
1.1
2.2
3.3
4.4
5.5
解答
1.× 非麻痺側上肢で洗足可能である.
2.× 関節リウマチなどの適応となる.
3.× 関節リウマチなどの適応となる.
4.○ 関節リウマチなどの適応となる.
5.× 誤り.
【12】痙直型四肢麻痺の脳性麻痺児の抱き方で適切なのはどれか.2つ選べ.
1.1
2.2
3.3
4.4
5.5
解答
1.× 両下肢の内転・内旋筋緊張が亢進しているため適切でない.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.× 上肢屈曲,下肢伸展の筋緊張亢進しているため適切でない.
5.× 両下肢の内転・内旋筋緊張が亢進しているため適切でない.
【13】65歳の男性.3年前から右手に振戦がみられるようになり,体の動きが固く,すくみ足がみられ,表情も乏しくなっていった.日常生活の支障に対して作業療法が処方されたが,本人は何かと理由をつけてなかなか参加せず,無為に過ごす様子が目立ってきた.この患者の治療方針を検討する際に,評価すべき精神医学的な合併症として最も重要なのはどれか.
1.うつ病
2.解離性障害
3.強迫性障害
4.身体表現性障害
5.統合失調症
解答
1.○ 振戦,固縮,すくみ足,仮面様顔貌からパーキンソン病が疑われるのでうつ病を評価する.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.× 誤り.
【14】58歳の男性.不動産関係の会社勤務.半年前に新プロジェクトを担当してから,下肢のしびれと疼痛を訴えるようになった.整形外科や神経内科を受診したが,身体的な疾患は認めなかった.次第に食思低下や不眠を自覚したため,精神科を受診して入院となり,作業療法が導入された.開始当初に,「足のしびれや疼痛があるので整形外科を受診できるように担当医に伝えて欲しい」と作業療法士に訴えた.このときの作業療法士の対応として最も適切なのはどれか.
1.訴えについては傾聴するに留める.
2.整形外科を受診できるよう担当医に掛け合うと約束する.
3.しびれや疼痛は精神的な問題であることを繰り返し説明する.
4.会社で担当した新プロジェクトをどのように感じていたか尋ねる.
5.作業療法に参加をすると下肢の痛みやしびれが軽減すると伝える.
解答
1.○ 正しい.
2.× 整形外科を受診できるよう担当医に掛け合うと約束するのは不適切である.
3.× しびれや疼痛は精神的な問題であることを繰り返し説明するのは不適切である.
4.× 症状への意識を高めてしまうので原因にはあまり触れない.
5.× 作業療法に参加をすると下肢の痛みやしびれが軽減すると伝えるのは不適切である.
【15】19歳の女性.大学生.1か月前から通学途中の電車の中で突然,強い不快感を覚え,大量の汗をかき,呼吸困難となり,このままでは死んでしまうのではないかと恐怖心を抱くようになった.次第に電車に乗れなくなり,通学ができなくなった.母親と精神科クリニックを受診して,外来作業療法が処方された.この患者の発作時に予想される症状はどれか.2つ選べ.
1.健忘
2.昏迷
3.振戦
4.せん妄
5.動悸
解答
1.× 健忘は解離性障害でみられる.
2.× 昏迷は解離性障害でみられる.
3.○ パニック障害がみられているので振戦が予想される症状である.
4.× せん妄は意識変容でみられる.
5.○ パニック障害がみられているので動悸が予想される症状である.
【16】35歳の男性.強迫性障害.中学生のころから洗浄強迫と確認癖があり,高校へ進学したが不登校が続き退学した.アルバイトに短期間従事したことがあるが未就労である.症状悪化のため半年前から精神科病院に入院し,家庭復帰を目的として作業療法を開始した.作業療法開始2か月目に「完全な作品ができない」と訴え,症状が増悪してきた.作業療法士の対応として最も適切なのはどれか.
1.作業種目を変更する.
2.作業療法を中止する.
3.訴えを聞き,経過をみる.
4.担当作業療法士を交代する.
5.できている部分に患者の注意を向ける.
解答
1.× 作業種目を変更しても問題解決にならない.
2.× 作業療法を中止しても問題解決にならない.
