第57回理学療法士国家試験 午前1~50

【1】47歳の女性.抗リン脂質抗体症候群の既往がある.右変形性膝関節症に対して高位脛骨骨切り術を3日前に受けた.右大腿部から足部まで発赤を伴う腫脹を認め,Homans徴候陽性である.術後に実施した主な血液検査の結果を表に示す.術後の合併症として考えられるのはどれか. 

1.蜂窩織炎
2.リンパ浮腫
3.化膿性関節炎
4.うっ血性心不全
5.深部静脈血栓症

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.○ DダイマーとCRPが高値であることから深部静脈血栓症が考えられる.


【2】74歳の女性.左片麻痺.Brunnstrom法ステージ上肢Ⅱ,下肢Ⅲ.患側の筋緊張は低く,随意的な筋収縮もわずかにみられる程度である.平行棒内立位は中等度介助が必要で,左下肢は膝伸展位を保持することが困難で,体重をかけると膝折れが生じる.診療録の問題指向型医療記録の記載でassessment(評価)はどれか. 
1.左下肢の筋力が低下している.
2.左下肢の筋力増強練習を行う.
3.左下肢の筋緊張が低下している.
4.左下肢に長下肢装具を使用し立位練習を行う.
5.左下肢の筋緊張低下により体重支持力が低下している.

解答

1.× 「左下肢の筋力が低下している」はobjective(客観的情報)である.
2.× 「左下肢の筋力増強練習を行う」はplan(計画・治療)である.
3.× 「左下肢の筋緊張が低下している」」はobjective(客観的情報)である.
4.× 「左下肢に長下肢装具を使用し立位練習を行う」はplan(計画・治療)である.
5.○ 正しい.


【3】心電図を示す.心房粗動はどれか.

1.①
2.②
3.③
4.④
5.⑤

解答

1.○ ①規則正しいRR間隔,狭い幅のQRS波,F波が認められるため心房粗動である.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


【4】関節可動域測定法(日本整形外科学会,日本リハビリテーション医学会基準による)で正しいのはどれか.2つ選べ. 

1.胸腰部屈曲
2.頸部屈曲
3.肩甲帯挙上
4.手屈曲
5.母指橈側外転

解答

1.○ 正しい.
2.× 頸部屈曲の基本軸は肩峰を通る床への垂直線,移動軸は外耳孔と頭頂を結ぶ線である.
3.× 肩甲帯挙上の基本軸は両側の肩峰を結ぶ線,移動軸は肩峰と胸骨上縁を結ぶ線である.
4.○ 正しい.
5.× 母指橈側外転の基本軸は示指(橈骨の延長上),移動軸は母指である.


【5】Danielsらの徒手筋力テストによる頸部・体幹筋のテストで正しいのはどれか. 

1.頸部伸展 段階3
2.体幹回旋 段階4
3.体幹屈曲 段階3
4.体幹伸展 段階3
5.骨盤挙上 段階3

解答

1.× 頭部伸展の段階3である.
2.× 体幹回旋の段階3である.
3.× 体幹屈曲の段階4である.
4.○ 正しい.
5.× 骨盤挙上の段階5または4である.


【6】78歳の男性.脳梗塞.左顔面神経麻痺および右片麻痺を呈する.頭部MRIの拡散強調像を示す.梗塞巣として考えられるのはどれか.

1.①放線冠レベル
2.②大脳基底核レベル
3.③上部脳幹小脳レベル
4.④中部脳幹小脳レベル
5.⑤下部脳幹小脳レベル

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.○ 左顔面神経麻痺および右片麻痺を呈することから橋梗塞であると考える.
5.× 誤り.


【7】28歳の男性.脊髄完全損傷.両側に長下肢装具を使用し,平行棒内歩行練習を行っている.歩行パターンを図に示す.機能残存レベルはどれか. 

1.Th1
2.Th6
3.Th12
4.L4
5.S1

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.○ 腰方形筋[T12-L3]を用いた歩行であるため,この動作が可能な最も高位の機能残存レベルはT12である.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


【8】52歳の女性.踏み台から転落して左踵骨骨折を受傷し,手術が行われた.術後翌日の単純エックス線写真を示す.この患者に対する運動療法で正しいのはどれか. 

1.術後翌日から距腿関節の可動域練習を行う.
2.術後翌日から膝関節の可動域練習を行う.
3.術後翌日から部分荷重を始める.
4.術後1週から外固定内での距踵関節の等尺性運動を行う.
5.術後2週からMP関節の可動域練習を行う.

解答

1.× 術後2週目から距腿関節の可動域練習を行う.
2.○ 正しい.
3.× 術後6週から部分荷重を始める.
4.× 術後2週から外固定内での距踵関節の等尺性運動を行う.
5.× 術後翌日からMP関節の可動域練習を行う.


【9】18歳の女子.動作時の足底部の痛みを訴えた.足底腱膜炎の診断で超音波療法を行う.正しいのはどれか.2つ選べ. 
1.周波数を10MHzとする.
2.照射強度を10W/cm²とする.
3.照射時間率を40%照射とする.
4.疼痛を訴える場合は照射強度を下げる.
5.プローブを5cm以上,皮膚から離して行う.

解答

1.× 周波数を1MHzとする.
2.× 照射強度を0.5~1.0W/cm²とする.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.× プローブにカップリング剤を塗布し,隙間ができないように皮膚に密着させて行う.


【10】右側の靴型装具の補正と効果の組合せで正しいのはどれか. 

1.① ――― 前足部の回内防止
2.② ――― 踏み返しの改善
3.③ ――― 足部横アーチの支持性増強
4.④ ――― 中足骨骨頭の免荷
5.⑤ ――― 接踵時の衝撃吸収

解答

1.× ① ――― 外反足
2.× ② ――― 外反偏平足
3.× ③ ――― 外反足
4.○ 正しい.
5.× ⑤ ――― 踏み返しの改善


【11】75歳の男性.糖尿病により右下腿切断.義足歩行練習時に右膝の膝折れを起こしそうな不安定感を訴えた.考えられる原因はどれか.2つ選べ. 
1.初期屈曲角が過大である.
2.初期内転角が不足している.
3.右股関節の屈曲可動域制限がある.
4.右膝関節の伸展筋力が低下している.
5.ソケットが足部に対し後方に位置しすぎている.

解答

1.○ 正しい.
2.× 初期内転角が不足していても膝の前後方向の不安定性は生じない.
3.× 右股関節の屈曲可動域制限は右膝の膝折れに関係しない.
4.○ 正しい.
5.× ソケットが足部に対し前方に位置しすぎていると膝折れが起こる.


【12】図の前腕と手を支える肘関節屈筋の力Fはどれか.ただし,Cos45°=0.71とする. 

1.約20kgw
2.約25kgw
3.約30kgw
4.約35kgw
5.約40kgw

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.○ 正しい.
5.× 誤り.


【13】76歳の女性.脛骨高原骨折.転倒して受傷し,人工骨を用いた手術を施行された.術後のエックス線写真を示す.術後の理学療法で正しいのはどれか.

1.術後翌日から極超短波療法を行う.
2.術後翌日から足関節自動運動を行う.
3.術後翌日から膝関節伸展の等張性筋力増強練習を行う.
4.術後2週からCPMを行う.
5.術後2週から全荷重歩行を行う.

解答

1.× 骨接合術後のため,極超短波療法は禁忌である.
2.○ 正しい.
3.× 術後翌日から膝関節伸展の等尺性筋力増強練習を行う.
4.× 術後翌日からCPMを行う.
5.× 術後10週から全荷重歩行を行う.


【14】13歳の男子.7歳から野球を始め,中学生から投手となった.投球動作中に右肘に痛みを感じるようになり,病院を受診した.理学療法評価時,肘関節の外反ストレステストを実施したところ,肘関節の内側に疼痛が誘発された.痛みが出現する動作はどれか. 

1.1
2.2
3.3
4.4
5.5

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.○ 肘関節に外反ストレスがかかっているため疼痛が出現する動作である.
5.× 誤り.


【15】脊髄損傷患者のトランスファーボードを用いたベッドから車椅子への移乗動作を図に示す.この動作を獲得目標とする機能残存レベルはどれか. 

1.C4
2.C5
3.C6
4.C7
5.C8

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.○ トランスファーボードを用いたベッドから車椅子への側方移乗動作が可能となるのはC6機能残存レベルである.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


【16】12歳の男児.脳性麻痺痙直型両麻痺.GMFCSレベルⅢで,立位では図のような姿勢を示す.治療方針として優先されるのはどれか. 