3.× 訴えを聞き,経過をみると強迫行為を増悪させるため不適切である.
4.× 担当作業療法士を交代しても問題解決にならない.
5.○ 正しい.
【17】52歳の男性.アルコール依存症.警備会社に勤務.若いころから飲酒が習慣化していたが,最近,朝から酒を飲むようになった.同居する両親に対する暴力行為で警察の介入があり,2日後に入院した.入院後,振戦せん妄が出現し,5日目に消失した.落ち着きがみられるようになり,作業療法が処方された.この時期に優先すべき作業療法の目的はどれか.
1.家族内での関係性を改善する.
2.基礎体力の回復・維持を行う.
3.ストレス対処技能を獲得する.
4.他者との協調的な活動を体験する.
5.職場復帰に向けた職業的技能を修得する.
解答
1.× 誤り.
2.○ 導入時の作業療法の目的は基礎体力の回復・維持である.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.× 誤り.
【18】32歳の女性.統合失調症.1年前から小売店で週3日のパート勤務をしているが,最近,同僚から嫌がらせを受けているという被害的な訴えが増え,主治医の指示で週2日,精神科デイケアを利用することになった.この患者の治療目的に合ったプログラムとして適切なのはどれか.
1.ACT
2.IPS
3.NEAR
4.SCIT
5.TEACCH
解答
1.× ACTは包括的地域支援プログラムである.
2.× IPSは個別就労支援サービスである.
3.× NEARは統合失調症患者などに対する認知機能訓練(記憶力・注意力に対するプログラム)である.
4.○ 正しい.
5.× TEACCHは自閉症および関連領域のコミュニケーションに障害を持つ子どものための治療と教育である.
【19】32歳の女性.境界性パーソナリティ障害.高校生のころから情緒不安定で,慢性的な空虚感を訴えるようになった.卒業後は事務の仕事に就いたが,異性との交際のトラブルから抑うつ気分が強くなり,自傷行為を繰り返した.今回,尊敬していた職場の男性上司との関係が悪化したことを契機に自殺企図があり入院した.この患者に対する作業療法士の対応で最も適切なのはどれか.
1.異性との交際トラブルについて指導する.
2.対人交流は病院スタッフと家族に限定する.
3.活動時間や活動場所は決めずに作業療法を行う.
4.トラブルがあった場合は担当スタッフを変更する.
5.患者と作業療法士の双方が守るべき規則を明確化する.
解答
1.× 異性との交際トラブルについて指導のは不適切である.
2.× 対人交流は病院スタッフと家族に限定する必要はない.
3.× 活動時間や活動場所は決めて作業療法を行う.
4.× トラブルがあっても担当スタッフは変更しない.
5.○ 正しい.
【20】26歳の男性.統合失調症.不動産会社社員.約半年前に仕事のトラブルから次第に欠勤するようになって退職し,引きこもりの生活になった.次第に服薬が不規則になり,幻聴と妄想が出現し入院となった.入院2か月で症状は改善したが,無為の生活が続いており,作業療法が処方された.この時期に優先すべき作業療法の役割はどれか.
1.仲間づくり
2.社会生活技能の習得
3.身辺処理能力の回復
4.対人交流技能の向上
5.基本的な生活リズムの回復
解答
1.× 仲間づくりは維持期に行う.
2.× 社会生活技能の習得は維持期に行う.
3.× 身辺処理能力の回復は回復期前期に行う.
4.× 対人交流技能の向上は回復期後期に行う.
5.○ 引きこもりの生活から服薬が不規則になり退院後無為の生活が続いているので,まずは基本的な生活リズムの回復を行う.
【21】過去に行われた信頼性の高い複数の研究結果を定量的に検討する研究方法はどれか.
1.群間比較試験
2.メタアナリシス
3.群内前後比較試験
4.クロスオーバー試験
5.ケースコントロール研究
解答
1.× 群間比較試験は割り振った条件群同士で比較する試験である.
2.○ 正しい.
3.× 群内前後比較試験は割り振った条件群の各群前後で比較する試験である.
4.× クロスオーバー試験は患者を治療A群と治療B群に分け実施し,実施後治療AとBを入替て実施し比較する試験である.