1.長下肢装具を作製する.
2.体幹筋の同時収縮を促す.
3.選択的後根切断術を検討する.
4.歩行練習での介助量を減らす.
5.上肢での支持能力を向上させる.

解答

1.× 誤り.
2.○ 短下肢装具を使用し,体幹筋の同時収縮と下肢支持能力向上を優先とする.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


【17】次の文により17,18の問いに答えよ.65歳の男性.間質性肺炎.労作時呼吸困難,咳を主訴に来院した.3年前から歩行時の呼吸困難が増悪した.1か月前から咳,労作時の呼吸困難の悪化を認め入院となった.入院時,心電図は洞調律.血液検査ではCRP3.1mg/dL(基準値0.3mg/dL未満),KL-6 790U/mL(基準値500U/mL未満)であった.理学療法評価では,mMRC息切れスケールはグレード3.筋力はMMT上下肢4,6分間歩行テストは200mであった.胸部CTを示す.この患者の胸部CTとして最も可能性が高いのはどれか. 

1.①
2.②
3.③
4.④
5.⑤

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.○ ④蜂巣肺がみられる.
5.× 誤り.


【18】次の文により17,18の問いに答えよ.65歳の男性.間質性肺炎.労作時呼吸困難,咳を主訴に来院した.3年前から歩行時の呼吸困難が増悪した.1か月前から咳,労作時の呼吸困難の悪化を認め入院となった.入院時,心電図は洞調律.血液検査ではCRP3.1mg/dL(基準値0.3mg/dL未満),KL-6 790U/mL(基準値500U/mL未満)であった.理学療法評価では,mMRC息切れスケールはグレード3.筋力はMMT上下肢4,6分間歩行テストは200mであった.全身持久力トレーニングを行う場合,トレーニングを中止すべき状態はどれか.トレーニング前の所見は,血圧120/65mmHg,心拍数85/分,呼吸数19回/分,SpO₂96%,修正Borg Scale3であった.2つ選べ. 

1.1
2.2
3.3
4.4
5.5

解答

1.○ トレーニング前よりも血圧低下しており,めまいもあるため中止すべき状態である.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.○ 動悸がみられるため,中止すべき状態である.
5.× 誤り.


【19】50歳の男性.会社の健康診断で尿糖陽性を指摘され,受診した.入院時,身長175cm,体重85kg.脈拍75/分,血圧165/86mmHg.両側足関節の振動覚は鈍麻.血液生化学所見では,空腹時血糖385mg/dL(基準値65~109mg/dL),HbA1c8.6%(基準値4.6~6.2%),トリグリセリド362mg/dL(基準値30~150mg/dL),LDLコレステロール128mg/dL(基準値70~139mg/dL)であった.尿検査でケトン体陰性であった.入院後,食事療法と薬物療法が開始されている.運動療法開始時に必要な条件はどれか. 
1.感覚障害が改善する.
2.脂質異常症が改善する.
3.尿中ケトン体が陽性となる.
4.HbA1cが基準値内まで低下する.
5.空腹時血糖が250mg/dL未満となる.

解答

1.× 感覚障害の改善は運動療法開始時に必要な条件でない.
2.× 運動療法により脂質異常症が改善する.
3.× 空腹時血糖250mg/dL以上または尿中ケトン体が陽性の場合,運動療法は禁忌である.
4.× 運動療法によりHbA1cが低下する.
5.○ 正しい.


【20】75歳の男性.3年前にParkinson病を発症.Hoehn&Yahrの重症度分類ステージⅢ.3か月前からトイレ前で小刻み歩行を生じるほか,歩行や立ち座りが不安定となり,屋内移動で妻の介助が必要となった.現在,妻とマンションで2人暮らしである.自宅の住環境整備で適切でないのはどれか. 
1.ベッドに介助バーを設置する.
2.居室の出入り口を開き戸にする.
3.脱衣場と浴室の段差を解消する.
4.寝室からトイレの廊下に手すりを設置する.
5.トイレ前の廊下にはしご状の目印をつける.

解答

1.○ 正しい.
2.× 居室の出入り口を引き戸にする.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


【21】患者への治療に対するインフォームドコンセントとして適切なのはどれか. 
1.専門用語で説明する.
2.説明用の文書を用意する.
3.治療のデメリットは伝えない.
4.心理状態に関わらず患者の決定が優先される.
5.患者は正当な理由があっても同意を撤回できない.

解答

1.× 治療者はわかりやすい用語で説明する.
2.○ 正しい.
3.× 治療のデメリットも伝える.
4.× 心理状態に関わらず患者の決定は必ずしも優先されるわけでない.
5.× 患者は正当な理由がなくとも同意を撤回できる.


【22】歩行導入初期における運動学習の方法として適切なのはどれか.2つ選べ. 
1.ハンドリングを行う.
2.休憩を入れずに練習する.
3.踵接地の練習を繰り返し行う.
4.後ろ歩きや横歩きの練習を取り入れる.
5.フィードバックを与える頻度を少なくする.

解答

1.○ 正しい.
2.× 歩行導入初期は休憩を入れながら練習する.
3.○ 正しい.
4.× 後ろ歩きや横歩きの練習を取り入れるのは歩行が安定した後である.
5.× 歩行能力の向上に合わせてフィードバックを与える頻度を少なくする.


【23】運動に関する中枢神経について正しいのはどれか. 
1.一次運動野においては他の部位と比較して手と顔面の運動領域が小さい.
2.中脳黒質に由来するドパミン作動性ニューロンは線条体に至る.
3.皮質脊髄路のうち約30%の線維が延髄錐体で対側に交叉する.
4.Betz巨大錐体細胞は運動野大脳皮質の第Ⅲ層に存在する.
5.Purkinje細胞の軸索は小脳への求心性線維となる.

解答

1.× 一次運動野においては他の部位と比較して手と顔面の運動領域が大きい.
2.○ 正しい.
3.× 皮質脊髄路のうち約90%の線維が延髄錐体で対側に交叉する.
4.× Betz巨大錐体細胞は運動野大脳皮質の第Ⅴ層に存在する.
5.× Purkinje細胞の軸索は小脳からの遠心性線維となる.


【24】加齢により増加するのはどれか.2つ選べ. 
1.血管抵抗
2.除脂肪体重
3.唾液分泌量
4.予備呼気量
5.炎症性サイトカイン

解答

1.○ 正しい.
2.× 除脂肪体重は加齢により減少する.
3.× 唾液分泌量は加齢により低下する.
4.× 予備呼気量は加齢により低下する.
5.○ 正しい.


【25】閉塞性動脈硬化症の運動療法を行う場合,収集すべき医学情報として最も重要なのはどれか. 
1.胸部CT
2.脊椎MRI
3.筋電図検査
4.足関節上腕血圧比
5.股関節を含む両下肢単純エックス線

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.○ 下肢動脈狭窄・閉塞の評価である足関節上腕血圧比が最も重要である.
5.× 誤り.


【26】関節可動域測定法(日本整形外科学会,日本リハビリテーション医学会基準による)における参考可動域角度が最も大きいのはどれか. 
1.頸部屈曲
2.肩内旋
3.肩甲帯屈曲
4.母指橈側外転
5.股内旋

解答

1.× 頸部屈曲の参考可動域角度は60°である.
2.○ 正しい.
3.× 肩甲帯屈曲の参考可動域角度は20°である.
4.× 母指橈側外転の参考可動域角度は60°である.
5.× 股内旋の参考可動域角度は45°である.


【27】律動的な不随意運動はどれか. 
1.振戦
2.チック
3.バリスム
4.アテトーゼ
5.ミオクローヌス

解答

1.○ 正しい.
2.× チックは不規則な不随意運動である.
3.× バリスムは不規則な不随意運動である.
4.× アテトーゼは不規則な不随意運動である.
5.× ミオクローヌスは不規則な不随意運動である.


【28】注意障害の検査はどれか. 
1.MAS
2.Raven色彩マトリックス検査
3.Rey-Osterrieth複雑図形検査
4.TMT
5.WCST

解答

1.× MASは筋緊張検査である.
2.× Raven色彩マトリックス検査は非言語性知的能力の検査である.
3.× Rey-Osterrieth複雑図形検査は視空間知覚・構成機能と非言語性視覚記憶の検査である.
4.○ 正しい.
5.× WCSTは前頭葉機能検査法である.