5.× ケースコントロール研究は患者群と対照群に分けて比較する試験である.
【22】上肢にリンパ浮腫(病期分類Ⅱ期)がある患者に対する生活指導として最も適切なのはどれか.
1.日光浴をする.
2.患肢の挙上を避ける.
3.患肢で血圧を測定する.
4.高い温度で入浴する.
5.正常なリンパ節へ向けてマッサージを行う.
解答
1.× 皮膚障害が生じる場合があるので直射日光を避けるよう指導する.
2.× 浮腫予防のため患肢の挙上を心がけるよう指導する.
3.× 循環障害があるので非患肢で血圧を測定する.
4.× 循環障害があるので高い温度での入浴は避けるよう指導する.
5.○ 正しい.
【23】脊髄性運動失調で陽性となるのはどれか.
1.Babinski徴候
2.Hoover徴候
3.Kernig徴候
4.Myerson徴候
5.Romberg徴候
解答
1.× 錐体路障害でBabinski徴候陽性を示す.
2.× 錐体路障害でHoover徴候陽性を示す.
3.× 多発性硬化症でKernig徴候陽性を示す.
4.× パーキンソン病でMyerson徴候陽性を示す.
5.○ 脊髄性運動失調でRomberg徴候陽性を示す.
【24】廃用症候群で増加するのはどれか.
1.安静時心拍数
2.換気血流比
3.心臓予備力
4.疼痛の閾値
5.予備呼気量
解答
1.○ 廃用症候群で安静時心拍数は増加する.
2.× 廃用症候群で換気血流比は低下する.
3.× 廃用症候群で心臓予備力は低下する.
4.× 廃用症候群で疼痛の閾値は低下する.
5.× 廃用症候群で予備呼気量は低下する.
【25】歩行周期の立脚期において常に筋活動がみられるのはどれか.
1.大殿筋
2.前脛骨筋
3.股内転筋群
4.大腿四頭筋
5.ハムストリングス
解答
1.× 大殿筋は遊脚期の終わりから高まり始めて立脚初期にピークを生じ,立脚中期の終わりには活動が低下する.
2.○ 正しい.
3.× 股内転筋群は立脚相の初期と終期に活動する.
4.× 大腿四頭筋の最初の大きな活動は遊脚期の終わりから始まり,立脚初期にピークとなる.第2の小さな活動は立脚終期から始まり爪先離地前後にピークを示す.
5.× ハムストリングスは遊脚から立脚への移行前後に働く.また,立脚から遊脚移行期に小さな活動がみられることがある.
【26】飛沫感染予防策で対応する感染症はどれか.
1.疥癬
2.結核
3.麻疹
4.インフルエンザ
5.流行性角結膜炎
解答
1.× 疥癬は接触感染予防策で対応する.
2.× 結核は空気感染予防策で対応する.
3.× 麻疹は空気感染予防策で対応する.
4.○ 正しい.
5.× 流行性角結膜炎は接触感染予防策で対応する.
【27】病室で患者が倒れている場面に遭遇した.緊急時対応として作業療法士が最初に行うことはどれか.
1.すぐに起こす.
2.主治医に電話する.
3.車椅子を持ってくる.
4.周辺のスタッフを呼ぶ.
5.バイタルサインを確認する.
解答
1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.○ まず周辺のスタッフを呼び援助を求める.次に,スタッフで手分けして意識・バイタルサインを確認し状況を医師へ連絡,場合によってはAED準備などの対応をする.
5.× 誤り.
【28】作業分析で正しいのはどれか.
1.環境は影響しない.
2.一方向から観察する.
3.作業工程で分類する.
4.作業結果から判断する.
5.検査者の経験値には左右されない.
解答
1.× 作業分析で環境は影響する.
2.× 作業分析では多方向から観察する.
3.○ 正しい.
4.× 作業分析では結果のみでなく環境から内容など作業に関わる全ての事柄から判断する.
5.× 運作業分析では検査者の経験値には左右される.
【29】FIMの評定で正しいのはどれか.
1.食事5点:万能カフの装着を手伝ってもらい食事ができる.
2.整容4点:洗顔時にタオルを持ってきてもらう.
3.更衣(下半身)4点:介助者が下着やズボンを膝まで通すと残りは自分で行う.
4.トイレ動作6点:介助者に拭く紙を用意してもらう.
5.記憶4点:自らメモを使用して生活できている.
解答
1.○ 正しい.
2.× 整容5点:洗顔時にタオルを持ってきてもらう.
3.× 更衣(下半身)2点:介助者が下着やズボンを膝まで通すと残りは自分で行う.
4.× トイレ動作5点:介助者に拭く紙を用意してもらう.
5.× 記憶6点:自らメモを使用して生活できている.
【30】心不全患者への生活指導で適切なのはどれか.2つ選べ.
1.1日4L飲水する.
2.食事の直後に入浴する.
3.入浴は44℃の湯に浸かる.
4.冬季には肌の露出を少なくする.
5.1日の塩分摂取量を6g未満に制限する.
解答
1.× 1日2L以内の飲水制限を実施する.
2.× 食事の直後の入浴は避ける.
3.× 入浴は40~41℃で10分以内の鎖骨下までの深さの半座位浴で湯に浸かる.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.
【31】慢性疼痛を有する患者のリハビリテーション治療で最も適切なのはどれか.
1.運動療法は推奨されない.
2.慢性腰痛では安静を指示する.
3.認知行動療法の導入は有効である.
4.患部への積極的なマッサージを行う.
5.疼痛が軽度であればADL訓練は必要ない.
解答
1.× 運動療法は推奨される.
2.× 慢性腰痛では適度な運動を指示する.
3.○ 正しい.
4.× 患部への積極的なマッサージは必要ない.
5.× 疼痛が軽度であってもADL訓練は必要である.
【32】介護予防事業の「介護予防教室」で正しいのはどれか.
1.1か月に2回実施する.
2.筋力の向上が目的である.
3.対象は要支援者のみである.
4.市町村が主体となり実施される.
5.1年以上実施しなければならない.
解答
1.× 実施回数は内容・地域によって様々である.
2.× 筋力の向上だけでなく栄養・口腔ケア,認知症予防など様々な目的で実施される.
3.× 対象は65歳以上のすべての高齢者である.
4.○ 正しい.
5.× 実施期間は内容・地域によって様々である.
【33】作業療法に関する歴史で誤っているのはどれか.
1.加藤普佐次郎は結核患者の作業療法に貢献した.
2.呉秀三は欧州における作業の効果を紹介した.
3.Jean Ayresは感覚統合療法を提唱した.
4.高木憲次は肢体不自由児の療育を体系化した.
5.Philippe Pinelは道徳療法を始めた.
解答
1.× 加藤普佐次郎は精神科患者の作業療法に貢献した.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.
【34】手指の巧緻性向上を目的とした作業療法で適切なのはどれか.2つ選べ.
1.陶芸の菊練り
2.籐細工の編み込み
3.マクラメの平結び
4.木版画の摺り
5.木工の鋸挽き
解答
1.× 陶芸の菊練りは上肢の筋力強化になる.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.× 木版画の摺りは握力強化になる.
5.× 木工の鋸引きは握力強化になる.
【35】Down症候群の乳児の保護者に対する指導で最も優先度が低いのはどれか.
1.関節拘縮の予防法
2.離乳食の摂取方法
3.姿勢の安定を促す抱き方
4.保護者のストレス対処法
5.児とのコミュニケーションの取り方
解答
1.× Down症候群は筋緊張が低いので,関節拘縮の予防法は保護者に対する指導で最も優先度が低い.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.
【36】摂食嚥下障害で正しいのはどれか.
1.液体は誤嚥しにくい.
2.認知機能の影響は受けない.
3.むせがなければ誤嚥はない.
4.頸部を屈曲すると嚥下反射は遅れる.
5.梨状窩は咽頭残留の好発部位である.
解答
1.× 液体は誤嚥しやすい.
2.× 認知機能の影響は受ける.
3.× むせがなくとも誤嚥はある.
4.× 頸部を屈曲すると嚥下反射を促進する.
5.○ 正しい.