【29】FIMの測定で修正自立となるのはどれか.2つ選べ. 
1.入れ歯の着脱が自立している.
2.浴槽の縁に腰掛けて浴槽をまたぐ.
3.スプーンを用いての食事が自立している.
4.服の上げ下ろしをする際に手すりを使用する.
5.装具を装着して300m程度の歩行が自立している.

解答

1.× 「入れ歯の着脱が自立している」は自立と判定する.
2.× 「浴槽の縁に腰掛けて浴槽をまたぐ」は自立と判定する.
3.× 「スプーンを用いての食事が自立している」は自立と判定する.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


【30】短下肢装具の足継手機能のうち背屈補助が適応となるのはどれか. 
1.足関節捻挫
2.外反扁平足
3.下垂足
4.膝折れ
5.踵足

解答

1.× 足関節捻挫は背屈補助の適応とならない.
2.× 外反扁平足は背屈補助の適応とならない.
3.○ 正しい.
4.× 膝折れは背屈制動が適応となる.
5.× 踵足は背屈制動が適応となる.


【31】右大腿骨頭すべり症によるDrehmann(ドレーマン)徴候陽性の場合,背臥位で右下肢を他動的に屈曲したときに生ずる関節運動で正しいのはどれか. 
1.左股関節が屈曲・外旋する.
2.左股関節が内転・外旋する.
3.右股関節が外転・外旋する.
4.右股関節が外転・内旋する.
5.右股関節が内転・内旋する.

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.○ Drehmann徴候は右下肢を他動的に屈曲したときに右股関節が開排(外転・外旋)する.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


【32】上腕骨骨幹部骨折で最も合併しやすい神経障害はどれか. 
1.腋窩神経
2.筋皮神経
3.尺骨神経
4.正中神経
5.橈骨神経

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.× 誤り.
4.× 誤り.
5.○ 上腕骨骨幹部骨折で最も合併しやすい神経障害は橈骨神経である.


【33】NIHSSで評価されるのはどれか.2つ選べ. 
1.バランス障害
2.深部腱反射
3.意識障害
4.顔面麻痺
5.歩行速度

解答

1.× NIHSSでは意識,注視と視野,顔面麻痺,上下肢の運動と失調,感覚,言語,注意と無視などが評価され,バランス障害は含まれない.
2.× NIHSSでは意識,注視と視野,顔面麻痺,上下肢の運動と失調,感覚,言語,注意と無視などが評価され,深部腱反射は含まれない.
3.○ 正しい.
4.○ 正しい.
5.× NIHSSでは意識,注視と視野,顔面麻痺,上下肢の運動と失調,感覚,言語,注意と無視などが評価され,歩行速度は含まれない.


【34】脊髄小脳変性症で正しいのはどれか.2つ選べ. 
1.Frenkel体操は無効である.
2.視覚障害を伴うことが多い.
3.包括的な評価指標にSARAがある.
4.患者数は非遺伝性に比べて遺伝性が多い.
5.自律神経障害は非遺伝性に比べて遺伝性が少ない.

解答

1.× Frenkel体操は脊髄性の脊髄小脳変性症に有効である.
2.× 脊髄小脳変性症において視覚障害を伴うことは少ない.
3.○ 正しい.
4.× 脊髄小脳変性症の患者数は遺伝性に比べて非遺伝性が多い.
5.○ 正しい.


【35】認知症のスクリーニング検査はどれか. 
1.Frenchay Activities Index
2.Fugl-Meyer Assessment
3.MMSE
4.Rorschach Test
5.WAIS-Ⅲ

解答

1.× Frenchay Activities IndexはIADLの評価法である.
2.× Fugl-Meyer Assessmentは脳卒中の総合評価である.
3.○ 正しい.
4.× Rorschach Testは投影法に分類される人格検査である.
5.× WAIS-Ⅲは知能検査である.


【36】PT57A036.jpg高齢者において好ましい変化はどれか. 
1.1
2.2
3.3
4.4
5.5

解答

1.× 2か月間でBMIの5.0低下は好ましい変化でない.
2.○ 正しい.
3.× TUG値の増加は好ましい変化でない.
4.× MMSEの点数低下は好ましい変化でない.
5.× 基本チェックリストの該当数増加は好ましい変化でない.