【37】関節リウマチの日常生活の評価に用いられるのはどれか.
1.DAS28
2.Larsen分類
3.Lansbury指数
4.Steinbrockerのclass分類
5.AIMS(Arthritis Impact Measurement Scale)
解答
1.× DAS28は関節リウマチの疾患活動性指標である.
2.× Larsen分類は関節リウマチのエックス線による骨関節破壊の程度を示す.
3.× Lansbury指数は関節リウマチの関節炎の活動性の程度を示す.
4.○ 正しい.
5.× AIMS(arthritic impact measurement scale)は関節リウマチのQOL評価である.
【38】Hoehn&Yahrの重症度分類ステージⅢのParkinson病への作業療法で最も適切なのはどれか.
1.車椅子操作
2.万能カフの導入
3.音声入力によるパソコン操作
4.棒体操による頸部体幹伸展運動
5.机上での細かいビーズを用いた手芸
解答
1.× 歩行が可能であるため車椅子操作は適切でない.
2.× ステージⅢで万能カフは必要ない.
3.× パソコン操作は押しやすいようにキーボードを工夫する.
4.○ 正しい.
5.× 机上での細かいビーズを用いた手芸は円背,固縮を増悪するので適切でない.
【39】SOAPによる作業療法記録で正しいのはどれか.2つ選べ.
1.問題指向型の診療記録である.
2.Sには作業療法士が観察した情報を記載する.
3.Oには患者本人や家族から得た情報を記載する.
4.Aには作業療法プログラムを記載する.
5.PにはAに対する具体的な対応を記載する.
解答
1.○ 正しい.
2.× Oには作業療法士が観察した情報を記載する.
3.× Sには患者本人や家族から得た情報を記載する.
4.× Aには情報に基づく判断や解釈を記す.
5.○ 正しい.
【40】高次脳機能障害で正しいのはどれか.
1.性格の変化はみられない.
2.外見上から障害を容易に判断できる.
3.脳の損傷部位によらず症状は一定である.
4.記憶障害と比べて注意障害は回復しにくい.
5.60歳以上では脳血管障害によるものが多い.
解答
1.× 高次脳機能障害では性格の変化がみられる.
2.× 高次脳機能障害は外見上から障害を容易に判断できない.
3.× 高次脳機能障害は脳の損傷部位によって症状が異なる.
4.× 高次脳機能障害では注意障害と比べて記憶障害は回復しにくい.
5.○ 正しい.
【41】11種類の筆記検査と4種類の器具検査から9つの敵性能を測定し,適職を吟味することができる職業評価はどれか.
1.GATB
2.MODAPTS
3.マイクロタワー法
4.ワークサンプル幕張版
5.内田クレペリン精神検査
解答
1.○ 正しい.
2.× MODAPTSは作業能力評価(作業動作時間測定法)である.
3.× マイクロタワー法は5領域13のワークサンプルを用いて評価する.
4.× ワークサンプル幕張版は13種類の作業課題のワークサンプルを用いて評価する.
5.× 内田クレペリン精神検査は簡単な一桁の足し算を行い,受検者の能力,性格や行動面の特徴を測る心理検査である.
【42】「839」のような数字の組を口頭で提示し,提示した数を小さい順に答えさせようとしたところ,順番を間違ったり回答できないことがみられた.この患者の症状として考えられるのはどれか.
1.見当識障害
2.意味記憶障害
3.言語流暢性障害
4.巧緻運動機能障害
5.ワーキングメモリの障害
解答
1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.× 数秒間の保持および再生ができていないのでワーキングメモリの障害が疑われる.
【43】自閉症スペクトラム障害にみられる行動の特徴として最も適切なのはどれか.
1.冗談が通じない.
2.ケアレスミスが多い.
3.話の途中で区切って読む.
4.突発的にまばたきを繰り返す.
5.家ではよく話すが学校では全く話さない.
解答
1.○ 自閉症スペクトラム障害ではコミュニケーションの障害により冗談が通じない行動の特徴がある.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.× 誤り.
【44】精神科作業療法における治療的態度で誤っているのはどれか.
1.退院後の生活支援を行う.
2.患者との心理的距離を保つ.