【37】感染予防の標準予防策(standard Precautions)について正しいのはどれか. 
1.感染症患者のみに対して日常的に実施されるべき感染対策である.
2.歩行練習中に患者が出血した場合は手袋をして対処する.
3.屋外での歩行練習では感染予防対策は不要である.
4.血圧測定を行う前の手指衛生は不要である.
5.マスクはN95を使用する.

解答

1.× 標準予防策はすべての患者に対して日常的に実施されるべき感染対策である.
2.○ 正しい.
3.× 屋外での歩行練習でも感染予防対策は必要である.
4.× 血圧測定を行う前後の手指衛生は必要である.
5.× 標準予防策ではサージカルマスクを使用する.


【38】装具と疾患の組合せで正しいのはどれか. 
1.Jewett装具 ――― 橈骨神経麻痺
2.Milwaukee装具 ――― 先天性股関節脱臼
3.Oppenheimer型装具 ――― 胸椎圧迫骨折
4.Riemenbügel(リーメンビューゲル)装具 ――― 側弯症
5.SOMI装具 ――― 頸椎環軸骨折

解答

1.× Jewett装具 ――― 胸椎圧迫骨折
2.× Milwaukee装具 ――― 側弯症
3.× Oppenheimer型装具 ――― 橈骨神経麻痺
4.× Riemenbügel(リーメンビューゲル)装具 ――― 先天性股関節脱臼
5.○ 正しい.


【39】頸椎骨折(Jefferson骨折)に対する運動療法で正しいのはどれか. 
1.頸椎の可動性が得られてから頸椎周囲筋の等張性筋力増強練習を行う.
2.頸椎の関節可動域運動は他動運動から開始する.
3.骨癒合が得られてから歩行練習を開始する.
4.骨癒合が得られるまで体幹筋力運動は行わない.
5.受傷直後から装具は使用せず立位練習を行う.

解答

1.○ 正しい.
2.× 頸椎の関節可動域運動は自動運動から開始する.
3.× 骨癒合が得られる前から頸椎装具を装着して歩行練習を開始する.
4.× 骨癒合が得られる前に頸椎装具を装着して体幹筋力運動(等尺性)を行う.
5.× 受傷直後は装具を使用して立位練習を行う.


【40】脳卒中後のPusher現象について誤っているのはどれか. 
1.右半球損傷に多い.
2.垂直判断の障害が関係する.
3.身体軸が非麻痺側に傾斜する.
4.座位だけでなく立位でも認められる.
5.端座位で体幹を正中位に近づけると非麻痺側の股関節が外旋する.

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.× 身体軸が麻痺側に傾斜する.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


【41】スワンネック変形で過伸展となるのはどれか. 
1.遠位指節間関節
2.遠位橈尺関節
3.近位指節間関節
4.手根中手関節
5.中手指節間関節

解答

1.× 誤り.
2.× 誤り.
3.○ スワンネック変形では近位指節間関節の過伸展と遠位指節間関節の屈曲が生じる.
4.× 誤り.
5.× 誤り.


【42】急性期の肩手症候群への理学療法として正しいのはどれか. 
1.CI療法
2.Codman体操
3.肩関節周囲筋の再教育
4.BFOによる良肢位の保持
5.肩関節周囲筋の積極的な他動伸張運動

解答

1.× CI療法は非麻痺側上肢を拘束条件下で長時間,麻痺肢の使用を促す方法で,急性期の肩手症候群に適応とならない.
2.× Codman体操は急性期の肩手症候群に適応とならない.
3.○ 正しい.
4.× 急性期の肩手症候群ではアームスリングを使用して良肢位を保持する.
5.× 急性期の肩手症候群では肩関節周囲筋の積極的な他動伸張運動は禁忌である.


【43】ポストポリオ症候群で正しいのはどれか. 
1.疼痛を伴うことは少ない.
2.発症年齢は10歳以下が多い.
3.罹患筋の運動単位数は減少している.
4.非麻痺側に新たな筋力低下は起こらない.
5.MMT3レベル以下の新たな筋力低下に対して筋力増強運動を行う.