3.患者の主体的活動を支援する.
4.異常体験の訴えはその都度修正する.
5.無理に活動しなくてもよいことを保障する.
解答
1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.× 異常体験の訴えは修正せず傾聴する.
5.○ 正しい.
【45】疾患と治療の組合せで正しいのはどれか.
1.アルコール依存症 ――― AA
2.覚醒剤依存症 ――― コリンエステラーゼ阻害薬
3.大麻依存症 ――― ビタミンB1(チアミン)補充
4.タバコ依存症 ――― SMARPP(Serigaya Methamphetamine Relapse Prevention Program)
5.ヘロイン依存症 ――― ニコチン置換療法
解答
1.○ 正しい.
2.× 認知症 ――― コリンエステラーゼ阻害薬
3.× アルコール依存症 ――― ビタミンB1(チアミン)補充
4.× 覚醒剤依存症 ――― SMARPP
5.× タバコ依存症 ――― ニコチン置換療法
【46】亜急性期の統合失調症患者への作業療法で適切なのはどれか.
1.患者の行動範囲を速やかに拡大する.
2.身体的負荷の高い活動から開始する.
3.患者が訴える妄想はその都度訂正する.
4.回復のイメージについて心理教育を行う.
5.対人交流が必要となる活動を多く提供する.
解答
1.× 患者の行動範囲は回復期後期から拡大する.
2.× 亜急性期は身体的負荷の低い活動から開始する.
3.× 患者が訴える妄想は訂正しない.
4.○ 亜急性期は回復のイメージについて心理教育を行う.
5.× 対人交流が必要となる活動は回復期後期に提供する.
【47】自傷や社会的問題行動が絶えない境界性パーソナリティ障害の患者に対する作業療法士の対応として適切でないのはどれか.
1.適宜治療目標を確認する.
2.患者の治療への主体的参加を促す.
3.疾患に伴う問題を率直に説明する.
4.治療関係で生じる転移を利用する.
5.薬物療法も含めた統合的治療を検討する.
解答
1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.× 治療関係で生じる転移は利用しない.
5.○ 正しい.
【48】認知症患者の認知機能を高めるための介入法として最も適切なのはどれか.
1.回想法
2.ピアサポート
3.マインドフルネス
4.バリデーション療法
5.リアリティオリエンテーション
解答
1.× 回想法は人生を振り返り思い出を語ることで気持ちの安定を図る介入法である.
2.× ピアサポートは同じような病気や障害のある者が集まり,体験を語り合うことで気持ちの安定を図る介入法である.
3.× マインドフルネスは瞑想法などを通して現在をあるがまま受け止められるようにする技法である.
4.× バリデーション療法は共感して信頼関係をつくるコミュニケーション技法である.
5.○ 正しい.
【49】就労継続支援A型事業で正しいのはどれか.
1.利用期間は3年である.
2.雇用契約に基づいた就労を提供する.
3.ジョブコーチの配置が義務付けられている.
4.利用開始時点の年齢制限は定められていない.
5.対象は一般就労を6か月継続している者である.
解答
1.× 就労継続支援A型事業に利用期間に定めはない.
2.○ 正しい.
3.× 就労継続支援A型事業にジョブコーチの配置は義務付けられていない.
4.× 就労継続支援A型事業の年齢制限は18歳以上で64歳までの方である.
5.× 対象に一般就労を6か月継続している者の定めがあるのは就労定着支援事業である.
【50】医療安全対策で適切なのはどれか.
1.患者が作業療法室内を自由に移動することを認めない.
2.自傷行為がある患者でも,希望があれば切り絵をさせる.
3.易怒性のある患者の作業療法は,複数の患者とともに行う.
4.無断離院のリスクがある対象者の作業療法は,当面1対1で行う.
5.早期の改善のために,患者が過負荷になっても励まして作業療法を継続する.
解答
1.× 患者が作業療法室内を自由に移動することは差し支えない.
2.× 自傷行為がある患者の場合には切り絵を避ける.
3.× 易怒性のある患者の作業療法は,他の患者と分離して行う.
4.○ 正しい.
5.× 患者が過負荷にならないように作業療法を実施する.