解答

1.× ポストポリオ症候群では関節痛,筋肉痛を伴うことがある.
2.× ポストポリオ症候群はポリオ発症後15年間以上の神経学的機能安定期間を経て発症する.
3.○ 正しい.
4.× ポストポリオ症候群では非麻痺側に新たな筋力低下は起こる.
5.× MMT3レベル以下の新たな筋力低下に対し補装具で対応する.


【44】脊髄損傷(第7頸髄節まで機能残存)患者で自立が最も困難なのはどれか. 
1.自動車の運転
2.車椅子のキャスター上げ
3.車椅子で5cmの段差昇降
4.床面から車椅子への乗り移り
5.ベッドから車椅子までの側方移乗

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.× 床面から車椅子への乗り移りはC8機能残存レベルで自立が可能となる.
5.○ 正しい.


【45】Duchenne型筋ジストロフィーの呼吸管理について正しいのはどれか. 
1.非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)の適応ではない.
2.舌咽呼吸は強制的に吸気する最大量を得るのに有効である.
3.咳最大流量(cough peak flow)は咳介助を行う目安にならない.
4.呼吸管理の適応になる時期は機能障害ステージⅣからである.
5.排痰補助装置による咳介助は徒手による咳介助に優先して行われる.

解答

1.× 非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)の適応となる.
2.○ 正しい.
3.× 咳最大流量(cough peak flow)は咳介助を行う目安となる.
4.× 呼吸管理の適応になる時期は機能障害ステージⅧからである.
5.× 排痰補助装置による咳介助よりも徒手による咳介助が優先して行われる.


【46】運動療法を中止する状態として誤っているのはどれか. 
1.胸痛の出現
2.チアノーゼ
3.単発性心室期外収縮
4.喘鳴による呼吸困難感
5.胸部不快感を伴う心室頻拍

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.× 1分間10回以上の心室期外収縮が出現した場合にいったん運動療法を中止し,回復を待って再開する.
4.○ 正しい.
5.○ 正しい.


【47】慢性腎臓病について正しいのはどれか. 
1.若年者に多い.
2.血清クレアチニンは筋量に影響を受ける.
3.蛋白尿の評価には随時尿のみ用いられる.
4.レジスタンストレーニングは禁忌である.
5.推算糸球体濾過量(eGFR)は4つの段階に分類される.

解答

1.× 慢性腎臓病は高齢者に多い.
2.○ 正しい.
3.× 蛋白尿の評価には随時尿と24時間畜尿が用いられる.
4.× レジスタンストレーニングは慢性腎臓病に適応となる.
5.× 推算糸球体濾過量(eGFR)は5つの段階に分類される.


【48】認知症患者の運動療法を行うときの対応として適切でないのはどれか. 
1.肯定語で指示する.
2.患者のペースに合わせる.
3.同じ動作を繰り返し実施する.
4.運動を拒否しても説得して行う.
5.日常慣れ親しんだ動作を利用する.

解答

1.○ 正しい.
2.○ 正しい.
3.○ 正しい.
4.× 運動を拒否した場合は説得せず患者に合わせて対応する.
5.○ 正しい.


【49】介護保険制度について正しいのはどれか. 
1.利用者はケアプランの作成にかかる費用の1割を負担する.
2.要支援者は介護予防サービスを受けることができる.
3.医療保険加入者は20歳から介護保険料を支払う.
4.要支援者は施設サービスを利用できる.
5.保険者は厚生労働省である.

解答

1.× ケアプランの作成にかかる費用の利用者負担はない.
2.○ 正しい.
3.× 医療保険加入者は40歳から介護保険料を支払う.
4.× 要支援者は施設サービスを利用できない.
5.× 保険者は市区町村である.


【50】疾患と支援機器の組合せで適切なのはどれか. 
1.関節リウマチ ――― 台付き爪切り
2.片側手関節離断 ――― プルトップオープナー
3.第2腰髄完全損傷 ――― スライディングボード
4.第8頸髄完全損傷 ――― コミュニケーションエイド
5.アテトーゼ型脳性麻痺 ――― リーチャー

解答

1.○ 正しい.
2.× 関節リウマチ ――― プルトップオープナー
3.× 第5・6頸髄完全損傷 ――― スライディングボード
4.× 筋萎縮性側索硬化症 ――― コミュニケーションエイド
5.× 関節リウマチ ――― リーチャー


 | 【PT国試過去問】 | 午前51~100